エイリアン ALIEN 《これぞ名作映画ポスター》
映画の点数…72点
ポスターの点数…90点
こんにちは、ピースマイルです。
宇宙映画というものやSF映画に特別な思い入れは特にないので、今までエイリアンシリーズを意識したことってそんなに無かったんですよ。
「映画が好きなんですよねー」とか人に言いつつ、まさかエイリアンをよく知らないというのも恥ずかしいなと思い、とりあえず一作目を観てみることに。
子どもの頃にテレビで観たことがあるはずだから、思い出せるシーンもあるだろうと思ったのですが。
まさか、何一つ記憶に残っていなかった自分にガッカリですよ。
というわけで、40年の時を経てエイリアン初鑑賞という暴挙のレビューです。
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映画ポスターの感想
映画の内容は73億人くらいの人がみんな知ってると思うので、映画ポスターの話を先にしようと思います。
タイトルデザインについて
まず、映画冒頭に効果的に表現される【ALIEN】というタイトル文字。
これがそのままポスターにも使用されているのですが、限りなくシンプルな表現でありながらとてもセンスが良いですね。
77年のスターウォーズや未知との遭遇など、この時期に多かった宇宙映画のタイトルはいずれもセンスが良く40年たった今でも完全にそのままで通用するデザインです。
あ、スターウォーズのロゴデザインは、公開時より作り替えられているようなのですが。
タイトルデザインの工夫としては、極端に文字間をとることにより巨大で寂しい空間演出ができています。
スターウォーズなどと違いエイリアンでは基本的に孤独感のある閉鎖的な雰囲気の映画なので、このタイトルデザインのおかげで「逃げ場のない宇宙感」がうまく表現されています。
メインビジュアルについて
「何かの卵から、何かが生まれている」というのはパッと見てすぐに分かるんですけど、これだけの情報で映画に興味を持たせるというのは大変な技術です。
明らかに「自分が遭遇したくない何か」が誕生しているという予感があるんですね。
当然そこには細かい工夫がいくつもされており、シンプルだからこそ繊細なデザイン力が求められる場面です。
まず、光の当てかた。
かなり強めに明度差のある光の当て方がしてあって、これが宇宙や月を連想させるのと同時に「正体が完全には見えない不安感」を演出しています。
そこからあふれ出る緑の発光体に目が行きがちですが、光を強調するためには闇の演出もとても重要です。
ちょっと遠目からポスターを観ると分かるのですが、ポスター内は85%くらいは真っ黒みたいなイメージなんですよね。
だからこそ、見せる情報というのにはとても気を配らないといけないわけです。
卵の下にある、綺麗に整列したボコボコもとてもいいデザインですね。
このポスターを観る時点ではこれが何なのかは分からないはずなのですが、何故か気持ち悪いと感じる。
このような「綺麗にデザインされているが手作り感のあるもの」というのは、蜂の巣であったり蜘蛛の巣であったり蟻の巣であったりと案外身近にあります。
このような潜在的な不快感を刺激してくるあたりがこの映画全体のデザインの良さだと思います。
最後に、卵の割れ方にも注目したいです。
見落としがちですが、この中で一番不自然なのは卵の割れ方とも言えます。
普通卵というのは、側面から上に割られて生命が誕生します。
卵が割れるイラストを思い出してみると分かりますよね。
上に割れるだけで「よっしゃー生まれたぞー!」というポジティブな感じがするのです。
ですがこの映画ポスター内では、側面からゾロリとこぼれ落ちたような割れ方をしています。
いかにも「人知れず悪いものが這い出てきた」という印象です。
卵の割れ方ひとつをとっても、繊細なデザインがされているなという感想です。
キャッチコピー
日本版、英語版ともに「宇宙では、あなたの悲鳴は聞こえない。」というキャッチコピーがつけられています。
このコピーだけとっても「この映画はとても孤独で閉塞的な場所での事件なんだな」というのが分かります。
まぁそもそも宇宙で音がするかどうかという点は置いておいていいコピーです。
不満点
一応不満点も二点だけ書いておきます。
ひとつは、日本語版ポスターのタイトル文字。
なんでこんなに肉太のデザインにしちゃったんだろう。
上記であげたように、このポスターのキモは孤独感のあるタイトルデザインにあります。
それを何故ギチギチで肉太で書いちゃったのか。
映画を観ないままにデザインを求められたのかなと疑ってしまいます。
もう一点は、ギーガーのデザインをもう少し取り入れるべきだったかと。
H・R・ギーガーは言わずと知れたエイリアンと映画全体のデザインを担当した方ですが、ギーガーのデザインの素晴らしさの一つは「ぬめっとした不快感」にあると思うんですよ。
エイリアン本体のデザインも、性的な部位を連想させる不気味な造形とともに、ぬめぬめと気持ちの悪い質感をもっています。
この要素を少しでもポスターに取り入れた方がより効果的だったのではないかと思うわけです。
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映画の感想
これだけの有名作ですので感想も何もないんですけど。
この手の映画に必ず必要なものが一つあると思っていて、それはクリーチャーのデザインです。
「当たり前じゃねえか馬鹿」と思われるかも知れませんが、そうとしか言いようがないんですよね。
もう少し具体的に言うと、「神がデザインしたものに見えるか」ということです。
その点において、エイリアンは完全に成功していると思うわけです。
ギーガーのデザイン抜きにしてこの映画を語るのも意味がないなと思っていますし、リドリー・スコット監督も別にそれは否定しないのではないでしょうか。
映画制作時にはデザインへのこだわりが強すぎて制作陣と揉めたというエピソードもありますが、そのケンカの甲斐もあって今もこうして40年続くシリーズになっているのですから結果オーライ。
この「神がかったデザイン」がないと、映画の説得力がどうしても無くなってしまうんですね。
成功例で言うと、ゴジラやダースベイダーだと思うんですけど。
失敗例は、クローバーフィールドのあいつとかかな。。。
とにかく、やはりこの映画の特徴をあげるのならばデザインの力というものがほとんどを占めると思っています。
リドリー・スコット監督のことを評価していないわけでは全くなくて、あくまで比重の問題なんですけどね。
全く飽きずに楽しめた2時間でした。
それでは。(雑な終わり)
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