映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

ザ・ガンマン《静かなKOROSHIYA映画はもう限界か?》

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ポスターの点数…50点
映画の点数…45点

 

こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画がショーン・ペン主演、【ザ・ガンマン】です。


この映画、観るまではけっこう楽しみにしていた映画でした(既に感想を言ってしまったに等しいですね)


キャッチコピーにも出ている通り「96時間の監督」と「ショーン・ペン主演」となれば期待するなというのも難しいところでしょう。


ショーン・ペンは最も好きな俳優の一人でして、彼が出演さえしていればある程度は良い映画になるんじゃないかなと思ったのですが。。。。。


現実はそううまくいかないものですな。

 

静かな殺し屋映画の乱立


監督であるピエールさんが「96時間」を撮ったのは2008年。


この映画より10年近く前になります。


「え、リーアム・ニーソンが殺し屋役のアクション映画??」という、一見ミスマッチな企画を見事に成功させた映画でした。


この映画の成功が一つのきっかけであったことは間違いないと思いますが、その後この手の「スーパースターによるアクション映画」が乱立していくことになります。


キアヌ・リーブスの「ジョン・ウィック」、デンゼル・ワシントンの「イコライザー」、ベン・アフレックの「コンサルタント」、あえて言うならトム・クルーズの「ジャック・リーチャー」もこのジャンルに入れてもいいでしょう。


これらの映画にはいくつかの共通点があります。

 

  • オスカー俳優クラスの俳優が主演している
  • 主人公は基本的には自分からは何もしたくない人であり、争いには巻き込まれて行くことで参加する
  • アクションシーンのリアリティを大切にしている
  • その一方で、格好良さを追求した新鮮なアクションシーンがある
  • 主人公が異常に神経質なところがある


等の共通点です。


大雑把なまとめ方をすると「惚れ惚れするほど美しい殺戮映画」みたいな感じです。


ザ・ガンマンに対しても、このような映画を望んでいました。

 

映画としての限界


楽しみにしていた映画とはいえ、同時に不安な気持ちもありました。


その一つは、96時間からの10年間でこのジャンルの映画の限界はとっくに超えているのではないかという不安です。


実際にその予感は当たっていて、もはやフレッシュなシーンがあまりないんですよね。


最後の闘牛場のシーンがかろうじて面白い気がするくらいで、他は今までよく映画で観てきたシーンの貼り合わせのよう。


そもそもこのジャンルは、007やミッション・インポッシブル等の大作アクション映画のインフレに対するカウンターでもあるわけですよね。


そのインフレ手法が使えないのなら、映像やシチュエーションの新鮮なアイデアが必須なわけです。


でもそんなアイデアが毎回クリティカルに思いつくわけでもないと思うんですよ。


もはや「映画に合わせて企画をつくる」より「いい企画を思いついたから映画つくろう」の方が自然なんじゃないかと思う次第。

 

設定の問題点


そもそも、この作品は設定がまずいなと思っています。


まず主人公が犯罪者である点。


過去に悪いことをやって今まで逃げてきた人物である以上、こちらもイマイチ応援出来ないんですよ。


インターポールとかが中盤に出てくると「いっそ捕まった方が良いのでは??」とすら思います。

だって別にショーン・ペンはそこまでいい奴というわけでもないんだもん笑

酒場で人とか殴るし。


さらに、映画の多くの時間を逃げることに使っている点も気になります。


こちらとしてはせめて最後くらいは敵のアジトに突入して敵をバッタバッタとやっつけていくシーンを観たいわけですよ。


ところがこの映画だと、最後の最後までも5人くらいで鬼ごっこをしているくらいの小規模さなんですよね。


リアリティーの追求という点では正しくても、映画としてはどうなんだと。


そもそも、人質の交換のはずなのになんであんなに両者とも無策なんだろう。。。


どこをピークに盛り上がればいいのかよく分からないままでした。

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ショーン・ペンの問題


前述の通り、ショーン・ペンは最も好きな俳優ですがさすがにこれはないかな。


脚本にも関わっているらしいので、どこまでが自分の意見なのかよく分からないのですが。


まず大変失礼ですが、ショーン・ペンの恋愛事情にもう興味はありません


離ればなれになってみたり三角関係になってみたり、申し訳ないがどうでもよい。。。


鍛えた肉体を披露するためにヌードシーンがあったのかと疑ってしまうほどでした。


確かに二の腕とかすごかったけどね。


そして、殺し屋としてのショーン・ペンの配役にも疑問があります。


リーアム・ニーソン、キアヌ・リーブス、デンゼル・ワシントン、ベン・アフレックなどは、殺し屋という設定にギャップがあるから面白かったわけですよ。


「なんでこんな奴がこんなに強いんだ、、、」という魅力ですよね。


一方でショーン・ペンは、初めからすでに不良っぽいんですよ。


さらに「異常に神経質」という設定などはなく、かわりに「頭痛持ち」という中途半端な設定だけあって。


これじゃ「昔ワルだった初老の男性」にしか正直見えないんですよね。。。


映画を通して一度も「うわ!!こいつは強いぞ!」とは思えなくて。


それがリアリティだと言うのであれば、好みの問題なのかも知れませんけど。。


だったら「96時間の監督作」とは言わないでほしいかな。。。。

 

ポスターの評価


映画ポスターの方なんですが、こちらも印象は良くないです。


あえて言うなら、海外版よりも日本語版ポスターの方が良いと思っています。


海外版の方はモロに「ショーン・ペン版96時間」みたいなポスターで、オリジナルの要素が何一つないように感じます。

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フランス産のオシャレな匂いは感じますが、だから何?というか。。。


後ろのヘリコプターとか何なのでしょう?


見せ場がないのを誤魔化すために無理矢理入れたような感じです。


映画の魅力にはあのヘリコプターは全く関係ないです。


日本語版の方が、まだ見栄えがいいかなと思います。

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思いっきり文字もショーン・ペンも斜めに倒して、アクション映画感を強調しています。


B級感がどうしても出てしまいますが、必要以上に気取らないというのはいいことではないでしょうか。


それはそうとしても、中央のBMWは何なのでしょうか。。。


この車、全くと言っていいくらい活躍してませんよね。


なんでこの車を乗せる必要があったのか。
(そういえばこの映画、無駄に古いプジョーやロメオなんかを出してたけど、特に理由なんて何も無かったよなあ。ただの記号としてだけの車だったな)

 

というわけで、特にオススメする理由も見つからないんですけど笑


別に「こんなクズ映画、燃やしてしまえ!」というほどの怒りはないです。


のんびりポテチを食べながら観るにはちょうどいい映画だとお思いますよ。


それでは。


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