アクアマン 《ポスターからは期待が高まったけど。。》
映画の点数…37点
ポスターの点数…80点
結局のところいつものDC
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は《アクアマン》です。
さっきザッと調べた感じだと、映画全体の世界興行収入では22位にランキングしているみたいで。
これはジャスティスリーグよりもはるかに上で(それもどうかと思うが)、近年のDCヒーローものでは大健闘した作品と言えます。
数字の上でも、映画の内容的にもマーベルに先を行かれるDCですが、ようやく一矢報いた感じでしょうか。
ジェイソン・モモアという、まだ一般的にはスーパースターとは言えない彼を主役にして一本の映画を作りきったあたりからも気合いが感じられました。
ジェイソンさんは大ヒットドラマ「ゲームオブスローンズ」に出演していたイメージですね。
割と序盤で退場するので彼の代表作ということではないのでしょうが、ゲースロの成功を受けての抜擢だったのはあるんじゃないでしょうか。
まぁゲースロ出身の俳優はマーベルやDC問わず今やハリウッド映画に欠かせないくらい大活躍されているんですけどね。
ゲースロの話は置いておいて、ここまで大ヒットを飛ばしたアクアマン。
この映画の魅力はなんだったのでしょうかと僕なりに振り返ってみると………
いや、全然いつものDC映画と同じじゃねえか!!
映画のストーリー
映画の設定自体は、無数にある物語と同じと言えます。
人間の父親と、海の王国の女王様のハーフとして生まれたアーサー。
アーサーがたくましく大人へと成長したその頃、海を汚し続ける人間に怒ったアーサーの弟オームは、地上を滅ぼそうと攻撃を開始した。
弟オームの暴走を止めるべく、伝説の武器を求めて海中へとアーサーは帰っていく。
果たして勝つのは人間とのハーフ・アーサーか、純血の王オームか。。。
みたいな感じですかね。
この映画の目的は「弟の暴走を止めること」と言えるわけです。
それだけで終わってればまだ良かったんだけど。。。
映画の良かった点
先に映画の魅力から触れておきます。
いいとこももちろんあるので。
まず、お話自体が明るいです。
バットマンビギンズからずーーーーーーーっととにかく暗いDC映画ですが、本作はザックスナイダー色が薄めで話のトーンが基本的には明るいです。
明確なギャグシーンも織り込まれるなど、今までのDCシリーズとはひと味違う印象。
それと平行して、やたらと宗教くさかった他の作品とは距離をおいているのも特徴です。
不用意に「神がどうしたこうした」と言わなくなった分、DC映画の悪いところだった「途中から何を言っているのか分からなくなる」ような現象はありませんでした。
そしてもちろんジェイソン・モモアさんはアクアマンというヒーローも見事に体現出来ていて、そこは手放しで賞賛できます。
ただ……
映画の不満点
すごく単純に、ストーリーが陳腐すぎませんかね???
バカな弟を止めに行く兄→失敗してやられる兄→伝説の武器を手に入れるため探し回る兄→偶然にもお母さんと再会ヒャッハー→伝説の武器を使って弟をこらしめる→俺が王様だ!と言い始める
これがストーリーの全てですよね。
いくらなんでも2019年にこれをやられるとキツいんですけど。。。
別にストーリーは陳腐でもいいですよ。
だったら他の箇所で補わないとダメですよね。
これからそれも述べますが、それも全く出来ていないんですよ。
だからストーリー全体がアホっぽくなってしまうんですよね。
設定がガバガバ
まず、伝説の武器さえあれば弟を倒せるという設定自体がひどすぎます。
結局最終的には武器があればいいってこと?
それじゃ強国が原爆を保持する理由と同じで、「強い武器を持ってる方が偉いんだよ」という以外の理由がまるでありません。
せめて「最も慈悲深い者だけが手にすることの出来る武器」とか嘘でも設定を加えようよ。
でも無理ですよね。
そもそもこの伝説の武器を作った昔の王様こそが、支配欲に取り憑かれて国を滅ぼしたくらいなんですから。
伝説の武器というよりも呪われた武器という方がふさわしいでしょ。
最低最悪の君主制
最終的にアーサーが王様になるというストーリーもひどいです。
弟が悪い奴だから、やっつけて王様になるっている。
ケンカが強い方が王様なのね。
くだらん!!!!
じゃあ、また弟がケンカを挑んできて負けたら王様交代なんだよね?
なんなのそれ。
国民とかはほとんど画面にも出てこないけど、国民のことをなんだと思ってるの。
せめて国民からは絶大なる支持をアーサーは得ているとかないわけ?
なんならアーサーが戦ってた時ブーイングされてたけど。
まわりの何人かが「こいつの方が王様として良さそうだから応援しよう」ってしてただけじゃない。
こういうのって、クーデターって言うんだよ。
アトランティス王国からしたら、王様が交代したのって悲劇なんじゃないの?
最後に王様になったアーサーのセリフが「すさまじい重圧だが、この国の為に尽くそう」とかではなく「がははは、面白そうだ」だって。
暗殺されろお前なんか。
脚本が意味不明
脚本もひどかったですね。
アーサーが伝説の武器を手にするために旅をするんですけど。。。。
その課程が丸ごと無駄なんですよ。
まず巻物みたいなアイテムを手に入れて、それを手がかりにサハラ砂漠に行って、そこからシチリアに武器があるらしいって情報を手に入れて。。。。
どれか一個にしろよ!!
なんでウロウロするの。
シチリアとか、ただアクションシーンと綺麗な景色の映像が撮りたかっただけでしょ?
なんでこんなにウロウロするのに腹がたつのかというと、このウロウロしている間にアーサーはなんにも成長しないからなんですよ。
「王というのはこういうことなのか」とか「こんな気持ちでは弟に到底勝てない!」とかなんにもない。
ただ文字通りウロウロして武器をさがしているだけ。
なんかしょうもない王女様メラと恋に落ちるとか、メチャクチャ不細工なロボットの敵をやっつけるとかそれだけ。
つまり映画の1時間近く無駄なんですよね。
デザインがひどい
これは監督の責任とまでは言えませんが、映画全体のデザインがとにかくひどかったですね。
まずストームトルーパー的な敵が登場したときに「かっこわる!」と思いました。
そのイヤな予感はほぼ全部のデザインに共通します。
水中船みたいなのもかっこ悪い。
敵のボスのデザインもかっこ悪い(ていうか他のキャラと見分けがつかないんだよ、デザインとして大失敗でしょ)。
メラの衣装もひどい(おっぱい出てるだけ)。
何よりもひどかったのは母親役のニコールキッドマンの衣装ですね。
もはや「ごっつええ感じ」のトカゲのおっさんレベルでしたよ。マジで。
あれじゃあまりにも可哀想でしょう。
CGはものすごく頑張っている分そこで演じている人間達がバカにしか見えないって、こんなのCGの使い方として最もダメなんじゃないですかね?
これも全て、ストーリー全体がうまくいっていないからキャラクターに対する思い入れが出来ずにコスプレに見えちゃうんですよね。
ポスターの感想
「いつものDCだ!」と思ったのはこれが理由なんですが、相変わらず「ポスター“は”レベルが高い」んですよ。
余計な情報は加えずに、深海でポーズを決めるアクアマン。
キャッチコピーもシンプルに「HOME IS CALLING(海が呼んでいる)」の一言。
切れ味最高、とてもいいポスターですね。
適度に左右対称にされたレイアウトと、画面の奥の方にうっすら広がっている王国、すっきりしていながらも観ていて飽きないデザインになっています。
アーサーの表情も不敵な力強さを感じます。
日本語版ポスター
けっこう叩かれてたイメージの日本語版ポスター。
まぁ確かにキャッチコピーは改悪だと思うし、色をかなり明るめに調整したのもダサいと思いますよ。
ただ近年の大改造からの大改悪に比べたら控えめなんで、このくらいなら別にどうでもいいんじゃない?というのが感想。
だってそれよりまず映画がひどいんだもん。
まとめ
期待していたぶん、けっこう残念な気持ちですね。
このレベルの映画をいくら量産しても、まだマーベルの天下は続きそうです。
もしくは《JOKER》のようにクロスオーバーを意識しないで単体の映画のレベルを上げるか考えた方がいいんじゃないでしょうか。
今更話のつながりの矛盾とかをファンは意識しなんじゃないかと思うんですがいかがでしょう。
それでは、また。
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