300 《帝国の進撃》 映画もポスターも《地方自治体の牛歩》
映画の点数…35点
ポスターの点数…75点
傑作の続編
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は、300《スリーハンドレッド 帝国の進撃》です。
ザック・スナイダーの代表作である《300》の続編。
好き嫌いの分かれる作品ではあるものの、その後のアクション映画界の表現手法に大きすぎる影響を与えた《300》。
僕自身も初めて映画館で観た時には「なんじゃこりゃ」と衝撃を受けたものです。
相当なインパクトのあった同作、皮肉にもその後ありとあらゆる作品で真似されパクられ隅々まで解体されつくした感がありました。
結果的には今《300》的な手法は「最も古くさいアクション表現」になったわけですね。
それでは続編にあたる《帝国の進撃》はいかにして前作のインパクトを越えてくるのか。
何かしら新しい表現方法があるのか。
注目ポイントはそこに集約されていきます。
ダメでした(^o^)/
はい、ダメでした。
これはなかなかにダメな続編でしたね。。。
ターミネーター3くらいダメだったんじゃないかと思うくらいダメ続編。
何て言うんですかね、見事なくらいに前作の良かった点を無くし、不必要な点を引き延ばした感じです。
観ながらずーっと「ああ!そっちじゃない!そっちじゃないよ!!」とハラハラしながら観ていました。
そういう意味ではとても緊張感のある作品でしたね。
はい全然褒めていませんよ。
良かった点を台無しに
前作《300》の魅力って「300人vs1000000人」というバカげた戦争に果敢に挑んでいく「愛すべきマッチョISMのスパルタ人」という点にあったと思うんですよ。
設定もバカだしキャラクターもバカ。
でもバカとバカがスパークした瞬間に映画としてのカタルシスが大爆発するみたいな感じ。
それを過剰に過剰に映像的な迫力で押し切る点が笑っちゃうくらい見事だったんですよね。
ところが今作ですよ。
まず、「何人vs何人の戦争なのかサッパリ良く分からない」んですよ。
多勢に無勢だというのは見たら分かりますよ、そりゃ。
でも「300人vs1000000人」みたいなバカバカしさの提示は絶対に必要だったと思うんです。
ていうかまずタイトルを変えようよ。
主人公側がどのくらい強くて、敵側がどのくらい弱いのか全然よく分からないまま話が進むんですよね。
強さが分からないと言えば、前作の《300》ではオープニングが始まってすぐに「スパルタ人ってこんなに野蛮な人達なんですよ」ってのをあらかじめ提示していたんですよ。
今回は何故かそれがないので、特に思い入れのない人達が無謀な戦争にまんまと突っ込んでいくだけなんですよね。
「はぁ?そりゃ貴方たち死んじゃいますよ」としか思えないですよね。。。
不必要な点を引き延ばした
先ほど言ったように、前作《300》では序盤で「スパルタ人ってこんなに勇敢でたくましい!でも現代ではありえない常識で生きている人達」というのをちゃんと見せてくれます。
なので映画内では女性が飾り物のような扱いを受けていても「まぁそういう時代だしね」くらいで済むというか。
ところが今作では最近のポリコレを意識してか「ところどころで女性が活躍する」という要素を入れてるんですよね。
ごめんなさい、この映画にはそういう要素はいらないです。。。
エヴァ・グリーンが演じた女隊長はとてもいいんですよ。
キャラクターとして間違いなくカッコイイ。
でも、最終的には結局男に力負けしちゃってるし、そんな設定でいいんだったら出さない方が良かった気がしちゃって。
「色々頑張ってはみたけど、最後には男に力で負ける」ってそんなの最悪じゃないですか。
あと名前も出したくないけど王妃様みたいな人が急にしゃしゃり出てきて先陣切って大騒ぎとか。。。。
色々と残念な結果になってましたよ。
僕は女性差別・男性差別は大嫌いですが、あくまでも史実をもとにした映画でこういう展開が相応しいとは思わなかったですねぇ。。
ポスターの感想
残念な映画には残念なポスターがつきものということで。。。
といいつつも、こちらのポスターはなかなか出来がよろしいです。
前作のジェラルト・バトラーがドーーーンと載っているポスターは、とにかく男らしさ、というかオスらしさ全開の肉肉ポスターでした。
これはカッコ良くて映画のテイストにも合っています。
良い感じでバカバカしさもあって好ましいです。
ところが今回のポスターは一ひねりしてきました。
主人公テミストクレスさんが、一人うつむいてたたずんでいます。
光すら当たっていないので全体的に暗い印象で、前作のレオニダス王とは大違いですね。
映画を観ると分かるのですが、今作の主人公テミストクレスさんは戦争にそこまで積極的な姿勢ではありません。
むしろ彼なりに悩みながら戦うタイプの将軍です。
その彼の心情をうまく表現出来ていると思います。
しかし、彼の後方にはうねる波が押し寄せています。
波はまるで血に染まったように赤くなっており、激戦がまさに目の前に迫っていることを予感させます。
この映画は海戦が舞台なので、海の要素を入れるのも必然と言えます。
前作ほどの迫力は無くとも、「キャラクターの心情」「舞台の説明」「激戦の予感」をうまく取り入れたよく出来たポスターと言えそうです。
まぁ、実際に仕上がった映画はそこが不満なわけなのですが。。
まとめ
映画そのものはかなり残念だったと思ってます。
そもそも続編自体が不要だったと。
下手に続編を作ると、結果として傑作だった前作の値段すらも下げることになるのですから。
それはそうと、映画の内容と反比例でポスターワークはなかなか良かったというのも興味深いです。
おそらくはこのポスターで表現されているような内容を映画でやりたかったのでしょう。
だとしたらもっと面白くなった可能性もありますね。。。
それでは、また。
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