映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

ガメラ2 レギオン襲来 《平成にお別れをしよう鑑賞》

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映画の点数…76点

ポスターの点数…70点

 

こんにちは、ピースマイルです。


今回は【ガメラ2 レギオン襲来】を鑑賞してみました。


鑑賞したのは平成31年4月30日でして、平成最後の日に何か映画を観るとしたら何にしようかなぁと考えた結果ガメラになりました笑


別にふざけているというわけではなくて、


理由1、所謂【平成ガメラ】と呼ばれるシリーズであるため
理由2、ガメラや宇宙怪獣という【厄災映画】を観たかったため
理由3、平成までギリギリ残っていた特撮に対するお別れをするため
理由4、そのわりに、不思議とポスターの方向性は今もあまり変化していないため


という理由から鑑賞しようと思ったわけです。

 

厄災映画


平成という時代を振り返った時に、自分が最初に思いついた言葉は【厄災】でした。


コトバンクによると厄災とは【ふりかかってくる不幸なできごと。 わざわい。 災難。】だそうです。


阪神・淡路大震災と東日本大震災という日本に壊滅的な被害をもたらした天災は当然のことながら、オウムによるテロリズム、数年に一度繰り返される無差別殺人事件など、「ある日突然やってくる不幸」に右往左往させられた31年間だったなと思うわけです。


ガメラ2 レギオン襲来の公開は1996年で、阪神・淡路大震災の翌年のことでした。


その後撮影監督の樋口さんは東日本大震災の後にシン・ゴジラを監督することになるのですが、平成という時代に二つの「怪獣」が映画に引っ張り出された理由は偶然なんかではないし、ある意味では悲しいきっかけがあったわけです。


怪獣映画というジャンルものから日本の側面が浮かび上がってくるのも非常に面白いです。


ある意味においては極めて真っ当に映画的な映画であると思いますし、心に訴えるものはもしかしたらアベンジャーズなんかよりも上なのではないかと思ったりもします。 

 

特撮の最後


先に悪い面、というか仕方の無い部分なのですが感想を述べると、特撮箇所は正直しょぼい箇所は目立ちます。


静止画におけるミニチュアの作り込みには感動しますが、動きのある映像になるとさすがにチープさに目がいってしまいます。


考えみればこの時代、すでにジュラシックワールドでフルCGの恐竜は実現していますし、トイストーリーでフルCGの映画も完成しています。


予算が違いすぎることは百も承知で、この時期からの10年間で観客の目は完全に「CGありき」になっていったわけです。


ここから先の特撮は「予算の問題」か「あえてそうしているか」に限定されていき、昭和と平成という時代の遺産となっていきました。(こういうこと書くと怒っちゃう人もいると思うんですけどね)


特撮は古くなり、かといってフルCGにするほどの予算はないのだとしたら、令和という時代の厄災映画はどのようになっていくのかなと心配です。


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逃げなかった映画


ここからは褒める部分ですが、とにかく偉いのは制作陣がこの映画から「逃げなかった」点だと思っています。


「怪獣が暴れる映画」というジャンルものでありながら、子どもでも大人でもきっちり楽しませるという信念を強く感じました。


小手先の設定や映像的な演出から一切逃げずに、レギオンやガメラという生物は本当にいるのだと監督達が信じ切って作ったのでしょう。


特に前半はとても面白かったです。


謎の宇宙生物の正体を探っていく過程をきちんと理論立ててじっくり描いていくのもリアリティがありました。


場合によっては「自衛隊」「警察」といった大枠で動く部分と、役割を一つにまとめたキャラクターを用意して動かすなどの工夫も見やすかったです。


それにしても自衛隊と警察の衝突のシーンや、憲法九条の再解釈の部分などは当時の子ども達はどんな気持ちで鑑賞してたんだろう。。。


最後こそちょっと怪しかったですけど、基本的には敵を倒すのもちゃんとロジックを用意しているのも良かったですね。


劇中、仙台がはっきりと消滅してしまうのですが、その壊滅させっぷりも逃げていなくて好感がもてます。


このへんはシン・ゴジラにも引き継がれているのですが「壊滅させるなら徹底的に壊滅させる」という姿勢はとても大事だと思います。


そのうえで、「いつかガメラが敵にまわることもあるかもよ」という終わり方にするのもいいですね。


令和の時代だって、「厄災と向き合う」ことは不可欠なのですから。

 

水野美紀の存在


それにしても終始謎だったのが、水野美紀というキャスティングです。


キャラクターとしては「おっとりしているが柔軟性のある発想のできる女性」みたいな感じなのですが、なぜか「エロ担当」もまかされてるわけです。


意味も無くミニスカートだったり、シャワーシーンがあったり、男性を部屋に連れ込んだり。


そりゃ観てて可愛いんですけど、誰に対するサービスだったのかよく分からなかったですね。

なんでソファで足を組んでいたのか。

AVのオープニングみたいだっ・・・・・・まあいいや。


それが逆に面白かったんですけど。

 

ポスターの評価


映画ポスターが、今から考えるとけっこう興味深いものがあります。

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ポスター自体はけっこう「セオリー通り」というか、特殊なことはやっていないんですけど。


ただ、映画のルックス自体はこの25年くらいで途方も無く進化しているのに対し、映画ポスターはそこまで変わっていないというのが面白いです。


もちろんいつの時代も4色印刷の平面デザインという制約があるので、進化に限界はあるんですけど、ほとんど変わっていないなと。


2015年からのスターウォーズやアベンジャーズのポスターもやっていることは同じですからね。

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結局いつの時代も、ファンタジー色やSF色が強まるとカウンターとしてこのような手描きルックなポスターが重宝されるということなんですね。

 

平成の終わりと、昭和から続くふたつのものが同時に見えてきた一作でした。


それでは。


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