映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

アベンジャーズ・エンドゲーム《ありがとう、アベンジャーズ。今はそれだけです》

映画の点数…96点
ポスターの点数…75点

 

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以下の文章は、オチを含む全てのネタバレがあります。
未見の方は絶対に見ないでください。

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また、フェアな意見でありたいので批判めいた発言もありますが、点数の通り大好きな作品なのは間違いないありません。些細なグチとして思って流していただけたらと思います。

 

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前半(といっても5000字を超えますが)に映画の感想、そのあとにポスターの感想を書いてます。


現時点で当ブログの最多文字数になりましたが、これはもう仕方ないでしょう。


基本的に文字数は2500字前後が個人的にはバランスが良いと思っているのですが、今作に関してはそんなボリュームではとても表現できませんでした。

映画冒頭の【つかみ】が完璧


映画冒頭、ホークアイのシーンから始まるのはとても良かったです。


観客が1年前に味わった絶望を手際よく再確認させてくれるので「サノス!許すまじ!」と一気にテンションをあげてくれます。


そこからの15分くらいは実に素晴らしかったと思います。


インフィニティー・ウォーから1年間、自分なりに何度も「次回作ではこうなるんじゃないか?」という予想をたててきました。

(ちなみに、他の方の予想には全く目を通していません。唯一、クリス(キャップ)がMCUから離れるという情報だけは入ってしまったので、キャップの引退だけは予想できてしまいましたが)


ストーリーについて色々と予想はしていたものの、さすがルッソ兄弟、その予想は完全に外れました


まさかたった15分そこらでサノスが絶命するなんて。


そこから5年という歳月を設けるのはとても良かったですね。


それぞれのキャラクターの弱さがむき出しになる時間(ソーやホークアイ)、大切なものが何なのか明確になる期間(スターク、ナターシャ)がより際立ったと思います。


ホークアイが東京でジャパニーズヤクザと戦うシーンはちょっと笑っちゃいましたが。


ヤクザ達はカラオケしてたのかなぁ?カラオケ屋から吹っ飛んできたように見えたけど。


スタークに子供が生まれるという展開自体は前作で予想がついていたので驚きはしなかったのですが、それはエンディングになるだろうと思っていました。


それが開始まもなく子供が登場するということはつまり・・・・・でもまさかあのような結末が用意されてるとまでは思ってませんでしたけど。

 

映画が終わってみて振り返ってみると、やはりキャップとスタークとのお別れを予感させるシーンがたくさんあったことが分かります。


でもまさか二人とも退場とは思っていませんでした(もちろんナターシャも)。


そんななか、映画全体を通してスコットがお笑い担当になってくれたのは良かったですね(写メのシーンや、サンドイッチのシーンでは声をあげて笑いました)


暗いトーンの映画に無理やりコメディシーンを入れているという印象はあったんですけど、スコットがいなかったらもっと暗い暗い映画になってたと思うので。


それにしても(俳優は違うけど)ブルースバナーはこの11年で何があったのかというくらいキャラが変わりましたな。

 


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退屈さも感じた中盤


ところが、映画としてはここからかなり減速したと思っています。


「6個の石を泥棒作戦」が開始するわけですけど、ごめんなさい、結構退屈でした。


やりたいことは分かるんですよ。


「スタークがお父さんと向き合う」というシーンや、「キャップが恋人と再会し、自分の人生を問い直す」シーンを入れたかったのでしょう。

それが最終盤での伏線になっていることは十分に理解できます。


でも、ちょっと大人の事情が見えすぎるというか。


「ソーはおそらく、お父さん(アンソニー・ホプキンス)と会話した方が良かったんだろうけど、出演交渉がうまくいかなかったのかな」とか「キャップvsキャップとか、豪華な場面を挟み込みたかったのかな」とか「ティルダを出演させるためにブルース・バナーとの会話シーンがあったのかな」とか。


正直、6個の石が集まるのは予想できちゃうじゃないですか。


だからこの周辺のシーンは「早くすすんでくれないかなー」と思ってました。


ハルクがトニーにぶつかるシーンとかどうでも良かった。。。


ロキをファンサービス的に出したかったのは分かるんですけど、せっかく前作で悲劇的なお別れをしたんだから、むしろ出さないくらいの方が良かったかも(どうやらスピンオフの都合上、復活を予見させるシーンが必要だったようですね)。。


何よりも飲み込みづらかったのは、ソウルストーンの入手の仕方です。


ホークアイとナターシャの「生きる方譲り合いバトル」は、確かに泣けるっちゃ泣けるんですよ。


でも「最愛のもの」ルールが良く分からないというか。


ホークアイの最も大切な人って、やっぱり自分の家族でしょう??


なんでナターシャが死んで石が手に入るんだろう。。。


「今生きてる人限定」ということなのかな。


だとしたら、例えばサノスの悲劇からの5年間、やさぐれたホークアイとナターシャは慰め合うように恋人関係になるとか設定を加えた方が良かったんじゃないですかね。。??


アベンジャーズ的ではないですけど。


ナターシャとのこのシーンがあったせいで、せっかく本当の家族と再会したシーンもなんとなく冷めちゃう気がするんですけどね。。


ブルースとナターシャだったらこの場面にピッタリだったと思うんですけど。。。

前付き合ってたし。
でも、そしてらまたホークアイの出番が減ることに???


うーん、やっぱりイマイチ納得いかない。


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ぶっ壊れた涙腺と決闘シーン


さて、愚痴めいたことは一旦忘れて、ストーンが集まったあとはまた映画が楽しくなります。


ブルースの指パッチンで「ついにみんなの命が蘇った」という希望のシーンからのドーーーーーン!!!!という空爆絶望シーン。


命が蘇ったシーンを、庭の小鳥のシーンでさりげなく演出するあたりもセンスが光ります。


だからこそ直後の爆撃シーンでは本気で「サノス!やはり許すまじ!!!」と思います。


あの鳥達は死んだのかな!? ムカつくわーサノス。


ルッソ兄弟はこのへんの緩急のつけ方は本当にうまいですねー。


ここからしばらくいわゆる「アベンジャーズ初期メン」が活躍するんですけど、明らかにキャップだけ実力が足りていません。


前作が公開された時も、キャラクターの強さのインフレにキャップが追いついていなくて不満を感じていました。


前作は明らかにソーが優遇されていましたからね。


でも今回!!でも今回!!!!!!!!


ついにキャップがハンマー・ムジョルニアを武器にサノスに立ち向かいます。


思えばエイジ・オブ・ウルトロンからその片鱗はあったんですよね。


あの映画の時点でこのシーンを考えていたのだろうか。。。?


だとしたらマジでどうかしてるよMCU。


このへんで僕の涙腺にヒビが入り始めます。

キャップが格好よすぎて。


【ムービー・マスターピース】『アベンジャーズ/エンドゲーム』1/6スケールフィギュア キャプテン・アメリカ

 

でもそこから再びピンチに陥る初期メン達。


空気読めよサノス。もうタイタン帰れ。


しかしそこに聞こえるサムからの通信。「左を見ろ」


かーーーーーーらーーーーーーのーーーーーーーー!!!


ブラックパンサー登場の「コクッ」シーン。
無言の「全部分かってる」感。

何それカッコいい。

え、何なのそれ超カッコいい。


5年の歳月を超えて集まってくるヒーロー達。


ピーターパーカーaka.《坊や》が登場したシーンで僕の涙腺が壊れる音がしました


生きている!坊やが生きている!!!!


いや待て、泣いたらダメだ、しっかりと映画を見るんだ僕よ。


せっかく高い金払ってIMAX 3Dで鑑賞してるんだ。元をとるんだ。

 

そんな僕の決意をよそにキャップの掛け声


「アベンジャーズ!アッセンブル!!!」


からのアベンジャーズメインテーマがどーーーん。


はーい、もう、おしまいおしまい。


ここから3分くらい、涙であんまり映画が観れていません。


涙腺どっか飛んでった。


口の中はカラカラだ。目の奥が熱いんだ(feat.FF7)


MCUが11年かけて集めた友達を全員呼んでの大同窓会、というかパーティー、というか結婚式です。


そこにお呼ばれした僕たちは、もう目の前の光景が幸せすぎてどうかしちゃう。


結婚おめでとう!!


3Dメガネをしていたはずなんだけど、目の前が滲んじゃってもはや全部飛び出してきてたよ。


さすがに全キャラに見せ場はないけど、それでもチラッと登場シーンは用意してあるあたりの演出はお見事です。


できればアベンジャーズらしく最後は青空の下で決闘してほしかったけど、これ以上ワガママは言うまい。

 

もはや涙がかれた、決着


ただ、分かってる。心のどこかでは分かってる。


このまま全てうまくいくわけではない。


そんな生易しい敵ではないことは前作で思い知らされている。

 

サノスを倒すにはどうしたらいいのか。


絶対的な力を持つ相手に対して、どう決着をつけるのか。


それを果たしたのは彼でした。

一番期待していた場面でもありながら、一番望まない形で。

アイアンマンが文字通りのピリオドを打ちます。


その決着の方法こそが「I am IRONMAN」という一言でした。


このセリフには、色々な意味や伏線の回収を感じます。


まずはこの映画内での「6つの石泥棒作戦」という伏線がここで回収されるということ。


そしてまさか11年前のアイアンマン1作目のセリフがここで回収されるということ。


さらにこの言葉の裏には、「どんなに強大な敵であろうと、自分自身の努力と才能と科学の力で超えてみせる=人類をなめるなというトニー・スタークらしいメッセージが込められていると思います。


この軽やかさこそが、MCUシリーズの最大の魅力だと改めて思います。

 

でも軽やかなだけでは今作は終わってくれませんでした。


ここから映画が終わるまで、もうまともに映画を観てられません。


もっとも自分が観たくないシーンをただただ観ているしかないのですから。


何度も、「スターク!映画的にクソな展開でも何でもいいから、とにかく生き返ってくれ!」と思いました。


スタークが絶命していくまでの表情、ペッパーの言葉の重さ、ピーターパーカーの涙。


少し距離をとって後ろから見ているしかないキャップは、あの時何を考えていたのだろうか。


言葉少なに粛々とトニーとのお別れはすすんでいきます。


そんな中、数少ない会話のシーン。葬儀において

「何を食べたい?」「チーズバーガー」

というシーンだけで涙が出てきます。


まさか自分の人生で「チーズバーガー」という言葉で泣く日がくるとは。


たまたまではあるのですが、アイアンマン1作目を直前に見直しておいて良かったです。


今後アイアンマンを観るときに、チーズバーガーを食べるシーンだけで泣いてしまうかも知れない。


ああチーズバーガー。


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ありがとう、アベンジャーズ


途中から気付いてはいたのですが、エンドゲームという映画のテーマの一つは「アベンジャーズ初期メンが、それぞれの人生に決着をつける」というお話でもありました。


ナターシャは「家族」を想い絶命し、

ホークアイはその悲しみを背に家族の元に、

バナーは右手を引き換えに死者を救い出し、

ソーは運命のレールから外れて自分の旅路へ、

トニーは3000回の愛してるというメッセージと共に宇宙を救う。


最後に残されたメンバー、キャップのシーンで映画は締めくくられます。


時空を超えて宇宙を救ってきたキャップが、ようやく、ようやく自分の人生を取り戻しました。

バッキーとサムは、そんなキャップを見て本当に幸せそうでした。

サムのベストアクトだったと思います。

 

3時間超えの映画が、

いや、11年かけて作られた映画が、

いや、70年という歳月を超えた映画がようやく終わります。


70年前に交わしたダンスの約束を果たして。

 

エンドロール


ようやく終わった。ちょっと泣きすぎて頭痛い。さあ帰ろう。


と安心してたら・・・・・・・またやらかしてくれたよ、この映画


スタッフロールでのアベンジャーズ初期メンのあの演出とあの音楽。
反則でしょ。


やっていいことと悪いことがあるだろMCU。


最後にまた涙がとまらない。


隣のおばちゃんも泣いている。


体調が悪かったらマジで倒れかなねいよこの映画。

 

というわけで、とにかくアベンジャーズ、ありがとう!


ありがとうスターク、ありがとうキャップ!


もう本当それだけです。


ありがとう!


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最後の最後のワガママ


さて、ここから再度、映画に対して批判的なことも書いていきます。


でも、それも愛ゆえだと思ってください。


色々言ったところで、アベンジャーズへの感謝は全く変わりません。

 

僕はサノスという強大な敵に対して決着をつける方法は、3パターン予想していました。


1、力のぶつけあいで、サノスを倒す
2、サノスの考え方を改めさせたうえで倒す
3、サノスが考えを改め、自らストーンで生命を復活させる
というものです。

 

できれば、1というパターンは避けて欲しいと思っていました。


でないと、再びサノスのような考え方を持った敵が現れた時、やはりケンカでしか解決できないということになってしまいます。


ですが残念ながら、結果としては「力でねじ伏せる」というパターンに近い形での解決になってしまいました。


サノスは絶命するときに「俺が間違っていたのか」とは思っていないようでした。


むしろ「やれやれ、バカばっかりだ」くらいの気持ちだったように思えます。


アベンジャーズという集団に力では負けたけど、精神的には敗北してないんですよね。


それはそれでサノスという頑固なキャラクターの魅力ではあるのですが、あの結末では今まで命を失った人たちが報われないなと思ってしまいます。


ヴィジョンとかナターシャはまだいいけど、なんか誰もヘイムダルのこととか思い出してないでしょ笑

 

 

それと、キャプテン・マーベルという存在についてです。


彼女のキャラクター(役者の魅力含む)は大好きなのですが、映画においては結構ノイズでしたね。


強すぎます笑


彼女が出てくるとあらゆることが勝手に解決しちゃうので、前作のソー同様、「勝手に暴れ回らないように」設定を加えるしかなくなるんですよね。


ソーの場合は「ハンマーが壊れる」という設定で制限をかけてましたが、マーベルに至っては「ちょっと遠くに仕事で出張にいっている」という設定でした笑


いくらなんでも大人の都合すぎるでしょう。


エンドゲームが終わってからじっくりマーベルを登場させても良かったんじゃないかなーと思ってしまいます。


多分だけど、マーベルならストーンガントレットを使って指パッチンしても「あら、ちょっとビリっとしたわ」くらいで済んだんじゃ・・・・・・いや、これは言うまい。。。


ドクター・ストレンジが言ったんだからあの方法で間違いないはず。。。。

 

 

まぁあとはタイムトラベルの矛盾点とかそういうのにツッコミだしたらキリがありません。


「同窓会なんだから!死んだ人に会うならタイムトラベルしかないだろ!」ということなのでしょう。

ポスターの感想


僕はこの映画を観る際に可能な限り情報をシャットアウトしました。


その中には映画ポスターも含みます。


普段こそ映画ポスターをまじまじと観察してから映画を観るのが楽しみではあるのですが、エンドゲームに関しては少しでも予想がつくようなことをしたくなかったんですよね。


それでも「あ、ホークアイがいる」くらいは分かってたんですけど、チラッチラッと流し目で見るくらいにしていました。


結果としてはあまり神経質になる必要は無かったように思います。

 

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ソーやマーベルは髪型が映画冒頭の少ないシーンのままですし、バナーも人間バージョンのバナーです。


5年の時間が流れるというのをこのポスターから読み解くのは難しいでしょう。


キャップがお馴染みの盾を持っていることはネタバレと言えるとは思いますが、これを見て「なんだよ!どうせトニーと仲直りするんだろ!」とまで怒る人はいないんじゃないですかね。


そりゃ仲直りするに決まってんだろ笑


ポスターの初公開時にオコエ役のダナイの名前がポスター上部にクレジットされていないことが「黒人差別か!?」と問題になっていたようですが、実際のところは単純に出番が少なかったからそうなっただけだと思います。


なんならポスターから外してもいいくらい出番は少なかったですね。


ロケットもだけど。


ソーとオコエのみが右側を向いていることが何か意味ありげにも見えますが、これはミスリードを狙ったものでしょうか。


特に意味はなさそうに感じます。


今回のポスターは、とにかくネタバレを防ぐのに苦労したのだろうなと思います。


ナターシャは、映画内では考えられないポーズでポスターにおさまっています。


少しでも映画の内容を予感させる要素は全て排除されているようですね。


映画のポスターとして素晴らしいとは言いません。


実際、「何も言っていない」ポスターであるのと同じ意味ですからね。


ですが、映画を最大限に楽しんで貰うための配慮という点においては、これ以上無い制作側からの気遣いでしょう。


ありがたいことです。


映画を見終わって改めてポスターを見ると、キャップとスタークの表情だけで泣けてきますね。


というわけで、映画の性質上仕方ない部分はあるのですが、映画ポスターの感想としては「無難に仕上がるしかなかった」と言えそうです。

 

いやー、実に7000字を超える感想になってしまいました。

読んでいただいてありがとうございます。

 

まぁ僕以外にも感想をブログで書いてる方は山ほどますし、ようやく僕も他の人の感想に目を通せるので楽しみにしているところです。

 

それでは。

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