映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

進撃の巨人 part1、2 《特撮を持ち込んで失敗した映画とポスター》

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映画の点数…合わせて25点
ポスターの点数…35点

 

こんにちは、ピースマイルです。


今回は映画の感想よりもポスターの評価をメインに書いていこうと思います。


映画を観たあとに言えることなのですが、映画の悪い箇所も良い箇所もポスターに既に出てきていると言えるからです。


そういう意味では映画ポスターとしては正しいのかも知れません。


それでいいとは思いませんが。。

 

映画の感想


まず映画の感想を簡単に。


えーーーと、こりゃあひどい。


とまぁ、一言で言うとこうなってしまうんですけどね。。。


前編、後編ともに観たのですが、少なくとも前編の方がかなり良かったと思います。


後編になると「いつ面白くなるのだろう」という不安なままに1時間以上がたってしまい、ちょっと面白くなったらすぐに映画は終わりました。


理由もポスターの感想と共通するのでそちらで説明します。

 

ポスターの感想《特撮を持ちこんだ失敗》


前編も後編も、どちらも基本的には同じ失敗(と成功)をしていると思います。


それは、映画にもポスターにも《特撮要素》をねじ込んだことです。


進撃の巨人という映画をカテゴリーで分けると

 

  • ウルトラマンvs怪獣といった特撮の要素
  • ディストピアムービーの要素
  • 青年の成長物語の要素


などになるでしょう。


「特撮の要素があるんだから、ポスターも特撮っぽく作ってもいいんじゃないの?」となりそうですが、この進撃の巨人に関してはそれではいけません。


日本映画のなかでは潤沢な予算で作られたこの映画は、良くも悪くも「幅広い世代に受け入れられる」ものでなくてはいけなかったはずです。


にも関わらず、映画もポスターも共に特撮映画の要素のみが前面に出てしまっています。


もちろん、いい面はあるんです。


巨人が暴れる特撮シーンに関しては非常に良くできていました。


そしてその分、他の箇所のほとんどがうまくいっていないように思いました。

 

ポスターのデザイン


実際にポスターを見てみると。。。

 

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まず目につく、大げさなキャッチコピー。


読んでもらうと分かりますが、何か大事なことを言っているように見えて特に何も言っていません。


「それっぽい」ことを言ってるだけで、意味はないんですよね。


後編にいたっては、物語の内容にも合っていません。


「今度は人類ががんばる」ようなシーンはないですし。


別に、意味がないことをポスターにのせては駄目ということではありません。


ただしそれは、ポスターを見た人の気分を高めてくれることが前提です。


このキャッチコピーを見ても、多くの方は「はぁ」としか思わないでしょう。


だったらむしろ無い方がいいんですけどね。


こういうキャッチコピーがよく見られるジャンルこそ……そう、特撮映画です。


ゴジラとかとポスターの作りが一緒なんですよ。

 

 

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登場人物達を元気一杯にポスターに配置して、煙やら泥やらで汚しをかけて、大げさなキャッチとタイトルをつけたら出来上がり。


いや、出来てない出来てない。


この明らかな「作られた感じ」が、観客の興味を大きく削いでいると思うんですよね。

 

特撮の詰め込みすぎ


監督の樋口さんは、特撮に強い監督です。


ガメラシリーズやシン・ゴジラという語り継がれるべき名作もたくさん残しています。


そこを買われて進撃の巨人の監督に選ばれた経緯はあったのでしょうが、今回はそこがすでに失敗だったのだと思います。


確かに観客は、暴れ回る巨人の描写を見たいわけです。
すごく見たい。


でも、それだけを楽しみにしている観客では無かったはずです。


ポスターを見てみると分かる通り、シキシマやハンジなどは特に「こんな顔するやつ現実にいないだろ」みたいな表情をしています。


キャラクターの実在感が非常に薄くなっている結果、巨人の暴れっぷりもまた現実感が無くなっていると思うんです。


ポスターにする際には大げさなポーズや表情にするのではなく、あくまでも人間は弱者として描くべきだったではないでしょうか。


そこで初めて巨人という生き物の恐怖が伝わってきます。

 

映画とポスター


映画がなんか駄目だなと思ったら、ポスターも見てみてください。


気付かないところでの共通点が見つかることと思います。


逆に言えば、素晴らしい映画には素晴らしいポスターがセットになることも多いわけですから。


それではまた。

 

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