映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け 《ネタバレ注意!!》

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映画の点数…53点(大甘で)
ポスターの点数…70点

 

新シリーズ、ここに終結


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画はスターウォーズ スカイウォーカーの夜明け》です。


スカイウォーカーの夜明け(邦題)と、ライズ・オブ・スカイウォーカーではさすがに意味が違いすぎるのではないかと思っているので、これ以降は「エピソード9」で表記します。


さてスターウォーズの新シリーズ7~9が、本作で決着を迎えます。


今後もスターウォーズシリーズは一年にひとつずつくらい関連作品を作る計画があるとディズニー社は発表していますが、真偽はともかくとしてそれも今作エピソード9の評価次第となるのではないでしょうか。

 

僕とスターウォーズ


おそらく映画ファンと同じ数だけ「僕とスターウォーズ」という思い出や思い入れがあると思います。


スターウォーズが嫌いだという人も、それが映画史や現代デザイン史に大きな影響を与えたことは否定しないでしょう。


で、僕にとってのスターウォーズというのをほんとに軽くお話すると、最も偉大な作品はやはりエピソード4「新たなる希望」だと思っています。


あとは多くの方の意見と同じくエピソード1~3は残念な出来だと思っていて。


個人的には“最も好きなエピソード”は実はエピソード7「フォースの目覚め」なんですよね。


というのも、とにかくレイというキャラクターが好きすぎて。


キャラクターとしても好きだし、こればっかりは仕方ないんですけどタイプにも程があるくらいタイプってのは大きいです。


もはや完全に「好きな女が出てるからその映画も好き」という、最もダメな映画ファンなのです。


ところがその次のエピソード8「ラストジェダイ」は、もうぶっっっっっっっっっちぎりで嫌いな作品でして。


僕はこのスターウォーズ8を観るために往復200キロをバイクで移動したのですが、その思い出も含めて悲しい気持ちでいっぱいです(アイマックスの良い環境で観たかったので、県をまたいで観に行った)。


その間に公開された《ローグワン》と《ハンソロ》も結構ダメな作品だと思っていて、はっきりと自分の中で「ああ、もう僕の大好きなスターウォーズは無くなったんだ」という気持ちを感じていますした。


ダークサイドに落ちきった状態で観るエピソード9、僕と世界中のフォースのバランスを取り戻すことは出来るのか??

 

以下、作品の完全なネタバレを含みます!!

観てない人は観てから読んでくださいね。

 

映画の感想

 

まず最初に結論的なことを言います。

 

J.Jエイブラムスよ。 

君の意思は受け取った。

でも、ダメだったよな、わかるよ、しょうがねえ、とりあえず乾杯でもしようか

 

て感じです。

 

前述の通りですね、僕はエピソード8でスターウォーズは死んだものだと思ってるんですよ。

 

でもそんなことディズニーにもJ.Jにも言えないしさ。

どうにかするしか無かったわけじゃん。

 

で、どうしたかと言うと

スターウォーズ1〜7で積み上げた貯金があった→

しかし、エピソード8で信じられないくらいの借金を背負った→

仕方ないので、エピソード5〜6の貯金を下ろして返済した(しようとした)。

という方法でした。

 

皇帝の復活

映画の冒頭、画面がスクロールしていくオープニングがありますよね。

 

その一行目でもう笑っちゃったんですけど、『皇帝が復活した』っていう笑

 

皇帝が復活するのはもうCMとか観ていて分かっていたこととはいえ、まさかオープニングで言い出すとは思わなくて。

 

これってエピソード8を帳消しにするためには、もう時間がどれだけあっても足りないからいきなりぶっ飛んだ敵を用意したんだろうなって。

 

で、これも噂になってたけど『レイは皇帝の孫』ってのを比較的早い段階で説明して「ダークサイドに落ちないように気をつけながら、皇帝をやっつける」ってのが最終目標ってのを観客に示します。

 

つまりエピソード6の焼き直しなんですけど。

 

この時点でもう僕は腹をくくりました。

 

おそらくこの先、映画が終わるまで驚くようなことは無いって。

 

でも、もういいじゃん。

 

一度死んだ映画を、どうにかこうにか閉じようとしている監督を応援しようって。

 

映画の良かった点

 

もちろん映画に良かった点もたくさんありました。

 

冒頭、カイロ・レンが皇帝の元に辿りつく→スターデストロイヤーが膨大な数浮上するっていう流れはテンポよくて良かったですね。

 

「お、面白そうな映画が始まったぞ」って感じはしました。一瞬。

 

市場調査はかなりしたのでしょう、エピソード8で不満が爆発した点をなんとかケアしようとしていたのは良かったと思います。

 

まずローズは完全な脇役になりました(女優さんに罪はないのですが、やはりあのキャラは不要だったと思います)。

 

ヨーダとかベネチオ・デルトロとかジェダイの島にいた鳥とか、余計は人達は退場させました。

 

前回ひどい結末を迎えたルークをあっさりと復活させて、どうにかこうにか形にしてました。

 

えーーーっと。こんなもんかな、良かった点は。

 

もっと色々褒めたい気持ちはあるんですけど、特に思い浮かびません。。

 

ここから、かなり膨大な量の悪口を言いますが、「そんなの読みたくねえ!」って人はご遠慮くださいませ。

 

映画の不満点

 

これはエピソード8の時もそうだったのですが、また同じ失敗をしてます。

 

それは「映画として無駄な要素が多すぎる」ことです。

 

映画の最初の段階で「16時間以内に皇帝のアジトを見つけてやっつけよう!」ってのがテーマとして示されます。

 

そこからがひどい、ひどい。

 

  • 砂漠の星にヒントを探しに行く→ダサい剣を見つける、チューバッカ死亡、剣も奪われる
  • ポーが昔活動してた星に行く→元カノに会って敵の船の鍵をもらう
  • 敵の船に侵入→チューイは生きてた、鍵も奪還
  • エンドアに到着、皇帝の場所を示す鍵をゲット→次の瞬間に壊される
  • カイロ・レン、お父さんに説得されていい奴になる(エピソード7でそうしろよ)
  • レイ、ルークのところに逃げ出す→よく分からない理屈でやる気を取り戻す
  • 皇帝のアジトを見つけて最終決戦

 

まどろっこしいわ!!!!!

 

どう考えても16時間で間に合ったように見えないし、それまでに大量の仲間が死んでたけどそんなに仲間がいたように見えなかったし。

 

ドラクエじゃないんだからさ、一個クエストをクリアしながら次の場所次の場所に移動していくだけってどうなのよ。

 

その度にレイは好き勝手な行動をしてみんなを困らせてばかりで。

 

今回レイは全然仲間のことなんか信頼してなくて、もうほんとに勝手なことばかりなんですよね。

 


キャラクターの描き込みがダメ


上記の理由で、映画を通じてたぶん1時間以上は「特に必要のない場面」がずっと続いているという。


理由はけっこう分かりやすくて、今作は「レイはダークサイドに落ちるのか」と「カイロ・レンは良心を取り戻すのか」がテーマとなっていて、その二つが解決すること=(イコール)皇帝に打ち勝つ、というストーリーになっているからなんですね。


よって、フィンやポー、ローズやチューイ、新キャラの数人なんかは全く映画に必要ないんですよ!!


いやぁ、それはダメでしょう。


J.Jはエピソード7で魅力的なキャラクターをせっかく作ったのに、なんでそれを放棄したんですか?


例えばフィンは「元ストームトルーパーが、ついに自分の居場所を見つける」とか「ローズ、あるいはレイとの恋物語」という描き方があったはず。


ポーは「レイアからレジスタンスを受け継ぐ」という大きな仕事があったと思うし、それを描く時間的余裕は十分にあったと思います。


でもそれがぜーーーんぶ中途半端で投げ出されちゃって。


フィンは「ほら、今じゃん、告っちゃえって!」みたいなグダグダの恋愛シーン。


ポーはラストバトルで「みんなゴメン、作戦ミスだった(オワタ)」とか言って諦める始末。


全然彼らは映画を通して成長してないんですよね。


そういうのがすごくもったいない。

 

デザインがダメ


ストーリーに隠れていて見えづらいですが、今回はデザインが非常にまずかったと思います。


元々スターウォーズは、映画としては不出来な箇所はありつつも1977年当時には考えられないくらいスタイリッシュなデザインが人々の心をつかんだわけです。


あれ以上のインパクトを与えるデザインを再発明するのが難しいのは理解できますが、それにしたって今作はデザイン要素がひどかったと思います。


例えば「隠し場所を示す剣」のデザインもダサい、新キャラのドロイドもドライヤーにタイヤがついたみたいでダサい、アントマンワスプみたいなキャラも新鮮味がない、元トルーパーの女性が身につけている衣装も安っぽい、洞窟にいたヘビみたいなモンスターもダサい。


ちょっとくらい新しいデザインはないのかと探すものの、全然ない。


それはスターウォーズとは呼べないですよね。


結局はルークのXウイングやヘルメットをかぶって出撃するとかおいしいところはC3POが持って行くとか、過去のデザインに頼りっぱなし。


ラストバトルの不幸


この映画で一番盛り上がった(盛り上げたかった)シーンの話ですが。


それは音楽の使い方からも分かる通り、圧倒的戦力差のあるファイナル・オーダーとの対決にランドが民間からの応援を大量に連れてきたシーンですね。


「こんなに…こんなに味方が来てくれたんだ!!」みたいなシーン。


ごめんなさい、ちょっと笑っちゃいました。


理由の一つは、「じゃあなんで今まで助けてくれなかったの?」という疑問に対しての答えが特にないから。


それで今更来てもらっても「いや遅い!こっちはもう大半の人間が死んだわ」としか思えなくて。


まぁこれも前作の「誰も救援に来てくれない!」というストーリーを作ったことが問題だとは思いますが。


それともう一つ笑えちゃった理由。


それは、半年前にアベンジャーズで似たシーンを見ちゃってたから笑


しかも圧倒的にそっちのシーンの方がかっこ良かったし音楽の使い方も良かったから。


「うわ〜かぶってる〜、アッセンブル〜」って誰もが思ったのではないでしょうか。


ただし、アベンジャーズスターウォーズも同じ理由で不満な点があって。


それは「総攻撃 vs 総攻撃」で戦っているというシーンを用意したわりには、結局アイアンマンやレイ個人の頑張りによって一気に物事が解決してしまう、という点。


これはちょっと冷めちゃいますね。


ていうかそうじゃなくっても、なんでラストでレジスタンスが勝利したのか僕はよく分からなかったんですけどね。。。


敵の親機をやっつければ、他の艦も誘爆するの??


まさかあの量をやっつけれるとはとても思えないのですが。。。


既にこのあたりでは映画に対してとても温かい目線で観てたので別にいいんですけど。

 

まとめ


散々な書きようで文句ばかり言ってきたうえで言うのもあれなんですけど、僕はこのエピソード9に対してはそんなに怒りはないんです。


というのも、やはりスターウォーズはエピソード8で終わったと思っているから。


もちろん僕だって、エピソード9が尋常じゃ無いくらい出来がよく、前作を帳消しにするような作品が出来ることを期待はしていました。


でもそれはルッソ兄弟だろうとJ.Jだろうと、そしてジョージ・ルーカスにも不可能なミッションだったと思います。


なので僕はこの映画を、「かつて大好きだった友人のお葬式」だと思って鑑賞していました。


お葬式ですからね、今更故人の事を悪く言ってもしょうがないじゃないですか。


「ああ、こんな楽しい日々もあったよね」なんて振り返りながら2時間楽しみましたよ。


これからもエピソード1〜7までは何回も見直すと思うんですよ。


もうそれでいいのかなって。


それに今シリーズはデイジージョン・ボイエガアダム・ドライバーという素晴らしい役者を発掘したというだけで既に偉大だと思ってるんです。


さようなら、スターウォーズ


4年前、あれほどワクワクした日々のことを懐かしく思いながら、お葬式を終わりにしたいと思います。


それでは、また。

 

 

 

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