ワンス・アポン・ア・タイム・イン ハリウッド
映画の点数…88点
ポスターの点数…70点
映画で世界と戦う監督
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は8月30日より日本でも公開が始まった【ワンス・アポン・ア・タイム・イン ハリウッド】です。
監督はクエンティン・タランティーノ。
主演にディカプリオとブラッド・ピッド、準主役の位置にマーゴット・ロビー。
さてなんと言いましょうか。。。
公開から数日経っておりますが、未だに頭の中でこの映画の事を繰り返し思い出してしまうような映画体験だったと思っています。
点数こそ「88点」くらいにしておりますが、これは自分の中でこの映画に対する決着が全然ついていない中でつけた暫定的な数字です。
そのくらい頭の中でグルングルン色々考える映画でしたね。
とりあえず言えるのは、今作でタランティーノは「あの時代とあの人を、どうにか一度だけ救ってあげたい」とい気持ちで作品を作ろうとしたのだと感じました。
ドライで突き放したような映画のイメージの強い監督ですが、今作では非常に愛に溢れたあたたかい映画だと思っています。
あ、でも当然のようにハードな暴力シーンはありますけどね笑
それはそれ、これはこれってことで。
まず大前提として
映画を観る前の大前提として、「チャールズ・マンソン」とか「ポランスキー」とか「シャロン・テート」という言葉にピンとこない人はせめてそれらの人物を一度グーグルで検索してからの鑑賞をおすすめします。
というか、その知識が全く無い人が観てどれほど面白いと感じるか謎なレベル。
日本に置き換えると、《この世界の片隅に》では徐々に1945年8月6日に向かって話が進行していく恐怖があったのですが、この映画においても「このあとに起こる事件」を知らないで観るのでは全く印象が違ってくるはずです。
ネタバレどうこうの話ではなくって、オチを知っていることが前提の物語ですからね。
映画の感想
そ…そうきたかぁ〜〜〜!!!!
というのが最初に観たときの感想です。
確かにタランティーノならば、こういう風にストーリーを作る可能性は今となってはあったと分かります。
ジャンゴしかり、イングロリアス・バスターズしかり、タランティーノが時々取り組む映画の構造の一つです。
それでもやはり今回はビックリしました。
何にビックリしたって……
まさかタランティーノ映画でこんなにグッときたことが無かったからです。
目の前のスクリーンで起こっていることは血まみれの暴力だったりもするのですが、そこにはやっぱり愛を感じるんですよね。
だからこそ映画を見終わった今も戸惑っているというか、自分が予想していた着地点と全然違うところに降ろされたものだからビックリしちゃってるんですよね。
でもそれはとても幸福なビックリなんですけども。
映画の良かった点
今までのタランティーノ映画の中で最も「何も起こっていない」時間の長い映画なのは間違いないと思います。
出てくるキャラクターは俳優や女優だったりするものの、基本的には仕事をしたり家でお酒を飲んだりしているだけです。
これといった事件は起こらないので、見方によっては退屈なシーンも多いかも知れません。
ただし、頭の片隅にはずっと「あの情報」が残っています。
つまり、シャロン・テート殺害事件がこの後に起こるのだという事実。
観ているシーンがどれだけ穏やかでも、それはそんなに長く続かないことを知りながら観ているわけですね。
そうすると映画のちょっとしたシーンがとても滑稽に思えたり愛おしく思えたりするわけです。
とてもイジワルな構図ではあるのですが、画面全体は基本的に幸せそうなシーンが多いんですよね。
だからこそジワジワと時間が経つにつれ切ない気持ちになっていきます。
後半のあのシーン
ネタバレこそしませんが、やはりラストに向けてのシーンが抜群に良かったのは書き留めておく必要があると思います。
ある意味ではこの映画は2時間半くらいをかけてそのラストシーンのために機能しているとも言えます。
思わず映画館で笑っちゃったし、笑いながらしかも泣けるというか、色んな感情を振り回されながら観ていました。
「ざまあみろバーカ!!!」という気持ちもありつつも、「どうにか違う未来はなかったのだろうか」と祈るような気持ちがシーンに込められていたと思います。
とてもいいシーンでした。
ポスターの感想
今回けっこう多くのパターンのポスターが制作されています。
基本的にはディカプリオとブラピの組み合わせ。
そこにハリウッドらしさをブレンドしてある感じなのですが、特に今作はブラピが異常にかっこいいですね。
アロハシャツにブルージーン、サンドシューズといったアメカジスタイルなのですが、この軽やかな感じが映画全体にいいバランスをもたらしています。
ポスターでもその効果は発揮されていて、仮にブラピが違う格好をしていたらもっと重たい印象になったのは間違いないでしょう。
気付きにくい点ではあるものの、キャラクターの服装がそのままポスターに影響をおよぼし、映画全体にも影響したというわけですね。
衣装さんは良い仕事をしましたね。
別案
こちらのポスターの方がより「昔のハリウッド」感は強くなります。
使い古されたアイデアではあるのかも知れませんが、やっぱりこういう肌触りを感じるようなポスターはカッコイイですな。
まとめ
結局タランティーノ最高!
と言ってしまえばそれまでなのですが、今作では改めてタランティーノという監督の懐の大きさを感じましたね。
「映画を愛している」監督にしか出来ない、映画だからこそ出来る可能性を見事に体現した一作だと思います。
皆さんも是非、少しだけ予習をして映画をご覧になってみてください。
それでは、また。
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