ヴェノム 《ザッツ中途半端!!》
映画の点数…50点
ポスターの点数…50点
中途半端映画の見本市
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は《ヴェノム》です。
スパイダーマンのライバルとして知られるダークヒーロー・ヴェノムの映画化。
主演にはトム・ハーディを持ってきたりミッシェル・ウィリアムズを入れたりと気合いは十分。
お隣のMCUとの合流も視野に入れつつ「そもそも今のアメコミブームは俺たちソニーが作ったんだぜ」と言わんばかりに堂々の参戦。。。
となったはずなんですけど。
実際の印象としては「これは見事だ」と思えるくらい、本当に何もかもが中途半端な作品になっておりました。
それなりに期待していた作品だっただけに残念ではあるのですが、その中途半端っぷりと振り返ってみたいと思います。
企画が中途半端
そもそも企画の走り出しから中途半端だったのだと思います。
スパイダーマンの制作権を持っているソニーは、次はヴェノムの映画を作るぞと10年くらい前から計画していたそうです。
そこでなかなかうまくいかずモタモタしているうちに、本家スパイダーマンの方はMCUの方にホームにカミングしてしまいます。
そこでソニーとしては「これはMCUとも関係ない独自の映画だけども、まぁいつかはね、トム・ホランドのスパイダーマンと合流なんて出来たら嬉しいよね」みたいな中途半端な態度になってしまいます。
でもそんな経緯はファンにとっては何も関係がないことですよね。
「なんでヴェノムなのにスパイダーマンは出ないの?」というのが当然の疑問ですし、だとしたら「そもそもスパイダーマン無し、ヴェノム単体で1本の映画が成立するほどの魅力はあるのか」という問いに応える必要が出てきます。
キャラクターとして中途半端
ではヴェノムというキャラクターにどう魅力を持たせるのか。
間違いなく最初は「今たくさん乱立しているアメコミ達の誰よりも残虐なキャラクター」として描こうとしたのだと思います。
ところが前述の通り、最終的にはMCU側にも介入したいヴェノムとしては観客の年齢制限をかけたくないわけです。
となると出来上がったのは、人をどれだけ殺害しても血の一滴もでない欺瞞的なキャラクターです。
頭から人を丸かじりするというシーンはあるものの、血は出ないし死体も写らない。
これで「俺は残忍だぜ」みたいなこと言われても「はぁ」としか言えないですよね。
別に僕自身は血が出たりする映画が好きとかではないのですが、この映画に関しては(少なくともこの映画の方向性としては)血がドバドバ出る必要はあったと思います。
じゃないと「すごい力を持った奴だが、本質的なところでは残虐で信頼できない」という設定が成立しなくなります。
一言で言えば、特に残虐でもなんでもないキャラクターがチョロチョロっと動き回るだけです。
映画として中途半端
残虐表現を抜きにしても、映画として中途半端だと思います。
トム・ハーディの演じるエディの描き込みが足りていないと感じました。
「特ダネを狙うジャーナリスト」なのか「正義の実現のために燃える記者」なのかいまいち分からない状態でヴェノムになってしまうので「自分をクビにした世界に復讐したい」のか「やはり正義の為に活動したい」のかいまいち分かりません。
そんなエディがヴェノムとの共存関係を受け入れていく理由もよく分かりません。
「なんとなく気があう」くらいの理由でエディとヴェノムはその後大したトラブルも犯さず一緒にいることを受け入れていきます。
脚本も取り立てて良いわけでもなく、「クビになった主人公」「婚約相手にフられた主人公」「いざとなったら助けてくれる元カノ」「欲望に取り憑かれたヴィラン」と型通りな感じ。
特に見所らしいところもないままにスムーズに映画は終わります。
絶対に許せないようなミスは無いものの、逆に言えば何も感じないままでした。
アクションシーンの中途半端
アクションシーンですらも例外でなく中途半端だったように思います。
チャチなシーンはありません。
よく出来たCG格闘シーンだと思います。
でも、やはり突き抜けない。
特に夜のアクションシーンがほとんどなので、何をやっているのか分かりにくいシーンも多かったです。
スパイダーマンのライバルであるならば、せめて空を自在に動き回れるくらいのことはして欲しかったです。
原作がどのようになっているか分かりませんが、ヴェノム自体も結構鈍重でノソノソして見えた印象です。
ポスターも中途半端
映画ポスターもまた中途半端でございました。
せめて「なんだこれは!!ダメすぎる!!」というくらいだったらいいのですが、別に悪いということでもない。。。
エディとヴェノムが融合しているということを伝えるという機能はちゃんと果たしていますし、彩度をぐっと抑えてダークなトーンを演出出来ています。
日本語版ポスター
これもまた、いいところは特にないもののやはり機能はしています。
主要キャラの3人と、背景にヴェノム。
実にシンプルな構成。
あえていうならキャッチコピーがあまりにも狙いすぎかなと思います。
「最も残虐な、悪が誕生する」
これじゃ説明しすぎな気がしますね。
そんな映画は無数にあるのだから、もっとこの映画独特な視線があっても良かったのではないでしょうか。
でもこれもまた年齢制限をかけたリミッターが悪い意味で働いていると思うのですが。
まとめ
映画を見終わった感想は「普通だった」でした。
確かに普通には面白いです。
でももはや、普通で満足できる目線ではないというわけなのでしょう。
ずいぶんと贅沢な話です。
これからもアメコミは量産されていく予定です。
そのなかにおいて、明確に「人を食べる」キャラクター・ヴェノムはまだまだ価値のある存在だと思うんです。
ここからの巻き返しを期待するところです。
それでは、また。
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