映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

SUPER 8 《情熱は感じる映画と、0点のポスター》

映画の点数…72点
ポスターの点数…0点(日本版)

 

ザ・ザ・スピルバーグ


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画はJ.J.エイブラムスのSUPER 8です。


J.J.エイブラムス監督は好きな人はすごく好き、嫌いな人は嫌いと評価が分かれがちな人だと思ってるんですけど。


僕は「けっこう好きだよ」くらいのテンションでして。


彼の作品の中ではスターウォーズ フォースの覚醒」とんでもなく好き!!で、あとのMI3とかクローバーフィールドとかは「うん、面白かったよ!俺は」くらいな感じ。


なんていうんですかね。


とても無邪気な人なのかなと思っていて。


「俺、こういう映画が大好きだから、こういう映画作りたいんだ!」みたいなバカ正直な感じ。


そのかわり、脚本や細かいディテールの部分で結構いい加減なところもあるなと。


僕はそのバカ正直な感じが好きなので細かい部分は許しちゃうんですけど、そのあたりで評価が分かれるのかなぁなんて思ってます。


で、今回のスーパー8ですが、なんともまぁ究極に無邪気な一作です。


とにかく前半はスピルバーグっぽい感じ!!!」だけでアクセルべた踏みした映画でした。

 

映画の感想


身も蓋もない言い方をしちゃえば、未知との遭遇E.T.とスタンドバイミーとグーニーズを混ぜた映画ですよ。


パクリというよりは、「そういう映画を作りたい」というコンセプトのもとに作られているので全体的に無邪気さを感じます。


おそらくスピルバーグを全く知らない人がこの映画を観ても「あら面白い映画ね」となると思います。


ただ残念な展開が後半に待っていて、何故でしょうか、これらの作品群にクローバーフィールド」も一緒に混ぜちゃった感じなんですよね。


なんで混ぜちゃったかな。


今までジュブナイルものとして楽しんでいた映画の中に急にハードコアな殺人エイリアンが紛れ込んできちゃうわけですからね。


でも冷静に映画全体を見渡してみると、このエイリアンだけではなくて他にも色々とアンバランスさが目立ってた作品かなという印象です。

 

映画の良かった点


J.J.がスピルバーグへのリスペクト全開で作った箇所はやはり面白かったです。

 

そりゃそういう映画なんだからそこが面白くなかったら意味ないんですけど。

 

キャラクター設定がものすごく定型分的で、中性的な主人公と威張ってるデブと発明が好きなチビと影の薄いノッポ。

 

はいはい、どこかで見たことあるわという「俺たちの分身」と、どっからどうみても釣り合わない綺麗なヒロイン。

 

ウマの合わない親との確執や、必要以上には登場しない「オトナ」達。

 

こうやって見ていくといかにスピルバーグが優れた監督なのか逆説的に浮かび上がってきて、それを確認するだけで愉快です。

 

そしてこの映画の面白さのピークってつまりは「スピルバーグらしさ」だけでもあるんですけど。。。

 

映画の不満点

 

やっぱり脚本が甘いよなぁというのが気になります。

 

キャラクター達が「親との確執を抱えてる」とかの設定が、「スピルバーグの映画ってそういうものでしょ?」という以上のことはなくて。

 

ストーリーが進むうちに気づくんですが、そもそも確執が特にないんですよね。

 

母親が死んじゃって父親との関係がギクシャクしてるっていう悩みは、別にエイリアンの登場と何にも関係なくって。

 

そういうのは「父親が頑張れよバカ」としか思わないですよね。

 

そもそもエイリアン

 

もっと言うと。。。。

そもそもエイリアンって必要だった???

っていうことなんですよね。。。。

 

これも結局、未知との遭遇E.T.らしさの記号でしかなくって、別に「殺人犯が出た!」とかでも良くって。

 

未知との遭遇E.T.では、エイリアンとの交流を通じて主人公達の人生が決定的に変化するんですけど、今回のキャラクター達にとってはほとんど関係ないんですよ。

 

だとしたらやっぱりキャラクター達のドラマこそを大事にしなきゃいけなかったんですよね。。

 

それが出来てないから、どうしてもエイリアンの方の不出来が気になっちゃって。

 

ポスターの感想

 

まず、本国版のポスターはものすごくいいです。

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スピルバーグっぽいポスターとは違うんですけど、ジュブナイルものとしてのビジュアルとしてはピカイチにかっこいい。

 

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このポスターからも分かるのは、やはりキャラクター達こそが主人公という点ですよね。

 

未知との遭遇E.T.もキャラクター達こそが主人公です。

 

そのバランスをとても理解できているポスターと思います。

 

ところがです。。

 

日本語コピーポスター

 

ダメだこりゃ!!!!!!

 

 

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ここまでダメなポスターもそうそう見ないよなと思います。。。

 

ビジュアルは完全に未知との遭遇ですね。

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もうこれだけで

「はーーーい、宇宙人でまーーーーす」って感じです。

バカなのかしらん???

 

この映画を見たとき、そして人に勧めるときにどうしてこのビジュアルになるんでしょうか。

 

最低なのはキャッチコピーですね。

 

「僕たちは、ひとりじゃない。

世界の秘密を目撃した、あの夏

その出逢いは、永遠に忘れない」

 

長い、ダサい、そして意味分かんない

 

まず、エイリアンに対して言っている言葉なのだとしたらこのコピーを書いた人は狂っています。

 

それか、映画を見てる途中で寝ちゃったかです。


 「いやいや、実はこれは友人達との体験のことを指しているんだよ」としてもひどいですよ。

 

なんで子ども時代の永遠なる一瞬をこんな陳腐なコピーにしちゃうんですか。

 

どんなにいい映画だとしても「それ、一番言っちゃダメなやつだよね」という代表的なコピーじゃないですか。

 

「この映画、面白いです!!」って映画のコピーに使わないですよね。

それに等しいと思うんですけどね。。。

 

まとめ

 

この映画を傑作とは思いませんけど、でもやっぱり僕はJ.J.の映画は好きですよ。

 

それはやっぱり「好きで作ってる」無邪気さを感じるからだと思います。

 

それがエゴになってしまうと急に嫌悪感が出ちゃうんですけど、J.J.はあくまでも「みんなもきっと楽しいはず!」と思いながら作ってそうなんですよね。

 

そういう作品はやっぱり一定の爽快感を持ってると思うし、実際に僕はそう感じたし。

 

さて、彼には今年の12月、スターウォーズ ライズオブスカイウォーカーという大役が残っています。

 

その作品次第で彼の評価は大きく変わりそうですけど、それはそれで別の話として。。。

 

それでは、また。


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