ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃 《シン・ゴジラまで15年》
映画の点数…60点
ポスターの点数…50点
今回鑑賞したのは【ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃】です。
正直なところ怪獣映画に詳しいわけではないので「白目のゴジラ」とか「第三期の三作目」というくらいの知識しかありません。
鑑賞した理由は、興行収入で健闘したという点、そしてファーストゴジラとシン・ゴジラとの比較のためです。
結果から言うと……自分の「ゴジラ感」とは違ったという感じでしょうか。
ファーストゴジラとシン・ゴジラについて
怪獣ものには特に愛着はないのですが、シン・ゴジラは大好きです。
これも「はやってるから」観たくらいの完全なにわかファンでお恥ずかしいのですが、どの角度からみても素晴らしい映画だったと思います。
そこからちょこちょことゴジラを見返したりしているのですが、時代や監督によって様々なアプローチがされてきただけあり自分の好みに合う場合や合わない場合があります。
その中でも自分がファーストゴジラとシン・ゴジラが好きな理由を考えてみました。
まず「人間を攻撃しない」ということです。
どちらも人間を殺害しているのは間違いないのですが、狙って殺しにくるような描写はありません。
あくまでも破壊が目的であって、人間のことは気にとめていません。
これはファーストゴジラは「核兵器」、シン・ゴジラは「超自然災害」という無慈悲な厄災のメタファーになっているからでしょう。
さらに、ファーストゴジラとシン・ゴジラには共通して「神々しさ」があります。
モンスター、恐竜などというよりは神のような存在に近く、観ているこちらは身をまかせるしかないような美しさすらあります。
この超現実感こそがゴジラの魅力だと、僕は思います。
本作について
では本作「ゴジラ・モスラ・キングギドラ 大怪獣総攻撃」はどうだったのか。
上記にあげたような僕の好きなゴジラの良さはあまりありませんでした。
破壊衝動のみで行動する点は共通に見えるのですが、こちらのゴジラは積極的に人間に攻撃してきます。
「たまたま踏んだ」ではなく「踏もうと思って踏んだ」というような描写が多く、意思をもっていることは明らかです。
その代わりに神の視点を持っている怪獣が、敵対するモスラやギドラとなっています。
ゴジラという破壊者を止める目的にギドラなどが奮闘し、場合によっては力を合わせて戦います。
となると、ゴジラという厄災に対して「神々が助けてくれる」かのような印象になってしまいます。
それをむざむざと観ているしかない人間が描かれているのですが、これが何かのメタファーなのだとしたら自分の好みではないなぁと思ってしまいました。
人間との共闘について
ゴジラの破壊を観ているしかない無力な人間でしたが、最後の最後になって急に人間がおいしいところを持っていきます。
まるで回天などの特攻機にのった人間が「人類なめるな」とばかりにゴジラに致命傷を与えます。
ここで結構冷めました。
ギリギリまで他の怪獣に戦ってもらっておきながら、最後は人間が勝つという構成はどうにも居心地が悪かったです。
子ども向け映画だから別にいいとかではなく、ちゃんと「人間を応援しよう!」という目線にたてるよう丁寧に工夫してあげないと燃えないじゃないですか。
子ども向け映画だからこそ、設定や脚本に注意が必要だったと思うのです。
ゴジラが善であるか悪であるか、怪獣であるか神であるかなどの問題ではなくて、観客の心の誘導に対する設定がうまくいっていなかったのかなと思います。
その他気になった点について
怪獣のディティールは好きでした。
時にギドラは生き物と神様の間のような造形をしていて、古代からいる守り神としてのビジュアルを描けていました。
そういったビジュアル面での健闘を台無しにしてくれたのが、すいません、新山千春さんだったと思います。
描くのが神や怪獣である以上、その他に画面にうつるものは荒唐無稽であってはいけません。
例外もありますけどね(ジョジョとかマトリックスとか)。
残念ながら、この映画にはゴジラ、モスラと並んで新山千春というモンスターも写ってしまっていたのが問題でした。
単純に演技が下手すぎます。
何らかの事情があって映画に出演しなくてはならなかったのは不幸だとは思うのですが、それにしてもまずい。
彼女がセリフを言うたびに、全部が学芸会になっていましたね。
映画とは時としてこういう不幸が起きてしまいます。
ポスターについて
今作ポスターについては、正直良いデザインではないと思っています。
というのも、どっちつかずなんですよね。
キャッチコピーが「生き残るのは誰だ」という威勢の良いものなのに対し、ビジュアルはどこか単調というか怪獣達を並べているだけというか。
そりゃ怪獣大集合なのは分かるのですが、それにしたってもうちょっと工夫があっても良かったんじゃないのかなと思うわけですよ。
キャッチコピーがいつつけられたのかは分かりませんが、もっと怪獣達が本気で命を狙い合っているような迫力があっても良かったと思います。
それではまた。
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