スパイダーマン:ファーフロムホーム 《軽やかにエンドゲームを引き継いだ傑作》
映画の点数…90点
ポスターの点数…80点
何故、エンドゲームの直後にスパイダーマンなのか
こんにちは、グラフィックデザイナーのピースマイルです。
今回取り上げる映画は【スパイダーマン ファーフロムホーム】。
細かい説明は省きますが、MCUの単体キャラクター映画の中では僕は前作の【スパイダーマン ホームカミング】が最も面白かったと思っています。(最も「好き」なのはガーディアンズオブギャラクシー)
その続編なので当然期待しちゃうところなのですが、問題は【アベンジャーズ エンドゲーム】の直後に公開されるということです。
当然、MCU側も狙いがあってそうしているわけなので、こちらとしても「ほほう、そこまで自信があるというのだな?」と構えてしまいます。
では実際の映画はどうだったのか。。。。
はい、完全に僕の負けです。
そんなことするのか。。。と笑ってしまいました。
映画の感想
MCUは今まで作品ごとに映画のトーンを描き分けてきました。
「アイアンマン」「キャプテン・アメリカ」「アベンジャーズ」シリーズを骨格としながらも、「ソー・ラグナロク」や「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「ブラック・パンサー」などはハッキリと他の映画とは違う独自の個性を持った映画として大成功しています。
同様にスパイダーマンも他の映画とは違うニュアンスを持っていて、スカスカのパンクロック「ラモーンズ」に合わせて描かれる【とても軽やかな】映画です。
話の規模も「そこれへんの近所」が舞台であったり、ヴィランも「普通の人間」だったりと、あまりにもストーリーもキャラクターもお金も大きくなりすぎたMCUの視点を一度グッとさげるための効果があったと思います。
なので今回も「エンドゲーム」後の行き着くところまでいったMCUを、もう一度フラットに落ち着かせる役割を任せられたわけです。
これはひどい。なんて無茶を言いやがる。
下手したら、というか高確率で「今更こんなしみったれた話を見たくないんだけど」とファンを失望させてしまうのではないか。
そのハードルを、今回見事に越えてみせました。
その手法がまさかの「ドキッ!恋のヨーロッパ大作戦!あの子のハートにキャッチウェブ!」というスイーツ映画だったとは。。。
恋愛映画スパイダーマン
今までのMCUにも恋愛要素はあったんですけど、あくまでもそれはサイドストーリーに過ぎなくて。
キャップやアイアンマンも恋愛していますが、ヒーロー活動と天秤にはかるようなことは基本的にしません。
ですが今回のスパイダーマンはもう、MJにメロメロすぎて。
敵とかどうでもいいから、エッフェル塔で告白することだけが目的という感じ。
でも実際に自分が16歳だったらそうだろうなとも想像つきます。。。
この小さな恋のメロディのお話と、エンドゲーム後の世界、そしてアイアンマンの亡霊と対面するピーターパーカーの苦悩が見事にかみ合っています。
エンドゲーム内では「普通の人々」をほぼ全く描いていませんでしたが、今回はその「普通の人々」の目線だけで描ききっているのが印象的です。
普通の人々は、恋愛したり学校に行ったりすることで精一杯で、ヒーローという存在をどこか幻想としてしか思っていないことをもう一度観客に突きつけてきます。
このあたりの自己批判性というかある意味悪趣味な感じというか、もう見事なバランス感覚ですね。
この映画の最もドキドキしたり感動的なシーンは、ヴィランとの決闘ではなくアイアンマンとの葛藤ではなくラストのギクシャクしたキスシーンではないでしょうか。
こんなの中学生の時に見てたらたまらんかったでしょうな。
そこら辺の恋愛映画よりもよっぽど恋愛映画としての傑作となっていました。
すごいわ。
ポスターの感想
MCUは映画は途方も無くすごいんですけど、ポスターに関しては結構保守的なものが多い印象です。
幅広い観客を呼び込むためにはある程度仕方ないんでしょうが、少し物足りない気持ちがあるのも事実。
ところが今回のスパイダーマンではいくつか面白いアイデアのポスターもありました。
スパイダーマンという映画の軽やかさがそれを可能にするのでしょうね。
いつも通りのポスター
こっちは、わりといつも通りの通常運転ポスター。
背景が今回の映画の旅先ということが特徴であることを除けばそこまで特殊な印象はありませんね。
スパイディが観光ブックを読んでいる(=浮かれている)というのは面白いアイデアですが、これは今までMCUが築き上げてきたブランドの信頼感があるからこそ出来た遊びだと思います。
旅行ステッカーバージョン
こっちはなかなか斬新なアイデアです。
前面いっぱいにうつったスパイディに、旅先のステッカーやパスポートを思わせるスタンプが押してあるというビジュアル。
映画の内容こそ分かりませんが、とても軽やかな印象をあたえるとには大成功しています。
元からのファンは当然観に行くでしょうし、「最近のヒーロー映画は世界観が広がりすぎてて冷めてしまう」という人にも興味をもってもらえるデザインでしょう。
日本バージョン
ポスターとは少し違いますが、これは日本で公開前によく見られたビジュアルです。
映画の内容を文字情報で並べつつスパイディを表現しています。
文字の大きさを少しずつ変えながら、スパイダーマンがしかめっ面をしているように見せるテクニックも素晴らしいのですが、それよりもまずはこのデザインのアイデアが秀逸でしょう。
これも他のポスターと同じく、映画の軽やかさを感じてとてもいいですね。
こういう地道なアイデアこそがお客さんの満足度を高めると僕は思っているんですけどね。
実際にそうだったらいいですけど。
まとめ
エンドゲームの後にこんなことを言うのも悔しいというか、もう完全にいいようにMCUに振り回されています。
傑作でした。
さらにマーベルは今後の計画を一気にまくしたててきたようで。。。
ここにきてブレイドをやるのだとか。。。
本当に怖ろしい会社だと思いますよ。
これからも注目し続ける必要がありそうです。
それでは、また。
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