映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

ドクタースリープ 《結局はオマージュでしかないのか…??》

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映画の点数…76点
ポスターの点数…70点

 

シャイニング・40年ぶりの続編

 

こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画は《ドクタースリープ》です。


原作はS.キング、前作にあたるシャイニングはキューブリックが映画化してますね。


シャイニングから40年後を舞台に、前作の主人公・ジャックニコルソンの息子を演じたダニーが今作では主人公となっています(役者は全然違う人、ユアン・マクレガーが演じています)。


今年はターミネータースターウォーズ、ロッキー、ミスターガラスなんかも続編が公開されました。


ただしこのドクタースリープは本当に40年まるまる空いての続編なので、そういう意味では一番のサプライズだったかも知れません。


ドクタースリープに関しては「続編」というよりは「シャイニングに対するカウンター」のような作りになっている点も特徴です。

 

映画のストーリー


前作シャイニングで死亡した父親と同じように、自らもアルコール依存に悩まされるようになったダニー。


自分の人生をやり直すべく引っ越した先の街で、アルコール依存のセミナーに通い友人を作り就職もし、順調な生活を過ごしていた。


そんなある日、どこか遠くからシャイニングを使いコンタクトをとってくる人物が現れる。


今までの人生のトラウマから平穏に過ごしたいダニーだったが、人ならざるものとの接近は避けられず……


みたいな感じです。


前作のダニーがあんなオッサンになっていることにまず驚きですが、そりゃあんな経験をしたらその後の人生に影響を及ぼすのは当然といえば当然ですね。


新しいキャラクターも複数登場するのですが、やはり最後は「ダニーがあのホテルでの出来事に決着をつける」という方向に話はすすんでいきます。

 

映画の良かった点


この映画の良かった点は、映画の悪かった点と裏表になっていると思います。


映画の良かった点のほとんどは「前作シャイニングに関連するシーン」なんですよね。


映画の前半こそ新キャラクター達を使ってほとんどオリジナルストーリーを展開するのですが、物語のラスト40分ほどになるといよいよあのホテルが舞台になります。


ホテルに近づきシャイニングでかかっていた音楽が響き出すと「よっしゃー!きたー!!!」とテンションがあがります。


そこからは「そうそう!こういうのが観たかったんだよ!」と言いたくなるサービスショット満載。


ラスト、敵との決着シーンなんかは「シャイニング版アベンジャーズみたいな感じで。


ちょっと笑っちゃったくらいなんですけどね。


賛否両論ありそうですが、物語としては「なるほど、こういう形になるよね」というところに落ち着いたのかなと。


変に希望なんか持たせず、ちゃんと落とし前をつけるあたりがS.キングらしいのかなと思いました。

 

映画の不満点


これは映画の良かった点と同じです。


結局のところシャイニングの遺産を楽しむという映画になっていました。


新しいキャラクター達も物語後半になるとどんどん影が薄くなっていき、特に主人公の女の子なんかはホテルに着いたあとはほとんど何もしていないんですよね。


せめてラストくらいはダニーと共に敵に立ち向かうシーンが欲しかったです。


逆にダニーの方はというと映画の前半では特にやることがないんですよね。


せめて「定期的にホテルの亡霊達の影に悩まされている」とか「酒が切れてくると父親の恐怖を思い出す」とか何かしら演出があっても良かったんじゃないでしょうか。


映画の前半と後半で鏡合わせのように面白い部分と退屈な部分が入れ替わります。

 

ポスターの感想


ポスターの感想もまた、映画の評価と近いですね。


「お、いいな」と思う部分は結局シャイニングを思わせる部分なわけです。

 

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オリジナルな要素はほとんど見受けられず、そこは少し寂しいですね。


ただし、映画ポスターとしてはある意味当然の出来というか。


映画自体が「ダニーが過去の出来事と向き合う」という作りになっているため、大人になったダニーがホテル内で過去にあった出来事と対峙するというポスターになるというのはとても自然なことです。


かつて三輪車で走った廊下を歩き、斧で切り裂いたドアから顔をのぞかせる。


ファンへのサービスであるのと共に、映画の内容ともマッチしています。


ここに何かしらの新しいアイデアがあったらパーフェクトだったなぁと思います。

 

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まとめ


考えれば考えるほど、キューブリックという監督の異常な芸術性が浮かび上がってきます。


今作の不満点をいくら指摘しようとも「でもキューブリックが作った映画を作り直すということがそもそも難しい」という結論になっちゃうんですよね。


それほどまでにやはりシャイニングは一つの映画として完成されきっていたと思います。


このドクタースリープを観ることが出来たこと自体は非常に満足していますが、身も蓋もない言い方をすると「相手が悪かった」という感想になりそうです。


それでは、また。

 

 

 

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