映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

アフタースクール《ちゃんとダマされますよ》

映画の点数…89点
ポスターの点数…60点

 

どんでん返し映画


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画は《アフタースクール》です。


もう10年以上前の映画になるというのがゾッとしますが、当時なかなか衝撃だったのを思い出し見直してみました。


当時はキサラギなどを筆頭に「後半のどんでん返し!」みたいな邦画が流行っていた印象があります。


内田監督は後に堺雅人さんと共に鍵泥棒のメソッドを作りますが、これもどんでん返しものの一つでした。


伏線回収どんでん返しものの映画が溢れかえったなか、今観るとそんなに面白くないかもと不安だっったのですが、これがなかなか面白かったです。


二回目なのでオチなどは当然覚えていたにも関わらず、そこまで無茶を感じない伏線回収ものだったなと。


多くの映画が「伏線のための伏線」とか「よく考えると回収なんて出来ていない伏線」とかに陥った中でスマートに出来ている作品なんじゃないかなーと思います。

 

堺雅人映画


身も蓋もないことを今から言います。


僕は日本人俳優の中で堺雅人さんが一番好きなのですが。


今作の堺雅人さんはいいですね!


正直堺雅人さんだけで20点アップくらいしている気が。。


とはいっても主演は大泉洋さんの方だし、堺雅人さんは前半なんてほとんど出てこず出番も少ないです。


出ているシーンは少ないわりに、堺雅人さん独特の「何考えているのか全然分からない」表情がこの映画に非常に効果的だったなと。


堺雅人さん以外が演じていたら映画のニュアンスすら変わってきたんじゃないかなというくらい。


というわけで、僕がこの映画を好きな理由は堺雅人さんが出ているから、です笑

 

ポスターの感想

 

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配色がうまく、一度観ると記憶出来てしまううまいレイアウトだと思います。

 

見ての通りピンクの使い方が印象的で、この配色だけでコメディ要素のある映画だということはすぐに理解できますね。


ポスター内のメインの三人は全く笑っていないので、もしこのピンクが黒やグレーであったら映画の印象すら変わっていたかも知れません。


さらに、パズルを敷き詰めた背景から「はいはい、ミステリー要素があるのね」というのもすぐに理解できます。


ポスターの配色とパズルの要素だけで「楽しい謎解き映画」ということが理解できます。

 

役者陣の向き


また、役者3人のポージングや表情にも注目です。


全員が正面を向いておらず、どこか違うところを見ていたり背中を向けたりしています。


これによって「彼らはウソをついているor本当のことを言っていない」という予感を感じさせます。


劇中の前半1時間ほどは大泉洋さんは一見ずーっと振り回されているように装っていますが、実際には彼もまたウソをついていることが分かります。


映画を見終わってからポスターを見てみるとまた違った印象になるわけです。

 

ポスターの不満点


よく出来ている面もあるのですが、不満点もいくつかあります。


まず、ちょっとゴチャゴチしすぎです。


パズルが散らばっていることでただでさえ騒がしいのに、常盤貴子さんや田畑智子さんらをポスターにのせるのは余計だったのではないでしょうか。


もちろん二人は映画の重要なピースなのですが、いずれにしても常盤貴子さんを二つのピースに分ける必要性は感じません。


田畑智子さんの表情もなんだか微妙だし。


せっかくポスターにのせるなら、ちゃんと専用に撮影するべきでしょう。


(細かいことを言えば、佐々木蔵之介さんの衣装も非常に目がチラチラするのです。だからこそ余計に情報は整理すべきと思います。)


あと、佐々木蔵之介さんや大泉洋さんの頭部に文字が少しだけ乗っかっています。


細かいようですがこれはいけません。


頭部は人間の最も目立つ場所ですので、ここに文字が少しかぶっているだけでも人物の印象がボケちゃうんですよね。


わずかな差とはいえ、少し人物を下げるだけでもけっこうスッキリして見えると思います。

 

キャッチコピー


一番の不満点は、キャッチコピーにあります。


うーん。


「甘くみてるとダマされちゃいますよ」。


ちょっといくらなんでもというか。


それを言っちゃう??っていうことじゃないですか。


たまに映画のコピーで見かける「あなたは必ず騙される」みたいな言葉。


これを言われちゃうと、映画を楽しめなくなると思いません??


前半から中盤にいたるまでは「どうせこの後話が転換するんだよな」と思いながら見ることになります。


映画に集中するというよりは、構えながら見ることになるんですよね。


それって「映画は作り物ですよー」と常に意識してしまうことと同じなので、逆に映画の人物達への共感度が下がるんですよ。


「騙されないように気をつけていたのに騙された!!」というよりも「気付かないうちにすっかり騙されていた!」という方がよっぽど心地よいと思うんですけどね。


作り手側から「今から騙しますよ」なんて言葉は言うべきでないと思います。

 

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まとめ


わざわざ「ダマされちゃいますよ」なんて言われなくても作りがしっかりしているのでちゃんとダマされると思います。


それだけでも満足度は十分な作品でした。


あとは繰り返しになりますが、このときの堺雅人は本当に色気があって素晴らしい!


そこだけでいいので見て下さい。。


それでは、また。

 

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