映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

銀魂《あれ?普通に良くなかった映画とポスター》

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映画の点数…8点
ポスターの点数…15点

 

評判に期待しすぎた


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画は銀魂一作目です。


ジャンプマンガの実写化ということでなかなか地雷の雰囲気を感じていたのですが、まわりの評判やネットの評判を観る限り「いや、意外と悪くないよ」との声がチラホラ。


2作目まで公開されたことも考えると、なるほど成功作なのかも知れないなと思い。


せっかくなので観てみることにしたのですよ。


ちなみにマンガの方は40巻くらいまでは読んでます。


そのうちまとめて最後まで読もうと思ってます、くらいにはファンですね。


映画化された箇所のエピソードもうっすら覚えていたくらいは覚えてました。


というわけで、基本的に好意的に鑑賞したのですが。。。。


あれ。


普通に面白くないぞ。。。。

 

映画の内容


マンガ原作もそうなのですが、あらゆる意味でメタ視点が楽しい作品です。


主人公達は幕末から維新後の譲位志士や新撰組のパロディー。


黒船来航(=宇宙人の侵略)によって激変した日本が舞台になっています。


登場人物達は頻繁に第4の壁を破ってきて「原作を知らない人もいるんだからさぁ」とか「映画の内容が変わっちゃうから」なんて口にします。


基本的にはギャグマンガベースでありながら、シリアスなシーンも書き分けることが出来る希有なマンガ原作であり、映画もそれを目指した作りになっていました。


楽しみ方としては


●宇宙人が普通にいる世界観の表現
●ギャグシーンで笑えるかどうか
●シリアスシーンがうまく撮れているか
●マンガ原作を関係なしに、映画として成立しているか


がポイントだといえそうですが。。。。

 

基本的に大失敗


誤解されそうであれなんですけど、僕は別にこの映画を嫌いだとか怒っているとかではなくって。


「普通に観て、普通にダメだと思う」くらいのテンションです。


前述した「抑えるべきポイント」を順にあげていくと

 

宇宙人が普通にいる世界観の表現


これがまず良くなかったと思います。


映画冒頭から「完全に着ぐるみでーす」とか「ダンボールで作ってまーす」みたいな宇宙人描写なんですよね。


これは今作銀魂の福田監督の代表作である「勇者ヨシヒコ」シリーズの手法です。


おそらくこの手法ありきでの監督の抜擢だったのでしょう。


ですが、ドラマではまだ良かったこの手法もこの映画においてはうまくいっていません。


勇者ヨシヒコの場合は、ドラゴンクエストという「一歩間違えば命を落とす冒険活劇」というベースを活かした上での外し演出だから面白かったんですよね。


何より主演の山田孝之さんは、自分自身は大真面目に冒険しているというキャラだからこそのアンバランスさが楽しかった。


ですが銀魂の場合だと、そもそもギャグマンガがベースです。


ギャグマンガの実写化で、しかもビジュアルがチープだと学芸会しか感じなくて。


予算の問題はあれど、ここは「ビジュアルはやけにリアル」な演出じゃないとコメディにならないでしょう。


その予算がとれないのであれば、やはり実写化自体が無謀だったと思います。

 

ギャグシーンで笑えるかどうか


これが個人的には一番キツかったです。


まったく笑えませんでした。


理由は2つあって、一つはマンガをそのまま実写化しちゃってること。


銀魂というマンガの面白さは「多くのキャラがボケとツッコミが出来る」こと、「ボケもツッコミも以上にしつこくしつこく長文で繰り返す」ことです。


それが実写化にとても合っていなかったですね。


みんなボケたりツッコんだりしてるのでキャラクターが飲み込みづらいままに2時間たってしまいます。


登場時間はそれぞれ限られているのに無理矢理ボケやツッコミを入れるので、ただの頭のおかしい人達にしか見えないんですよ。


それともう一つは、役者さんの演出の問題です。


役者さんが悪いとはいいませんが、全然コメディとして面白くなかったです。


佐藤二朗さんなんかは、基本的にコメディが上手なので安心して見ていられるんですが、明らかに実力と不釣り合いな方が多数出演されていて。。。


その方達がコメディな演技をする度に「ああ、、、こっちが恥ずかしい」みたいな微妙な感情になってしまいました。


実力がないならないで、せめてやたらとマンガチックなセリフを変更するとか演出を変えるとか色々やり方はあったでしょうに。。。


特に橋本さんと菜々緒さんはちょっと。。。つらかったです。

 

シリアスシーンがうまく撮れているか


これもうまくいっていません。


そもそもテーマが散らかりすぎです。


解決するべき問題が多すぎるんですよ。


刀鍛冶兄弟のお話、刀に取り憑かれた男の話、革命家・堂本剛の話。


それぞれに解決する為の方法が違うのに、まとめて同じ舞台で解決しようとするので何がなんだか分からなくなります。


最終的には銀さんが“ちょっとだけいいこと風なこと”を言って相手をぶん殴って解決×3です。


あんなにキャラがたくさん出てきたのに全員役にもたちやしない。


新撰組とか今回は出さない方がよっぽど良かったと思いますけどね。


キャラや問題がゴチャゴチャしている分最後は暴力で解決するしかないって、そりゃいくら少年マンガとはいえどうかと思いますけどね。。。(連載の場合はいいんですよ。読む間に時間がたつから。2時間の映画の中で詰め込むから問題なんです)

 

マンガ原作を関係なしに、映画として成立しているか


そして最後にこの問題。


そもそも映画として成立しているか。


今まで読んでいただいたなら分かる通り、そう、映画として全然ダメだと思いました。


銀魂という作品がメタ視点込みの映画・マンガだというのは百も承知です。


映画という枠を飛び越えようとしたチャレンジはもちろん買います。


ただし、それは「2時間の映画として面白いかどうか」をクリアしていればという前提の話です。


今回はその課程をクリア出来ていないと思うんですね。


映画が面白くない。


だからその他の要素が気になってくるというか腹がたつというか。


どういう課程で制作されたのか不明ですが、企画の段階ですでに間違えていたんじゃないかなと思ってしまいます。

 

良かった点


一応、一応最後に触れておきます。


この映画を8点としましたが、唯一良かったなと思うのは岡田将生さんです。


一番「この映画の狂っている部分」と「狂った演技」のバランスが良かったと思います。


リーガルハイなんかもそうでしたが、岡田将生さんはクレイジーなハイテンションキャラをやらせると光りますね。

 

ポスターの感想


映画ポスターに関しては特に言うこともないというか。。。


一番ダメな邦画ポスターの代表みたいな感じですね。

 

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キャラ全部のせで、しかもそれぞれが特にいい表情もしてないしレイアウトもうまくない。


特に小栗旬さんをなぜあの表情で使ったのか本当に謎。


これで面白そうな映画に見えますかね。。。?


このポスターから感じるのは「原作マンガファンへのファンムービー」であることと「好きな俳優が出てればなんでもいい」というミーハーな方だけに向けた映画であるということですね。


そこまで考えると、ちょっとでも「面白いかも」と考えた僕が悪かった気がしてきましたよ。

 

まとめ


もうなんだかんだ言いましたが、結局は「制作陣がみせたいもの」と「銀魂の映画化を観たい人」と「僕」の姿勢が全然噛み合っていなかったということだと思います。


すませんでした、僕が悪かったです。


なのでもう「銀魂2」を観ることはないですが、今後とも皆さんがんばっていきましょう。


僕もがんばります(投げやり)。


それでは、また。

 

 

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