映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

ミッション・インポッシブル フォールアウト 《大人げないけど、評価は出来ない》

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映画の点数…70点
ポスターの点数…40点

 

面白い!けどね…


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画は《ミッション・インポッシブル フォールアウト》です。


前作《ローグネイション》がシリーズ最高の出来だった手応えはトムクルーズにもあったのでしょう。


シリーズでは初となる前作と同じ監督で作られた続編です。


トムクルーズが本当に素晴らしい映画人だなと感心するのは、「前作が良かった。じゃあ次はもっと面白いのを撮らないとね」というスタンスをずっと続けていることです。


今作フォールアウトは明らかに前作以上の肉体的な見せ場を加速させようとしているのは見て分かるし、映画の文脈とは関係のないところでグッときてしまうほどです。


非常に面白かった。とても笑わせてもらった。


そのうえでフェアに評価をしたいと思うのですが、残念ながら手放しで楽しめた映画とは思えませんでした。

 

トムクルーズという男


ここから先映画の不満点もいくつか書いていくのですが、大前提として僕はトムクルーズという俳優が大好きですし、尊敬してます。


映画史における自分の立ち位置や役回りを正しく理解し、全力で実践していく姿は人として憧れます。


なので今回の映画もトムクルーズとイーサン・ハントという人物に対する評価はもちろん100点です。

 

映画の良かった点


まず映画の良かった点から。


それは間違いなく「狂気すら感じるアクションシーンの連続」でしょう。


ビルからビルに飛び移り(というよりほぼ墜落)、高高度の飛行機からダイビングし(というよりほぼスーサイド)、古いBMWをパリで暴走させ、バイクを運転しては事故を起こし、ヘリを運転しては今度こそ墜落する男。


それがイーサン・ハント。


そのシーンの羅列だけでとりあえず映画を見に来た甲斐はあるわけですよ。


ていうかそんなシーンを見ることが出来て1800円でしょ。安い安い。


今回も「ある程度は」仲間との連携で敵を追い詰めていくという展開はとても良かったと思います。

 

映画の不満点


ただしこの映画、良い点だけを追いかけるには少し不満箇所の目立つ映画だったとも思います。

 

脚本の破綻


今作は特に、「まずアクションシーンを撮ってしまってから映画の脚本を作る」という方法をとっているのですがそれがさすがにうまくいっていません。


あまりにも強引にシーンとシーンが連結されているので「結局この人は味方か敵か分からない」というレベルでストーリーが頭に入ってきません。


特に初見時は人物の名前や顔がちゃんと頭に入っていない状態なので「なんでこの人は敵だったに最後は味方みたいな感じになってるの」といった混乱が続きました。


また「このスイッチを押さないと原爆が発射される」みたいな場面にもかかわらず延々と格闘をしていたりスイッチを崖から落としそうになってみたり。


行動に合わせてストーリーを作っているのでやはりところどころが破綻していて見辛いのです。


ストーリーが破綻するとどういう現象が起こるかというと、退屈してきちゃうんですよね。


今何をやっているのかが曖昧になってくると、なんかどうでも良くなってきちゃうというか。


アクション映画において「今何やってるのか分からない」という状況は可能な限り避けるべきだなと思い直しました。

 

映画のテーマ


今回のサブタイトルは「フォールアウト」です。


もちろん落下シーンが非常に多いからというのあるのですが、明らかにこれはダブルネーミングですね。


フォールアウトは死の灰の事もあらわしています。


つまり核によって地球は滅亡させることが敵側の作戦で、それを止めるのがイーサンチームの役割なのですが…


それにしても核の描写があまりにもいい加減すぎます。


プルトニウム素手で掴んでみたり、川から汚染させて放射線物質を流そうとしてみたり。


「核って、そういうもんじゃないんですよ」という場面がかなり連続します。


「この件は大目にみよう」となんとかやり過ごしても、再度またあまり練られていないシーンが出てきたり。


ハリウッド映画において、雑な核兵器描写なんていくらでもあります。


ただ、今はもう2019年ですよ。


いい加減、核兵器についての一定のリテラシーは共有してほしいなと思ってしまいます。


原爆を含めいくつかの放射能による死傷者を出したことがある日本としては、その都度「おいおいちょっと待てよ」とツッコミを入れ続ける必要はあると思うんですけどね。

 

ポスターの評価


今回ポスターも正直良くないというか。

 

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映画のタイトルとトムクルーズのビジュアル自体はあっていますよ。


まさにフォールアウトって感じです。


トムクルーズが肉体的なアプローチでこの映画に挑んでいるのは当然知っているのですが、今となってはこれくらいのビジュアルでは観た人は全く驚くことが出来ないんですよね。


CGによって何も驚くことが出来なくなった時代なので、それに見合った工夫が必要なのですがそれがうまくいっていないかなと。


前作ローグネイションでは「飛行機にしがみつく」というビジュアル自体がフレッシュだったので良かったんですけどね。

 

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まとめ


全体的に不満点も見られた本作でした。


ただそれも前作が良かったからそう思ってしまう部分が大きいのも事実で。


この映画に価値があることなんて当然も当然の話です。


次作が公開されるとき、トムは還暦を迎えているのでしょうか。。。


また違うアプローチでのMI7を楽しみに待っています。


それでは、また。

 

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