アルカトラズからの脱出 《正統派なはずなのにうまくいかないこともある》
映画の点数…76点
ポスターの点数…87点
こんにちは、ピースマイルです。
今現在、脳みその97%くらいを【アベンジャーズ・エンドゲーム】が支配しており、まだそのクールダウンが終わっていない状態です。
なので今回は、少し軽めな作品をリハビリがてらレビューしたいと思います。
クリント・イーストウッド主演【アルカトラズからの脱出】です。
正統派なはずなのに
アルカトラズを舞台にした映画はいくつかあって、【ザ・ロック】や【告発】あたりが有名だとは思うのですが、特に【告発】の方は名優ダスティン・ホフマンやケビン・ベーコンの演技もあって歴史に残る一作だと思います。
もちろん今作【アルカトラズからの脱出】も既に名作の一つではあるのですが、どこかノリきれない気持ちのままの映画鑑賞になりました。
映画の作りにおいて、おかしな点はほとんど無いように感じましたし、極めて正統派な作りなんです。
正統派なはずなのに、何故かうまくいっているように思えない。
そのあたりの理由を探ってみようかなと思います。
映画の視点
この映画を観る際に、どのような姿勢で向かい合うかによって映画の評価は少しずつ変わるように思います。
- アルカトラズという、非人道的な施設を描いたという視点
- イーストウッド主演映画としての視点
- 脱出映画としての視点
ただ残念ながら、いずれの面においても突き抜けた魅力がないように感じました。
まず、アルカトラズの描き方が弱いと思います。
「ここにいたら死んでしまう!!」とか「絶対に逃げられない!!」というのをもっと強調しないと、必然的に「脱出映画としての視点」の部分も弱くなってしまうんですよね。
別に史実以外のことを表現してほしいというわけではなく、演出で見せる方法もあったと思います。
イーストウッド映画としても少し弱いです。
もともと何を考えているのか分かりにくいことを表現するのが得意な俳優ではあるのですが、今作ではいよいよ何を考えているのか分かりません笑
「仲間のために立ち上がる」でもなく「絶対逃げ切ってみせるぜ」でもなく「怖い、もうここから逃げたい」でもなく。
おそらく「そもそも刑務所というものは、逃げるためにある」くらいの振り切った性格の持ち主なのでしょうが、それにしたってもう少し感情移入しやすい表現はあったように思います。
脱出映画としての魅力
僕がこの映画で一番気になったのは「あれ、なんかワクワクしない」ということでした。
不謹慎かも知れませんが、脱出もの映画というジャンルには不思議な「楽しさ」があります。
例えば「SAW」シリーズなんかは、極端なバイオレンス描写とタイムリミット構造が魅力的でした。
「CUBE」や「パンズラビリンス」はSF的な要素が強かったですね。
「アルカトラズからの脱出」も「バレるかバレないか演出」などのうまさは光っていたのですが、なぜかワクワクしない。
この映画に欠けていたのは「チーム感」だったのではないかと思います。
映画の中では4人(プラス何人か)で脱出を計画するのですが、せっかくチームを組んでいるのにキャラクターの描き方が甘かったりチームとしての協力関係が描かれていないんです。
そこをしっかり描きこまないと観客であるこちらも「頑張って脱出してくれ!!」という気持ちにならないんですよね。
大脱走
アルカトラズからの脱出が面白くなるのだとしたら、すでに15年前の名作がヒントだったと思います。
スティーブ・マックイーンの【大脱走】です。
大脱走の魅力は、脱走ということを極めて明るく楽しく描いていることです。
もちろん「戦争捕虜」の脱走と「犯罪者」の脱走では意味合いが違うのは当然なのですが、「命の重さ」という点では実は明るく楽しい【大脱走】の方が上です。
明るく楽しく、みんなで仲良く愉快な音楽に合わせて脱出しようとしているのですが、ひとたび見つかればその場で殺害されるという恐怖もきっちり描いています。
映画が楽しく明るいほどに、死の匂いも強烈になってくるからこの映画は素晴らしいんですね。
アイデアをパクってほしいわけではないのですが、このバランス感覚を【アルカトラズからの脱出】にも取り入れてほしかったなと思いました。
ポスターの評価
ポスター自体は必要な要素を散りばめただけでもあるのですが、レイアウトの素晴らしさが目を引きますね。
あえてイーストウッドは小さめに、巨大な壁をこじ開けていく様子をタイポグラフィーとうまくバランスをとりながらまとめています。
僕もそうなのですが、パソコンでデザインをしているとついつい「作りながら消したり足したりする」ことをやりがちなんで完成図まで見越した上でデザインされていることが分かります。
技術の発展自体はとてもありがたいのですが、作り手側ももっとイメージをきちんと描いてから作業しなきゃなぁと当たり前のことを思った次第です。
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それでは。
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