映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

バトルシップ 《絶滅危惧種のあがき》

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映画の点数…65点
ポスターの点数…50点

 

絶滅危惧種


こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。


今回取り上げる映画はバトルシップ2012です。


この映画を特に理屈はなくいい加減な気持ちで分別すると「マイケルベイとかエメリッヒみたいなテンション映画で、船を舞台にしたトランスフォーマーということだと思うんです。


最近イコライザーやジョンウィックなど、70年代な香りを残すアクション映画の傑作が連続していました。


そんな中にあって、いわゆるアルマゲドンインデペンデンスデイなんかの「大味な筋肉アクション映画(金はかけれるだけかける)」みたいな映画って絶滅危惧種になっていると思うんです。


流行したものが時間の流れと共に最もダサくなるというのはしょうがない事なのですが、個人的にはそういう筋肉映画を観て育った部分もあるので少し寂しい気もするわけです。


そしてこのバトルシップは、その筋肉アクション映画の復権を志した一作でもあり、無念にも惨敗した作品なのです(興行的に)。


そんな愛すべき沈没船バトルシップを、今日はわざわざ引き上げて振り返ってみたいと思います。
(そもそも鑑賞した理由は、なんか暑いな!海っぽい映画観ようか!みたいなバカな理由からです)

 

映画の感想


まず最初に言っちゃうと、決して悪い映画ではないですよ。


むしろ微笑ましく楽しく観られました。


正直、もっと脚本がズタズタで映像もグチャグチャだと思ってたんですよ。


そしたらそれは結構大丈夫でした(結構、だけど)。


むしろ、その「バカっぽいところ」は制作側が自覚して作っている印象でした。


例えば「入隊後すぐに艦長クラスになる主人公」とか「高性能な技術を持っているくせにやたらとアナログな特攻を仕掛けてくるエイリアン」とか、むちゃくちゃな設定はたくさんあるんですよね。


でもそういうむちゃくちゃからは「だってさぁ!そういう設定の方が面白くない?!」っていう制作者の開き直りを感じるんですよね。


コソコソしていない。むしろ堂々とクレイジー


その意気込み、僕は買いましたよ。


そのかわり、自分が見せたいシーンはたぁっぷりと時間をかけて演出します。


例えば「70年前の戦艦を動かすべく集まってきた老兵達」や「宇宙人と拳と拳で愛し合う退役軍人の勇士」なんかはスローモーションでじっくり見せるわけです。


思わず笑っちゃいましたけね。


いいぞ!俺、そういうのイケる口だよ!


つまり、全体としては間違いなく「筋肉バカ映画」なんですけど、何も考えていない映画ではなくてむしろ「ここはちゃんとやろう」という場面ではしっかりコントロール出来ているなと感じました。

 

映画の良かった点


実際の理屈は抜きとして、ちゃんと戦争映画をやろうという志は感じました。


特にブイを使ったソナーボードゲームなんかは見応えたっぷり。


あえて敵艦を写さないことで緊張感を高めていく演出も好印象。


ドッカンドッカンと力技だけで押し切るような映画とは違うんだぞというのが分かります。


上記のブイ作戦もそうですし、太陽が弱点の敵にはサングラスを破壊するなどそれなりに工夫をしているのが分かります。


「Aという事情があるからBという作戦を使う」というのを、それなりにちゃんとやってるんですよね。


そんなの当たり前という気もするのですが、この手の映画ではそれを全く無視した作品が多いのも現実です。


こういう工夫がないとどうしても観客の集中力が切れるので、無視してはいけない要素だと思います。

 

映画の不満点


雑な脚本にはあえて何も言わないにせよ、やっぱりちょっと見逃せない点もあります。


それは「エイリアンに魅力がない」という点でしょう。


インデペンデンスデイやパシフィックリムもそうなんですけど、なんとなーく敵が侵略してきただけでまるでドラマ性が無くって。


いや、主義主張が必要というわけではありません。


必要なのは「個性」です。


今回は船上や海での戦闘が90%。


だったら「こいつら、海の上では強すぎる!」みたいな個性があったり、魚類を思わせるビジュアルがあったりしても良かったと思うんですけど。

 

ポスターの感想


まぁ。。。こういう映画にはこういうポスターというテンプレートのようなポスターですな。

 

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とにかくギラギラしてて迫力重視。


ロゴもゴッツゴツだしテッカテカ。


明朝体なんてクソくらえ!


そう、これでいいのです。


実際にお客が入っていない以上、失敗だとは思います。


でもこの映画を正しく表現するのであればやはりこのビジュアルでなければならないわけです。


うーん、ジレンマ。

 

これは映画の感想とも同じなのですが、やはりここでも敵側のキャラの弱さが致命的ですね。

 

まぁよく考えたらトランスフォーマーも敵キャラどころか味方キャラも何が何だか分からない映画だったような。。

 

まとめ

 

映画のテンション自体は良かったと思うんです。

 

こういう映画は定期的に出てきてもいいよなと。

 

何年かに一回、みんなでお金で集めてドンチャン騒ぎをするというお祭り映画。

 

ま、それはそれでお客が入らないのかな。。。

 

それでは、また。


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