映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

ワイルド・スピード 1〜4作目 《最新作公開前レビュー》

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映画の点数…平均して60点
ポスターの点数…平均して50点

 

ワイルドスピードに関して


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


ワイルドスピードシリーズの最新作の公開が迫っています。


冒頭からこんなこと言いたくないのですが、以前の僕は「大人っぽくて社会派で難しい事ばかり言っている映画こそが高尚である」という思い込みをしていた恥ずかしい過去がありまして。


「中2っぽい映画なんゴメンだね」と言いつつ、そういう姿勢こそがむしろ中2っぽいという矛盾に気付かなかったわけですな。


なぜそういうことを書いたかというと、今回取り上げるワイルドスピードのような作品を嫌悪していた時期があったわけですよ。


バカっぽくて薄い脚本、見終わった後に何の感動も残らない時間の無駄遣い、みたいなね。


いや、別にここからワイルドスピードは来世まで語り継がれる傑作である」という文章が始まるわけではないんですけどね。


普通につまらん箇所もたくさんあるんですけど。


でも、普通に人生生きてれば「とにかく今日は頭を空っぽにしてド派手なアクション映画をよだれを垂らしながら観ていたい」という夜ってあるじゃないですか。


もちろんそういう時にお酒を飲む人や友達と豪遊する人、そして車に乗ってナイトラインを駆け抜ける人、色んな解消法はあると思うんですけど。


そんな夜を吹き飛ばすための映画ってこの世に絶対必要あるなと今では思うんですよね。


というわけで、ここから色々とワイルドスピードシリーズに文句は書いていきますが、文句なんて言いつつも「俺、なんだかんだこいつらの事好き!」という気持ちには変わりはないというかですね。


みなさんももし良かったら、人を殴ったり銀行を襲ったりする前にワイルドスピードでも観てみたらどうですか?というお誘いです。


とか色々言いつつも、そんなに細かく書くこともないので4作品まとめてレビューです笑

ワイルドスピード(1作目)

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65点

「主役」の演出


僕はいわゆる車オタクでもないし全然詳しくはないのですが、平均レベルよりは車が好き、くらいのバランスでして。


なので今作の「主役」である車が登場するシーンはもれなく面白いです。


シビックRX-7スープラ…登場する日本車を観ているだけでも満足感は十分にあります。


車に関する演出は映画全編を通して工夫がされており素晴らしいですね。


緊迫感があるシーンではカメラを揺らし、車の初登場シーンでは色っぽく舐めるように写し、レースシーンではエンジン音をしっかりと聴かせるなど「お、カッコイイぞ!!」と思わせる演出が巧みです。


少なくとも今作はCGに頼っている部分はほとんど無いように感じられ、重量のある塊が突進していく様子やクラッシュする様子を生々しく描いています。


なので車が大破したりすると、こちらも「痛い!」と思えるくらいちゃんと車をキャラクターの一つとして確立できています。


この手の映画の必須条件とは言え、それを実現するのは難しいことです。


そういう「車が主役」の映画としては完璧でしょう。

 

「脇役」の演出


主役である車の演出は良かったのですが、一方で「脇役である人間の描写」にかなり難点がありました。


「こういう映画でそんな細かいこと言うなよ!」って思われるかもしれませんが、頭を空っぽにして観たいからこそ余計なツッコミどころは減らすべきだと思うわけです。


まず主人公二人が本当に何を考えている人物なのか分かりません。


おとり捜査をしている警察の主人公ブライアンは、強盗犯だと思われるドミニクと接触するうちに「こいついい奴そうだから犯人じゃないぞきっと」と心を通わせます。


それはいい。


でも実際に犯人だと分かってからの行動がちんぷんかんぷんで、犯行を止めようと追いかけてみたり、一度は逃がした後にもう一回追いかけたり、カーレースをしたあとにもう一回逃がしたり。


何がしたいの。


一方犯人側のドミニクも「もう二度と刑務所には入りたくない」というよく分からない決意を胸に秘めた人物で。


もっともらしい言い方で当たり前のことを言っているのか。


その割には普通にカーレースで公道に迷惑をかけたり、気にいらない人は殴りかかったり、強盗を繰り返したり。


そしてそれらの行為の時に特に顔を隠したりはしません。


どうしてそれで逮捕されることはないと思っているのか。


一言で言うと、言っていることとやっていることがチグハグな頭の悪い人にしか見えないんですよね。


それで人望があるみたいな言い方されても「はぁ、そうですか」としか思えない。


バカばっかりが画面に映ると、観ている側が気を遣わないといけなくなるので疲れるんです。


まぁ色々言いましたが、主役の車達がカッコ良かったからアリ!

 

ワイルドスピード2


60点

 

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陽気なパーティー映画


舞台がマイアミという点、主人公ブライアンが警察を首になっている点、分かりやすーーーい形でマフィアが登場している点などを考えると、シリーズ前半で最も陽気な映画になっています。


特にラストのスーパーカー全員集合!!」な展開には笑っちゃうし、シリーズ2作目にして「ひゃっはー!」感がとてもあっていい感じ。


良くも悪くもお祭りで浮かれている感じですね。

 

浮かれすぎ問題


映画全体が浮かれているのはいいのですが、敵側のマフィアや主人公達も浮かれすぎです。


シリーズ全体の問題でもあるんですけど、敵側はなぜあんなに頭が悪いのか。


「ふははははは!飛行機で逃げると思ったかね馬鹿者!まさかの船で逃げるのだー!!」みたいな感じで逃げるんですけど、最終的にどうやって逃げるつもりだったの???


一旦警察に普通に見つかってる時点で終わりなんじゃね?と思うんですけど、浮かれてるからそういうのはどうでも良し。


景気よく船に車でダイブしたりであえなく御用だ!


マイアミの太陽がそうさせるのかい?


魅惑だらけのとんちんかんな映画でしたな。

 

 

ワイルドスピード3

 

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25点

 

しっちゃかめっちゃか


どういう経緯で作られたのかは不明ですが、舞台が東京に変わって今までのキャストは全員退場。


完全オリジナルな映画となっていたのにまず驚きました。


もともとワイルドスピードシリーズは日本車に対する大きなリスペクトのある映画だったので、一度は日本を舞台にしたかったからではないかと(調べる気は特にない)。


サッカー選手のエデン・アザールとフェルナンド・ドーレスを足したような顔の主人公が東京の道路をドリフト決めまくるのですが、特に必要だったとは思えない【高校生】という設定のおかげで違和感バリバリMAX。


せっかく日本が舞台なんだからいつものような車ばっかりじゃなくて、フルカスタムのワゴンRとか、タイヤがハの字のbBとか、モニターが20個くらいついたヴェルファイアとか、いかにも日本らしい車文化も描いて欲しかったですね。


ていうか、やっぱり最終対決はハチロクとかにしてほしかったなぁ。


僕はそりゃランエボも好きですけど、そこはもうベタでもいいって思わない?(突然のクエスチョン)


まぁドリフト走行をグラフィカルに描いてくれたのは面白かったですけど、肝心のアクションシーンがほとんど山の中で真っ暗だったりして。


せっかくの車アクションなのに車の見せ方が悪かったので点数はこんなもんです。

 

 

ワイルドスピード4

 

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70点

あの男達が帰ってきた


時系列的には2作目の続きらしいんですけど、感覚的にはシリーズ1作目の主人公達がみんな帰ってきたという感じの映画です。


前作と監督が一緒なのにも関わらず、格段にいい映画に仕上がっていました。


細かい演出は捨てて「イケてる元カノの復讐劇」に集中させたのが良かったですね。


今までの作品に比べて雑味が減った分、最もスムーズに観ることができたと思います。


今ではワンダーウーマンとして世界中の男性をへにょへにょにしているガル・ガドットのデビュー作らしいですよ。


まぁなんの役にもたっていませんでしたし、むしろいない方が映画としては観やすかったですけど。

 

やはり見にくい車のシーン


不満点としては、最後のバトルが何故か坑道みたいなところだったこと。


描き方が下手なのか、誰がどこをどう走っているのか全く分からないんですよね。


だから全然ハラハラしなくって。


インプレッサとグラントリノはカッコイイなーとか思いながらボーッと観てました。

 

ポスターの感想


良くも悪くも、いかにも品の悪いポスターばっかりですな笑


ドレスアップ雑誌の広告に入ってそうな色彩感というか。


ネオンが煙で揺れるようなビジュアルばかり。


あえて言うならTOKYO DRIFT(3作目)が一番かっこいいかな。

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コンセプトはハッキリしてて気持ちいいですね。


主人公の車達はカラーで、そして脇役の人間達はモノクロで表現されています。


こういう振り切り方は好感がもてます。

 

まとめ


傑作と呼ばれる映画ではないと思っていますが、観ている間はウキウキしちゃうナイスガイな映画達です。


出来れば爆音の映画館でニヤニヤしながら楽しんでみたらいかがですかね。


それでは、また。


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