映画ポスターランキング2019 《1位は自分でも意外な一本》
2019年映画ポスターランキング
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
スターウォーズEp.9の公開をもって、なんとなく僕の中で2019年も終わりになりました。
今回は、2019年の映画ポスターで優れていたと思うものをランキングにしました。
ルールとしては
- 2019年に日本の劇場で公開されたもの(本国公開が2018年のもの含む)
- 映画の出来とポスターの出来は関係ない
- ビジュアルとしてカッコイイかどうかも大事だが、あくまで映画の内容を踏まえたポスターになっているかが重要
って感じです。
まぁエンタメである以上は個人の好みが多少入ってしまうのですが、厳密さを求めずになんとなく読んでいただけると幸いでございます。
第5位 JOKER
ま、これはもう僕が評価するというよりも、世間的に十分評価されたポスターだと思います。
特に日本版ポスターもほとんど本国版と同じデザインを踏襲しているあたりが良かったのではないでしょうか。
このJOKERをキッカケに、日本のポスターも過剰に情報を詰め込んだポスターから離れてくれると嬉しいんですけどねぇ。
そんな期待も込みでランクイン。
第4位 グリーンブック
2019年のアカデミー作品賞ですが、この作品が好意的に受け止められた理由の一つはこの映画ポスターも関係しているのではないかと思っています。
劇中に登場する車のカラーを活かしたポスターなのですが、パッと見て「なんか幸せそうな映画だぞ」と感じませんか?
近年のアカデミー作品賞はヘヴィな内容の映画が受賞してきました。
そのカウンターとして、全体として楽しい雰囲気のある映画が評価されたのではないかなとも思うのです。
このグリーンブックに関しても、日本版ポスターの青空加工がしてあるのもアイデアとしてありだなと思いました。
第3位 女王陛下のお気に入り
どうしても本国版ポスターに比べ日本版ポスターは過剰な情報が多く文句ばかり言ってしまうのですが、なかには「いや、これは日本版の方が良いのでは?」と思うこともあるわけです。
そしてこの《女王陛下のお気に入り》の日本版ポスターはかなりいいんじゃないかなと思っています。
キャッチコピーも主張しすぎずさりげなく添えられているのですが内容はというとシャレがきいてて皮肉っぽさがあるいいコピーだなと。
このキャッチコピーがあるおかげで「ちょっとコメディでもあるのかな」と予感すると思うんですよ。
この「ごめんあそばせ」の一言が映画全体の軽やかさと禍々しさをうまく表現できていますよね。
もしもこの作品が興行収入1000億円を目指すタイプの映画だったら、こうはいかなかったと思います。
ある程度小規模な作品だからこそ、自由度と完成度の高いポスターになったのかなと。
本来は逆だと嬉しいんですけどね。
第2位 ジョン・ウィック3
ここにきてノリにのってるキアヌ・リーブス。
今や代表作になったジョン・ウィックですが、シリーズ3作目では映画もキレキレだしポスターもキレキレでした。
こちらのポスターは正直に言うと「映画の内容に合っているか」はあまり関係ないです。
それよりも「いかに!いかにジョン・ウィックがスタイリッシュでクールな映画なのか!!」ということを強烈に訴えかけるポスターですね。
この映画に関してはそういうポスターの方が相性がいいと思っていて、お客さんもキアヌ・リーブスにうっとりするために行くわけでしょう(半分以上は男性な気もするが)。
そういう意味においては「ポスターと映画の相性はバッチリ」とも言えますね。
第1位 ファーストマン
これは日本版ポスターではなく本国版ポスターのことを指します。
以前ブログ内で日本版ポスターを激しく非難しましたが、本国版ポスターはとても素晴らしいポスターだと思います。
宇宙飛行士の孤独、もう今はいない子どもを思う父親、妻と心が離れていく夫。
家庭でもなくNASAでもなく地球でもなく、ここではないどこかへ行ってしまった人間の顔というものを極めて少ない情報で描き出しています。
映画を観る前は「なんでこんなにつまらなそうな顔なの?」と興味を引き、映画を観た後だと「彼の人生は果たして幸せだったのだろうか」と思いはせる。
まさにビジュアルも優れており、映画ポスターとしても優れている傑作です。
ライアン・ゴズリングとアートディレクターがいかに良い仕事をしたか分かるポスターですね。
映画そのものは「こりゃ傑作だ!」とまでは思いませんでしたが、今振り返ってみるととても素敵なポスターだったなと思います。
ワースト1位 キングダム
うーん。
他にも「こんなポスターはダメだ!!」みたいに怒ったポスターはたくさんあった気もするんですけど、ここはキングダムをワーストで選ばせてもらいました。
「情報過多なくせに、何が言いたいのか分からない」点や、「過剰に言葉で映画を説明してしまう」あたりなんかが「よ!!これぞ伝統的ダメな日本映画!」みたいな感じがしちゃって。
これよりダメな映画はたくさんありましたが、いつまでたっても日本の大作映画ってこんなレベルなのかなぁと考えると悔しくなります。
そんなわけで申し訳ないけどワーストです。
まとめ
映画の興行収入とはあまり関係のないランキングになりましたね。
アカデミー作品賞をとったグリーンブックが特別な輝きをもっていますが、その他は基本的には「商業主義な作品ではないが、映画としての完成度をギリギリまで追求した意欲作」が多いように感じます。
温度の高い映画だからこそ、ポスターのディレクションも熱くなるのかなと思ったり。
さて、来年も色んなポスターが観ることが出来たらいいなと思いますよ。
それでは、また。