映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

アイアンマン IRONAN 《長い旅路の始まりは主張の控えめなポスター》

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ポスターの点数…65点
映画の点数…78点

 

 

こんにちは、ピースマイルです。


ここから10年以上にわたって続いていくMCUシリーズの第1作。


アベンジャーズ エンドゲームを鑑賞前にあえて第一作目を振り返ってみたいと思いました。


この作品の成功が無ければ、この世にアベンジャーズシリーズというものが存在していなかったことを考えると不思議な気持ちになります。


どれほどの勝算があったのか不明ですが、シリーズの1作目とロバート・ダウニー・Jrに150億円のお金を投入したというのはすごい度胸だなぁと思います。


最近日本でもキングダムが映画化されましたが、原作ファンの僕としては「せっかく映画化するなら、ちゃんと15歳くらいの俳優をオーディションで探せばいいのに・・・・」と思っていました。


日本の映画市場だとそういうギャンブルが打てないというのが現実なのでしょうね。


それはともかくアイアンマンのお話に戻しましょう。

 

平々凡々なポスター


アメコミのシリーズ映画化という大バクチに対し、結果としては590億円くらいのヒットとなったのですが、ポスターワークの方はすごく保守的なデザインになっています。
言い方は悪いですが、特に記憶にも残らないですね。

 

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まず、映画の内容とポスターの内容があまり一致しません。


この映画の大成功の理由の一つは、カラッと明るいという点にあったと思います。


ダークナイトやスパイダーマンなど、その時期のアメコミ映画は「戦う意味とは何か」というテーマを自問し続けた10年でした。


背景にはイラク戦争などの影響もあったのでしょうが、無邪気なヒーローというものに対しての違和感があったのだとは思います。


そのカウンターのように登場したのがこのアイアンマンで、ウジウジ悩む時間は最小限に目の前の敵にドンドン立ち向かっていく爽快感がありました。


この爽快感こそがMCUの魅力でしょうし、シリーズ成功の肝だったように思います。


ところがどうしたことか、ポスターの方からは全く爽快感を感じません。


「戦う意味とは・・・」的な感じでもなく「ヒーロー最高!」みたいな感じもない中途半端さが残っています。


おそらくですが、この時期においてはまだ「この映画をどう売り出すべきか」に悩んでいたのではないかと思うのです。

 


S.H.フィギュアーツ アイアンマン マーク43 約155mm ABS&PVC&ダイキャスト製 可動フィギュア

音楽のないポスター


当たり前ですが、ポスターからは音楽が流れません。


ここがアイアンマンという映画においては重要な点だと思っていて、映画だとブラックサバスやACDCなんかがガンガンにかかるんですよね。


音楽も重低音のド派手な感じ。


この音楽に乗せられて映画も盛り上がっていくわけです。


それを観ながら観客は「お、今までのヒーロー映画とは違うぞ」と思うんですね。


ポスターにおいては音楽は助けてくれないので、今までと違うことを表現するのが難しいよなとは思います。


とはいえやっぱりちょっと保守的すぎたポスターかなとは思いますけど。


せめてロゴデザインでもっと遊んでみたり、スーツだけでももっと目立たせるような作りにしても良かったんじゃないでしょうか。


「なんか子どもっぽいな」と最初に思われたとしても、映画を一度観てもらえば納得してもらえたと思います。

 

映画の感想


アイアンマンを観るのはおそらく7年ぶりくらいですが、思ったより面白くて改めてビックリしました。


当然ストーリーは全部頭に入っているにも関わらず、映画としてのフレッシュさは10年前の当時からあったのだと感心します。


シリーズすべてを通して言えるのは、「ここがカッコイイ場面なんだ!」というシーンは絶対におさえるという姿勢でしょう。


アイアンマンでの具体的なシーンは「アイアンマン!変身!!!」の場面でしょう。


いかにも子どもっぽいシーンではあるのですが、やはりこのシーンでは自分の中の少年細胞が全て沸騰してしまいます。


最近の作品であるキャプテン・マーベルの最大の不満点がまさにここでして、せっかくの変身シーンがかなりサラッと表現されていたんですよね。


やっぱりヒーロー映画において大事なシーンは、変身のシーンであり必殺技を放つシーンであり敵を倒すシーンです。


そこを照れずに描いたことがアイアンマンの成功であり、MCUシリーズの成功だったのだと思います。

 

不満点


不満点もいくつかあるのですが、その代表は敵の描き方ですかね。


トニー・スタークがアイアンマンになっていく課程はすごく面白いのですが、敵対する組織や人物がいまいち整理されていないように感じました。


アフガンにいた組織も具体的に何がしたいのかよく分からないまま退場し、ヴィランである人物も結局何がしたいのかよく分かりません。


そもそもヴィランと敵対する理由もトニーが仕事をいきなり放り投げたことが原因なので、トニーがヒーローと呼べるかどうかは疑問というか。


映画を見終わってよくよく考えてみると、基本的には内輪もめをしていただけであって、世界は特に何も変わっていないなぁという感じです。

 

まとめ


シリーズの一作目にしてすでに全体のデザインが出来ていたというのはまさに驚異的です。


この映画から俳優達も、観客も、そして世界全体の映画が変わっていきました。


そういう映画シリーズは過去に全く無かったと思います。


MCU映画にどこまでの思い入れがあるかは人それぞれとはいえ、この時代をMCUシリーズと過ごせたことは幸運だなと改めて思います。

 

それでは。


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