マイノリティレポート 《映画以上に「そういうことじゃない」ポスター》
映画の点数…50点
ポスターの点数…20点
スピルバーグとトムクルーズ
こんにちは、ピースマイルです。
スピルバーグとトムクルーズは共に大好きな映画人です。
共に「こいつら、信用できる」と言えるタイプの人達だと思っていて、基本的には彼らが作った作品を観れば一定の満足は出来ると思っています。
ところがどっこい、そのスピルバーグとトムクルーズを足して映画を撮ってみたとこ 編集 https://blog.hatena.ne.jp/peasemile/peasemile.hatenablog.com/edit?entry=17680117127179510211ろ、これはなかなかにイケてない作品でした。
スピルバーグは「自分の撮りたい作品」と「頼まれたから作る作品」があると思っていて、今作はほぼ間違いなく後者ではないでしょうか。
もちろん頼まれたから作る作品にも傑作はあって、その代表がジュラシックパークでしょう。
そしてこのマイノリティリポートは残念ながら「あんまり乗り気でもないし、仕上がりもよくない」作品になってしまったのではないでしょうか。
フィルモグラフィーを観てみると、この時期スピルバーグは「A.I.」や「宇宙戦争」などSFものを積極的に手がけており、マイノリティレポートもそのうちの一作だったのかも知れません。
その後のスピルバーグは「リンカーン」などの重厚な作品を手がける機会が増えていますね。
どっちのスピルバーグも大好きなのでそれがいいことなのか悪いことなのかは分かりませんが。
映画の感想
近未来を舞台で、あらゆる重犯罪の予知が可能になった世界。
その予知能力の力で犯罪者予備軍と断定されたトムクルーズが逃亡劇を繰り広げるという内容なのですが。
それだけ抽出すると確かに面白くなりそうなんですよね。
「予知能力→SF的要素で遊べる」「犯罪予備軍→自分が何故犯罪を犯すのかのサウペンス的要素」「逃亡劇→近未来の街並みを活かしたアクションが出来る」などなど。
フィリップKディックの原作は未読なのですが、おそらく小説の世界観をほとんど工夫なく映画におきかえてしまったのではないでしょうか。
あまりにも不要なシーンが多くて、結果的には2時間20分ほどの長い作品になっているにも関わらずどうにも中盤が特に退屈です。
眼球を取り替えるシーンや、そこで出てくるスパイダーマシンのシーンなどは丸ごと必要ありません。
あとで「実は眼球を変えていたのさ!」「なんだってー!!」とでもセリフで言わせればいいことかと。
スピルバーグはどんなに陳腐な脚本でも一流のエンタメにしてしまう剛力さが魅力ですが、今作ではうまくいったとは思えませんでした。
トムクルーズのキャスティング
そして、トムクルーズのキャスティングも残念ながら効果的ではなかったです。
トムクルーズが出てくる以上、必ずアクションシーンがある程度あるのは当然だし、観客もそれを楽しみに観に来ているはずです。
しかし今作はミッションインポッシブルシリーズなどとは条件が同じではありません。
近未来の設定なので観たことのない武器がたくさん出てくるのですが、具体的にどのような武器がありそれに対してどう攻略するのかの説明が足りていないため「トム・クルーズすげえ!」と思えないのです。
これだったら例えばニコラス・ケイジあたりの「初めから弱そうな人がヒーヒー言いながら逃げる」方が面白かった気がしますね。
それで観客が興味をもつかは疑問ですが。
ましてや今作ではほぼ2時間くらいはトム・クルーズは逃げ回るだけなので、どうにも爽快感がないのです。
しかも逃げるのはトム・クルーズ。
「どうせ逃げ切れるだろう」と思ってしまってハラハラしない。。。
この作品、おそらく1時間半程度で無名俳優がやるような映画だと面白くなったのではないでしょうか。
巨大バジェットでない方が、舞台設定などに気を配らずにキャラクターに対してより入り込むような映画になるため、この物語の本質を描くのに効果的だった気がします。
こりゃいかん!というポスター
映画も駄目だったと思うのですが、ポスターの方がこれまたいけていません。
しかも日本版も本国版もどちらもイケていないクレージーモードに入っています。
まず本国版ポスターを見てみます。
トムクルーズ、でかい!!!!
いやぁ、これはどうなんでしょう。
ポスターから伝わってくる情報が「トム・クルーズが出るんだろうな、この映画は」しかありません。
まさか映画のタイトルよりもデカい文字で「トム・クルーズ!!!!!!!!!」と主張してくるとは。
そして画面一杯のトム・クルーズ。
画面一杯に写ってしまっているため背景が何かも分からずどのような映画なのか全く分かりません。
よりによって革ジャンを着ているような写真を採用しているため、近未来だという設定すらこのポスターからは感じ取れないでしょう。
一応最下部に「全員逃げる」というようなキャッチコピーが入っているので「なんか、逃げるのかな、トム・クルーズは」くらいの情報は分かりますが。
観客が知りたい情報はそれじゃないと思うんですけどね。。。
もちろん、映画ポスターだけを見てどんな映画か分からせる必要はありません。
でもこのポスターでは、「なんか面白そう」とすら思えないんですよねぇ。
公開が2002年ですので、この時点では既にトム・クルーズはアイドル俳優ではありません。
それなのにこんな風に「トム・クルーズが主演なんです!とにかくトム・クルーズが出ている映画なんです!」みたいな推し方をされると、逆に「映画はいまいちなのかな…」なんて邪推してしまいます。
起死回生の日本版ポスター
「トム・クルーズだけポスターにのせても仕方ない」という反省を踏まえてでしょうか。
日本版ポスターではこのような工夫がなされています。
そうじゃないだろ!!!!
いよいよ何の映画か分かりません。
「トム・クルーズ」の文字の大きさは据え置きです。
さらに「なんか後ろ姿のトム・クルーズのせてもしょうがないよな」ということでしょうか、まさかのトム・クルーズは大きく拡大されています。
そこになんだかよく分からない物体を散りばめています。
うん、確かに近未来っぽい気はする。
するけどさ、別に映画にとって大事な要素では特にないでしょう。。。
赤い車を急にのせられたところで極めて斬新な形でもないし。
だったらせめて「プリコグ(予言者)」をポスターにのせるとかさぁ。
予知された映像を散りばめるとか色々あったじゃないですか。
なんでこんなことになってしまったのでしょうか。
はっきり言っちゃえば、ダサいですよね、これ。
だってなんとなくの雰囲気で映画に出てくるもの並べてるだけだもん。
そういうのって見ている人に絶対伝わると思うんですよ。
なんでこうなったんだろうなぁ。
まとめ
スピルバーグ、トム・クルーズと言えども噛み合わせが悪いと珍作が出来上がってしまうこともあるという例になったのではないでしょうか。
映画自体は面白くないわけではないんですけどね。
期待値が上がりすぎた分、文句も増えたくらいの感じでございます。
それではまた。
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