VIVIAN KILLERS -The Birthday- 《センセーショナルな極彩色》
2005年から活動を続けるロックンロールバンド、ザ・バースデイ。
10枚目となるフルアルバム「VIVIAN KILLERS(ヴィヴィアンキラーズ)」が発売されちょっと浮かれモードになっている私でございます。
せっかくですので、このアルバムのジャケットを元に映画のポスターデザインについても語ってみます。
レコードジャケットやCDジャケットと比較してもいいのですが、映像とストーリーのある映画の方がより分かりやすいと思います。
VIVIAN KILLERSのジャケット
まず基本的なことから。
メンバー4人が黒いシルエットでこちらを向いている構図、それに被さるように手書き文字で彩度の低いグリーンのタイトル文字が乗っています。
このデザインを見た人で「ははーん、さてはバラードを中心にした癒やし系の音楽アルバムだな」と思う人はいないでしょう。
アルバムのジャケットだけでも、中身がどんなものかある程度イメージさせることは出来るものです。
逆に言えば、それを失敗してしまうと「なんか思ってたのと違う」と中身にもガッカリしてしまいます。
(ここだけの話ですが、「今回のアルバムジャケットはボーカルの○○君がイラストを描いてデザインしたものです!」とかいうパターンありますよね。あのパターン結構失敗例が多いと思います。確かに絵はうまいのでしょう。でも、それをパッケージする能力=デザインする能力に関してはそう簡単に身につくわけではないので。そこから先はデザイナーに任せた方が無難なのになとは思ってしまいます)
ビビットな色使い
ヴィヴィアンキラーズのジャケットはビビットな色使いが特徴です。
ビビットとは、このような色のことですね。
かなりざっくり言うと、派手で鮮やかで強い色、というところでしょうか。
上手に使えばインパクトのあるデザインに、下手に使えば下品になるカラーです。
それをどのように扱うかでデザイナーの腕が問われます。
その1.センセーショナルなデザイン
映画のポスターに使用する際には、当然ながら映画の内容を踏まえた上でデザインしなければなりません。
ではどんな内容の映画に相性がいいのか。
1つめ、映画の内容がセンセーショナルでハードなもの
言うなれば「非・現実的」ということです。
まずこちら
1994年公開、LEON(レオン)のデザインです。
ヘヴィな環境で育つ少女と、純粋な殺し屋が交流する物語。
特にラストシーンは有名ですね。
まさに非現実的なストーリーですが、だからこそポスターとの相性がとてもいいです。
続いてこちら
2016年のムーンライト。
自身の境遇、性的コンプレックス、人種差別などと向き合う男性の生涯を、美しい映像とともにパッケージした一作。
顔が色で分断されたデザインは主人公の心の分断などを表しているのですが、色使いだけで映画の内容を見事に表現しています。
青の使い方は、映画に出てくる夜空のイメージとの一致します。
そしてこちら
北野武さん監督・主演のYAKUZAムービー。
前面には「怖い人たち」が怖い顔をしているのですが、色使いは鮮やかなマゼンタとのコントラストが効いた一枚になっています。
このマゼンタが仮にもっと真っ赤だったとしたら、それは血なまぐさくなりすぎたのではないでしょうか。
悪人達とマゼンタの相性の悪さが逆に、悪人をより悪く思わせることに成功しています。
その2.未来のデザイン
ビビットの使い方その2は、未来を感じさせることです。
まずこちら
新作の方のブレードランナー。
K.ディックの小説が原作なのですが、近未来を描いた作品をポスターだけで表現するのは難しい。
そんなときには色使いで工夫します。
非現実的な色使いを加えることで、未来的な印象をだすことができるわけです。
また、画面の右と左で色を変えることで未来と過去の対比にもなっています。
一粒で二度おいしいというやつでしょうか。
違うかもしれません。
ちなみに原作の方の「電気羊はアンドロイドの夢をみるか」のデザインもビビットカラーを使用しています。
みんな大好きアベンジャーズ
今まで並べたものに比べると、かなり色数が多いのが特徴です。
アベンジャーズには特に、現実にはありえない「怪物」のようなデザインのキャラクターも多いですからデザインで工夫をしないと急に子ども向けなビジュアルになってしまいます。
サノスとか「○○レンジャー」とかに出てきてもおかしくないデザインですからね。
そのへんを色使いでカバーしています。
構図も大胆、マッドマックス!
マッドマックスのポスターでは、キャラクターや人物をビビットにするのではなく、タイトルを鮮やかにすることで非現実性を出しています。
こうすることによって、世界全体が狂っている(MAD)感じが表現できていますね。
他にも未来が舞台の映画では、ビビットカラーをうまく利用しているものが多いです。
注目してみると面白いですよ。
番外編
デザインが面白いものでは、こんなのもあります。
映画「NANA」です。
映画の内容はあれでしたが、ポスターはとてもカッコいいですね。
(画像はDVDのパッケージですが)
画面の大半をビビットなイエローが占めており、そこにバランス良くタイトルやコピーがのっています。
主人公二人の写真も、青空を大きくのせることで空間的な広さを感じます。
「私たち、二人でいるとMU☆TE☆KI」
「まるで世界が私たち二人だけみたい」
といった感じがします。
映画の内容はあれでしたけど(追い打ち)。
ビビットカラーのススメ
以上、映画におけるビビットカラーの使い方でした。
まとめると
「非現実性を出したい」時に大きな役割を果たしてくれる色と言えそうです。
最初に挙げたThe BirthdayのアルバムVIVIAN KILLERSも、聴いてる間は非現実のなかにぶっ飛ぶことができる音楽です。
最近色々なことがあったけどさ。
なんかしらドラッギーなもの使わなくても、いい音楽があれば人間どこまでもぶっ飛べると思うよ。
もちろん【電気】の音楽でも十分ぶっ飛べるよ。
あなたも是非「ちょっとイっちゃってる!イッちゃってる!」子を演じたい時にはビビットカラーなお召し物をチョイスされてはいかがでしょうか(唐突な不時着)?
それではまた。
ライブで会いましょう。
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