映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

ターミネーター ジェネシス《これじゃない感しかない映画》

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映画の点数…40点
ポスターの点数…25点

 

シンプルに、駄作


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画はターミネーター ジェネシスです。


来月にはターミネーターの最新作、シュワルツェネッガーリンダ・ハミルトンが出演する《ニュー・フェイト》が公開されます。


公開前に復習をしておこうと現在のところの最新作、ジェネシスを見直したのですが。。。


映画館で観たにも関わらず、ほとんど内容を忘れていました。


細かいストーリーを忘れるとかいうレベルでなく、断片的なアクションシーンとかもほぼ覚えていませんでして。


覚えていたのはエミリア・クラークさんの美しい裸体くらいなもので我ながら情けない気持ちでございます。


とはいえ改めて観てみると「こりゃ忘れてしまっても仕方ないな」という部分もいくつかあり、言い訳も込みで宣言するなら【シンプルに、駄作】なんじゃないでしょうかといった感想です。

 

映画のストーリー


オープニングからしばらく観ていると「ターミネーター第一作目の、ジョン・コナーとカイル・リース視点から描いた話」というのが分かります。


そのまま普通にターミネーターのリブートみたいになるかと思いきや、未来と過去に少しずつ差が出てきていて今まで観てきたターミネーターシリーズとズレはじめる………みたいな内容です。


最終的にスカイネットの暴走を阻止することが目的というのは変わりないのですが、そのための舞台や倒すべきターミネーターの型式なんかも違うみたいな感じですかね。


つまり、少なくともターミネーターの第1作、良ければ2作目までは観ていないと理解出来ない点が多すぎると思います。


とはいえさすがにここまでの有名作ですから、観ていない人はいないという前提で作るのは今回はアリだとは思います。


とはいえ、ストーリーを知っているからこそ引っかかるポイントもあるのですが。。

 

映画の不満点


別に自分の知能指数が高いとは思っていませんが、いくらなんでも「今何やってんの?」という場面が多すぎます。


途中でカイルをサラ・コナーが救出しに来て「お、今回はそういうパターンか」というところまでは分かったのですが、そのあとサラ・コナーが[このあと何をしなければいけないのか]という目的をいまいち説明しないままにストーリーが進行していきます。


観客達を不安にさせる、という効果を狙っているのは分かりますがおかげで本当に何をやっているのかが分からないんですよね。


「ん?とりあえず未来にもう一回移動するのね?」となんとなく理解した頃に「この作戦は間違っていた!」と言い出したり、もう何がなんだか。


これだけ未来や過去がグチャグチャになるのなら当然「結局自分が生きている世界が幸せならいいんじゃない??」と思っちゃったり。


どれだけジタバタしてもどこかの次元では相変わらずカタストロフが起こるんでしょ?


となると、やっぱりタイムトラベルという設定自体が無理があったんじゃないでしょうか。


今いる自分たち(つまり観客)が死の局面にあるという状況でないと、登場人物達がどれだけ頑張ってても「まぁ頑張ってくれたまえ」くらいにしか思えないですね。

 

ターミネーターの設定


シュワルツェネッガーターミネーターが、皮膚とかが老いていくという設定は問題ないんですけど、だんだんと不具合が発生するみたいな設定は何故追加されたんでしょうか。


せめて「あと何年くらいでシャットダウンする」くらいの説明がないとこちらも応援のしがいがないですよね。


少しずつ老いていくならば、最終決戦あたりで「もうそろそろお別れの時が近づいている」くらいの設定もあって良かったんじゃないですか。


これじゃどうみても「シュワちゃんが老けたからそういう設定にした」という理由しか見えないですよね。


やはり「ターミネーターは劣化する」という設定自体がマズイと思うんです。


何故なら「じゃあ他のターミネーターもいつか止まるんだよね」と思ってしまうし、そうなると急にターミネーターの無機質な恐怖感が無くなってしまいます。


そして敵キャラのターミネーター達ですが、今回も非常に残念な結果だったと思います。


はっきり言って全然怖くない。


イ・ビョンホンさんは頑張っていたと思いますが、ジョン・コナー役のジェイソン・クラークさんターミネーターは本当に怖くない。


ターミネーターの怖さって「意思の疎通がとれない」ことと「自分を殺す以外の目的がない」こと、そして「延々と追いかけてくる」という点でしょう。


そのいずれもが無くなっています。


ベラベラ喋るし会話も出来るし、世界を征服する目的を具体的に持っているし、追いかけるというよりはむしろ追いかけられる方が多いくらい。


いや、いいんですよ、新しい設定のターミネーターがいても。


でもそれが怖くないなら失敗でしょう。

 

映画全体に対して


今回、今までのストーリーと大きく変えて「ジョン・コナーが敵役に!」というサプライズを持ってきました。


たしかにサプライズは成功とは思います。


でもやっぱり、それはやってはいけない禁じ手だったと思います。


ここでジョン・コナーが敵だとするならば、今まで築き上げてきた映画シリーズの冒険がすべて無駄になっちゃうんですよ。


もしスターウォーズで「実はルークがいたせいで宇宙のフォースがおかしくなったんだ」なんて設定を用意したら、長年のファンはそれを許さないと思うんです。


それと同じで「ジョン・コナーを守るための物語」というのはターミネーターという映画のルールそのものです。


最低限のルールは守ったうえで続編なりスピンオフは作るべきじゃないですかね。

 

ポスターの感想


日本版や海外版も含めて共通するのは「やっぱりシュワちゃんがドカンとでっかく登場していて、目が赤く光っていないとダメ」という点でしょう。

 

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たしかにそれでこそターミネーターだと思うし、そこは問題ないんですけど。


それにしたって全体的にやる気がない感じがするのは何故でしょうか笑


登場人物をパラパラと配置して、背景に大都会をのせとけばオーケーみたいな。


ターミネーターほどの歴史ある大作なのに、そこらへんの凡百の映画ポスターと同じとは寂しくないですか?


日本版のキャッチコピーの「未来を取り戻せ。」とかも珈琲1杯飲み終わる前に思いついたくらいの感じしかしなくって。


そんなキャッチコピーなら別に映画版ドラえもんでもつけれちゃいますよ。


悪いポスターとまでは言いませんが、いくらなんでも気合いがなさ過ぎますよ。。。


唯一の希望といえばエミリア・クラークさんですかね。


さすが男性の選ぶ「理想的な女性」ナンバーワン女優ですよ。


あからさまに胸や尻が強調された立ち姿でポスターに登場しています。


僕だって男ですから、そりゃ彼女に性的な魅力は当然感じます。


とはいえ「サラ・コナーとして」という前提があるならこのポスターではダメでしょう。


もはや世界中のオッサン達しか相手にしていないかのようなポスターを見ちゃうと悲しくなっちゃいますけどね。。

 

まとめ


はっきりと残念な一作だったと思います。


ジェームス・キャメロンリップサービスで「今回の続編は面白いよ!」と言っていましたが、今から考えると正真正銘のリップサービスだったのでしょうな。


仕方なくなのかもう一度ジェームス・キャメロンが強く関わる形で続編が作られることになったのですから。


希望を言うならば、X-MENシリーズのローガンに該当するような渋めの映画に仕上がっていたらいいなぁなんて思っています。


それでは、また。

 

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