イントゥ・ザ・ストーム 《映画もポスターも捨てがたい一作》
映画の点数…73点
ポスターの点数…75点
あれ?面白い。。
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は《イントゥ・ザ・ストーム 》2014 です。
元々「なんか真面目に映画観るつもりもないから、気楽に楽しめるやつがいいな」という動機でチョイスした一作です。
どうせ「竜巻がドーンときて、無謀にも突っ込んでいく奴がいたり、逃げてるうちにイチャついたり、子どもが絶叫するのをパパがダイブで助けたりする映画でしょ」と思っていたわけです。
まぁ確かに竜巻に突っ込んでいったりイチャついたりする場面はあります。
そんな全く期待していなかった一作なのですが。。
あれ…面白いぞ。
というのが正直な感想です。
ナメてましたすみません。
映画の内容
ストーリーは非常に単純です。
アメリカの片田舎に突如として大型の竜巻が発生します。
竜巻を撮影したいストームチェイサーや、生徒や息子を無事に竜巻から守りたい高校の副校長、好きな子とレポート提出の撮影のために不幸にも竜巻の発生現場に行ってしまう高校生など、様々な視点から描かれる群像劇です。
それらの人物が物語の後半で交差しあう時に浮かび上がってくるものとはーーー
みたいな感じです。
こんなこと言っては失礼ですが、意外と人間描写がちゃんと描かれているんですよね。
親子の葛藤を抱えていたり、好きな子に話しかけられない童貞くささだったり、竜巻を撮影することにカタルシスを感じる人とそうでない人など。
竜巻が本来の魅力(もちろん映画としてですよ)を発揮して大暴れするのも楽しいですし、逆に竜巻が人間関係を変化させるための舞台装置として活躍したり。
今回の竜巻さんはなかなかに気がきいてるな、良い奴だなという印象です(けっこう死者は出たけど)。
映画の良かった点
人物達の葛藤なんかは、けっこうフォーマット通りではあるんですよ。
他の映画で観たようなキャラクターのコピペみたいな。
それでも一定以上のレベルで面白いなと感じたのは、それらのキャラクターの描き方がしっかりしていたからでしょう。
登場人物達は高校の卒業式にあたっての「将来の自分へ」のムービーを撮影しているのですが、その設定のおかげで
誰がどのように考え、変化し、成長するのかがスッキリ分かりやすくなっています。
そのムービーがあるおかげで、よくあるパニック映画の演出で「そこに危険が迫っているのにダラダラと過去の話を掘り下げたり、泣いたり叫んだり」といった描写がグッと抑えられています。
最初の方でスマートにキャラクターの描き分けが出来ているので、あとは竜巻との対決に集中出来るようになっています。
竜巻との対決もスッキリしていて、あくまでも突発的な自然災害であるということからはみ出したりはしません。
悪い映画のパターンだと、まるで災害自身に人格があるような扱いをすることもあるのですが今回の竜巻はそんなことないです。
「あ、やべえ竜巻だ逃げろ!」か「やっほーい!竜巻だ追いかけろ!」の二択しかありません。
そういった無駄な要素を抜いたおかげでわずか90分程度のちょうどいいサイズの映画に仕上がっています。
非常に最適な時間配分だったなぁと感心しましたよ。
悪かった点
ほとんど悪い点はないと言ってもいいのですが、あえて言えば二点。
一つは、もう少しだけ竜巻の大暴れ感を足して欲しかった。
映像的な迫力は十分にあったのですが、もう少しだけ「これはもう、とんでもないことになった…」ということが実感できる破壊描写が観たかったですね。
逆に、映画のラストがちょっと余計だったかなと思います。
せっかく今までスマートな映画だったのに「かけがえのないものを失ったけど、家族の大切さが分かった」とか「毎日毎日を大事に生きるよ」とかわざわざ入れなくて良かったと思うんですよね。
「そんなもん映画を観てたら分かったわい!」ということなので。
ポスターの感想
映画も佳作ならば、ポスターもまた佳作といっていい良いポスターでした。
スター俳優が登場しない映画であることを逆手にとって、竜巻を真ん中にドーンと持ってきたデザイン。
とにかく「竜巻が主役ですよ」という開き直りを感じます。
例えばですけど、同じパニック・災害映画でもタイタニックのパッケージにディカプリオを出さないとかアルマゲドンのパッケージにブルース・ウィルスを出さないとかは考えられないですからね。
ここまで思い切りのいいデザインだとやはり惹かれるものがあります。
それと、ポスターの全体的な色味もなかなかいいですね。
薄暗い青っぽい空が不穏さを演出しています。
竜巻が起こる悪天候なのだから当たり前といえば当たり前なのですが、これは物語の最終盤で「竜巻が終わる=空が晴れ渡る」時とのギャップにも役立っています。
まとめ
「これはすごい傑作だ!」なんて言いませんが、それでも「いや、ナメてたらダメだぞ」というくらいには面白い作品でした。
こういうサイズ感の映画での良作って意外と存在しないので、こういう作品がもっと増えてもくれたら嬉しいなあと思う次第。
何よりも、映画は観てみないと面白いかどうかなんて分からないものですね。
それでは、また。
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