映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

蜘蛛の巣を払う女 《分の悪い戦いだった映画》

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映画の点数…74点
ポスターの点数…83点

 

ドラゴンタトゥーの女の続編


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画は《蜘蛛の巣払う女》です。


タイトルだけ見るとなんのことか分からなかったのですが、要はドラゴンタトゥーの女の続編です。


そのドラゴンタトゥーの女自体も紆余曲折あってというか、もともとは原作小説があってそれをスウェーデンで作られていたシリーズをハリウッドでダニエル・グレイグとルーニー・マーラで製作してその続編が………

とまぁ、なんだかよく分かりません。


今となっては《007》とか《バッドマン》みたいに「演じる人は変わるシリーズもの」みたいな感じになってきたんですかね。


ともあれ、やはり一番のヒットは2011年のルーニー・マーラが主演した《ドラゴンタトゥーの女》となるのでしょう。


僕自身もこのドラゴンタトゥーの女が一番好きでして。


恥ずかしながら僕はまだ【中2病】が完治していないのですが、その病気が再び重症化するような作品だったというか。


雪国の冷たい空気感の中に革ジャンにパーカーでカフェレーサーのバイクが疾走する感じがもう、たまらーん!!みたいな感じで。


僕も単車に乗るんですけど、あんな格好で雪国を走ったら秒で死にます。


余談ですが、このルーニー・マーラがまたがる姿に惚れてバイクを買ったくらい中2病は僕を強く苦しめました。


今作《蜘蛛の巣を払う女》はどこまでその傑作に迫れたのでしょうか。。。。

 

うん、まぁ、まぁまぁ!!


結論から言っちゃうと前作よりも面白いとはそりゃお世辞にも言えませんでした。


興行収入的にも大コケだったらしく、続編が作られる可能性すら今は無いような感じです。


とはいえ「こんなのダメだ!クソ映画だ!」とまで言うほど駄作とは思ってなくて、「普通に面白かったよ」くらいのテンションでございます。


世間的な評価が低かったのも、おそらくは「なんだよ!こっちはせっかく中2病ドラッグを貰ってトリップしようと思ってたのによ!!普通の薬出してんじゃねえよ!!」みたいな方々がたくさんいたんではないですかね。


映画の不出来な箇所が大幅に増えたとかではないと思うんですよ。


元々ハッカーが万能すぎるきらいの描写はあったし、リスベットの行動原理もよく分からないし、事件の解決もけっこう偶然を頼りにしてたりもするし。


そういう要素は元からあったものなので、今更そこで戸惑うこともないというか。


原因は他の箇所にあったように思います。

 

キャラクターの魅力


大変失礼ですが、前作のドラゴンタトゥーの女との大きな違いは、やはりキャストの力だと思います。


特にリスベット役のルーニー・マーラ


画面に彼女が映った瞬間から「あ、この人が主役だ」と分かる存在感の強さ、そして突き刺さるような美しさ。


彼女と比較するのは申し訳ないのですが、今回の主演のクレアさんはリスベット役としては見劣りしました(役者としての格の話ではないです。ファーストマンの演技なんかは最高でしたしね)。


ルーニー・マーラが演じている間は気にならなかった問題が、今作ではやたらと気になりだすんですよね。


天才的なハッカーという設定も「この人だったら出来そうだな」という迫力がルーニーマーラにはあるんですけど、クレアさんだと人間味が強すぎてちょっと無茶に思えちゃう。


逆に言えば、今作のテーマである肉親との確信を描くにあたって人間味の表現は出来ていたのかも知れませんけどね。


それが映画の魅力につながっていたかというと疑問ですが。

 

ポスターの感想


映画的には少し残念でしたが、ポスターはなかなかいい出来だと思いますよ。


特に海外版の出来は素晴らしいと思います。

 

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2色印刷なんでしょうか。


赤と黒しか色は使っていないのですが、色の使い方がうまいのでちゃんと雪国らしい寒々しさは表現されているし、キーマンであるリスベットのお姉さんの恐怖感のようなものもうまく伝わってきます。


今作は弱さが目立つリスベットですが、姉にうまいようにやられている雰囲気も出ています。


スタイリッシュが魅力のこの映画シリーズにはピッタリではないでしょうか。


むしろ、映画ポスターに限って言えば過去シリーズも含めて最も良い出来だと思います。

 

日本語版


こちらもかなり良いデザインだと思います。

 

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赤の要素をグッと絞って、キーマンの存在感を引き立てています。


そしてタイトルの表現がかっこいいですね。


明朝体の中でもソリッドなフォントをチョイスすることで、シンプルながら切れ味も感じるデザインになっています。


実際の映画の内容よりも少しポスターの方がサスペンス色が強すぎる点が気になりますが、全体のデザインとしては良いのではないでしょうか。

 

まとめ


ルーニー・マーラという女優によって大幅に映画の重心が変わってしまったのがドラゴンタトゥーの女というシリーズだったのでしょう。


今作はその重力に逆らずうまくいかなかったように感じます。


やりようによっては007のようなシリーズ化もまだ可能だと思っています。


機会があればまた映画化してほしい。。。と思いつつも、それならやはりルーニーマーラで見てみたいというのが本音ですかね。


それでは、また。

 

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