ジョン・ウィック 《実はキアヌの最高傑作??》
映画の点数…85点
ポスターの点数…50点
殺し屋ブームの中の一作
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は《ジョン・ウィック》です。
来月にはシリーズ3作目の公開を控えており、ここで改めて「やられたらやりかえす。70倍返しだ!!」でお馴染みのジョン・ウィックさんの功績を振り返ってみようと思います。
70倍返しだ!というのは、ジョン・ウィックさんはなんとも過激な愛情の持ち主でして、飼い始めて数日の子犬を殺害されたことに腹をたてて最終的に70人以上の人間をオーバーキルしてしまう方なんですね(大雑把なあらすじ)。
うかつに犬を殺すものではありませんな。
ジョン・ウィックの公開は2014年ですが、同じ時期にたくさんの「有名俳優達が殺し屋になるシリーズ」が作られまして。
リーアム・ニーソンの《96時間》を皮切りにデンゼル・ワシントンの《イコライザー》、トム・ハンクスの《アウトロー》などなど。
どの作品も好きなんですけど、その中でも僕はこの《ジョン・ウィック》が一番好きなのです。
他の作品との違いは「ジョン・ウィックは続編も申し分なく面白かった」点だと思ってます。
他の続編は、残念ながら1作目は越えられていない印象で。
なので否応なく《ジョン・ウィック3》には期待してしまいます。
映画のストーリー
映画の内容自体は特に難しいことはありません。
愛する妻を失い、失意の底にいる元軍人・元殺し屋のジョン・ウィック。
そんな愛する妻の残してくれた飼い犬を「ロシアン・コックサッカー」に殺されたもんだからもう大変。
「ぜってーぶっ殺す!」なんて野暮なことは言わず、ダークスーツに着替えて粛々と復讐を開始します。
こう書くとまるでB級映画のような概要です。
実際のところこの映画は20億円程度で制作されており、巨大なヒットを狙った作品でもなかったのでしょう。
ところが蓋を開けてみると「B級映画の皮をかぶった、とんだA級映画」だというのが分かってきます。
この映画の美点は「とにかくシャレていること=非現実感」と「丁寧に作り込まれたアクションシーンの迫力=現実感」のバランスが非常に良かったことだと思います。
殺し屋が集まるホテルや独自のルール設定なんかは見ていてニヤニヤしちゃうし、逆にアクションシーンではキアヌが自ら取り組んだ体術をしっかり誤魔化さずに見せてくれます。
まさに観たいシーンをとにかくたっぷり詰め込んでくれた素敵な一作です。
映画の良かった点
僕がこの映画の好きな点は「色彩」です。
そもそも「殺し屋が大暴れする」という非現実的な話、おとぎ話を観ているわけです。
それを実在感を持たせて描くのも一つの方法でしょうが、少なくともジョン・ウィックでは「極端にデフォルメして」描いていますし、そこがカッコいいのです。
冒頭の「サッド・キアヌ」なシーンでは青色のトーンで画面が統一されています。
いざ復讐が始まるとネオン・ピンクやピアノブラックなど艶のあるトーンで鮮やかさが際立ちます。
キアヌのスーツも間違いなく動きにくいはずなのに艶のあるダークスーツ。
とにかく画面全体が色っぽくて惚れ惚れするんですよね。
ストーリー自体はわざとと言って良いくらいチープにしてあって、その分演出やアクションシーンに集中出来るようになっています。
前に挙げたリーアム・ニーソンやトム・ハンクス、デンゼル・ワシントン達には無くてジョン・ウィックのみが持っている魅力はこの「艶っぽさ」ではないでしょうか。
ポスターの感想
映画自体はメチャクチャ面白いのですが、何故かポスターに関しては少し物足りないです。
まずは日本語版でよく見かけたポスター。
エキセントリックな配色や、ある意味チープなフォントなんかは確かに映画本編の良さを感じるんですよ。
でも肝心の主人公ジョン・ウィックが「なんでこの写真をチョイスしたんだろう。。。?」というくらい魅力を感じないんですよね。。
このキアヌだけ観ても「凄腕の殺し屋」とか「止められない復讐者」とかには見えなくって。
ただ銃を持っているだけの人にしか見えないんですよね。
トリミングも中途半端で、もっとグッと寄ってジョン・ウィックの狂気を映し出すとか、逆にもっと引いて艶っぽいスーツ姿を全部見せるとか出来たと思うんです。
キャッチコピー
日本語版のキャッチコピーは、とてもいいと思います。
「見惚れるほどの、復讐。」
復讐という物騒な言葉に見惚れるというワードをくっつけたのはとても良いセンスを感じます。
実際にそのような内容ですからね。
だからこそポスターも、もっとうっとりするような美しさが欲しかったところですね。
アメリカ版ポスター
こちらのポスターもカッコイイとは思うんですけど、あくまでも「まあまあ」ですかね。
銃口の箇所をタイトルにかぶせるというワンアイデアは悪くないですし、微妙ながらタイトルがブレているのも彼の精神性を表しているようです。
不気味な緑色の配色も悪くないし、まさに殺される寸前に見るキアヌの表情を表現した構図も悪くないです。
でも、そこが限界というか。
このジョン・ウィックという映画が持つポテンシャルほどには映画ポスターが機能しているとは思えないですね。
やはりこの映画の魅力は色っぽさであり美しさであり艶感ですよ。
次作であるチャプター2ではそのあたりを反省したのかポスターのビジュアルが改善されています。
それはまた次の機会にでも。
まとめ
思わぬ形で登場したとも言えるジョン・ウィックというシリーズ。
もしかしたらキアヌすらもここまで魅力的な映画になると思っていなかったのではないでしょうか。
個人的には《スピード》よりも《マトリックス》よりも大好きなシリーズになりました。
だからこそ、もっと広くこの映画を正しく魅力的に伝えるために映画ポスターにはもうちょっとアイデアを持って欲しかったところですね。
それでは、また。
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