映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

ワイルドスピード MEGA MAX 《抜けが良くなった映画とポスター》

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映画の点数…45点
ポスターの点数…75点

 

予算もアップしてシフトチェンジ


こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画はワイルドスピード MEGA MAX(2011)。


新作の公開が8月に迫っていますが、個人的にはこの5作目くらいから徐々にワイルドスピードの方向性が次の段階に向かったと思っています。


そのへんは好みが分かれるところだと思うのでどちらが良いというわけではありませんが、少なくとも映画としての完成度がグッとあがりました。


予算も従来の作品が80億円くらいだったのが、今作からMEGA盛りの120億円。


それもあってか興行収入的にも大成功だった本作。


映画とポスターを交えてお話していきます。


ポスターの感想

今までのポスターに比べて、かなり抜けのいいデザインになっています。

 

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従来の作品のポスターがこちらなんですが、違いが分かりますか??

 

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まず、人物達がカラーになっています。


前作までは人物をモノクロにして車の極彩色を際立たせていたんですよね。


何故ならこの映画の主役は《車》であったから。


ところが今回からは人物達もカラーになっており、ポスター内における車の占める割合もかなり減っています。


これまでの良くも悪くも賑やかでケバケバしい雰囲気から一転して、ブラジルのカラッと晴れた空をバッグに抜けの良いデザインになりました。


当然ここまでの大きなデザインの変更は意図的なのは間違いなく、それは映画の内容とも密接に絡み合ってきます。


ちなみに日本版のポスターはちょっとギチギチしすぎていますね。

 

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従来のファン向けの要素を多めに残したような感じがします。


まぁ、日本においてワイルドスピードを観る層を考えると理解は出来るところですかね。。


ワイルドスピード MEGA MAX ポスター /REG-DS

 

映画の感想


今作よりかなり映画のニュアンスが変わってきました。


まず映画が始まって15分も経てば誰もが気付くとおり、映画全体のルックがかなり良くなっています。


監督は前作、前々作と同じだということを考えると、監督が映画との相性を増してきたことと制作費が上がったことの良さが出たのではないでしょうか。


シリーズのファンもそうでない方も、今までの作品の中では一番「観やすい」のは間違いないでしょうね。

 

車から人へ


どこかの政治コピーみたいですが「鉄から人へ」ならぬ「車から人へ」という印象。
つまり、主人公が交代したということです。


4作目ではすでに怪しかったですが、今までは主人公は間違いなく車でした。


車をいかにカッコ良く撮るか。


ですが今作からはその考えは一度封印したように感じられます。


今までのキャラクター達を総出演させ、キャラクターの魅力を何よりも優先させているのは一目瞭然。


映画全体の観やすさも、今までのキャラクター達のことをこちらが既に理解しているからというのは大きいでしょう。


特に新キャラであるドウェイン・ジョンソンは画面に映っているだけですでに100点のルックス。


もはや彼が真っ直ぐ立っているだけで映画として成立しているくらいワイルドスピードとの相性がバッチリでした。


正直、おかげで今までの主役のブライアンは今作で完全に脇役扱い。。

 

ケイパーもの


今までは何か問題を解決する際には「とりあえず車で行ってみる」という大雑把な作戦で切り抜けてきた主人公達ですが、今作ではついにみんなで手を組むことになります。


いわばオーシャンズ11やミッションインポッシブルのような雰囲気です。


車で解決するのではなく、人で解決しようとするのはシリーズにとっての大きな転換期ですね。


今までの登場人物が全員登場するシーンは否応無しにテンションがあがります。

 

映画の難点


とはいえ僕はこの映画にはあんまりノレなくって。。。。

 

それは、もう単純に《脚本がメチャクチャ》だと思っちゃって。

 

とにかく主人公達の行動が支離滅裂。

 

当初の目的はアメリカ警察から逃げ切るだったはずなんですけど。

 

「生活費が必要だなぁ」→「よし、列車強盗だ!」

 

なんで?!

 

そこから車を盗んでみれば「なんかギャングのマル秘情報を手に入れちゃったぞ」→「よっしゃ!子どもも生まれることだし全部盗んじゃおう!」

 

なんでだ!!

 

終始こんな感じで話が進んで行くんですよねー。

 

脚本がメチャクチャだったのは以前も同じなんです。

 

でも、今回から人間に焦点を合わせて映画を作っている分そういうおかしな点がすごく目立つようになったんですよね。

 

ケイパーものとしてどうなのか

 

映画の途中から、犯罪のプロフェッショナル達が全員集合して金庫を強奪する準備を始めます。

 

ここから観客である自分が望む展開は《計画を練る→いざ相手のところに忍び込んだら、トラブルにあってうまくいかない!→かと思いきやすべては作戦通りでうまくいく!》という過程を見たいわけじゃないですか。

 

ところが今回は《計画を練る→相手にバレる→完全に行き当たりばったりでなんとかする》という話になっちゃってるんですよね。

 

そりゃあないでしょう。

 

一応「実は金庫をすり替えてましたー」みたいな展開はあるんですけど、それがうまくいったのもただの偶然というか。

 

せっかく熱い展開になりそうだったのにもったいない!

 

大好きなRX-7

 

ワイルドスピードシリーズが楽しかったのは、僕はやっぱり《車が主人公だったから》です。

 

特に一作目のRX-7GT-Rが大暴れしていた頃が日本人として楽しくて。

 

日本車がコンパクトなスポーツカーの生産しなくなった背景もあるのでしょうが、大好きな車達のアクションを楽しめなくなったのは僕としてはやっぱり寂しいです。

 

映画としては面白くなっている分、皮肉なことではあるんですけどね。。。

 

これは僕のワガママにすぎませんが。

 

まとめ

今までの作品の中でクオリティは上がったと思いますし、基本的にはシリーズの進化として理想的な展開でしょう。

 

でもそれが全ての人を満足させるわけでもないのだなと。

 

当たり前なんですけどね。

 

とは言いつつもこのシリーズとは最後まで付き合うつもりではいるんですけど。

 

完全に良い意味で頭を空っぽに2時間たっぷり楽しめる映画です。

 

人生を豊かにする映画っていろんな種類があっていいんじゃないでしょうかね。

 

それでは、また。

 


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