映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

スパイダーマン2 & 3 《絶頂とドン底の一人旅》

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スパイダーマン2

映画の点数… 70点

ポスターの点数…40点

 

スパイダーマン3

映画の点数… 25点

ポスターの点数…70点

 

お口あんぐり


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画はサム・ライミ版のスパイダーマン2 & 3です。


一作ずつ分けて書いてもいいのですが、同じ作品でここまで落差のある作品もそうないなと思ったのでまとめて振り返ってみます。


映画のジンクスには色々あって、その中の一つ「2作目が最高傑作、3作目で最悪なことになる」というものがあります。


例えば「ゴッドファーザー」「パイレーツオブカリビアン」「スターウォーズ(5と6)」「エイリアン」「ターミネーター」「X-MEN」などなど。


「いや、そのチョイスはおかしいだろ!!」というご指摘も飛んできそうですが、あくまで形式上ということでご容赦を。


ではスパイダーマンはどうだったかと言うと、他の作品を寄せ付けないレベルで「最悪なことになった」と思います。


2までをそこそこ楽しんでいた身としては、お口あんぐりで震えながら鑑賞しましたよ。

 

2の感想


2はとりあえず面白かったと思うんですよ。


1に比べてヴィラン(オクトパス)の魅力が大幅に減ってしまうという難点はあったのですが、それはまぁウィレム・デフォーのゴブリンが素晴らしかったからだとして割り切れます。


1のストーリーが「スパイダーマン誕生」だとしたら、2では「自分がスパイダーマンであることを自覚する」という少年期から青年期への脱皮でしょう。


相変わらず恋愛絡みのシーンは正直うっとうしいと思ってしまいましたが、なにはともあれスッキリと見やすいストーリーにまとめたのは評価すべき点。


余計はことを考えずに楽しむには一番良かったです。

 

3の感想


そんな良かった2からの3。


ポスターを見れば一目瞭然ですが、今作では「ブラックスパイダーマン=自分自身との戦い」になるわけですが。。。


僕は既にその時点でノレなかったです。


2で既にスパイダーマンとして自覚的に活動するようになったのに、何故またもや自分との戦いになるのか。


よほどの理由があるのかなと思っていたら、いずれの理由もしょうもないものでした。
自分勝手で誰にでもなびく恋人のMJと揉めたりとか(さっさと捨てろそんな女!)


親友が命を狙ってきたりとか(真相をちゃんと話せばいいだけだろうバカ!)


叔父さんを殺したという犯人が現れたりとか(これもちゃんと話し合えば解けた誤解じゃねえか!シャイか!)


悩む必要がないことでウジウジ悩んでるだけなので、観ているこちらとしては「ははーん、バカなのかしら?」と思うしかないんですよ。


そのウジウジ悩んでいることも、自分の力で解決したというよりは教会の鐘を聞いたらなんとなく解けたみたいな感じで。


キリスト教的な要素を持ち込むのは勝手だけど、それって何の解決にもなってない気がするけどそれでもいいの?宗教として。

 

てんこ盛りすぎ


この「ピーター・パーカーの自分さがし」だけでもどうでもいいのに、さらにこの映画にはたくさんの要素をぶち込んできます。


サンドマン、ヴェノム、ゴブリンと敵だけでも三種登場します。


誰よりも魅力のないヒロイン、MJは今作も不快なほどに大暴れ。


さらにここにグウェンというまたもや魅力のないヒロインが新登場。


ここに大家の娘とか新聞社の編集長とか出ても出なくてもいいレギュラーが顔を出します。


うっとうしい!!!!


とにかく情報が多すぎて何がいいたいのか全く分からないです。


いや、分かるんですよ、テーマはおそらく「許し」でしょう。


色んなキャラが許しを求めて右往左往しています。


でもこんなに要素を出しちゃったらそりゃあ散らかるに決まってるでしょう。


2が観やすかった分、3は怖ろしいほど退屈で長かったです。。

 

ポスターの感想


映画は散々でしたが、3に関してはポスターのデザインはいいと思います。


これまでも使用してきたビルのガラスによじ登るというビジュアル。


そのガラスを利用してスパイダーマンとブラックが向き合うという構図はスリリングです。

 

ご丁寧にも、スパイダーマンとブラックが裏返しになっているバージョンまで作る手のこりよう。

 

映画内でやろうとしている事のメッセージはちゃんと伝わってきます。

 

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一方で2のポスターは

 

一方で2のポスターはそこまで良いと思いません。

 

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MJとのラブロマンス要素を強調しているのでしょうけど、これじゃちょっと映画の解釈を限定的にしすぎている気がします。

 

良くも悪くも恋愛を大事にしている映画とはいえ、、本質としてはアクション活劇のはず。

 

NY市民にとっての「親愛なる隣人」となることを決意したピーターが、結局MJとだけポスターにおさまるのはどうにも歯がゆい感じがします。

 

サム・ライミスパイダーマンがどうにもウェットな雰囲気なのはこのポスターの印象が多少影響している気がします。

 

だとしたら少しもったいない気がしますね。

 

まとめ

悲しいかなスパイダーマン

 

三作目のジンクスを覆すことは出来なかったように僕は思います。

 

もっとも、興行的には成功を収めたため結果的にはマーベルとソニーにとってはいい出会いだったのでしょう。

 

この時までは。

 

もはや結果論でしかないのですが、この翌年より始まったMCUシリーズにとってはこのスパイダーマンのヒットは不幸なことなのかも知れません。

 

スパイダーマンを手放したくないソニーと、半ば強奪しにきたマーベルとディズニー。

 

再度決裂することになったMCUスパイダーマン

 

いつか仲良くなれる日がくるといいのですが、もうちょっと先の話になりそうですね。。。。

 

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