映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

シュガーラッシュ オンライン 《周回遅れな映画とポスター》

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映画の点数…40点
ポスターの点数…40点

 

何故続編を???


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画は2012年に第一作が公開されたシュガーラッシュの6年ぶりの続編《シュガーラッシュ・オンライン》です。


興行収入的には大成功だった前作ですが、個人的には特に良いとは思えなかった作品です。


「ゲームの世界のキャラが実は生きていたら」という設定自体は面白いのですが、そこまで突き抜けた表現はなく最終的にはストリートファーターやパックマンなどの既存のゲームはほとんど登場せず映画用のオリジナルキャラのみが活躍する話にシフトしていきます。


そうなると「え、、ただのアニメ映画じゃん」となってしまい、しかもそのレベルも決して他のディズニー作品に比べて高いとは思えませんでした。


そんな作品の続編となれば「今更何をするんだろう?」と思ったものですが、タイトルが「オンライン」となった時点で「ああそうか、今やゲームはオンラインで楽しむものだし、そっちの世界を巻き込んで映画化するのね」と理解。


それなら楽しそうだと思ったのですが、実際は期待通りにならず。。。。

 

映画の良かった点


CMでも散々使われていた箇所ではあるのですが、自身の生み出したキャラクター達を批評的に描いている点はいずれも楽しかったです。


大好きなスターウォーズガーディアンズオブギャラクシーのキャラクター達が小ネタ的に登場するのですが、その小ネタのレベルがちゃんと面白いというか。


変な悲鳴をあげて転ぶトルーパーや、アイムグルートしか言えないグルートが出ているだけでニヤニヤします。


それより何より、プリンセス達をここまで自らパロディ化してみせたのは大変な勇気だったのではないでしょうか。


プリンセスと言っても誕生から100歳近い白雪姫から10歳に満たないモアナまで登場するのですが、その描き分けも面白かったです。


「男性に助けてもらって幸せにしてもらう」ことを当たり前のように思ってる白雪姫やシンデレラは「時代遅れなイっちゃってる人」として描いていたし、突然歌い出すアリエルには「なんで急にスポットが当たって歌い出すわけ?」と容赦がありません。


お隣のピクサースタジオからやってきたメリダが少し差別的に描かれていたのはちょっとどうかと思いますが、プリンセスを現代の普通の少女として再解釈してみせたのは面白かったです。


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映画の気になった点


ただし残念ながらこの映画、面白かったのは小ネタの部分だけで映画本体は難点の多い作品だったと思います。。。。


まず、ゲームのキャラクター達が登場するのはあくまでネタとして登場するだけで、それが後の伏線などにはほとんどなっていないんですよね。


最初に登場するザンギエフとかパックマンは、ただ「ほら、日本のキャラクターですよ」と目配せとして出てくるだけでそこから何も活躍しません。


今回も活躍するのはあくまで自作のキャラとディズニー作品達のキャラクターのみ。


これだったら同じ年に公開されたレディプレイヤー1の方がはるかにゲームキャラへの愛を感じました。


ディズニーという、生きたキャラクター達を愛すべき会社が作ったとは思えないレベルでしたね。

 

オンラインってそういうこと??


タイトルが邦題でオンライン、現代でインターネットとついています。


ということは、てっきりオンライン上でのゲームが展開されると期待していたら全く違っていて。


ツイッターやアマゾン、YouTubeなどがワサワサと登場してはそれをキャラクター付けしてネタ的に遊ぶというシーンの連続でした。


映画のストーリーも、「シュガーラッシュ(ゲーム)のコントローラーが壊れたからヤフオクで買いに行く」という話がきっかけです。


そしたら当然ゲームキャラだからお金なんて持ってないのでユーチューバーになってお金を稼ぐという手段をとるのですが。。。。


え??ヴェネロペがレースで稼ぐとかじゃないの???


ビルをラルフが破壊して儲けるとかじゃないの???


特にゲームキャラとは関係ない方法でハンドルを取り返そうとするんですよね。


というより、映画全体が最初の10分くらいを除いてゲームとほとんど関係なくなるんですよ。


その他はインターネットの小ネタを挟み込んで小さな笑いを誘うだけで、その間ストーリーはほとんど進まなくなります。


クライマックスの対決シーンですらレースとかしないんですよね。


ビジュアル面について


前作はとろけるチョコレートやベタベタしたキャンディをCGで表現するという圧倒的な技術を見せつけた作品でした。


今作では無限に広がるインターネットの世界を見事にCG化……してるんですけどね。。。。


インターネットの擬人化というか可視化という表現は既に他の映画や漫画で無数に作られていて。


今回のインターネット描写ははっきり言って物足りなかったです。


先ほども挙げたレディプレイヤー1での表現の方がはるかに上だったと思いますし、アニメーション作品でも今から18年前に作られた「デジタルモンスター ぼくらのウォーゲーム」の方が新鮮で面白い表現だと思いますよ。


思うに、「はいはい、あるある!」という小ネタの部分を優先するあまり変に現実味のある表現に落ち着いてしまってると思うんですよね。


別にこちらはあるあるネタを楽しみに来たわけじゃないんだから、ディズニースタジオの考える本気のインターネット描写を観てみたかったです。

 

話のテーマについて


何よりも気になったのが、物語のテーマです。


今作は「ここではないどこかへ」を夢見る少女を、「終わりの無い日常」を愛する父親が送り出すという親離れ子離れがテーマとして描かれています。


確かに普遍的なテーマだとは思うんですけど。。。。


結構、すでに周回遅れなテーマだなと思ってしまいます。


「ここではないどこかへ」を夢見る少女というには既に、ラプンツェルやモアナできっちりと描ききっています。


特にラプンツェルの方はそこからさらに「唯一無二の母親との決別」というところまで踏み込んでいますよね。


アナと雪の女王では、女性が切り開いていく新しい世界という提示もありました。


さらに「終わりの無い日常」を愛する父親が、ついに子どもから離れることを決断するというのはトイ・ストーリー3という大傑作でちゃんと描いているじゃないですか。


今回のシュガーラッシュで描かれていたことって、今となってはもはや時代遅れだよなと思ってしまいます。。。

 

ポスターについて


ポスターも、映画の内容と共に結構使い古された表現というか。。

 

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インターネットの世界に驚いている二人を描いているのですが、正直こちらとしては「わー!すごい世界観だー!」とは全然思えないんですよね。


なんか、なんか見たことあるわ、というレベルで止まっています。


ディズニー作品はポスターはけっこう淡泊な表現が多いのはいつもと同じなのですが、それにしたってワクワクしないビジュアルだなぁとけっこうガッカリです。

 

まとめ


改めて言っておきますが、僕はディズニー作品は大好きですし今年もディズニーランド行ってきたくらいには好きです。


だからこそ期待してしまうものはいつも大きく、今回位の作品では既に満足できない体になってしまいました。


けっこう辛口なことを書いてしまいましたが、普通にぼんやり見る分には楽しい一作だと思いますよ。


それでは、また。


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アリー スター誕生 《意外と薄味だった映画と、無味無臭なポスター》

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映画の点数…65点
ポスターの点数…20点(日本版)

 

「スター誕生」について


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画は「アリー スター誕生」です。


今回で映画化されるのが4回目という古典的な作品で、すなわちストーリーが普遍的で強固だと言うことなのでしょう(普遍的であることがいい事では全くありませんが)


そんな「スター誕生」ですが、過去作は一度も観たことはありません。


そもそも「こういうストーリー」ということであればスター誕生でなくとも無数に存在していて、最近でも「アーティスト」や「ラ・ラ・ランド」は同じような素質のある映画です。


マンガでも「アイズ」なんて少年マンガは似たような話があったなぁなんて(内容はエロマンガだけど)


それくらい《ありふれた映画》である以上は、再映画化にあたって何かしら新しいアプローチが必要になってくると思います。

 

映画のフレッシュさ


この映画におけるフレッシュさは主に二つあると思っていて、一つは何より「レディー・ガガの初主演映画」という点ですね。


これは完全に大当たりだったと言えるでしょう。


演技力に関しても申し分なし、歌唱力の圧倒的な実力は証明済み。


劇中でも触れられる「誰もがうっとりするような美人ではない」というコンプレックスも映画にとってプラスでした。


もう一つのフレッシュさは、ブラッドリー・クーパーという俳優としてのキャリアは十分な彼が初めて監督を務めるということですね。


さらに主演もやるし脚本もやるし、まさかのギター演奏・歌唱、作曲までやるという狂気。


役柄上とは言え、劇中で失禁シーンまであるという「この人何考えてるの?」というレベル。


さらにはアライグマの声優まで務めるという……こっちは違う映画でしたな。


イーストウッドの弟子という肩書きがあるとはいえ、かなりのギャンブルを見事に成功させただけでもすでに奇跡のような作品といえます。


お見事、ブラッドリー・クーパー

 

映画の良い点


先ほど「普遍的な映画のなかに、何か新しいアプローチはあるか」と書きましたが、そのへんは主に撮影の部分で表現されていたように思います。


グラミー賞受賞会場や、実際のライブフェス会場などのかなり大がかりな舞台を用意しておきながら、ほとんど客席は写さず主役の二人に極端に寄ったような映像が印象に残ります。


この撮り方をしているおかげで「まわりがボケてしまうほど濃密な二人だけのラブストーリー」というのが浮かび上がってきます。


逆にジャック(ブラッドリー・クーパー)が画面の奥の方に小さく写るようなシーンがあると、急激にジャックが孤独感に襲われるような描写へとつながっていったり。


心情の流れをカメラだけで説得力を持たせるなんて、これだけで初監督とは思えない実力を感じるなと思います。


特にラストのガレージのシーンの撮り方の素っ気なさというか。。。


あのシーンは忘れることが出来ない一場面になりそうです。

 

映画の不満点


今までかなり褒めるような内容だったのですが、正直僕はこの映画にノリきれないところがあって。。。


というのも、いくら撮影がフレッシュでもレディー・ガガが主演でも「ここから物語がどうなるのか基本的に全部分かっている話」を観るのは結構退屈でした。


撮影の方法自体が《二人をじーーーーっくり撮っていく》というスタイルである以上、そこを退屈だと思ってしまうと引き返せなくなっちゃって。


早く次の展開にならないかなーなんて思いながら観てしまいました。


それと、これも仕方ないといえばそうなのですが、レディー・ガガはやっぱりレディー・ガガというか。


画面からカリスマが全く消えてないくらいカリスマだなぁと思ってしまったり。


同時期に公開されていたボヘミアンラプソディーではフレディの心の揺れ動きを見事に演技で表現できていたと思うのですが、アリーの方はそれを演じているのがレディー・ガガなので。


「大丈夫大丈夫!だって貴方はレディー・ガガなんだから絶対に成功するよ!」って思っちゃうんですよねぇ。。


それを忘れさせるほどには映画の出来がうまかったとは思えませんでした。

 

ポスターの感想


今回も残念ながら日本語版ポスターの方が出来が良くないというか。。。

 

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まずビジュアルなんですけど、なんなんでしょう、この「必要な情報を並べてみました」感。


画面全体を使って「主演、レディー・ガガ!!レディー・ガガが、ギターを弾く恋人とかと出会って成長したりしてスターになる映画です!」みたいな感じ。


いや、その通りの映画なんですけど、このレイアウトは良くないと思うんです。


キャッチコピーも「歌って、恋して、傷ついて 私は生まれ変わる。」


ダサい!!!!


考えた方ごめんなさい、ダサいです。


なんか昭和のやつ?すごく昭和な感じがします。


キャッチコピーって別に「映画の内容を説明すること」じゃないですよね。


ここまでストレートなキャッチコピーはなかなか無い気がします。


びっくりドンキーに入って「挽肉と、ご飯と、大根サラダ 私はハンバーグディッシュ」って書いてあったら「あ、はい」って感じじゃないですか。


どのような映画か全部説明してあげないと観客が入らないと思ったんですかね。


だとしたら「こういう映画なら別にいいわ」と言って鑑賞を避けた人も結構いると思いますけど。。。

 

本国版ポスター


日本語版ポスターの方のレイアウトの何が良くないって、ブラッドリー・クーパーとレディー・ガガを不用意に分割していることなんですよ。


ではオリジナルの方のポスターはどうかというと、こんな感じ。

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映画を観たら分かる通り、この映画は極端に「二人きり」の映画なのであって、そこが最大の魅力なわけです。


だから当然オリジナルポスターはこうなるわけですね。


日本でこういうカップルがいたら「気持ち悪っ」と思ってしまいますが、そのベタベタ加減をこそ楽しむ映画ですからね。


ではこれが日本で流行した「スイーツ系映画」かと言うとそうではありません。


「スター誕生」というタイトル文字こそキラキラしているのですが、そこに写っている二人はモノクロの写真になっています。


まるで「この二人の姿は過去のもの」であるとか「スターになるために失ってしまったもの」のような雰囲気が出ています。

 

別案


こちらのポスターも同様です。

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ライブのステージという「最も人が輝く瞬間」ですらも、観客は一人もうつらないくらいボケていますし、そしてモノクロの写真を使用しています。


映画を観る前からすでに「笑顔の多いだけの映画ではない」というのは暗示されているわけですよ。


では改めて日本語版ポスターの方はというと。。。

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そういった繊細な表現は何も感じません。


本当に事務的な感じですね。。。


楽しくもなさそうだし、切なくもなさそう。


うーん。

 

まとめ


映画は良い意味でも悪い意味でも「けっこう優等生」な作品だったと思います。


とはいえ嫌いな映画とかそういうことではなくて、ブラッドリー・クーパーは大好きな俳優だし今後も映画を撮ったら必ず鑑賞するでしょう。


ポスターの方は例によってなんとまぁというか。


ちょっと全然駄目だなぁという感じでした。


オリジナルの方だけ使えば良かったのに。


それでは、また。

 


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デッドプール2 《R指定とかいう問題じゃない映画とポスター》

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映画の点数…80点
ポスターの点数…40点

 

R指定興行収入を塗り替えた一作


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画はデッドプール2です。


本作はR指定にも関わらず大ヒットした映画でして。


R指定における興行収入を更新したとかで、ここまで下品な作品がこれだけ評価されるのですから単に「最近のマーベルはすごいなぁ」とかでは片付けられない魅力に溢れた一作だったのだと思います。


とはいえ、僕はこの作品が「R指定」という言い方にそもそも疑問があって、これだけ映画リテラシーが試される映画もないなと感心します。


それだけ映画愛にあふれた一作なのは間違いないですが、本当に何も考えずに「最近よく見かけるし売れてるみたいだから見てみよ〜」と気軽に鑑賞した人達はどのような反応だったのか気になるところです。

 

 

映画リテラシー次第な一作


映画リテラシーなんて書くとずいぶんと偉そうな感じなのですが、素直に「映画をどれだけ観たことがあるか」が試されるのは間違いない一作です。


メジャーなところではアナ雪、アベンジャーズターミネーターあたりは観ていないと分からないギャグがあります。


中級ではスターウォーズ、DCバットマンあたりからとられているギャグもたくさん。


上級ではフラッシュランドなどの「これは若い人は分からんやろう…」というギャグも盛りだくさんで、僕も恥ずかしながら全然理解できないコメディシーンがたくさん出てきていました。


もちろんそんな知識が無くても十分に楽しめる映画ではあるとはいえ、これだけ多くの観客を相手に一歩も引かずにそれだけのギャグを放り込んでくる姿勢はすごいなと思うし、そこが評価されたのは間違いないでしょう。


レズビアンも出るし人種差別をイジる発言もあるし、本当になんでもありに見える作品。


でも当然ながら観る人を傷つけない配慮はされているし、限りなく下品な作品でありながらも映画全体には清潔感があるから不思議なものです。


次作、ディズニー傘下に入った影響が悪い方に働かないことを願っていますがどうなんでしょうね。

 

ポスターもこの通り


映画の仕上がりがあの通りならば、ポスターの仕上がりも当然こうなります。

 

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元ネタを予想したり探したりするのも楽しいですね。


よくここまでメチャクチャやっておきながらお客が入ったなと感心します。


種類も豊富だしいずれのクオリティも高いですね。


思うに、デザイナーさんは作りながら楽しかっただろうなぁと思います。


デザイナーさんがノって作ってるかどうかはなんとなく分かるつもりなのですが、これらのポスターにはそれを感じます。


デザイナーさんが楽しんで作るポスターが良い広告であるかというと決してそんなこともないのですが、観ていて楽しい気分になることは多いですね。

 

 

日本語版ポスター


一方で日本語版ポスターの方には不満があります。

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うーん。
せっかくデッドプールを上映するのだから、もっと激しく遊んだポスターにすればいいのにと思います。


日本語版ポスターの方はどことなく事務的な感じがするというか、キャタクターをなんとなく並べただけなんですよね。


それでもカッコイイビジュアルならば問題ないのですが、本当に並んでるだけなので緊張感もないですし。。。


もうちょっとどうにかならなかったのかな?

 

せっかくなので


せっかくだったら、日本でもこのデッドプールを素材にして遊んだら良かったのにと思います。


銀魂あたりならコラボレーションの許可も出たんじゃないのかなと思うんですけど。。。


そういう遊びがあってこその映画だと思うんですけどね。


次作ではそういう遊びがあったらいいのになと思います。

 

まとめ


映画全体のパワフルさに対して、どうしても日本ではいまひとつノリきれていないなぁと感じるところがあって。


この手のコメディ映画の楽しみ方が分からないというのはあると思うんですけど、それも2作目ですからね。

 

もうちょっと広告の力でお客さんの数を増やせる部分はあったんじゃないかなぁと思ってしまいます。


それでは、また。

 


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ボーダーライン ソルジャーズデイ 《もうちょっとどうにかならなかったのか?なポスター》

映画の点数…95点
ポスターの点数…35点(日本版ポスター)

 

2018年最高傑作の一つ


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画はボーダーライン ソルジャーズデイです。


個人的なランキングなのですが、2018年に公開された映画の中でトップ3がありまして。


それが【カメラを止めるな!】と【デトロイト】、そしてこの【ボーダーライン2】なんですよね。


好きな理由がそれぞれ違うので「全員一位!!」としか言いようがないのですが、いずれの作品も本当に大好き。


そんな今作だからこそ「うーん、もっとお客さん入ってもいいのに…」とか「ポスターどうにかならなかったの?」って思っちゃうんですよね。


映画の感想と共にそのあたりを掘り下げてみたいと思います。

 

映画の構造


今作は2015年に公開されたボーダーラインという映画の2作目という位置づけではあります。


なのですが、観た方なら分かる通ほとんど別の映画と言ってもいいくらい映画全体の作りが違っていて。


共通してるのは「メキシコとアメリカ国境が舞台」「メインキャストの二人が続投」「映画の雰囲気(画面の質感や音楽)はそのまま」と言うくらいでしょうか。


別に今作から映画を観たとしてもほとんど混乱することなく観ることが出来るでしょう。


そもそもこの映画は1作目も2作目も「今何が起こっているのか全然分からない」という混乱を楽しむ映画なので、予備知識なんてあまり意味ないですしね。


1作目と違う点としては「ベネチオ・デル・トロが完全に主役になった」点が大きいと思います。


前作は主人公が3人いるくらいのバランスだったのですが、本作はとにかくベネチオ・デル・トロ。


世界で彼しか持っていないであろう「完全に死んでる人の目」をたっぷりと楽しむ映画です。


そして前作では「俺たちはメキシコ麻薬戦争のプロだから、誰よりも事情に詳しいんだ」という姿勢だった主人公達が、今作では「そうは言ってもやはり現場のカオスぶりに翻弄されてバタバタする」という目線から描いています。


というわけでこの映画は「アメリカもメキシコも関係なく、とにかく混乱した世界の中で人々がバタバタする。その混乱に自ら巻き込まれたベネチオ・デル・トロの視点から世界を観る話」と言えると思います。

 

映画の感想


とにかく傑作だと思っているので逆にあまり詳しく書くことはしませんが、僕はこの映画の「始まってから終わるまで一瞬も途切れない緊張感」と「一度たりともこのあとの展開が読めないストーリー」にゾクゾクしました。


普通の映画だと、緊張感が途切れないと疲れてきちゃうし、展開が読めなさすぎると退屈しちゃうんですけどね。


そんなこと全くなく楽しめました。


脚本も美術も役者陣も音楽も、とにかく全てが一級品なので観ていて本当に飽きないんですよね。


あえて言うなら「過去最高のベネチオ・デル・トロが出てくるからとにかく観ろ!」の一言です。

 

ポスターの感想


上記のように、とにかく傑作だと思っている今作。


だからこそポスターに対する不満が結構強いんですよね。


こちら日本語版ポスター

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はい。悪くはないと思います。


でも、良くもないと思います。


というのも、何が言いたいポスターなのか非常に分かりづらいんですよ。


画面の要素の中に「メキシコらしさ」や「敵か味方かも分からない混乱」のようなものが見えてこなくて。


単純に「二人の兵隊が勇敢にも敵に向かっていく」といった感じにしか見えなくて。


せっかくいい映画なのに、これじゃ「なんか銃とかでバンバン撃ったりするジャンル映画でしょ?そういうの好きじゃないんだよね。」みたいなお客さんを逃しちゃうと思うんですよね。


それじゃもったいないじゃないですか。


ただし、キャッチコピーは的確でいいと思います。


「ルール無き戦いに終わりはあるのか」の短い一言でこの映画全体のテーマを表していますよね。

 

本国ポスター


では本国版ポスターはどうなっているのか。

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カッコイイ!

 


こちらのポスターも残念ながら、何が言いたいポスターなのかは分かりません。


ですが、彩度を極端に抑えてザラついた雰囲気を押し出した「乾いたバイオレンス」な空気感がしびれます。


このポスターの方が確実に「こいつら、絶対修羅場を踏みまくってるプロだろう」という迫力を感じます。


何故このポスターを日本語版で採用しなかったのか分かりません。


こちらの方がお客は入ったと思うのですが。。。

 

前作のポスター


おそらくですが、前作のポスターに雰囲気を多少合わせたのでしょう。

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前作はエミリー・ブラントを中心に画面を二つに割ることによって「ボーダー」感を出していたいいポスターだと思うのですが、今作までそれに合わせることも無かったように思います。


ちなみに前作の本国版ポスターはこちらです。

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やはり本国版ポスターの方がビジュアルはカッコイイのですが、主人公のエミリーが何も分からず右往左往する話であるということを伝える意味では日本語版ポスターの方にチューニングを合わせたのは理解できます。


この、前作に引っ張られた結果としてすごく中途半端なポスターになってしまったのではないでしょうか。

 

別案のポスター


ちなみに。別案としてこんなポスターもありました。

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めちゃくちゃカッコイイ!!!!


個人的にはこのポスターが完璧です。


メキシカンスカルを大胆に配置してかなりグラフィカルなポスターになっています。


正直実際にこのポスターを採用したらお客さんの数は減ったとは思います。


あまりにもジャンル映画の匂いが強いですからね。


ただし、前作を知っているファンであるならば興奮間違いなしの快作ポスターではないでしょうか。


「お客さんを集客する」目的としては良いポスターとは言いませんが、「映画を的確に表現する」という点においては完璧な一枚だと思います。


素晴らしい。

 

まとめ


いい映画ほどポスターに恵まれていないと悔しい気持ちになってしまいます。


もしも「銃撃バカ映画なんでしょ?」と敬遠されている方がいらっしゃいましたら迷うこと無く是非観てみてください。


超絶オススメですよ。


それでは、また。

 


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トイ・ストーリー4(公開前予想) 《過去最高にノスタルジックな作品に??》

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映画の予想…75点はいって欲しい…
ポスターの印象…辛めの50点

 

トイ・ストーリーについて


こんにちは、ピースマイルです。


このブログはいい年した中年のおじさんが書いているわけですが、今回取り上げる映画は今週に公開が迫っている《トイ・ストーリー4》です。


ちなみに本国アメリカなどでは公開はスタートしているので調べようと思えば既に評価は出ているのですが、個人的には映画を観る前に評価は観たくないので調べておりません。


おじさんが書いているブログとはいえ、トイ・ストーリーに関してはちょっと他の人には負けないくらい思い入れがあるわけです。


なにせトイ・ストーリー1作目が公開された時の年齢が10歳。

 

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初めて観た時の衝撃は忘れることが出来ないんですよね。


僕のような年齢の人達は、6歳くらいでターミネーター2を観てひっくり返り、10歳くらいでジュラシックパークトイストーリーを観て卒倒したくらいの年齢です。


恥ずかしながら僕自身、ジュラシックパークが公開された時には「ついに恐竜が復活したんだ!」と本気で思ったんですよ。


CGとか分からないし。


トイ・ストーリーが公開された時も、ものすごく丁寧におもちゃをコマ撮りした作品だと思ったくらいです。


背景にいたっては実写だと思ってました。


当時の小さい子どもだった自分にとって、トイ・ストーリーは一生忘れることが出来ない映画体験だったんですよね。


とにかく、それくらいトイ・ストーリーが大事な映画だと言うことです。

 

トイ・ストーリー4に対する不安


あえて今更ながら今までのシリーズに点数をつけるとしたら、トイ・ストーリー1作目が95点、トイ・ストーリー2が40点、トイ・ストーリー3が90点です。


トイ・ストーリー2の評価が極端に低い理由は省きますが、これは「トイ・ストーリー1作目が異常に好きだから」であって別に嫌いな映画というわけでもありません。

 

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未だに子どもとトイ・ストーリーを見なおしては、特に3のエンディングは毎回号泣してしまうという。


子どもが出来るとむしろ涙が止まらないものですね。


だからこそ、トイ・ストーリー4の公開が発表された時には正直「え!?イヤなんだけど!」と思いました。


せっかく完璧に近い形で幕を下ろしたトイ・ストーリーだったのに、何を今更やる必要があるのか理解できません。


トイ・ストーリー3は、まさかのアンディが大人になっている(トイ・ストーリーを愛した観客達と一緒に歳をとっている)という禁じ手を使ったからこその傑作だったはずです。


トイ・ストーリー3のあとに幾つかのスピンオフがあったとはいえ、あくまでスピンオフだから許せたのですが。。。


とにかく今恐れているのは「駄作だったらどうしよう」という恐怖です。


ピクサーだから大丈夫!」と言い切れないのは、カーズやニモを観る限りピクサーはそこまで続編に成功例が多くないからですね。

 

続編に対する希望


文句ばかり言っていても仕方ありません。


公開はもう決まっているのですから。


それに、この映画は僕のようなおじさんではなくあくまでも子ども達に贈られるものです(そうあってほしい)。


であるならば、どのような展開にするべきでしょうか。

イデア1. 良くも悪くも軽めのトーンにする


方向性としてはスピンオフのような軽さを持った展開にすることです。


あまりにも巨大な価値を持ちすぎたトイ・ストーリーシリーズを、一旦フラットな目線まで落としてしまって今後の5、6と続く続編を作りやすくするという展開です。


続編が続けられることに対しては疑問というか、正直反対ではあるんですけど、とにかく今作は平均点を真剣に狙いにいくような作品にするのはアリだとは思います。

イデア2. さらなるホームランを狙う


トイ・ストーリー3という傑作から逃げることなく、前作を越えるホームランをかっ飛ばすという方向ですね。


かなり難しいと言わざるを得ないのですが、もしもピクサー側が「とんでもない脚本が出来てしまった!」からこそ映画化したのだとしたら、もしかしたらもあるかも知れません。

イデア3. 全く別の価値観の提示


今までのトイ・ストーリーは「好きな人(アンディ)に遊んでもらうことが何よりも幸せ」という視点から描かれてきました。


トイ・ストーリー2では「博物館に展示されて永遠の生を得る」という価値観も提示されましたが、ウッディ達はそれを拒否しています。


もしもトイ・ストーリー4で何かしら新しい生き方の価値観が提示されたとしたら、もしかしたら傑作になる可能性もあるでしょうか。

 

ポスターから読むトイ・ストーリー4の展開


では公開されている映画ポスターからトイ・ストーリー4の展開を予想してみます。


さらに予告CMもいくつか出ているのでそれも踏まえての予想をしてみましょう。


まずこちらのポスター。

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ウッディとバズが、こちらに背を向けて移動遊園地を見下ろしています。


背景はなんと「夕暮れ」。


今までのトイ・ストーリーでは考えられないほどムーディーな一枚になっています。


二人がこちらに背を向けているのは、「何か違う未来を見つめている」ということの暗示でしょうか。


今までウッディとバズが観客に印象的に背を向けたシーンといえば…そうです、アンディとのお別れのシーンでかなり似た構図の二人を観ることが出来ます。


思い出すだけで泣きそうになる名シーンですが、そのシーンと同じ構図をポスターに持ってきたのは無関係ではないのではないでしょうか。


さらにキャッチコピーは「あなたは【トイ・ストーリー=おもちゃ達の生き方】を知らない」ともとれます。


ポスター下部には「この結末は想像を超える」とあります。


明らかに「今までと同じところには着地しないからね」という宣言でしょう。

 

ポスター2

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こちらのポスターでは、お馴染みの「スタメン達」に加えてメインの新キャラとなる「フォーキー」と、トイ・ストーリー2以来まさかの復活「ボー・ピープ」がいます。


キャラクター達の表情は過去作に比べると少し挑戦的な表情。


ボー・ピープのスタイルなどから観ると、少し格闘アクションシーンなどが入るのかも知れませんね。


ただし背景はやはり夕暮れの移動遊園地で、全体的なトーンは暗めです。

 

これらのポスターやCMから見えてくる作品の予想としては
「今までの作品よりも大人向けな作品であり、ウッディ達が新しい人生に進み出す話」といったところでしょうか。


先ほどの僕の意見である「あくまでトイストーリーは、子どもに向けて作るべきである」という希望とは違う着地になる気がします。


いや、それは別にいいんです。
映画が面白いことが第一ですから。


とはいえ、既にトイ・ストーリー3においてウッディ達は新しい人生を発見しています。
この先、どのような生き方が提示されるのでしょうか。


ヒントは恐らく、移動遊園地。


日本には馴染みのない文化なので日本人観客には少し不利な舞台となりますが、「世界を旅しながら、各地の子ども達を幸せにしていく施設」を持ち出したということが意味するのは……


ウッディ達が最終的に世界を旅するという展開になったりするのでしょうか?


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フォーキーというキャスティング


もう一つ大事な要素は、フォーキーという新キャラの存在です。


今までいなかったのが不思議なくらいですが、フォーキーはボニーが手作りで生み出したオモチャです。


そういうオモチャが今作で出てくる意味とはなんでしょうか。


CMの中でウッディがフォーキーに向かって「ボニーを幸せに出来るのは君なんだ」と訴えかけています。


今までのウッディなら「俺こそが一番アンディを幸せにできる」、もしくは「みんなでアンディを見守る」というスタンスだったはずです。


やはりウッディの中で何かしら心情の変化があったのでしょうか。

 

まとめ


泣いても笑っても始まってしまうトイストーリー最新作。


観たくない観たくないと言いながらもどうせ観ることになるのですから、とにかく今の希望としては「頼む!そこそこでもかまわないから面白い作品であってくれ!!」です。


かつてディズニーにはライオンキング2と、スターウォーズ8という絶望的な続編を作られた苦い記憶があるのですが、どうかトイストーリーだけはそのようなことにならないよう期待するばかりです。


それでは、また。


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全員死刑 《パワフルな映画とポスター》

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映画の点数…72点
ポスターの点数…90点

 

大牟田4人殺害事件


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画は全員死刑


2004年に実際に起こった【大牟田4人殺害事件】を題材にした映画です。


実際にあった事件を取り上げる際には被害者や加害者の心情に配慮する必要があるのは当然ですが、今回はあくまでも「映画で描かれていること」をベースにお話します。


まぁ少し調べてみるとこの事件、加害者側も全員クレイジーだし、被害者側もクリーンではないタイプの金貸し業だったみたいでなかなかのカオスだなぁと。


ちなみに僕は昔、大牟田の不良に絡まれてボコボコにされた事があります。


その場で現行犯逮捕になった犯人の顔を思い出すと、この映画に出てくる主人公の兄に結構似てるんですよね笑


そんなことはどうでもいいんですが、別に大牟田が悪い街というわけではないですよ。
(いい街とも言えませんが。。。)

 

映画の感想


とてもパワフルな映画でした。


パワフルという表現が一番的確かと思ったのでそう言いますが、画面で写っていることは紛れもなく暴力であり殺人であり爽快感のかけらもないものです。


ただその中にも必ず「人間としての愚かさ、ゆえの可笑しさ」があって。


その可笑しさがちゃんとパッケージされてるなぁという印象です。


僕は絶対に友達にはなりたくない人種ばかりが映画に登場するのですが、とにかく全ての人が生命力にみなぎっていて。


それだけは素直に「完全に悪い意味だけど、パワフルな人達だなぁ」と感心します。


僕自身はこの手の筋金入りの悪人達との交流は当然無いんですけど、普通の会話すらもままならない人種というのは確実に存在するというのは知っています。


そういう「次の展開が全く読めない」人達が主人公なので、映画も本当に何が起こるか分からなくて。


だからこそスリリングだし興味をひかれる場面がたくさんありました。


俳優陣は特にこの映画において重要な役割を担っていたのではないでしょうか。


褒め言葉ですけど、本当に全員頭が悪くみえました笑


繰り返しますけどいい意味で、ですよ。それくらいうまかったですよね。

 

スコセッシのような映画


観ていて一番連想した映画はマーティン・スコセッシの映画のような感触でした。


スコセッシの映画に出てくる人物も「何に怒っているのか、なんで急に怒鳴りだしたのか分からない」ようなキャラクターがよく登場します。


初期の傑作のタクシードライバーなんかもそうですが、主人公がかっこいいのは分かるし、とても魅力的ではある。


でも何を考えているのか全然分からないし友達には絶対なりたくない、みたいな人達。
それを2017年現在の地方都市のアウトサイダー達に置き換えるとこうなるのかな、と思います。


まぁスコセッシの映画自体に似ているとは思わないんですけど、独特の魅力をもつ登場人物達という意味では共通しています。

 

不満点


不満点というか、映画の構造上仕方ない部分もあるのですがとにかく登場人物達がとる行動がメチャクチャすぎて。


人を殺害する時には何も躊躇はしないのに、隠す段階になって変に心配したり。


と思ったら次の日には普通にカラオケに行ったり生まれてくる子供の心配したり。


そういう人物達を楽しむという映画なので仕方ないんですけど、普通に映画として観てしまうと「メチャクチャすぎて退屈」にも思えてしまうのかなと。


とはいえ100分程度の短い映画なので、飽きてしまう前には駆け抜けて映画は終わるので大した弱点ではないとは思いますが。

 

ポスターの感想


この映画はとにかくポスターがいいなと思います。

 

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デザイナーは高橋ヨシキさんのようですが、またいい仕事をしてますよね。


ライティングと背景のラインを活かすことで映画の疾走感と妖しさを見事にパッケージしてます。


「お前ら全員〜」の文字に隠れる形で被害者の目が隠れてしまっていますが、これはわざとなんでしょうか。


だとしたらそれもいい感じに働いているかと思います。


映画の終盤あたりから、主人公は被害者の目の幻影を観るようになるのですがそれを暗示させます。

 

別案

 

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こちらの別案もいい感じです。


昔の実録ヤクザ映画のようなザラついたお洒落さを感じます。


コメディっぽさもあるんですけど、内容が内容なのでやっぱり怖さもあるし。


この《全員死刑》に関しては、映画ポスターのパワフルなビジュアルに惹かれて観に行った人もかなりいるんじゃないでしょうか。


そのくらい今作はポスターが強烈で素晴らしかったです。

 

まとめ


映画とポスターの理想的な関係性の見本のような一本だと思います。


「映画の良さを引き出し、正しくパッケージし、観客を映画館に引き寄せる」という当たり前の役割。


それが非常に難しいからこそ面白いものではあるのですが。


同じデザイナーとしてちょっと悔しさすら感じる一本でした。


まいりました。


それでは、また。


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LOGAN 《映画・ポスター、共にシリーズ最高傑作》

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映画の点数…88点
ポスターの点数…95点

 

ウルヴァリンの最後編集https://blog.hatena.ne.jp/peasemile/peasemile.hatenablog.com/edit?entry=17680117127213222414


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画はX-MENシリーズ成功の第一人者、ヒュー・ジャックマンが演じてきたウルヴァリンの最終章《ローガン》です。


今後もいつかX-MENシリーズは映画化されるでしょうし、ウルヴァリンも誰かが演じるでしょう。


ただそれでも、2000年から続くこのX-MENシリーズを象徴するのは間違いなくヒュー・ジャックマンであり、彼こそがウルヴァリン、彼こそがX-MENと言い切って良いと思います。


広く知られていることなのでハッキリ言いますが、この作品をもってヒュー・ジャックマンはウルヴァリンから引退。


ウルヴァリンがどのような結末を迎えるかは書きませんが、映画の最後には一つの決着がつきます。


シリーズを追いかけてきた人にとっては絶対に見逃せない作品であると共に、今後のアメコミ映画全体に突きつけてくる大きなメッセージも込められた一作です。

 

シリーズ最高傑作


先に結論から言ってしまうと、過去の8作品ほどを含めて間違いなく最高傑作ではないでしょうか。


個人の好みのレベルで言うと人それぞれ好きな作品があると思いますので、そこはもちろん否定しませんが。


シリーズ最高傑作と言える理由には

 

  • 1.映画全体のクオリティ
  • 2.R15指定の正解
  • 3.アメコミ映画への先進的回答


の3点が挙げられると思います。

 

1.映画全体のクオリティ


まず何より、単純にお話自体が面白いです。


話の構造を「身体の衰えが見えてきた主人公が、ボケた老人と話の通じない娘を連れてメキシコからカナダまで車で逃げる」というシンプルな話にしているのでとても観やすいんですね。


監督は前作のウルヴァリン:SAMURAIのジェームス・マンゴールドさんなんですが、とても同じ人の監督作と思えないです。


前作は「今、誰が、何のために何をしているのか」がサッパリ分からなかったのですが、今作はそれがとても整理されているので混乱する人はいないでしょう。


昔ながらのロードムービーのようにじっくり描くシーンでは時間をたっぷりとったり、一方で格闘シーンになると一気に加速して(無駄なスローモーションなどは使わない)メリハリが非常にきいてきます。

 

2.R15指定の正解


今作は今までのX-MENと違い年齢制限が設けられており、これは完全に大正解。


当然子ども達が観ることは出来ないのですが、それはこの作品のメッセージとして合っているので全く問題ないでしょう。


具体的に何が変わったかは一目瞭然で、ウルヴァリンが攻撃する度に腕が吹っ飛び、首が転がり、血が飛び散ります。


それは11歳のローラも全く同様で、11歳の少女が首を切り落とし顔面を串刺しにし、獣のように人を殺戮しまくります。


そこから感じるのは「ひゃっほー!やっちまえー!!」という爽快感では全くなくて「いや、やりすぎだよ。もう観たくないよ」と引いてしまうような慈悲の無い暴力性なんですね。


それこそがこの映画の狙いで、今まで観てきたX-MENシリーズ=子どもも観ることの出来るヒーロー映画は全て表面的な話であって、「人を殺すとか、大事な人が死ぬってのはこういうことなんだよ」というのを逃げずに描いています。

 

3.アメコミ映画への先進的回答


残酷な描写を描きたいからR15指定なのではなくて、むしろその逆。


本当はこんなことがあってはいけないのだと改めて観客に訴えかけるためにR15なのだと思います。


今現在15歳以下で、アベンジャーズX-MENを観てニコニコ楽しんでいる少年少女こそ、15歳になったらこの作品に触れて「ああ、自分たちが観てきた映画にはこういう側面があったのか」と気付くことになると思うんです。


僕はアベンジャーズは大好きですが、そのアベンジャーズでもこの「ローガン」には絶対に適わない点がその「死」の描き方なんですよね。


キャプテン・アメリカが敵の首を切り落としたり、ブラックウィドウが身体を引き裂かれて殺害されるシーンは無いわけですから。


今後の全てのアメコミ映画は、描かれているその先に必ず「本当はローガンで描かれているような世界がある」という前提で認識されるわけですよね。


《ローガン》はその点において間違いなく最も先進的なアメコミ映画となったと思います。

 

ポスターの評価


今作はポスターも素晴らしいですね。


日本でも良く見かけたメインビジュアル。

 


いやー、かっこいい!!

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そもそもR15指定映画であり、少なくとも一回くらいはウルヴァリンが出てくる作品を観たことがある人に限定したポスターになっています。


だからこそ出来る振り切り方ですね。


いつも「日本版のポスターはだから駄目なんだよ」と文句を言ってしまいますが、これなら大満足です。


まずタイトルは「LOGAN」のままにしたのが偉いですよね。


今までウルヴァリンシリーズは、日本用にタイトルを変更してきたんですが、今回はそれがありませんでした(ウルヴァリン: X-MEN ZERO→元々、X-Men Origins: Wolverine)(ウルヴァリン: SAMURAI→元々、the Wolverine) 。


これをダサくするなら「ウルヴァリン ラストミッション」とか変なタイトルつけかねないじゃないですか。


そんなことしなかったのは良かったです。


ビジュアルも、日本にしてはかなり大胆だと思います。


ポスター内にヒュー・ジャックマンの名前もなく、顔もはっきり写っていません。


かろうじて爪があるからウルヴァリンだと分かるだけで、余計な演出を加えませんでした。


そもそもなんと画面内にX-MENという文字すらないんですよね。


それら余計な要素をギリギリまで抑えることによって、ウルヴァリンが少女と二人で何かを目指している(あるいは逃げている)」という切実さが画面全体から伝わってきます。


映画全体がシンプルな構造であるように、ポスターもまたシンプルなメッセージに集約したわけですね。


夕日に浮かび上がるシルエットだけで、彼のこれまでの物語の苦々しさが浮かび上がってきます。

 

キャッチコピー


キャッチコピーである「少女と刻んだ、最後の爪跡。」というのもシンプルながら良いですね。


当然爪跡というのはウルヴァリンのキャラクターにかかっているわけですが、「爪跡を刻む→爪跡を残す」という言葉には映画を見終わってからジンとくるものがあります。


ウルヴァリンは確かに未来への爪跡を残したのですから。


このキャッチコピーをあえてダサくするなら、「ウルヴァリンが命をかけて守ると誓った、一人の少女との愛と感動の物語ー」みたいな感じでしょうか。


こんなのじゃなくて本当に良かったです。。。

 

まとめ


一作限定でしか作れないかなり限定的な映画であることは間違いありません。


だからこそ出来たシリーズ最高傑作なのだと思います。


かつての僕も含めた「X-MENシリーズはあんまりなぁ。。」という人ほど、是非とももう一度注目してもらいたい一作でした。


映画もポスターも大満足!


それでは、また。


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SING 《ポスターワークはライバルよりも上か?》

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映画の点数…76点
ポスターの点数…75点

 

イルミネーション映画について


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げた映画は《SING》です。


子ども(2歳)がこの映画を観ながらダンスをしているのを観ると「なるほど、動物がノリのいい曲を歌うと子どもは嬉しいよな」と改めて思った次第。


大人の目線から観ると、近年の「ピクサーシリーズが破壊してしまったアニメ界の常識」の中で、唯一と言えるくらい食らいついている会社がイルミネーションスタジオなのかなと思っています。


もちろんミニオンズというキャラクターの大当たりは大きいのですが、それ以外でも「いや、確かに彼らは頑張っている!」と感心するというか。


他のアニメーションスタジオがよりマニアックでニッチな層を狙いにいっているのに対し、あくまでもイルミネーションは「王道で戦う」という姿勢を感じますね。


正直なところ、ディズニー・ピクサーのクオリティには現在のところ全く追いついていないとは感じますが、それでもこういうライバルがいるのはディズニー・ピクサーにとってもいいことだと思うんですよ。

 

映画の感想


一言で言えば「荒っぽいところもあるけど、けっこう好き」という感じです。


まず悪い箇所としては、主人公がけっこうな駄目な奴ってところでしょうか。


映画全体を通して「父親に甘やかされる→いい加減な経営で劇場を潰す→虚偽の報酬を持ちかけてパフォーマーを雇おうとする→劇場を文字通り崩壊させる→バイトを始めるも初日で放棄→劇場に不法侵入してコンサートを開催→金持ちに再び劇場を建ててもらう」といった感じで、これを見たキッズ達に悪影響なのではないか心配するほど。


また全体的にキャラクターの掘り下げが甘く、みんな様々な理由で「自分が思ったように歌を歌えない」という悩みを抱えているのですが、そのいずれも「いや、別に他にやりようがあるだろ」と思うくらいの悩みというか。


キャラクターの数が多めなので仕方ないとは思いますが、せっかく惜しいところまでいってるのになぁという感じです。


あと、よくよく考えてみると「これ、動物でやる必要があったのか??」という疑問もあって。


キリンは背が高いからマイクが高いとか、ハリネズミが興奮するとハリが飛んでいくとかギャグシーンでは機能するんですけど、「ゾウというキャラクターを活かしたゾウならではの歌」とかそういうのはあんまりなくて。


「すごく歌は優しいのに、ライオンだからみんなから恐れられている」とか「真似をするのはとても上手なオウムだけど、オリジナルで歌うのが苦手」とか、なんか方法はありそうなんですけどね。

 

良かった点


良かった点は、もうシンプルです。


歌がいいです。


こんなこと言うと「既存の曲を使ってるんだから当たり前だろ!」って感じですけどそうじゃなくって。


そもそもこの映画で一番好きなのは映画オリジナル曲の「Set it Free」をスカーレット・ヨハンソンが歌うシーンですしね。


この映画ではちゃんと「この歌を感動的に聴かせるならどのような演出にすべきか」をしっかり考えているのが偉いです。


例えば先ほど挙げた「Set it Free」はロックンロールなので、ロックに合わせたカメラワークをしてるんですよね。


おそらくミュージックビデオやコンサート映像をかなり研究されたのだと思います。


「今顔面のアップが欲しい!」「ここで客席の表情が欲しい!」というところでバッチバチに合わせてくるのでグングン気持ちがあがっていきます。


さらに(当たり前といえば当たり前ですが)曲に合わせてストーリーも同時に進行させるので退屈しないよう工夫もされています。


映画のタイトルが「SING」である以上、僕はこの映画は歌唱シーンがうまくいっていれば大成功なんじゃないかなと思います。

 

ポスターの感想


先ほど「ディズニー・ピクサーの方がアニメは上」と言いましたが、ポスターに関してはもしかしたらイルミネーション作品の方が上かも知れません。


まず本国版の2枚なのですが、

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かなり品の良いポスターではないでしょうか。


動物キャラという素材を持っておきながら、その使い方が抑えめでクールです。


だからこそ逆に「どんな映画なんだろう」と興味を持つくらいのバランスにしています。


色使いも絶妙で「ライブ会場独特の暗さと煌びやかさ」を感じさせます。


動物がたくさん出ることでは少し先輩の「ズートピア」のポスターはこんな感じ。

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こっちの方が間違いなく「子どもウケ」はいいと思いますが、大人な印象はないですね。


目的が違うので仕上がりが違うのは当然ですが、SINGのポスターのセンスがいいのは変わりありません。

 

一方の日本語版ポスター


ところがこれが日本語版ポスターになると残念な感じになっていて。。。。

 

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本当に謎なんですけど、なんでブタ推しなの???


映画を観た方なら分かる通り、主要キャラの中で一番「中身のないキャラ」なのがこのブタです。


映画全体を通してコメディ演出を一手に引き受ける魅力的なブタではあるんですけど。


まさかこのブタの表情が面白いってだけなのかな。。


これじゃ「ちょっとどうかしてる主人公のブタを、温かい目で見守る友達の物語」って感じがしませんかね?


それに、アメリカ版にあった品の良さは全く無くなりました。


ギリギリまでキャラを大きくしすぎた結果、逆に見にくくなったと思います。


うーん。
なんでこんな感じになったんだろう。

 

もう一つのポスター


逆にこっちはかなりいいですね。

 

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適度に抑制されていて、「ライブ前の記念撮影」のような雰囲気が出ています。


あえてステージを写さないことで「あくまでもステージではなくキャラクター達の内面の話がメインですよ」と言っているようです。
(前述しましたが、その内面の描写はうまくいってないと思うんですが)

 

まとめ


イルミネーション作品は好んで観るタイプではないのですが、今作に関しては広くオススメできる一本でした。


さらにポスターワークに関しても、ライバルのディズニーとガチンコで渡り合えるセンスが光っています。

 


ミニオンズ推しもこのくらいにしといて、早く新作で戦ってほしいですね。


それでは、また。

 


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X-MEN FUTURE AND PAST / アポカリプス

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映画の点数…フューチャー&パスト 77点
      アポカリプス 45点
ポスターの点数…それぞれ映画と同じ点数

 

ブライアン・シンガーの復活


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画は【X-MEN FUTURE AND PAST / アポカリプス】の二本です。


X-MEN映画版(2000年)第一作の監督だったブライアン・シンガーが10年ぶりに監督としてカムバックした2作品(脚本などでは他の作品にも関わってたみたいですけどね)


もうさっさと結論から言ってしまうと「フューチャー&パストは良かった!なのにアポカリプスは駄目だった・・・・」という感想です。


その映画の良かった点と悪かった点がそれぞれのポスターに不思議と反映されているのが興味深いです。


映画の感想と共にポスターの方にも注目してみてください。

フューチャー&パストの感想

 

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ブライアン・シンガー監督に対して個人的に抱いている評価としては「盛り上げるのはうまいとは思うけど、クオリティが雑なのでノリきれない」みたいな感じでして。


それはボヘミアン・ラプソディも結構同じ感想ですね。


「いや、いいんだけどさぁ。。。」みたいな感想になっちゃいがちというか。


ですが2014年のフューチャー&パストでは、そういう弱点をカバーしつつX-MENらしい=ブライアン・シンガーらしい作品にまとめあげたと思っています。


こんな言い方失礼ですが、素直に面白かったです。

 

面白かった点


フューチャー&パストが成功した点は「話の論点を明確にした」ということだと思っています。


フューチャー&パストで描かれている論点は「プロフェッサーX(過去)の成長」と「ミスティークの成長」の二点が主だと言えると思います。


その二点をウルヴァリンの視点で描いている感じですね。


さらにそこに「ウルヴァリンがプロフェッサーに恩返しする」とか「ミスティークとプロフェッサーX、マグニートーという家族の関係性を描く」とか「旧キャストを再登場させる」とかで肉付けしています。


未来と過去をいったり来たりする話のわりには混乱することもなく直線的に観ることが出来たのも監督の手腕でしょう。


監督の手腕と言えば、今となっては少しダサいとも言えるX-MEN初期のCGオープニングイメージなども照れずに使っているのも良かったですね。


「そうそう!これがX-MENだよ!」という感じがします。

 

悪かった点


もちろん悪い点というか、いくつか疑問な点もあって。


「クイックシルバーは登場の必要なかったよね」とか「マグニートー、なんのために脱獄させたの?」とか。


でもこういう雑なあたりもX-MENらしいなぁと笑って流せるくらいには良い点が多かったんですよね。


ただし、何が一番悪いって


僕たちがこうやってブライアン・シンガーを甘やかしたこと


なのかも知れませんね。。。


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アポカリプスの感想

 

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前作から2年という短いスパンで制作されたアポカリプス。


フューチャー&パストを観た方なら誰しも「え・・・一旦物語は終わっちゃったけど、何を映画にするの?」と思ったのではないでしょうか。


そしてその不安は的中することになります。

 

良かった点


マグニートーが家族を失うシーンは本当に良かった。


いや、良くないんだけどさ、短いシーンでありながらもちゃんと感情移入できるように描かれていたし「よしマグニートー、もういいよ!人類なんて滅亡させてしまえ!!」と思えるくらいには同情しました。


それと、プロフェッサーXが主体となって精神世界で敵と戦うってのは今まで無かったのでそれは良かったですね。


あとは。。。


ああ、ミスティーク役のジェニファー・ローレンスの色気に脂がのりきった状態というか、とにかく彼女が画面に出る度にフェロモンが噴火してて幸せでしたな。


とまぁ、既に「映画のいいところ」ではない所を褒めていますが、だって褒めるところが無い。。。。いや、僕がきっと気付かないだけですね、はいはい。

 

悪かった点


先ほどのフューチャー&パストの逆ですね。


とにかく「何が言いたいのか分からない」ことだと思います。


話の主軸だけで「復活したアポカリプス」「家族を失ったマグニートー」「サイクロップスの誕生」「ジーンの覚醒」「ミスティークの活躍」「プロフェッサーXとアポカリプスの戦い」「ストライカーの暗躍」「クイックシルバーとマグニートーの内緒の親子関係」「なんの為に必要なのかさっぱり分からないアポカリプス4銃士」などなど。


詰め込みすぎた要素を手際悪くさばいた結果、もう何が何だか分からないうちに終了。


とにかく アポカリプス側がアホすぎるというか、「え?どうせ人類絶滅させるんだからプロフェッサーXの能力奪う必要ないんじゃないの?」と思っていたら、案の定それが原因で敗北。


お前何しに来たんだよ。


X-MEN史上最強の敵のはずなんだけど、それが全然魅力的に描けていない。


相変わらず「シリーズが盛り上がってきたところで台無しにする」という悪いクセが直っていませんでした。


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ポスターの感想


これがまたポスターもうまいこと映画に連動しているから面白いものです。

 

フューチャー&パストのポスター

 

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画面のウルヴァリンとミスティークを一番大きく目立たせることで「今回のキーパーソンはこの二人ですよ」ということを強調しています。


そのミスティークとウルヴァリンで画面を左右に分割し、この二人の行動が過去と未来の運命を変えるということを背景の色を使って表現しています。


ハルベリーやイアン・マッケランなど豪華俳優も出ているにも関わらず、それらは控えめに表現しているのも好感が持てますね。


主役は彼らではないですから。


さらに、ミスティークがジェニファー・ローレンスの状態ではなく青いミュータントバージョンなのもいいですね。


今最も美しいジェニファーをポスターにしても良さそうなところを「これはX-MENだから」と宣言しているようです。

 

一方のアポカリプスポスター

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うーん。論点が分かりづらいですね。。


映画が何を言いたかったのか分からない内容だったのがポスターにも反映されています。


主要キャラを一通り並べてみて、背景に敵をドーンと置くという工夫の無さ。。。


そういうポスター、1000回くらい観たことあるよ。


でもまぁあまりデザイナーさんやディレクターを責める気にはなれません。


だって実際にそうビジュアルにするしかやりようがないと思うんですよね。


そりゃ左右対称にしてバランスよく整理しているのでうまくまとまってはいますよ。


でもなぁ。。。

 

 

まとめ


なんと言いましょうか、今回の2作品はとにかく「これぞブライアン・シンガー!!」という感じでしたね。


いいところと悪いところをバランスよく配分するのではなく、「面白いX-MEN」と「面白くないX-MEN」の真っ二つに分けるという誰も思いつかなかった発想。


いいじゃん、そういうの。
俺、好きだよ。


こういう「こいつは駄目なところもあるけど、でも根はいい奴なんだよ」というどら息子感。


これこそがX-MENの魅力だよなと思った次第です。


それでは、また。

 

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We Love Television? 《そちらではないのでは?!究極の二択ポスター》

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映画の点数…87点
ポスターの点数…70点(もしくは90点)

 

萩本欽一さんについて


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画は萩本欽一さんのドキュメンタリー形式の映画、《We Love Television? 》です。


映画の公開から遡ること6年前の2011年を中心に「萩本欽一さん、もう一度視聴率30%番組を作りませんか?」と声をかけるところから、スタッフを集め台本を作り、そして放送までを追った映画。


正直に申し上げると、僕は萩本欽一さんに何も思い入れがありません


世代的にダウンタウンとウッチャンナンチャンからナインティナインあたりが青春の真ん中くらいにくる年齢ですので、萩本欽一さんは既に「過去の人」だったわけです。


好きとか嫌いという話ではなくて、一度も興味を持ったことがないというか。


この映画も評価が高かったから観ただけで、自ら手を伸ばすタイプの映画ではありませんでした。


ここまでが個人的なスタンスの話です。

 

映画の感想


映画を観るまでも、正直不安でした。


たとえドキュメンタリーとして面白いとしても、それはドキュメンタリーが面白いだけですよね。


だったらそんなの「仕事の流儀」とか「情熱大陸」で観たらいいわけですよ。


その手の映画だったらちょっとどうなんだろうと思っていて。


で、観た結果・・・・・・


映画として抜群に面白かったー!!


ナメててすいませんでした。


一度萩本さん個人の話は置いておいて、あくまで映画の出来の話を。


この映画、本当に容赦なくむき出しのまま映画化しているという印象で。


まず、主人公である萩本欽一さんがすでに70歳のご高齢なわけです。


メイクとかライティングとかせずに普通に手持ちカメラで写すと、本当に「おじいちゃんが大画面で写っている」という状態になるわけです。


これが、正直に言ってけっこう、キツい。


こちらは真剣に映画を観ているわけですから、本当に画面内のおじいちゃんと一対一なんですよ。


そのくらい本当に人間をむき出しにしてしている。逃げていない。


場面を演出するための音楽なども使っていません。


とにかく主人公・萩本欽一の顔面と言葉を観させる。


それだけだと演出としては優れていたとしても、映画としては退屈だったと思うんですけど、この映画にはちゃんと「物語」があるから面白いと感じたんですよね。


ドキュメンタリーでありながら、本当にそれが映画的な物語になってしまうという奇跡というか。

 

映画の構造


映画のアウトラインをなぞってみると、
「かつて誰もが驚くような伝説を残した英雄。そんな英雄も年をとり今では人々から忘れかけられていた。しかし、まだ俺はこんなところで終わる男ではないと立ち上がった英雄が、再び自分の戦場へと還っていく。」という話なんですよね。


まさに映画の王道ストーリーなんですよ。


最近で言うとバードマンであったり、部分的にはロッキーなども同じ系統の映画です。


そして、ある意味ネタバレになってしまうのですが、
「その英雄の再挑戦は、無残なまでに敗北して終わる」というところまでキッチリと映画化されているんです。


こんなもん。。。。。泣くでしょう。


しかも映画であって映画じゃない、実話なんですから。


主人公・萩本欽一は、映画の中で本当に無残に敗北するんですよ。


その敗北のシーンもかなりドライな演出になっていて好感が持てます。


無駄に音楽を重ねたりして叙情的にしていません。


テレビのドキュメンタリーだったら、ここから関係者に各自インタビューをとったり、ナレーションで「しかし、彼の挑戦は決して無駄ではなかった」なんてつけそうなものです。


この映画ではそうではなくて、寂しそうに、そして苛立たしげに「こんなんじゃ死にきれないよ。次はきっとやれる」という言葉を残して画面から去って行きます。


なんて・・・・・・なんて映画的なんでしょうか。


無様でみっともない場面であろうと、そのまま映画の中にパッケージしています。


そんなの目撃してしまった僕らは「かっこ良すぎる・・・」と思うに決まってるじゃないですか。


最後の最後、萩本欽一さんがまた次の挑戦を始めたところで映画は終わります。


観たものは間違いなくドキュメンタリーなんですけど、映画として本当に素晴らしいと思いました。

 

ポスターについて


で、大絶賛の映画なんですけど、ポスターについてはちょっと考えさせられるところがあって。


まずこちらがメインに使われていたポスターです。

 

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確かにこのポスターはかっこいいです。


セーターで猫背で笑顔でもない萩本欽一さんという時点でドキッとします。


「あ、こんな顔テレビで観たこと無い」とすぐに気付きますよね。


さらにタバコを吸っているあたりが、正直「過去の時代の人」という空気感を演出していて(このあたりは狙いと違うかも知れませんが)


タイトルの「We Love Television? 」を真っ黄色で斜めに降ってあるのも、写真とのギャップがあってとても良いです。


タイトルの方向と目線の先が一致していて、自然と「何を見つめているんだろう」というのが気になります。


「欽ちゃんではなく、萩本欽一」を映画化しているということがとても分かるポスターです。

 

別のビジュアルについて


で、先ほどのポスターではなく、同時に公開されたビジュアルにこういうものがあって。

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これがかなりいいデザインだと思ってるんですけど、どうですかね?


僕はこっちのデザインの方が、より映画的な深みが増すと思うんですよ。


確かにこっちのポスターは「萩本欽一ではなく欽ちゃん」の方をビジュアル化してあるのでドキュメンタリー感は無くなります。


でも良く見ると、萩本欽一さんが明らかに老けているという点、そしてキレの無いジャンプを観るだけでも「あ、こんなこと言いたくないが、欽ちゃんは老いたのだな」と伝わってくるじゃないですか。


ましてや背景のグレーの色ですよ。


これ、はっきり言って遺影ですよね。


萩本欽一が映画の中でも「死にきれないよ」という言葉を使っていますが、映画がそもそも死の匂いがかなりする映画なわけですから。

 

こんなに陽気なポーズであるのにも関わらず、どこか切なく死を連想させる。


このビジュアルを観た後で映画を観てしまうと、さらにグッとくるんですよね。


先ほどのデザインのポスターが公式になるのは十分に理解できるのですが、個人的にはこっちのジャンプビジュアルの方が良かったのではないかと思ってしまいます。

 

まとめ


この映画やポスターを、他の映画と同列に語るのはちょっと違うとは思いますが、とにかくまずは面白かったです。


ドキュメンタリー形式の映画って、「金儲けしたいだけだろ?」と思うような不出来な内容のものも多いのです、今作に関しては本当に映画としても大満足でした。


前述の通り僕は萩本欽一さんに対して強い思い入れはないものの、この映画のインパクトってかなり長いこと残ると思うんですよね。


自分が怠けていたりサボっているときには「お前はちゃんと頑張ってんのかい?」と問いかけられるような映画になりそうです。


それでは、また。


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ボラット 《適度に気の利いたデザインポスター》

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映画の点数…77点
ポスターの点数…80点

 

一定のリテラシーを求められる一作


今回取り上げる映画は《ボラット》です。


正式なタイトルは「ボラット 栄光ナル国家カザフスタンのためのアメリカ文化学習」と非常に長いタイトル。


観たことの無い方に少し映画の内容を説明すると、
カザフスタン人のふりをしたイギリス人俳優がアメリカに渡り「カザフスタンの国営テレビの取材です」という体で撮影を行うという、いわばドッキリカメラ。


バカな外国人のふりをしながら相手を油断させ、相手の心に潜む差別心や偏見をあぶり出すのが狙いです。

 

例えば「ワタシの国ではゲイは許されないんですよ!」と言うと、ついついアメリカ人も「そうだよな、俺もそう思うよ」と言ってしまうという。


映画内では一度も「これはドッキリカメラなんです」というような説明などはないため、観ている側の知識やリテラシーによって映画の面白さも変わってくると思います。


例えばアメリカの南側に行けば行くほど保守派の人が多く「銃社会に肯定的であり、まだまだ性的マイノリティへの理解は低い」くらいの知識はあった方が楽しめると思います。

 

文化的知識の共有


2008年日本公開のこの映画を観ようと思ったのには理由があって、現在日本では(事実上)外国人労働者を受け入れて職をあたえる取り組みを行っています。


ご存じの通り、そのシステムを悪利用した日本企業も多くまるで奴隷のように労働者を扱っているような会社もあります。


そんなゴミクズ会社は今すぐ全部潰れてもらうのが良いとしても、これから移民のような形で他国の文化がドッと日本にやってくる日は近いでしょう。


そんな時に僕たちがとるような態度は、例えばこのボラットの中に出てくるようなアメリカ人そのものなんじゃないかなぁとも思うわけです。


それは無意識のうちの差別であったり、無関心であったり、知ったかぶりであったり。


映画ボラットは全てがコメディでありながら、一度裏返したらそのままそれが文化的な衝突になることを浮き彫りにします。


正直ちょっと難しい映画ではあるんですけど、観る価値は絶対にある映画です。

 

ポスターの感想


まず海外版のポスターはこちらです。

 

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まさにドキュメンタリー的なフリをしているポスターですね。


このポスターを観ただけで映画の内容を推測するのは難しいのではないでしょうか。


多くの人は「外国人がアメリカにやってきて、文化的な意見の違いから生まれる可笑しさを描いた映画かな」と思うのではないでしょうか。


実態はもっとえげつのない作品なわけですが。


狙いとしては、あくまでもさりげない演出にすることで映画を観る観客すらも騙そうとしているのだと思います。


まぁ撮影中にすでにいくつか事件を起こして話題になった作品でもあったので、観客が入るという自信はあったのでしょう。


どこまでもふざけきった作品だし、ポスターですらそれを反映しています。
素晴らしい。

 

 

日本語版ポスター


日本語版ポスターはどうでしょうか。


アメリカと同じように表現するのにはかなり無理があります。


なにせアメリカに対する知識自体が日本人各人によってバラバラで、ましてやカザフスタンの知識なんてほぼゼロでしょう。


そこで考えられたポスターがこちらです。

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なるほど、うまいですね。


顔を少し大きくしたり背景を真っ赤にしたり吹き出しをつけたりして、この映画がコメディであるということをまず観客に伝えています。


映画タイトルがわざわざカタカナで「栄光ナル〜」とすることで「インチキ外国人らしさ」を出しているのもうまいですね。


多くはマンガで見られる「ワタシ、アメリカに行キタイアルヨ」みたいな外国人に対する少し侮蔑的な表現です。


最近はあまりこの表現を見かけなくなりましたが、今回あえて使用しているのはこの映画が「インチキ外国人のフリをしている」という前提があるので差別的なニュアンスが含まれないからでしょう。

 

キャッチコピー


キャッチコピーが今回かなりいいですね。


「バカには理解不能なバカです。」というかなり攻めたキャッチコピー。


「もしも面白さが分からないなら、それはお前がバカだからだよ?」と言っているわけです。


これにカチンとくる人がいたとしても、その人は多分映画の内容を理解できないだろうからあんまり関係ないのかなぁという気もしますし。


たまにはこういう攻めたキャッチコピーもいいですね。


日本人観客向けにちゃんとアップデートされたいいポスターだと思います。

 

まとめ


映画もポスターも、ある程度の知識があった方が楽しめるというジャンルはあります。


脳みそが溶けていても楽しい映画もそれはそれで大好きですが、たまにはこういう映画で自分の知識と常識を刺激してみてもいいんじゃないでしょうか。


それでは、また。


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ウルヴァリン 1+2 《もはや伝統芸。期待させといて鮮やかに裏切る》

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映画の点数…ウルヴァリン X-MEN ZERO 60点
ウルヴァリン SAMURAI 30点
ポスターの点数…合わせて20点

 

ウルヴァリンシリーズについて


X-MENの最新作《ダークフェニックス》が絶賛??公開中ということで、今回取り上げる映画はこちら。


X-MENのスピンオフシリーズとも言えるウルヴァリンシリーズ。


といいつつも、そのウルヴァリンシリーズの中ですらパート1とパート2で矛盾が普通にあるなど、特に綿密に作る気はないらしく。


それぞれ独立した映画と言っても良さそうです。
(といいつつ、平気で以前に出てきたキャラとか出すんだよなぁ。。)


個人的なキブンとしては、X-MENはパート1、パート2までグッと盛り上げておいてパート3で見事に台無しにしたと思っていて。


なのでウルヴァリンも特に期待はしてなかったわけです。


ですがなんということでしょう。


ある意味で完全に僕の期待通りな方向にブン回した映画でしたよ。


今回はパート3の「ローガン」は入れずに、パート1と2のみのお話です。

パート3に関しては別でやりたかったので。

 

ウルヴァリン X-MEN ZEROについて

 

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映画冒頭、ローガンが大人になるまでを手際よく見せていくのですが。。。。これがかなり良い!


今までのX-MENシリーズとは一線を画すスピード感とルックス。


こりゃ普通に映画として楽しそうだと期待した15分。


はい、そこから先は基本的に駄目でした。


本当に同じ人が映画を撮っているのか疑うほどに映画のテンションが失速。


体感時間で言うと、映画の1時間30分は「何かを探す」シーンの繰り返しです。


ウルヴァリンを探す→ビクターを探す→ファットなボクサーを探す→ポーカーが強い人を探す→ストライカーを探す・・・・・などなど。


とにかく「Aを探すためにBを探す」いみたいなミッションの繰り返しで「これって自分探しの旅かなんかだったっけ?」と考えてしまうのですが、まぁ確かに自分探しではあるのでセーフ、いやアウト。


最終的には「恋人は見つけたけど、記憶無くなっちゃっておしまい」というオチに。
僕はどんな感情を画面にぶつければ良いのか。


終わってみれば驚くほど何も記憶に残らない映画でした。


とはいえ、今までのX-MENシリーズにおける「ヒーロー映画にしてはアクションがなんかしょぼい」という弱点はこの作品で見事にクリアできたかなと思っていて。


少なくともキャラクターが暴れ始めたら退屈はしないんですよね。


それだけで十分娯楽としては楽しめました。


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ウルヴァリン SAMURAIについて

 

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SAMURAI公開までに、 「ファーストジェネレーション」というシリーズ最高傑作を生み出したX-MEN。


これは完全に期待出来るかと思いきや。。。


台無し。


X-MENの本当に悪いクセなのですが、「お。いい感じになってきたぞ!」と思ったらそれを必ず台無しにしちゃうんですよね。


どうなってるんですか責任者の方。


今作に関しては完全にネタ映画化しちゃってて。


珍映画として楽しむのであれば70点くらいはですが(それでも70点だけど)、普通に映画として評価するなら30点くらいかと。


配点は、ウルヴァリンの筋肉15点、ヒロインのTAOさんが綺麗でドキドキしたので14点。


あとは色々と合わせて1点です。


もう、「日本の描写がおかしいじゃないか!!」ということにはツッコミません。


それを言い出すと0点になってしまいます。


そうじゃなくても単純にストーリーがめっちゃくちゃです。


誰が何を考えて行動しているのか全然分からない。


みんな行き当たりばったりに行動を始め、命を狙ったり狙われたり、逃げたり追っかけたり。


最終的に「ふはははは!実はすべて私の作戦だったのじゃぁ!」みたいな展開っぽくしてあるのですが「だったらもっと手際よく出来ただろうが!バカ!」としか思えなくて。


言い方は悪いけど、お前がグダグダしている間に可愛い孫娘がミュータントと恋に落ちてセックスまでしてるからね。


そこまで計画通りだったのなら何も言わんよ。


とまぁ、言いたいことは山ほどあるけど、よく考えたら別にそこまで文句言うほど期待もしていなかったのでオールオッケー、クールにいこう。


ウルヴァリン:SAMURAI【Blu-ray】 [ ヒュー・ジャックマン ]

 

ポスターの感想


以上のように、実に不幸な運命をたどるウルヴァリンシリーズ。


ポスターに関しても全く同様です。

 

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ストーリーがペラペラなのは制作側も自覚しているということなのでしょうか。


とにかく「ウルヴァリンの筋肉推し」という作戦に出ました。

 

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うーーん。。。


それは違うんじゃないですかね。。。?

 

筋肉推しは分が悪い


筋肉推しとするならば、映画内ではヒュージャックマンがCG無しのアクションでガンガンに魅せる内容でないと駄目でしょう。


少なくともX-MENはそういう映画ではありません。


ヒュージャックマンが悪いのではなく、映画を撮る側の問題です。


筋肉を活かした撮り方じゃないし、ヒュージャックマンが勿体ないですよ。


例えばトムクルーズのような自らの肉体をバキバキに使ったアクションを映画に取り入れているというのであれば全然いいんですけどね。

 

筋肉は既に溢れかえった世界


次に、すでにこの映画の公開の段階で2013年だということ。


映画シリーズがスタートした2000年ならまだしも、2013年です。


観客はすでにアベンジャーズやDCヒーローズの存在を知ってしまってるんですよ。


いくらウルヴァリンがヒーロー達のパイセンとはいえさすがに分が悪いです。


キャプテンアメリカを中心に「うほっ!いい男!」達はすでにたくさんいる世界なのです(何言ってるんだろう)


その世界で今更筋肉勝負ポスターでは勝ち目がないでしょう。


ヒーローが乱立した2000年代、残念ながらポスターのセンスはX-MENは進化し損なってしまいました。


figure complex AMAZING YAMAGUCHI Wolverine ウルヴァリン 約155mm ABS&PVC製 塗装済みアクションフィギュア リボルテック

 

まとめ


ファーストジェネレーションという傑作を生み出しながらも、どうにも調子を上げていけないウルヴァリン、もといX-MENシリーズ。


そんな安定感のなさこそが今では愛おしいのですが、今後どのような運命を辿るのか、ポスターはどうなっていくのか。


また別記事でアップしたいと思います。


それでは、また。

 

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カーズ2 《映画もポスターもテーマが絞りきれず失敗》

映画の点数…45点
ポスターの点数…35点

 

トイストーリーの公開も迫る


こんにちは、ピースマイルです。


いよいよトイストーリー4の公開が迫ってきました。


トイストーリーシリーズは自分にとってあまりにもスペシャルな一本すぎて、新作を観るのが正直怖いです。


つまらなかったらどうしよう。。。


今回とりあげる映画はカーズ2です。


カーズもまさに「あ・・・続編無い方が良かったんじゃないかな。。。。?」と思える一作というか。


ファンの人ごめんなさい。


我が家でも、子どもがいるので改めてカーズを観てみたのですが、うーん、やっぱり良い作品とは言いがたい。。。


ピクサー映画が公開されたら鑑賞はマストなわけですが、時々「これはどうなんでしょう」という映画があるのも当たり前と言えば当たり前。


とにかく感想いってみよう。

 

映画の感想


アニメーションとしての水準は異常に高いし、それだけで点数をつけるなら当然100点。


文句なし。


ただ、ストーリーに関しての不満がかなり大きいです。


序盤から展開される007風味なタッチは、単体の作品として見るなら大好物でした。
でも「カーズ」として観た場合どうにも食い合わせが悪いというか。


今作はいつものようにレースで活躍するマックイーンと、その裏で活躍(もとい失敗)するメーターの話が平行して語られるのですが、それが特に効果的に機能しているように見えなくて。


だったらいっそのことマックイーンの登場シーンを大幅に減らして、メーターの成長物語を追求した方がテーマが深まったと思うんですよ。


「メーターじゃお客が入らないよ」というのであれば、企画そのものが間違ってると思うし。

 

レモン(不良品)について


今作のメインテーマである「レモン(不良品)達に価値はあるのか?」という問いに対して、驚くほど何も回答せずに映画を終わらせたのは明らかに脚本の見直しが必要だったと思います。


冷静に考えてみると、ピクサーシリーズは実は「レモン達」に対してちゃんと救いを与えていないような気がします。


トイストーリーのレックス、ファインディング・ニモのドリー、インクレディブルのヴィランなど。


レモン達は場面を明るくするためだけに機能していて、特に成長したりはしないんですよね。


唯一、WALL-Eだけはレモンの中での希望かも知れません。


「ワールドグランプリやりたいよね」「スパイものやりたいよね」「ポンコツ車についても扱いたいよね」「エコロジー問題についての言及もしないとね」とか、とにかく要素を詰め込みまくった結果、どれもうまいこといってない気がします。


ピクサーが日本を描いてくれたのは単純に嬉しいし思わずニヤリとするネタもあるのですが、「いくらピクサーといえども、看板の適当さ加減は他の映画と一緒だなぁ」とかは正直ガッカリです。

 

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ベイマックスくらい振り切ってくれると好意的に観られるのですが。


トイストーリーを除けば唯一3作品、スピンオフも合わせればおそらく最多クラスの作品数を誇るカーズシリーズ。


正直、興行収入的には他の作品よりもはるかに悪いにも関わらず何故か新作を作り続けるのには、ジョン・ラセターを中心としたカーズへの並々ならぬ愛情があるのだと思います。


いつかそれが形となって(傑作となって)観ることが出来る日がきたらいいなと思います。

 

ポスターの点数


ポスターがまたすごく中途半端な出来になってるんですよね。

 

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ワールドグランプリなどで表現された「近未来チック」なデザインをベースにしてあるようですが、それにしても中途半端。


だったらもっと「あっと驚くような」ビジュアルにすべきだったと思うし、ピクサーならそれが出来る実力はあるはずです。


そこが中途半端になったのは、おそらく他のテーマとの兼ね合いのバランスが取れなかったからではないでしょうか。


カーズ2の舞台は、東京やイベント会場を中心とした「未来パート」とイタリアやロンドンを中心とした「古き良き街のパート」、そして007タッチの「渋くてダークトーンなパート」が交互に展開します。


映画自体もそのパートの組み合わせがうまくいってなかったと思うのですが、それをポスターとして表現する際に全然出来てないというか。


だからこそ、どこかに思い切り振り切った表現をするべきだったと思うんですよね。

 

登場キャラクターの違和感


ポスター内の登場人物(車)のパワーバランスもおかしいです。


今回の主役は間違いなくメーターなのですが、マックイーンや過去の登場キャラにも気をつかった結果おかしなバランスになっています。


特に左の二人はまったく必要ないでしょう。


だったら悪役達をポスターに入れる方が良かったし、それより何よりもっとメーターが目立つようなデザインにすべきでした。


繰り返しになりますが、「メーターなんか大きくポスターにのせても子ども達は喜ばないよ」と言うのであればやはり企画自体を変えるべきですね。

 

キャッチコピー

 

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キャッチコピーの「友情が世界を救う」っていうのも。。。。


そんな映画でしたっけ。。?


むしろマックイーンなんて何の役にもたってないでしょう。
(陰謀自体知らないんだから当然ですが)


そんな安っぽい少年ジャンプみたいなコピーつけるなら


「メーターがスパイ?!」とか「舞台は世界!」みたいな感じので良かったんじゃないでしょうか。

 

まとめ


裏事情としては、制作期間が大幅に短くなったという不利な条件のある映画だったようです。


とはいえ、すでにトイストーリー3という信じがたい傑作を既に鑑賞したあとにこのカーズ2の出来では満足度は低いでしょう。


僕も含めて、おそらく世界中の人が「ピクサーなら、毎回とんでもない作品出してくる」という期待が高すぎるのでしょう。


なのでトイストーリー4も、少し期待値を落として。。。。いやでも無理だよなぁ。


やっぱりトイストーリーは面白くあってほしいものです。


(最終的にトイストーリーの話になってしまった)


それでは、また。


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X-MEN 初期三部作 《映画もポスターもデザイン模索中》

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映画の点数…1→65点 2→75点 3→25点

ポスターの点数…40点

 

誰がどう言おうがここから始まった


こんにちは、ピースマイルです。


現在公開中の「X-MEN ダークフェニックス」のおさらいの意味で、初期三部作のX-MENを改めてとりあげようと思います。


ここで言う初期三部作とは、2000年の第一作から2006年の3作目まで作られたヒュージャックマンのX-MENのことを指します。


また、タイトルについてはそれぞれX-MEN 1、2、3で通します。


えーっと、先に言ってしまうと、僕自身は特にアメコミファンでもありませんし、X-MENはどっちかというとプレステとかのゲームのイメージが強かったりして映画自体にさほど愛着はありません。


とはいえ「別にどうでもいい映画」と言い切ることは絶対に出来なくて、このX-MEN三部作が存在していなければサム・ライミのスパイダーマンやノーランのバッドマン、そしてMCUシリーズが成功したとは思えないんですよ。


そのくらい「良くも悪くも」歴史を作った作品だと思いますし、映画のそれぞれの好みは別としても19年に渡って愛されてきた映画シリーズなんて滅多にないわけですからね。


リスペクトはかなりしているつもりです。


それを前提にお話いたします。

 

映画の感想


そもそも3作品の感想を一気にまとめてしまうのはどうかと思いますが、逆に個別でそこまで語ることもないとも・・・・・・いやいや、まぁまぁ。


大雑把な感想を言うと、「1作目で探り探り映画を作りあげ、2作目でジャンプアップして、3作目で全部台無しにしちゃった」というイメージです。


この3作目さえある程度うまくいっていたら、もっとX-MEN自体の評価も高かったと思うのですが。。。


アベンジャーズ・エンドゲームがちょっとおかしいくらいに評価が高いのも、終わりよければすべて良しみたいなものだと思うんですよね。


実際ウルトロンとか結構ひどかったと思うし。

 

X-MENは見事にその逆というか、今まで積み上げてきたものを全部ひっくり返して終了させちゃった感が強いなぁと。


それはもったいないですよね。


プロフェッサーXとマグニートーの長い長い物語をウルヴァリンの視点から眺めた三部作だったわけですが、それぞれのキャラクターをとにかく「絶対にこうではないだろう」という決着をさせていくという不思議。


シワシワになって消えるサイクロップス、突然画面から姿を消したミスティーク、見せ場も無く散るプロフェッサー、気を抜いてあっさり戦闘不能になるマグニートー、いっそのこと出てくる必要のなかった新キャラ達。


すべてが集まり、そして無様に散っていった3作目。


これさえうまくいっていたらなー。


監督が途中で投げちゃったのが悪いと思いますが。

 

X-MENの功績


そういう映画としては残念な側面もあるのですが、それはさておきX-MENには偉大な偉大な功績があります。


それは「ヒュージャックマン演じるウルヴァリンを生み出した」ということだと思います。


「それ単にヒュージャックマンがすごいだけでは?」ということではなくて、当時無名だった俳優に爪をつけてウガウガ言わせて、それでも「かっこいい」と思わせたのは最も大きな勝利ですよ。


つまり「主人公さえカッコ良く描くことが出来れば、映画として一定の評価はされる。それが出来なければただのコスプレ同好会になる」ということだと思います。


現に、X-MEN 1と2では実在感のあったキャラクター達が、監督の変わった3作目から急にコスプレにしか見えなくなっちゃったと思うんです。


荒唐無稽なコミックキャラクターをカッコイイと思わせるには、監督の確かな手腕が必須というわけです。


現にX-MEN以降の全てのアメコミ原作映画は、とにかく主人公をカッコよく見せることにおいてはかなり神経を使っているように感じます。


アメコミ映画の成功必須条件が、主人公を魅力的に描くということなのでしょう。

 

 

ポスターの評価


えー、残念ながら、ポスターはうまくいっていないように思います笑

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なんて言うのでしょう。


とにかく「安っぽい」の一言なんですよね。。


映画の作りは「子どもっぽいと思われすぎないように工夫しよう」としてレザーのつなぎを着たり気の利いたジョークを言ったりしてるんですよ。


なのに急にポスターが安っぽい少年向けなイメージになってしまっています。


これじゃ勿体ないですね。


せめてもうちょっと大人が惹かれるデザインだったらと思います。


ただしこれも仕方ないというか、そうやって手探りでデザインを追求していたのだと思うんですよ。


それが最終的には「ローガン」のような文句なしのポスターになるのですから。

 

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まとめ


映画もポスターも、とにかく手探りで追求していた6年間だったのだと思います。


「子どもっぽくなりすぎないように」「難解にならないように」「エンタメとして成立するように」、、、


色々なチャレンジを映画からもポスターからも感じ取ることができます。


ローマは一日にしてならず、ですね。


それでは、また。


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GET OUT 《映画もポスターも切れ味抜群!》

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映画の点数…87点
ポスターの点数…93点

 

制作費5億円でもオスカーは獲れる


今回取り上げる映画は《GET OUT》


監督・脚本を務めたのは、アメリカのお笑いコンビ“キー&ピール”のジョーダン・ピールさんです。


制作費は5億円程度と言われていますが、映画としては初監督の作品で見事アカデミー賞・脚本賞を受賞しています。


あのスリー・ビルボードを差し置いての受賞ですから素晴らしい。


コメディアンの初監督作品であり、制作費も5億円


それでも世界中で大大ヒットしたという(日本ではあまり客足が伸びなかったそうですがね)


そもそも映画が終わるまで一度も「予算が足りなかったのかな」と思う箇所は無かったです。


そんなGET OUTは映画としてもポスターデザインとしても切れ味抜群の映画でしたよ。

 

映画のアウトライン


映画評論家の町山智浩さんは本作を「コメディです」と言っていましたが、構造や精神はコメディだとしてもパッと見としてはホラーでありスリラーであると思います。


大雑把なストーリーとしては


カメラマンの黒人青年が、白人の恋人の家にご挨拶に行く。


差別主義者ではないと自称する家族ではあるが、家族の振る舞いや友人達の振る舞いから主人公は不快感を覚える。


それとは別に、薄気味悪い態度のお手伝いさんや母親の態度を受けついに恋人と一緒に家から帰ろうとするのだがー。


ってお話です。


ホラーでありスリラーである以上、作品には必ずオチがあります。


そして、オチを明かしてしまうと急に作品のスピード感が無くなってしまうのがこの手のジャンル映画の弱点です。


ところが《GET OUT》 においてはそれがない。


とにかく映画が始まってから終わるまで一度も退屈しませんでした。

 

映画の良かった点


脚本の素晴らしさや社会風刺の切れ味は言うまでもなく素晴らしかったです。


その他に良かったと感じたのは、映画全体のルックスです。


近年のホラー映画で言うと「ドント・ブリーズ」や「イット・フォローズ」などもそうですが、ホラー映画だとか思わないほどに映画全体のルックスがいいんですよね。


一言で言うととても観やすいし、洒落ている


ホラー映画となると素人考えで画面を暗くしたりおどろおどろしくした方が良い気がしてしまうのですが、そうではなくてあくまでも観やすく綺麗に撮る。


でも実はカメラの傾き方や登場人物の目線ひとつで恐怖を感じさせる演出を細かくしているということです。


感覚だけで撮影するのでなく、かなり計算された撮り方をしてあることが分かって感心しました。


オチが分かっているにも関わらず、何度も観たくなるディティールの細かさがあります。

 

ポスターの感想


映画に負けず劣らず、ポスターの出来も素晴らしいです。
まずよく見かけたメインビジュアルから。

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とにかくビジュアルが大きなインパクトを持つポスターです。


主人公が椅子に固定されて激しく顔を歪めているとおり、画面が白と黒に二分割されているというシンプルなレイアウト。


シンプルだからこそ力強いメッセージを感じます。


それぞれ分析してみます。

 

大きなミスリードにもなっているビジュアル


まずこのポスター、ある意味で大きなネタバレをしています。


主人公が作品の中盤(といってもかなり後半)に椅子に拘束されてしまうのですが、それをポスターでバラしちゃってます。


映画を観る側は「はいはい、主人公がいつか拘束されるのね」と思いながら観ることになります。


映画を見続けていると、うっすらと浮かび上がってくる黒人差別を感じ取り「ああ、彼が黒人だから虐待されるようなストーリーになるのか」と思い始めます。


ポスターのビジュアルを知っているからこそ、そう自然に感じてしまうのです。


うまいですねー。


何がうまいって、そう思わせておきながら実は全く別の理由で拘束されるわけですから。


つまりこのポスターは、観客にネタバレしたと思わせつつ、実はそれこそが観客を見事に騙しているという仕掛けになっています。


誰ですか、このポスター考えた人。


かなりのファインプレーじゃないですかね。


完全にやられました。

 

キャッチコピー


キャッチコピーには「just because you're invited , does'nt mean you're welcome(招待されたからと言って、歓迎されるとは限りません)」とあります。


映画を見終わった後なら分かりますが、このキャッチコピーもミスリードになっています。


観た方なら分かる通り、主人公は最初から最後まで「歓迎」されていますからね。


このように、ポスター1枚の中に多くのだましの要素があるわけですね。


憎いですな。

 

画面の分割


画面を分割している白と黒が意味するものは何でしょうか。


映画を見終わった後なら「意識だけ残っている自分」と「肉体の自分」が切り離された状態ということの暗示だというのが分かりますね。


ですが他にも「黒人と白人」と切り分けられてるという見方も出来ます。


さらに「GET OUT=出て行け!」を分割して「GET=手に入れる」側と「OUT=追い出される」側に分割しているという見方も出来るのですが。。。。。これはさすがに考えすぎですかね??


映画の考察をしようと思うほど、ポスターの中に隠し要素があるのではないかと興味がわいてきます。

 

表情


とまぁ色々言ってきましたが、何よりも主人公のこの表情がとにかく素晴らしいですね。


この顔を観るだけでも「え!何があったんだろう!!?」と映画を観たくなるじゃないですか。


そもそも多くの方はポスターを観た際に基本的にこの表情しか観ていないはずです。


僕が今まで挙げた要素は「潜在意識に訴えるもの」であって、主人公の表情や撮り方が魅力的だからこそ意味があるものです。


そういった意味ではやはり主人公のダニエル・カルーヤさんのこの表情が撮れた時点でポスターとしては勝ってるということでもあります。

 


日本語版ポスター

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うーーん。


残念ながら、僕が今まで挙げてきた良さは大きく目減りしたような気がしますね。


日本語版ポスターの方が明らかに「親切」であるというのは分かっています。


主人公が拘束されている、そして背後の誰かが犯人のようであるということをしっかり伝えています。


キャッチコピーは「何かがおかしい」とあるので、一見普通に見えるこの後ろの人達が何か不可解な行動をとるのだろうということが分かります。


分かるんですけど。。。


いや、親切すぎませんかね???


観ている側だって「よーし、正体をつきとめるぞ!」という気持ちで映画を観ていますし、監督も「さーて、誰が犯人かな?」みたいな撮り方をしているじゃないですか。


映画を観ると自然とそういう気持ちになるようにちゃんと作ってあるのだから、それをポスターの時点で言われると「なんか冷めちゃうなぁ」という気がしてしまうというか。。


後ろにいる人達もなんか中途半端です。


恋人を入れるのであれば、主人公の親友やパーティーの参列者も入れるべきだと思うし、そうじゃないなら恋人は同じ並びに入れない方がいいと思います。


そもそも有名な俳優も出ていないのですから、ここは潔く情報は極限まで少なくする方がむしろ興味を引き立てると思うんですけどね。。。


この映画をわざわざ観ようと思う人に対して適切なポスターとはあまり思いませんでした。

 

さらに別パターン

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わお。


これはすごいポスターですね。


映画を観たあとに観るとゾッとしてしまいます。


こういう遊び心のあるポスターを作るあたりが気がきいてますね。

 

まとめ


今回は「映画も満足、ポスターも大満足」なご機嫌な一作でした。


とても健康的でよろしいと思います。


こんな健康的な気分をホラー映画から感じ取るのも我ながらどうかと思いますが、予算がなくてもアイデアと工夫で良いものは作り得るという励みになりましたよ。


それでは、また。


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