ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル 《真正面から面白い作品》
映画の点数…87点
ポスターの点数…65点
正統ではない続編映画
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は《ジュマンジ ウェルカム・トゥ・ジャングル》です。
1995年に制作されたジュマンジの、一応の続編となります。
とはいえ未見でも何も問題ないので1作目として楽しむことも出来るのですが。
そもそも前作のジュマンジと今作ジュマンジでは、作られる意図が全く違います。
前作のジュマンジは1995年という、まさにCGが映画界を革新している真っ最中の映画だったわけです。
2年前にはジュラシックパーク、同年にはトイ・ストーリーと、今までの映画界の常識を丸ごとひっくり返す傑作が出てきた時期です。
ジュマンジが劇中でやったことは「現実“っぽい”動物を出す」とか「現実“っぽい”ハリケーンを起こす」とかそういう方向でのCGの使い方をしています。
それはそれで当時としてはフレッシュな表現だったわけで、ジュマンジが映画界にもたらした功績は興行成績以上のものがあるのではないでしょうか。
さて、では今作のジュマンジはどうなのか。
今となっては「観客は何が映画内で起きても驚かない」という条件下での続編です。
そこで制作陣は、初めから「CGの革新性で人を驚かせたりはしない」という、前作の意図を無視した映画を制作しました。
つまり、「面白いアクションコメディ映画を作る」という極めて正攻法で攻めたわけですね。
結果としてそれが大成功だったと思います。
映画のストーリー
予告などを観れば一発で分かる通り、“普段は仲が良いわけではない”高校生4人が同じテレビゲームの中に閉じ込められてしまいます。
それぞれのゲームのアバター(主人公のキャラはドウェイン・ジョンソン)を使いこなし、ゲームをクリアして現実世界に戻るというのが目的です。
ストーリー自体はありふれた設定をそのまま借りているとも言えます。
少なくとも前作のジュマンジのゲームとは全く違いますし、「これのどこが続編なんだ!」と言われればまぁそうですよねとしか言えませんが。
ただしそれでもこの映画には恒久的な普遍性に溢れている魅力があると思いますし、どの年代が観ても楽しめる器の大きさもあります。
映画の良かった点
何よりもまず、設定がうまかったと思います。
いわゆるスクールカーストでは格差のある4人が一つのゲームに飛び込み、強制的にお互いに向き合う必要があるという設定を持ち込みました。
同時に、自分自身もアバターに変身するため必然的に自分自身とも向き合わなければなりません。
その設定が説教くさくなることなく自然と物語を牽引していきます。
「協調性が大事だ」とか「勇気がなければどこにも進めない」とかをセリフで説明することもなく自然とそういう状況を映画内で用意しています。
やってることはほとんどコメディなのですが、映画として非常に正統派なんですよね。
少年少女の成長映画としてのツボはしっかりと抑えています。
ドウェイン・ジョンソンの役者としての魅力
ワイルド・スピードなどでは硬派な役をこなしている彼ですが、本作では内側に高校生が入っている役。
しかも観客は演じているのがドウェイン・ジョンソンであるというのを踏まえた上で鑑賞するという意外と複雑な役です。
元レスターという本職役者ではないドウェインですが、この無茶ぶりに非常に的確に応えています。
うまいですよね、すごく。
ちゃんと中に高校生が入っているように見えたし、時々ドウェイン・ジョンソン本人に見えて笑ってしまいます。
彼がバッチリ演技を成立させたことがこの映画の成功の秘訣だったのではないでしょうか。
ポスターの感想
映画は普通に一流エンタメだったと思うのですが、日本語版ポスターがどうにもセンスがいただけません。
あまりにもキッズ〜高校生向けなデザインです。
大人が鑑賞しても十分な魅力のある作品なのですから、もう少し上品な飾り立てで良かったのではないでしょうか。
この例で言うと、あまりにもキャッチコピーなどの文字情報が多すぎます。
わざわざ「その名は…」とか「生きて帰れ」とか全く必要ないでしょう。
小さい面積ですがこういうゴチャゴチャした要素が入ると途端にデザインは子どもっぽくなってしまいます。
もちろんティーンの観客を呼び込むこと自体は大賛成なのですが、だとしても上記のようなコピーは不要ではないでしょうか。
アメリカ版
アメリカ版だとこのように大分スッキリしたデザインになります。
同時にワクワク感やコメディ感はグッと抑えられてしまい、どちらかと言えばトゥームレイダーやインディ・ジョーンズのような雰囲気が強いですね。
これはこれで日本の観客は混乱するでしょうから良いデザインとも言いがたいところなのですが。。
まとめ
はっきり言って舐めてかかってた映画でした。
ちょっとした時間潰し程度の面白さを期待したのですが、十分すぎるほどに傑作でしたね。
87点という高得点をつけましたが、決して「歴史に残る超大作」というわけではありません。
人生最後に観る映画にチョイスすることも絶対にないでしょう。
それでもこの映画を高く評価したいのは、いつ誰が観ても、一定の感動と興奮を与えることに真面目に取り組んだ映画だからです。
そういった「正統派エンタテインメント」はもっと高く評価されてもいいんじゃないかなと思った次第です。
それでは、また。
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