ゲーム・オブ・スローンズ 《ドラマの出来と同じくらい重要なタイトルとポスター》
ドラマの点数…97点
ポスターの点数…87点
映画より上とか下とか超えた作品
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
いつもは映画とポスターに関するブログばっかりなんですけど、今回は海外ドラマ【ゲームオブスローンズ】についてです。
先日シーズン8をもって最終回を迎えた同ドラマ。
僕は正直ドラマを観る習慣がほとんどなくって、《24》途中まで、《ブレイキングバッド》途中までみたいな感じで最後まで観れないんですね。
日本のドラマも《半沢直樹》とか《カルテット》みたいな話題のドラマくらいしか観てません。
海外ドラマの中でも最後まで観ているのは《ウォーキング・デッド》と、この《ゲームオブスローンズ》のみです。
ウォーキングデッドはまだ続いてますけどね。
僕の頭の中では「所詮、ドラマより映画の方が格上だろう」というナメた姿勢があったのは確かです。
ですがその根底をぶっ壊されたというか「映画が上とか下ではなく、根本的に違うもの」という意識に塗り替えたのが《ウォーキング・デッド》と《ゲームオブスローンズ》で。
あくまで好みの問題で言えば《ゲームオブスローンズ》が大好きで、一時期は《ゲームオブスローンズ》の事しか考えられないくらいハマった時期もありました。
最終回が終わった今も、ドラマのことをグルグル考え続ける始末です。
ドラマの概要
あまりに長いストーリーなので説明は難しいのですが、ビジュアル的には古代中世ヨーロッパくらいのイメージで《ロード・オブ・ザ・リング》にルックは似てますかね(ドラマを映画で例えるという禁じ手)。
大陸の王様が亡くなったことから、その王座を巡って様々な領主、血族、部族、はたまたゾンビやドラゴンまでが戦いを繰り広げるファンタジーです。
元々は小説「氷と炎の歌」というタイトルが原作なのですが「ゲームオブスローンズ」、すなわち「王座を巡った椅子取りゲーム」がメインのストーリーとなります。
特に前半は大がかりな戦争シーンなどは直接うつさず(おそらく予算の問題)、むしろ王室での会話のやりとり・駆け引きがメインとなっています。
具体的な主役を設けず、「最後には誰が王座につくのか」を思い巡らしながら鑑賞します。
登場人物が多いうえに政治劇なので平気でウソをついたりするので、かなり混乱しながら見始めることになるのですが5話くらい観たあたりからは完全に取り憑かれちゃうくらいで。
そしてメインキャラクターというか「ほぼ主役」みたいな人までバンッバン死んでいく予想外の展開にクラクラします。
ひどい時には「1日くらい寝ないでも大丈夫なのでは?」などと睡眠時間を犠牲にしながらドラマを観ていた時期もあります。
ドラマの成功
ドラマの魅力については様々な人が既にブログやSNSで語り尽くしているのであえて語ることはしませんが。
僕なりに「なぜこのドラマが成功したのか」をグラフィックデザイナーなりに考えてみました。
すると成功のポイントになった点が二つ見えてきます。
タイトルの変更
まず「氷と炎の歌」というタイトルを「ゲームオブスローンズ(椅子取りゲーム)」としたのが大成功のキッカケでしょう。
「氷と炎の歌」という意味はドラマの後半あたりになると「ああ、この人達が主人公だからということか」と理解できてくるのですが、それだと「主人公と脇役」みたいなニュアンスが強すぎます。
あくまでも全員が主人公のような内容なのでそれではいけません。
そこで「ゲームオブスローンズ」としたのが良かったですね。
ドラマ内でどれだけ混乱することがあっても「最終的には王座を奪う人達の話」という前提があるだけで番組への集中力が高まります。
それと、劇中首をはねたり炎で焼かれたりかなり残酷な描写も多いのですが、タイトルに「ゲーム」が入っているのが救いになっていると思っていて。
「人を殺すのがゲーム?」ということではなく、「ドラマ全体が虚構である」というフィルターがかかることで残酷描写への不快感が減るんですよね。
むしろ人間の愚かさや滑稽さが浮かび上がってくる。
うまいタイトル変更だったと思います。
ポスターのビジュアル
映画と違って純粋にポスターというわけではないのですが、公式のビジュアルアートも注目ポイントが多いです。
椅子に座るビジュアルに「勝たなければ死ぬことになる」というキャッチコピー。
かなりダークなトーンの背景に、これまた暗い表情のショーンビーン。
明らかに「楽しい」雰囲気ではなく、自分の仕事や使命にうんざりしているような表情ですね。
ゲームオブスローンズシリーズは前向きな気持ちで椅子を奪いに行く人もいますが、仕方なく押しつけられる人もいます。
他のポスターでも必ずと言って良いほど「死」を思わせるビジュアルになっています。
実際にメインキャラでもバンバン死ぬので、公式のビジュアルが死を感じさせるのは当然のことですね。
劇中、常に死の匂いを感じながら鑑賞することになるのでこちらも番組への集中力を高めるのに効果的だと思います。
「あと何人、どこで死ぬんだろう」と自然と予想するのもいいですね。
ビジュアル自体も劇中のシーンを連想するものが多く、理解するとニヤッとする仕掛けがあるのもいい感じですね。
それと細かい話ですが、全体の色がいずれもかなり彩度をおさえられているのも良いです。
おかげで「遠い世界の遠い出来事」というおとぎ話のような印象があります。
まとめ
大ヒットドラマをデザイン目線から少し考えてみました。
ドラマの内容が面白いというのは当然のことなのですが、その魅力に補助線をつけるのがタイトルやポスターの役割です。
このポスターやタイトルがキッカケでドラマ鑑賞を始めた人も一定数はいるでしょうし、いずれにせよドラマとの最初の出会いは肝心ですからね。
ドラマと同様にタイトルやポスターも優れているよというお話でした。
ちなみに、いきなりの告白となりますが僕の“推し”はアリアでした。
それでは、また。
↓ 面白いと思ったらクリックください!励みになります!