ハングオーバー!シリーズ《シリーズもののジレンマポスター》
ポスターの点数…60点
映画の点数…75点
クレイジーコメディの金字塔
結婚式前夜、羽目を外したパーティーを開催した親友3人+1人。
朝目覚めると前日の記憶はまったく残っておらず、あげく花婿もいなくなっている。。。
アメリカのみならず世界中でヒットとなったハングオーバー!シリーズ、僕もとても楽しく観てきた作品ですが、シリーズはとりあえず3作目で幕をおろしました。
説明するまでもなく、コメディ映画ほど良質なコンテンツを作ることが困難なものはなく、ましてやシリーズ化するなんてそれだけで十分な功績だと思います。
映画の内容はまた後ほど触れるとして、まずはポスターワークから映画を振り返っていきます。
ポスターもまた、シリーズ化というものが困難なものだと気付かされます。
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第一作目ポスター
シリーズ第一作目のポスターです。
この時点では続編があることは決定していないので、自由にポスターを作ることができます。
ポスターの方向性としてはシンプルです。
メインキャストの三人がこちらを向いて自己紹介をしています。
この時点でブラッドリー・クーパーが最後列にいるのは感慨深いですね。
一作目公開時点(2008)ではほぼ無名だったというのが今では信じられません。
あとの二人はポスターの時点ですでに様子がおかしい(歯がない、赤ちゃんを抱えている)のが見て取れます。
背景の黄色といいタイトルの雰囲気といい、「この映画はコメディですよ」とちゃんと宣言しているのが潔いですね。
ちなみにアメリカ版のポスターはこちらです。
全体の構図は同じですが、タイトルの表記が大きく違います。
フォントはフーツラですかね、シンプルな文字だけのタイトルはとても洒落てはいますが、正直日本版の方がよりコメディ感があって良いのではないでしょうか?
舞台がラスベガスという雰囲気も、日本版の方がよりストレートに伝わります。
第二作目ポスター
二作目になると、急に制限が出てきます。
一作目と全く違うポスターにしては観る方が混乱しますし宣伝になりません。
よって「構図は似ているが、よりエクストリームな状況になっている」といった方向を目指します。
主人公達は明らかに前回ポスターよりも絶望度が大きそうです。
タイトル文字も傾いて倒れてきており、主人公達の置かれている状況のまずさを引き立てています。
画面全体のトーンもかなり暗めになっており、前作よりもひどいんだぞということを感じますね。
ただし、かなり不満な点もありまして、それはサブタイトルです。
「史上最悪の二日酔い、国境を越える」とついています。
僕はてっきり、「酒を飲んで目が覚めたら外国に行ってしまっていた」という状況を予想したんですよ。
それなら面白そうだと。
でも実際は、そもそも最初から外国(タイ)で結婚式をあげるという話であって二日酔いで行くわけではありません。
このへんちょっとタイトルの付け方としてどうなのかなと思います。
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第三作目ポスター
映画の内容自体がシリーズ最終作である前提で作られていることに応えて、ポスターもまた最終作仕様になっています。
主人公達は喪服を着ており、タイトル文字もモノトーンに変更されています。
これは明らかに「シリーズへのお別れ」を意識したものですね。
主人公達の表情も明らかに今までと違い緊張感があります。
意味ありげにハンマーを握っていたり、背景にベガスの風景がうつっていたりとなんとなくの映画の状況説明はしていますが、あくまでも添えられいる程度です。
すでにお気づきかもしれませんが、ブラッドリークーパーはシリーズを重ねるにつれだんだんとポスターを占める割合が大きくなっていっていますね。
三作目では「私が主人公です!」というくらいの主張があります。
(実際の映画内ではむしろ目立たない側の役どころなのですが、サボらずにやり遂げているのは偉いと思います)
映画の内容が前二作とは構造が大きく異なるため、ポスターの印象も大きく変えたのは良い判断だなと思います。
ただし、やはりサブタイトルとキャチコピーが良くないですね。
「最後の反省会」と「もう しません」とありますが、本作では今までと違いトラブルに巻き込まれるという話です。
前二作のように「自分たちが酔っ払いすぎたのが悪い」という内容であればこのコピーで何ら問題ないのですが。
これではあきらかに観客をミスリードしていますね。
コメディというジャンルは、出す情報や出さない情報をかなり繊細に詰めていないと笑えるものも笑えなくなります。
「とりあえずお客さんを呼び込めればいいや」というだけでタイトルをつけたのだとしたら、それは結果として評価を下げることになるのではないでしょうか。
ポスターのまとめ
全体の工夫としてはストレートながらも良質なポスターを作ってきた本作。
シリーズの数字を「!」で表現したというセンスも良かったと思います。
作品がシリーズ化すると、どうしても表現の幅は狭くなっていってしまいます。
それでもこのシリーズは「前作ポスターに対するカウンター」としてうまく表現できていたのではないでしょうか。
あとはキャッチコピーだけでしたね。。。。
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映画の感想
特にシリーズ一作目はかなり面白かったと思います。
全体の構造がサスペンスなのに、それがすべてコメディになっているというのは新鮮でした。
日本ではちょっと作れないなという規模の大きいコメディは見ているだけで羨ましいというか。
言葉のニュアンスではこちらが分からない箇所もかなり多いとはいえ、それでも楽しめたというのは作り込みがとても丁寧だからだと思うんですよね。
ところがその丁寧な作り込みというのはシリーズを重ねるにつれ難しくなっていったのかなと思います。
だんだんと大味な笑いの方向に走っていってしまった結果、繊細な箇所での笑いが成立しにくくなったのではないかと。
三作目で言うと、アランが高いところから落ちて死にかけるというシーンがあるのですが、そのシーンの以前に実際に死亡するキャラクターがいたりします。
こうなると「人が死ぬこともある」というルールが追加されるため、命を扱うシーンでは笑いにくくなるんですよね。。。
制作陣のやりたいことをやりきった三作品という意味では、やはり三作目までが限界だったのだろうなと思います。
こういう「倒れるときは前のめり」という姿勢の映画はとても好感がもてます。
続きを観たいとは思いませんが、監督のその他の作品はチェックしてみようと思いましたよ。
それでは。
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