映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

シュガーラッシュ オンライン 《周回遅れな映画とポスター》

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映画の点数…40点
ポスターの点数…40点

 

何故続編を???


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画は2012年に第一作が公開されたシュガーラッシュの6年ぶりの続編《シュガーラッシュ・オンライン》です。


興行収入的には大成功だった前作ですが、個人的には特に良いとは思えなかった作品です。


「ゲームの世界のキャラが実は生きていたら」という設定自体は面白いのですが、そこまで突き抜けた表現はなく最終的にはストリートファーターやパックマンなどの既存のゲームはほとんど登場せず映画用のオリジナルキャラのみが活躍する話にシフトしていきます。


そうなると「え、、ただのアニメ映画じゃん」となってしまい、しかもそのレベルも決して他のディズニー作品に比べて高いとは思えませんでした。


そんな作品の続編となれば「今更何をするんだろう?」と思ったものですが、タイトルが「オンライン」となった時点で「ああそうか、今やゲームはオンラインで楽しむものだし、そっちの世界を巻き込んで映画化するのね」と理解。


それなら楽しそうだと思ったのですが、実際は期待通りにならず。。。。

 

映画の良かった点


CMでも散々使われていた箇所ではあるのですが、自身の生み出したキャラクター達を批評的に描いている点はいずれも楽しかったです。


大好きなスターウォーズガーディアンズオブギャラクシーのキャラクター達が小ネタ的に登場するのですが、その小ネタのレベルがちゃんと面白いというか。


変な悲鳴をあげて転ぶトルーパーや、アイムグルートしか言えないグルートが出ているだけでニヤニヤします。


それより何より、プリンセス達をここまで自らパロディ化してみせたのは大変な勇気だったのではないでしょうか。


プリンセスと言っても誕生から100歳近い白雪姫から10歳に満たないモアナまで登場するのですが、その描き分けも面白かったです。


「男性に助けてもらって幸せにしてもらう」ことを当たり前のように思ってる白雪姫やシンデレラは「時代遅れなイっちゃってる人」として描いていたし、突然歌い出すアリエルには「なんで急にスポットが当たって歌い出すわけ?」と容赦がありません。


お隣のピクサースタジオからやってきたメリダが少し差別的に描かれていたのはちょっとどうかと思いますが、プリンセスを現代の普通の少女として再解釈してみせたのは面白かったです。


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映画の気になった点


ただし残念ながらこの映画、面白かったのは小ネタの部分だけで映画本体は難点の多い作品だったと思います。。。。


まず、ゲームのキャラクター達が登場するのはあくまでネタとして登場するだけで、それが後の伏線などにはほとんどなっていないんですよね。


最初に登場するザンギエフとかパックマンは、ただ「ほら、日本のキャラクターですよ」と目配せとして出てくるだけでそこから何も活躍しません。


今回も活躍するのはあくまで自作のキャラとディズニー作品達のキャラクターのみ。


これだったら同じ年に公開されたレディプレイヤー1の方がはるかにゲームキャラへの愛を感じました。


ディズニーという、生きたキャラクター達を愛すべき会社が作ったとは思えないレベルでしたね。

 

オンラインってそういうこと??


タイトルが邦題でオンライン、現代でインターネットとついています。


ということは、てっきりオンライン上でのゲームが展開されると期待していたら全く違っていて。


ツイッターやアマゾン、YouTubeなどがワサワサと登場してはそれをキャラクター付けしてネタ的に遊ぶというシーンの連続でした。


映画のストーリーも、「シュガーラッシュ(ゲーム)のコントローラーが壊れたからヤフオクで買いに行く」という話がきっかけです。


そしたら当然ゲームキャラだからお金なんて持ってないのでユーチューバーになってお金を稼ぐという手段をとるのですが。。。。


え??ヴェネロペがレースで稼ぐとかじゃないの???


ビルをラルフが破壊して儲けるとかじゃないの???


特にゲームキャラとは関係ない方法でハンドルを取り返そうとするんですよね。


というより、映画全体が最初の10分くらいを除いてゲームとほとんど関係なくなるんですよ。


その他はインターネットの小ネタを挟み込んで小さな笑いを誘うだけで、その間ストーリーはほとんど進まなくなります。


クライマックスの対決シーンですらレースとかしないんですよね。


ビジュアル面について


前作はとろけるチョコレートやベタベタしたキャンディをCGで表現するという圧倒的な技術を見せつけた作品でした。


今作では無限に広がるインターネットの世界を見事にCG化……してるんですけどね。。。。


インターネットの擬人化というか可視化という表現は既に他の映画や漫画で無数に作られていて。


今回のインターネット描写ははっきり言って物足りなかったです。


先ほども挙げたレディプレイヤー1での表現の方がはるかに上だったと思いますし、アニメーション作品でも今から18年前に作られた「デジタルモンスター ぼくらのウォーゲーム」の方が新鮮で面白い表現だと思いますよ。


思うに、「はいはい、あるある!」という小ネタの部分を優先するあまり変に現実味のある表現に落ち着いてしまってると思うんですよね。


別にこちらはあるあるネタを楽しみに来たわけじゃないんだから、ディズニースタジオの考える本気のインターネット描写を観てみたかったです。

 

話のテーマについて


何よりも気になったのが、物語のテーマです。


今作は「ここではないどこかへ」を夢見る少女を、「終わりの無い日常」を愛する父親が送り出すという親離れ子離れがテーマとして描かれています。


確かに普遍的なテーマだとは思うんですけど。。。。


結構、すでに周回遅れなテーマだなと思ってしまいます。


「ここではないどこかへ」を夢見る少女というには既に、ラプンツェルやモアナできっちりと描ききっています。


特にラプンツェルの方はそこからさらに「唯一無二の母親との決別」というところまで踏み込んでいますよね。


アナと雪の女王では、女性が切り開いていく新しい世界という提示もありました。


さらに「終わりの無い日常」を愛する父親が、ついに子どもから離れることを決断するというのはトイ・ストーリー3という大傑作でちゃんと描いているじゃないですか。


今回のシュガーラッシュで描かれていたことって、今となってはもはや時代遅れだよなと思ってしまいます。。。

 

ポスターについて


ポスターも、映画の内容と共に結構使い古された表現というか。。

 

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インターネットの世界に驚いている二人を描いているのですが、正直こちらとしては「わー!すごい世界観だー!」とは全然思えないんですよね。


なんか、なんか見たことあるわ、というレベルで止まっています。


ディズニー作品はポスターはけっこう淡泊な表現が多いのはいつもと同じなのですが、それにしたってワクワクしないビジュアルだなぁとけっこうガッカリです。

 

まとめ


改めて言っておきますが、僕はディズニー作品は大好きですし今年もディズニーランド行ってきたくらいには好きです。


だからこそ期待してしまうものはいつも大きく、今回位の作品では既に満足できない体になってしまいました。


けっこう辛口なことを書いてしまいましたが、普通にぼんやり見る分には楽しい一作だと思いますよ。


それでは、また。


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