映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

カーズ2 《映画もポスターもテーマが絞りきれず失敗》

映画の点数…45点
ポスターの点数…35点

 

トイストーリーの公開も迫る


こんにちは、ピースマイルです。


いよいよトイストーリー4の公開が迫ってきました。


トイストーリーシリーズは自分にとってあまりにもスペシャルな一本すぎて、新作を観るのが正直怖いです。


つまらなかったらどうしよう。。。


今回とりあげる映画はカーズ2です。


カーズもまさに「あ・・・続編無い方が良かったんじゃないかな。。。。?」と思える一作というか。


ファンの人ごめんなさい。


我が家でも、子どもがいるので改めてカーズを観てみたのですが、うーん、やっぱり良い作品とは言いがたい。。。


ピクサー映画が公開されたら鑑賞はマストなわけですが、時々「これはどうなんでしょう」という映画があるのも当たり前と言えば当たり前。


とにかく感想いってみよう。

 

映画の感想


アニメーションとしての水準は異常に高いし、それだけで点数をつけるなら当然100点。


文句なし。


ただ、ストーリーに関しての不満がかなり大きいです。


序盤から展開される007風味なタッチは、単体の作品として見るなら大好物でした。
でも「カーズ」として観た場合どうにも食い合わせが悪いというか。


今作はいつものようにレースで活躍するマックイーンと、その裏で活躍(もとい失敗)するメーターの話が平行して語られるのですが、それが特に効果的に機能しているように見えなくて。


だったらいっそのことマックイーンの登場シーンを大幅に減らして、メーターの成長物語を追求した方がテーマが深まったと思うんですよ。


「メーターじゃお客が入らないよ」というのであれば、企画そのものが間違ってると思うし。

 

レモン(不良品)について


今作のメインテーマである「レモン(不良品)達に価値はあるのか?」という問いに対して、驚くほど何も回答せずに映画を終わらせたのは明らかに脚本の見直しが必要だったと思います。


冷静に考えてみると、ピクサーシリーズは実は「レモン達」に対してちゃんと救いを与えていないような気がします。


トイストーリーのレックス、ファインディング・ニモのドリー、インクレディブルのヴィランなど。


レモン達は場面を明るくするためだけに機能していて、特に成長したりはしないんですよね。


唯一、WALL-Eだけはレモンの中での希望かも知れません。


「ワールドグランプリやりたいよね」「スパイものやりたいよね」「ポンコツ車についても扱いたいよね」「エコロジー問題についての言及もしないとね」とか、とにかく要素を詰め込みまくった結果、どれもうまいこといってない気がします。


ピクサーが日本を描いてくれたのは単純に嬉しいし思わずニヤリとするネタもあるのですが、「いくらピクサーといえども、看板の適当さ加減は他の映画と一緒だなぁ」とかは正直ガッカリです。

 

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ベイマックスくらい振り切ってくれると好意的に観られるのですが。


トイストーリーを除けば唯一3作品、スピンオフも合わせればおそらく最多クラスの作品数を誇るカーズシリーズ。


正直、興行収入的には他の作品よりもはるかに悪いにも関わらず何故か新作を作り続けるのには、ジョン・ラセターを中心としたカーズへの並々ならぬ愛情があるのだと思います。


いつかそれが形となって(傑作となって)観ることが出来る日がきたらいいなと思います。

 

ポスターの点数


ポスターがまたすごく中途半端な出来になってるんですよね。

 

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ワールドグランプリなどで表現された「近未来チック」なデザインをベースにしてあるようですが、それにしても中途半端。


だったらもっと「あっと驚くような」ビジュアルにすべきだったと思うし、ピクサーならそれが出来る実力はあるはずです。


そこが中途半端になったのは、おそらく他のテーマとの兼ね合いのバランスが取れなかったからではないでしょうか。


カーズ2の舞台は、東京やイベント会場を中心とした「未来パート」とイタリアやロンドンを中心とした「古き良き街のパート」、そして007タッチの「渋くてダークトーンなパート」が交互に展開します。


映画自体もそのパートの組み合わせがうまくいってなかったと思うのですが、それをポスターとして表現する際に全然出来てないというか。


だからこそ、どこかに思い切り振り切った表現をするべきだったと思うんですよね。

 

登場キャラクターの違和感


ポスター内の登場人物(車)のパワーバランスもおかしいです。


今回の主役は間違いなくメーターなのですが、マックイーンや過去の登場キャラにも気をつかった結果おかしなバランスになっています。


特に左の二人はまったく必要ないでしょう。


だったら悪役達をポスターに入れる方が良かったし、それより何よりもっとメーターが目立つようなデザインにすべきでした。


繰り返しになりますが、「メーターなんか大きくポスターにのせても子ども達は喜ばないよ」と言うのであればやはり企画自体を変えるべきですね。

 

キャッチコピー

 

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キャッチコピーの「友情が世界を救う」っていうのも。。。。


そんな映画でしたっけ。。?


むしろマックイーンなんて何の役にもたってないでしょう。
(陰謀自体知らないんだから当然ですが)


そんな安っぽい少年ジャンプみたいなコピーつけるなら


「メーターがスパイ?!」とか「舞台は世界!」みたいな感じので良かったんじゃないでしょうか。

 

まとめ


裏事情としては、制作期間が大幅に短くなったという不利な条件のある映画だったようです。


とはいえ、すでにトイストーリー3という信じがたい傑作を既に鑑賞したあとにこのカーズ2の出来では満足度は低いでしょう。


僕も含めて、おそらく世界中の人が「ピクサーなら、毎回とんでもない作品出してくる」という期待が高すぎるのでしょう。


なのでトイストーリー4も、少し期待値を落として。。。。いやでも無理だよなぁ。


やっぱりトイストーリーは面白くあってほしいものです。


(最終的にトイストーリーの話になってしまった)


それでは、また。


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