映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

プロジェクトA 《全部俺!な映画とポスター》

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映画の点数…90点
ポスターの点数…70点

 

ジャッキー・チェンという名の映画


世界中の男性の憧れは、ブルース・リーかスタローンかジャッキー・チェンの三択にすべて分かれると思うんですけど(断定)、今回はその中の一人ジャッキー・チェンについてです。


一応取り上げる作品は【プロジェクトA】というジャッキーの代表作なのですが、既に「ジャッキー映画」と言われるくらいで個人名が映画のジャンルになっているようなレジェンドです。


どの作品を扱ってもすべてジャッキー映画なのであって、それはつまり全ての映画が満点だと言うことでもあります。


理論的にはそうなのですが、まぁ一応【プロジェクトA】という映画とポスターの魅力を少し振り返ろうと思います。


それにしても個人名が映画のジャンルっていうのは凄いですね。


そのような俳優は世界を探してもいないんじゃないでしょうか。

 

映画の感想


知名度の高い映画でしょうから、細かい点には言及しません。


大雑把に言えば、1900年代初頭の香港、海賊による襲撃に手を焼いていた香陸軍と海軍が、お互いに憎み合いながらも最終的には手を組み海賊達をやっつける。


そういう映画です。


ジャッキー・チェンが主演や演技指導、監督まで務めたという信じられない活躍を見せるこの映画ですが、個人的にこの映画の素晴らしさは「デザインされたアクション」だと思っています。


ブルース・リーの映画は「いかにブルース・リーという男がカッコ良く見えるか」を追求した映画作りが特徴なのですが、この映画はそれとは少し違います。


ジャッキー・チェンがカッコ良く写るのは当然なのですが、それよりもアクションシーンの一つ一つのレベルをいかに上がるかについての追求が半端じゃないです。


「ここは体技をしっかり見せた方がいい」という場面ではそれを意識したカメラの撮り方をしてますし、逆に「ここはコメディっぽく」と考えたらどんなにすごいアクションをしていようがサラッと表現します。


このあたりの差し引きが絶妙でとにかくテンポがいい。


現代でも十分に通じる編集が見事だと思います。

 

映画としてのクオリティ


この手の映画に対して、どこまでのリアリティとクオリティを求めるのかは難しいところがあります。


リアリティにこだわりすぎるとアクションシーンが弱くなるし、クオリティを求めすぎると良い意味でのバカバカしさまで犠牲になってしまいます。


だからこそジャッキー映画はジャッキー映画というジャンルなのであって、他の映画と同じ括りにすること自体がもったいないと思うのです。


そりゃ細かい点でのおかしなところは無数にあるのですが、そんなの全て忘れてデザインされ尽くしたアクションシーンに酔っ払うのがマナーではないでしょうか。

 

ポスターの感想


これまたポスターもなかなかのルール違反をしていますね。

 

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背景にでっかくジャッキーが写っていますが、こういうのってそもそも「映画のボスキャラ」とか「お世話になった師匠とかレジェンド」とか「死者」とかそういう扱いを示す時に使うんですけどね。

 

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そこに自分の顔をどーんと持ってきて、さらにこの映画のハイライトのようなシーンから5人くらい追加で自分を持ってきています。


まさに「全部俺!」の姿勢。


今このようなポスターが出てきたら「バカなんじゃないの?」と散々言いそうな気がしますが、なにせジャッキー映画なのです。これでいいのです。


この自分のゴリ押しを好きかどうかはそれぞれ決めたらいいと思うのですが、とにもかくにも映画の姿勢としては間違っていないしファンにとってもこれでいいはずです。

 

まとめ


「映画すべて」からするとルール違反も甚だしいジャッキー映画なのですが、「ジャッキー映画」として考えるとすべてが完璧な【プロジェクトA】。


日本がこれから目指していくべき日本映画の姿勢としても参考になる部分はあるのではないでしょうか。


こういうミニマムなジャンルだからこそ出来る自由さはどの国においても一定の価値はあると思うんですよね。


それでは、また。


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