映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

[リミット]《理想的な低予算映画》

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映画の点数…60点
ポスターの点数…90点

 

ザ・低予算映画


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画は[リミット]です。


今ではデッドプールとして「絶対に死なない男」として活躍するライアン・レイノルズ主演映画。


何故スペインで作られたか分かりませんが一応スペイン映画です。


制作費も日本円で3億円程度のザ・低予算映画ですね。


それもそのはず、90分ほどの映画のうち、本当に90分丸ごと棺桶らしきものに閉じ込められた主人公しか写らない映画です。


その他に写るのは携帯画面の先にいる浮気相手の女性と、棺桶に入ってきたヘビくらいですね。


むしろどうやって3億円かかったんだろうというくらい。


ヘビのギャラが5000万円くらいかかるのかも知れません。


サラッと楽しむくらいの感じで観たい映画を探しての鑑賞だったので、それはもう見事にサラッと楽しむくらいにはサラッと楽しめましたよ。

 

映画のストーリー


ある日、イラクでトラックの運転手をしているアメリカ人の主人公が、土の中に埋められた棺桶の中で目覚めます。


なんのこっちゃ分からない主人公ですが、徐々に自分がテロリストに誘拐されて埋められているということが分かってきます。


はたして携帯電話だけを頼りに主人公は助かることが出来るのでしょうか。


というお話です。


まぁ言ってしまえば出オチ映画というか。


90分の一人芝居の映画を作ろうよ、という企画から走り出した映画なのでしょう。


政治的なメッセージとかも特にないですし、映画ライターさんの中には「上質な反戦映画だ!」なんて言う人もいたみたいですけど、個人的には「うーん、やっぱり基本的にはシチュエーションコメディとかに近いんじゃないの?」という感じです。


あまり深く考えずに楽しむくらいがちょうどいい姿勢だと思いますよ。

 

映画の良かった点


シンプルに「よくこれだけのアイデアで一本の映画を作れたな」というところが美点でしょう。


度胸もあるし、アイデアに見合った演出も工夫されていると思います。


シチュエーションが一切変化しないなかでも「絶望していく主人公」とか「切迫していく状態」などうまく描けていたと思います。


画面は一緒でも映像を補填しながら楽しむことは十分に出来ました。


それとこの手の映画にしては「主人公がアホな行動をとる」というシーンが少なかったのは良かったです。


電話をかけたりキレたりする順番も「まぁそうなるよね」という行動で動いてくれるのでストレスは少なかったです。

 

映画の不満点


申し訳ないけど長過ぎです。


よく90分もたせたな!と褒めたいところですが、残念ながらもっていません。


途中でハッキリと停滞してくるし、そのピークがヘビが出るシーンですね。


あれは明らかに「ちょっと絵的にも地味だし、ここらへんで動物パニック要素をいれようか」という狙いありきでしょう。


何分から映画と呼んでいいかは分かりませんが、せめて1時間ですっきり終わらせた方がきっと面白かったのでは?


「1時間以内に救助されなければ死亡」みたいな要素があった方が楽しかった可能性もあると思いますよ。

 

ポスターの感想


低予算映画のポスターとしてはかなりいいポスターではないでしょうか。

 

情報を限りなく制限して主人公が埋まっていることのみを伝えています。


閉所恐怖症の人はこれだけでも怖いですね。


100億円かけた映画でこのポスターはありえないと思いますが、ひとつのジャンル映画としてならこのポスターはかなり理想的といっていいでしょう。

 

高さを活かしたレイアウトに控えめながら土の質感なんかが追加されていて芸も工夫されていますね。


あえて不満を言うならば、縦の圧迫感はあるものの横からの圧迫感をあまり感じません。


ライアンには悪いですが、もう少し縮小して横からの圧迫感も高めるべきでしょう。

 

まとめ


毎日毎日記憶に残るような大作ばかり観ていたら頭がおかしくなりますからね。


たまにはこういう映画でブレイクするのも悪くないなと思います。


期待しすぎず、サラッと観てみてください。


ポスターもまた控えめではあるのですがそれなりに気がきいているので出来はいいと思いますよ。


それでは、また。

 

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