映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

スノーデン 《結果的に地味な映画とポスターに??》

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映画の点数…65点
ポスターの点数…50点

 

半ドキュメンタリー・半サスペンス

 

こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画は《スノーデン》です。


2013年にアメリカ安全保障局(NSA)の国際的な監視網を告発したことで知られるエドワード・スノーデンさんを取り扱った映画です。


詳しくはグーグル先生にでも聞いて頂きたいのですが、大まかに言えば
アメリカの安全と平和の為に色々な国や人の盗聴とかをしてるけど、そんなのってやっぱりいけないんじゃない?」と感じたスノーデンさんがそれをメディアに暴露しちゃったわけですね。


日本にも「特定秘密保護法案」なんてものもありますが、この手の問題は各自で自分なりの意見は持っておくべきことだとは思います。


とはいえこれは映画の感想なんかを述べる場なので、スノーデンさんのとった行動の成否については僕は全く意見する気はございません


あくまでも「映画として」、秘密を盗んで暴露することを「成功」として取り扱います。

 

オリバー・ストーン監督の立場


監督はオリバー・ストーンさん。


代表作はなんといってもプラトーンでしょう。


リベラルで知られる監督なので、この映画がどのように作られているかはある程度予想できました。


やはりスノーデンさんのとった行動は正しいものであり、NSAを告発しアメリカ国民に問いを投げ抱えたことは有意義なことであった、というお考えなのでしょう。


それこそが真の愛国的な行動であると。


前述の通りそれが正しいかは分かりませんが、少なくともオリバー・ストーン監督はそのような撮り方をしているわけです。


その前提を踏まえて映画とポスターを観ていこうと思います。

 

ポスターの感想


まずポスターを観ていきます。

 

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僕の大好きな俳優、ジョセフ・ゴードンさんがスノーデンさんを演じているのですが意図は明らかですね。


似ているからというのもありますが、「あまり頼りになりそうもないインテリ」というような出で立ちこそが大事だったのでしょう。


ポスターからもその雰囲気は伝わってきます。


肩の落ちたゆったりとした立ち姿。


スーツでは無くTシャツで、覇気をあまり感じない表情。


「どこにでもいる(少しオタクな)青年」としてパッケージしたかったのが窺えます。


その頼りなさげな青年の肩に、アメリカ国旗がかかっています。


さらにその背景には愛する恋人。


ただの一青年に過ぎない彼にのしかかる重圧というのを表現しているわけです。

 

とはいえ


とはいえ、ですが。


ポスターの意図は正確に伝わるんですけど、かと言って良いポスターかと言えばそうでもない。


正直に言ってしまえば、いくらなんでも地味すぎます。


そもそも映画の内容自体がコチョコチョパソコンをしたり、秘密の会話をしたり、インタビューを受けたりするという非常に地味な内容なわけです。


それを「わあ、面白そう」と思わせるのであれば、もう少し工夫が必要だったでしょう。


例えばですが、イーストウッドとディカプリオの《エドガー》という映画。

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こちらなんかは「彼はアメリカにとっての正義なのか、悪なのか」微妙なラインをポスターでうまく表現できています。


もう少し観客自身に「心の揺らぎ」を与える演出は必要だったかなと思います。

 

映画の感想


映画の感想もポスターの感想と少し似ています。


やはり、とにかく地味なんですよね。


「ストーリー上仕方ないではないか」というわけでもありません。


それをエンタテインメントにするのが映画なのですから。


思うに、ドキュメンタリー映画」と「サスペンス映画」の融合が中途半端だったのが原因ではないでしょうか。


スノーデン青年の半生を丁寧に描くことでドキュメンタリー的な要素がある一方で、「この国はもしや間違っているのではないか」と思い立ち少しずつ行動に移していく要素があります。


そしてそのどちらも成功しているとは言いがたいように感じます。

 

恋人が邪魔…


映画の中心にはスノーデンさんの恋人がいます。


彼女はリベラル派であり、スノーデンさんの考えに影響を与えているというのは分かります。


一方、スノーデンさんは国家的な秘密を扱う仕事をしているので、仕事のことを恋人に打ち明けることができません。


そこで「私と仕事どっちが大事なのよ!!」みたいな感じでよくケンカをしています。


あのー、これ、映画に関係なくないですかね???


「自分の仕事を信じるのか、それともアメリカを敵にまわすか」で悩んでいることと、「仕事と私どっちが大事問題」は全然関係ないというか、むしろ出さない方がいいレベルだと思うんですよね。


だったら「このままじゃ彼女の命が危ない」とか「自分の彼女に話せない仕事だったら辞めてしまおう」とかそういう状況があるなら分かるんですよ。


そういうことじゃないからなぁ。。。


基本的にずっと「彼女のシーンいらないなぁ」と思いながら観てました。

 

全体的にはバランスはいい


彼女のシーンはまるごといらないと思いましたが、全体的にはスッキリ観やすく作ってあったと思います。


そのへんはさすが巨匠ですね。


難しい用語が山ほどあるので混乱しがちなのですが、演出や表情やナレーションを適度に挟むことで観客が置いてけぼりにならない配慮はされています。


当たり前なことではあるのですが、誰にでも出来ることではないですからね。

 

まとめ


題材としてはとてもいいし、誰しもが一度は観ておくべき映画であるとは思います。


だからこそ「惜しい」というか。


余分な要素を減らすこと、もしくは逆に焦点を絞って研ぎ澄ますことでもっとより良い映画になったのになと思います。


それでは、また。

 

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