遊星からの物体X 《世界名作ポスター》
映画の点数…70点
ポスターの点数…95点
世界一有名なポスター!かも
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は《遊星からの物体X》です。
このブログでは毎回「映画と、映画ポスター」の感想などを挙げているわけですが、もしかしたらこの《遊星からの物体X》こそ、世界で最も有名なポスターの一つなんじゃないかなと思っています。
他には《ショーシャンクの空に》や《プラトーン》や《羊たちの沈黙》なんかも候補じゃないかと。
これら「映画は観たことないが、ポスターは知ってる」というほどにポスターのビジュアルが強い映画というのがたまに生まれます(いいか悪いかは別の話ですが)。
特にこの《遊星からの物体X》はポスター単体のビジュアルがそもそもカッコよく、映画ポスターとしても単にポスターとしてもレベルが高い作品です。
映画のストーリー
南極探査中のアメリカ部隊の中に、地球外生命体と思われる異星人が紛れ込む。
人間に擬態しながら次々と隊員を殺害していく異星人から、彼らは逃れられるのか
みたいな感じです。
エイリアンに代表される「限られた空間の中での異種族戦争」ものですね。
ストーリー自体はシンプルですが、シンプル故に今現在に至るまで40年近く愛されてきた映画ということなのでしょう。
ただしCGは無しです。
現在ではCGでいくらでも作り出せてしまう宇宙人や破壊される人体描写もすべて演技や特殊技術のみで表現しなければなりません。
映画の良かった点
映画の脚本などよりもむしろその特殊技術をいかに楽しめるかでこの映画の感想は大きく変わってくると思われます。
少なくとも、2019年現在の僕がこの「宇宙人の表現方法」を観ても「なんてこった!こんなすごい技術があるなんて!!」とはならないわけです。当たり前ですけど。
それはスターウォーズの初期3部作やターミネーターの一作目なども同じです。
ただそれだけで映画の価値が決まると言うのならば、これらの映画が今現在に至るまで長く評価されているわけがありません。
遊星からの物体Xの素晴らしさはやはり「人間を内側から乗っ取り、なりすまし、最終的には入れ物から出てくるように人体を破壊する」というアイデアと、それを実現させた技術だと思います。
スターウォーズは「はじめて観るデザインなのに、何故か整って見える」というデザイン力が凄いのですが、遊星からの物体Xのデザインは「なんだこれ?えーっと、なんだこれ?」といつまでも解明できない凄さがあります。
ただ単にデタラメな生物描写にすればいいというわけではなくて「おそらくここが消化器官なのだろうけど」とか「あの部分は犬の頭部が外側に出てるのだな」とかギリギリ理解しようとは出来る範囲のデザインです。
このSFXを手がけたのが当時まだ22歳のロブさんという方らしいんですが、まさに驚愕の才能ですね。
ポスターの感想
世界一有名なポスターとも言えるデザインですが、少し掘り下げてみようかと思います。
まず分かりやすいところから言うと、顔がビカーッと発光していて何が何だか分かりません。
この「顔が見えない」という状況は人間が一番想像力を働かせる瞬間です。
先ほどのスターウォーズでいえば、皇帝は最初顔が見えずに登場します。
夜のお店なんかでも女の子が顔だけにモザイクをいれた写真がたくさんあります。
相手の顔が見えないと「不安」や「興味」がかき立てられ様々なイメージが沸いてきます。
この映画ポスターはまさしく「どんな顔をしているんだろう、どんな映画なんだろう」と興味を引く仕掛けがあるわけですね。
SF的要素
一見、顔が発光しているというだけのシンプルな構成ですが、色彩などには細かい配慮があります。
文字の色などを筆頭に、全体的にクールな青色が多用されています。
この青色が近未来感やSF的な要素を演出しています。
同時に、南極という寒々しい張り詰めた印象の表現としても役だっており、少ない情報ながらも強いイメージを持っているわけですね。
日本語版ポスター
日本語版ポスターの方は、なんといってもタイトルデザインが特徴的です。
おそらく2020年現在で「The Thing」というタイトルの映画を「遊星からの物体X」なんて改変はしないと思うのですが(あ、でも「Frozen」を「アナと雪の女王」なんて改変したりするな)。
「遊星からの物体X」という仰々しいタイトルを、やはり過度にデザインで演出しています。
まぁ正直デザイン自体は時代を感じる古さがあるのですが、この角張った直線的な書体が1980年代における未来感だったのでしょうね。
まとめ
簡単な内容でしたが、一度観たら忘れられないデザインの代表「遊星からの物体X」の紹介でした。
僕はあまり「このポスターのデザイナーは◎◎で〜」と言うのは好きではないのですが(観る人には関係ないから)、もし良かったら「ドリュー・ストルーザン」なんて検索してみたら面白いかもしれませんよ。
それでは、また。
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