映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

トイ・ストーリー4 ※ネタバレ有り! 《満点ではないが合格してみせたことに拍手》

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映画の点数…93点

ポスターの点数…90点

 

誰もが恐れていた続編

 

こんにちは、ピースマイルです。

 

まず最初にお話ししますが、当記事内ではトイ・ストーリー4のネタバレを含みます。

未見の方は是非とも映画をご覧になってから読んでいただけたらと思います。

 

さて。トイ・ストーリー4が公開されると聞いたときの第一声は「なんてバカなことを…」でした。

 

多くの方と同様「下手な続編なら作らないでくれ」と思っていましたし、なんならその後に作られたスピンポフ作品ですら正直作られたことに否定的でいます。


それくらいトイストーリーの3作目はこれ以外にないくらいの「綴じ方」をしていましたからね。


それをまた今回「開く」となるなら、よほどの着地を見せないとファンは納得しないでしょう。

 

このあたりの気持ちは公開一週間前のブログに記しております。

 

トイ・ストーリー4(公開前予想) 《過去最高にノスタルジックな作品に??》

 

では実際の映画がどうであったのか、映画の感想と共に当ブログのテーマである映画ポスターの評価と交えながらお話していきます。

 

なんだかんだ号泣


まず冒頭の5分で僕は泣きましたね。はや。


映画が始まってから涙を落とすまでの最短記録です。


まぁこれは今までの作品の積み重ねがあったからこその話なのですが。


ボーとのお別れにあのような経緯があったというのを知るだけで泣けてきます。


そこからトイストーリーのテーマソングが流れてくるだけでそりゃ泣きますね。


ていうかウッディ達が画面で動いてるだけで既に泣けるんですけど

そこからボニーが初めて幼稚園に体験入学するまでの流れでもう一回号泣。


新キャラ、フォーキーの誕生までの流れはとても良かったですね。


一作目のウッディならフォーキーの存在に嫉妬していたはずなのでしょうが、今作ではすぐにフォーキーを仲間として見守る事を決意します。


僕のようにトイストーリー一作目を子供の時に見ていた人が、今度は自分が父親や母親になってから鑑賞するというパターンの人も多いでしょう。


そりゃもう泣くしかないというか。


このあたりで既に映画のテーマが一部示されているのが分かります


それは「別れ」「継承」ですね。



中盤での中だるみ


最高のスタートをきった4作目ですが、残念ながら中盤でかなり減速したというのが正直な感想です。


ギャビー・ギャビーをヴィランとしてストーリーが展開していくのですが、そこが結構退屈なんですよね。


さらわれたフォーキーを再開したボーと救出するのが目的なのですが、その話の運びがあまりうまくなくて。


アクションシーンやギャグシーンはいずれも面白いんですよ。


でもそのアクションシーンとかになった途端にストーリーがいちいち止まるんですよね。


その救出劇に第二の主役であるバズが形だけ参戦するんですけど、特に役にたってるわけでもないし。

 

あくまでも「バズに出番がないから慌てて登場させた」という風にしか見えませんでした。

 

中盤で必要だったシーン

 

中盤で描かなければならないことは、いかにウッディがボーとの人生に惹かれていくかどうか、そしてボニーの未来をフォーキーやバズに「継承」していくかです。


その描きこみが最低でも5分ずつは追加で必要だったでしょう。

 

捕らえられたフォーキーは「なんとなくボニーの所に帰ろうとしてる」だけで、ボニー自身を大切に思うきっかけは無いんですよね。

 

だから救出される際もほとんど受動的で、自らボニーの所に戻ろうとする行動と意思がないのでカタルシスが生まれにくくなっています。

 

フォーキーというキャラクターは大好きになったのですが、それは序盤のウッディとの掛け合いの中だけであって、中盤以降はほとんど空気になっていました。

 

それとウッディがボニーの元を離れようと思うシーンはもう少し丁寧に描く必要があったと思います。

 

それはボーの描きこみの甘さからきていると思っていて、ボーが「いろんな世界を見るのは楽しいよ」と言うわりには具体的に何が楽しいのかあまり説明してくれないんですよ。

 

せめて自由を謳歌しているボーをウッディが新鮮な眼差しで羨望するシーンは必要だったでしょう。


それらのシーンをいくつか追加することで、その分アクションシーンはもう少し整理できたはずです。


特に「フォーキーの救出に失敗」→「もう一度侵入」の流れは明らかに余計でしょう。

 

だったらせめて舞台をアンティークショップから他の場所にうつすなど工夫して欲しかったです。



継承


中盤で中だるみしたのですが最後には全てを取り返します。


ウッディのこれまでの役割をフォーキーとバズ達に継承し、自分の人生を歩みだす展開です。


トイストーリー3が「親離れと子離れ」を描いた映画であったように、今作は「結婚」がテーマなのではないでしょうか。


ウッディとボーの結婚というのが一つ。


そして、ウッディを父親目線としてフォーキーとボニーの結婚というのがもう一つの目線です。

 

自分の手元から離れていく娘を見守り、託し、そして自分の人生を再び歩み出すという結末。

 

ピクサースタジオは、ウッディという一人の人格に対しケリをつけたかったのだろうなと思います。

 

ウッディは今までずっと、子どもを幸せにすることを願ってきた父親でした。

 

でも、それでもいつかは必ず子どもとのお別れはきます。

 

観客もそれにはずっと気づいていました。

 

そのウッディに対して、観客自身がお別れをする機会を設けたのでしょう。

 

ここで評価は真っ二つに分かれると思います。

 

「それを描いたらトイ・ストーリーという映画の骨格自体が崩れる」という見方もできるでしょう。

 

僕もそう思います。

 

トイ・ストーリー4は、踏み込んではいけない線を越えたと思っています。

 

でも僕個人としてはそれもアリだと今は思っています。

 

観客自身である僕たちも、ウッディの仕事を「継承」していってくれというメッセージだったと思うからです。

 

結局のところの映画の感想

 

ここまで感情がグチャグチャな映画も久しぶりです。

 

今まで書いたように、映画としてはハッキリと難点があると思っています。

 

そのあたりはトイ・ストーリー3の時も思っていました。

 

トイ・ストーリー3だって、バズの扱いがどう考えてもおかしかったし、ヴィランの扱いもいい加減だったと思います。

 

でも映画の芯の部分がしっかりしていたから傑作となりえた。

 

トイ・ストーリー4も同じではないでしょうか。

 

映画としてはグラグラなところもあるけど、ウッディという男の結末を描き切ったことには素直に感謝したいです。

 

ボーと抱き合うシーン、ジェシーが笑顔でウッディを見送るシーン、バズとの「To Infinity and Beyond」の掛け合いのシーン、後ろにきらめく移動遊園地。

 

シャレにならんくらい号泣してましたからね。

 

アベンジャーズ・エンドゲームくらい泣いてました。

 

色々な意見があって当然な内容だとは思いますが、僕個人としては大満足しています。

 

ありがとう、ウッディ。

Reach for the Sky!!


トイ・ストーリー4 リアルサイズ トーキングフィギュア ウッディ (全長37cm)

 

ポスターの感想

 

映画が終わって改めてポスターを見てみましょう。

 

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以前書いたブログでの予想でも書いたのですが

 

トイ・ストーリー4(公開前予想) 《過去最高にノスタルジックな作品に??》

 

二人がこちらに背を向けているのは、「何か違う未来を見つめている」ということの暗示と予想しました。

 

これは当たっていましたね。

 

ただし、僕はウッディとバズがお別れをする未来は全く予想していませんでした。

 

改めてこのポスターを見ると、それだけで泣いてしまいます。

 

これは、ウッディとバズという親友同士が最後の思い出を刻むシーンだったんですね。

(実際には同シーンは存在しないので、イメージとなりますが)

 

まぁだからこそ、バズは映画のストーリーライン上重要なシーンでもっと活躍させるべきだったとは改めて思いますが。

 

メインビジュアルになっている次のポスターは、あまり観客に事前の予想をさせないようなポスターになっていますね。

 

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映画の中で正直ハムやエイリアンズは何も活躍してませんからねー。

 

ブルズアイですら活躍してません。

 

アクションシーンでもっと出番をあげても良かったのに。

 

というわけで、バズとウッディのポスターのみが極端に良くてあとはまぁ普通です。

 

まとめ

 

映画が公開されるまで不安で不安で仕方ありませんでした。

 

でも今ではとりあえず晴れやかな気持ちでいます。

 

これから文句を言うことも多々あるとは思うんですけど、それでもやっぱり観て良かったかなぁとは思っています。

 

今度こそ、ウッディ達とお別れをすべきだと僕は思いますがピクサーさん、どうなんですか?

 

それでは。

 


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