映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

X-MEN FUTURE AND PAST / アポカリプス

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映画の点数…フューチャー&パスト 77点
      アポカリプス 45点
ポスターの点数…それぞれ映画と同じ点数

 

ブライアン・シンガーの復活


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画は【X-MEN FUTURE AND PAST / アポカリプス】の二本です。


X-MEN映画版(2000年)第一作の監督だったブライアン・シンガーが10年ぶりに監督としてカムバックした2作品(脚本などでは他の作品にも関わってたみたいですけどね)


もうさっさと結論から言ってしまうと「フューチャー&パストは良かった!なのにアポカリプスは駄目だった・・・・」という感想です。


その映画の良かった点と悪かった点がそれぞれのポスターに不思議と反映されているのが興味深いです。


映画の感想と共にポスターの方にも注目してみてください。

フューチャー&パストの感想

 

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ブライアン・シンガー監督に対して個人的に抱いている評価としては「盛り上げるのはうまいとは思うけど、クオリティが雑なのでノリきれない」みたいな感じでして。


それはボヘミアン・ラプソディも結構同じ感想ですね。


「いや、いいんだけどさぁ。。。」みたいな感想になっちゃいがちというか。


ですが2014年のフューチャー&パストでは、そういう弱点をカバーしつつX-MENらしい=ブライアン・シンガーらしい作品にまとめあげたと思っています。


こんな言い方失礼ですが、素直に面白かったです。

 

面白かった点


フューチャー&パストが成功した点は「話の論点を明確にした」ということだと思っています。


フューチャー&パストで描かれている論点は「プロフェッサーX(過去)の成長」と「ミスティークの成長」の二点が主だと言えると思います。


その二点をウルヴァリンの視点で描いている感じですね。


さらにそこに「ウルヴァリンがプロフェッサーに恩返しする」とか「ミスティークとプロフェッサーX、マグニートーという家族の関係性を描く」とか「旧キャストを再登場させる」とかで肉付けしています。


未来と過去をいったり来たりする話のわりには混乱することもなく直線的に観ることが出来たのも監督の手腕でしょう。


監督の手腕と言えば、今となっては少しダサいとも言えるX-MEN初期のCGオープニングイメージなども照れずに使っているのも良かったですね。


「そうそう!これがX-MENだよ!」という感じがします。

 

悪かった点


もちろん悪い点というか、いくつか疑問な点もあって。


「クイックシルバーは登場の必要なかったよね」とか「マグニートー、なんのために脱獄させたの?」とか。


でもこういう雑なあたりもX-MENらしいなぁと笑って流せるくらいには良い点が多かったんですよね。


ただし、何が一番悪いって


僕たちがこうやってブライアン・シンガーを甘やかしたこと


なのかも知れませんね。。。


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アポカリプスの感想

 

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前作から2年という短いスパンで制作されたアポカリプス。


フューチャー&パストを観た方なら誰しも「え・・・一旦物語は終わっちゃったけど、何を映画にするの?」と思ったのではないでしょうか。


そしてその不安は的中することになります。

 

良かった点


マグニートーが家族を失うシーンは本当に良かった。


いや、良くないんだけどさ、短いシーンでありながらもちゃんと感情移入できるように描かれていたし「よしマグニートー、もういいよ!人類なんて滅亡させてしまえ!!」と思えるくらいには同情しました。


それと、プロフェッサーXが主体となって精神世界で敵と戦うってのは今まで無かったのでそれは良かったですね。


あとは。。。


ああ、ミスティーク役のジェニファー・ローレンスの色気に脂がのりきった状態というか、とにかく彼女が画面に出る度にフェロモンが噴火してて幸せでしたな。


とまぁ、既に「映画のいいところ」ではない所を褒めていますが、だって褒めるところが無い。。。。いや、僕がきっと気付かないだけですね、はいはい。

 

悪かった点


先ほどのフューチャー&パストの逆ですね。


とにかく「何が言いたいのか分からない」ことだと思います。


話の主軸だけで「復活したアポカリプス」「家族を失ったマグニートー」「サイクロップスの誕生」「ジーンの覚醒」「ミスティークの活躍」「プロフェッサーXとアポカリプスの戦い」「ストライカーの暗躍」「クイックシルバーとマグニートーの内緒の親子関係」「なんの為に必要なのかさっぱり分からないアポカリプス4銃士」などなど。


詰め込みすぎた要素を手際悪くさばいた結果、もう何が何だか分からないうちに終了。


とにかく アポカリプス側がアホすぎるというか、「え?どうせ人類絶滅させるんだからプロフェッサーXの能力奪う必要ないんじゃないの?」と思っていたら、案の定それが原因で敗北。


お前何しに来たんだよ。


X-MEN史上最強の敵のはずなんだけど、それが全然魅力的に描けていない。


相変わらず「シリーズが盛り上がってきたところで台無しにする」という悪いクセが直っていませんでした。


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ポスターの感想


これがまたポスターもうまいこと映画に連動しているから面白いものです。

 

フューチャー&パストのポスター

 

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画面のウルヴァリンとミスティークを一番大きく目立たせることで「今回のキーパーソンはこの二人ですよ」ということを強調しています。


そのミスティークとウルヴァリンで画面を左右に分割し、この二人の行動が過去と未来の運命を変えるということを背景の色を使って表現しています。


ハルベリーやイアン・マッケランなど豪華俳優も出ているにも関わらず、それらは控えめに表現しているのも好感が持てますね。


主役は彼らではないですから。


さらに、ミスティークがジェニファー・ローレンスの状態ではなく青いミュータントバージョンなのもいいですね。


今最も美しいジェニファーをポスターにしても良さそうなところを「これはX-MENだから」と宣言しているようです。

 

一方のアポカリプスポスター

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うーん。論点が分かりづらいですね。。


映画が何を言いたかったのか分からない内容だったのがポスターにも反映されています。


主要キャラを一通り並べてみて、背景に敵をドーンと置くという工夫の無さ。。。


そういうポスター、1000回くらい観たことあるよ。


でもまぁあまりデザイナーさんやディレクターを責める気にはなれません。


だって実際にそうビジュアルにするしかやりようがないと思うんですよね。


そりゃ左右対称にしてバランスよく整理しているのでうまくまとまってはいますよ。


でもなぁ。。。

 

 

まとめ


なんと言いましょうか、今回の2作品はとにかく「これぞブライアン・シンガー!!」という感じでしたね。


いいところと悪いところをバランスよく配分するのではなく、「面白いX-MEN」と「面白くないX-MEN」の真っ二つに分けるという誰も思いつかなかった発想。


いいじゃん、そういうの。
俺、好きだよ。


こういう「こいつは駄目なところもあるけど、でも根はいい奴なんだよ」というどら息子感。


これこそがX-MENの魅力だよなと思った次第です。


それでは、また。

 

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