映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 《ビジュアルもコピーも理解しがたい改変》

ポスターの点数…15点(日本版の方)
映画の点数…50点

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アベンジャーズ新作(エンドゲーム)が公開されるまでに今までのマーベルシリーズを網羅していこうと考えていましたが、どうも無理そうだなと思っております。


今現在、まさに新作に向けて復習をしている最中なのですが、もともと好きだった作品(ウィンターソルジャーやガーディアンズ)を観るのは楽しいものの、そもそもそこまで好きじゃない作品を見なおすのはなかなかツライものがありますな。


世界中で同じようなことをしている人がたくさんいるんでしょうけどね。


今回はエイジ・オブ・ウルトロンを見なおしてみました。


初見よりも思ったよりも珍品だなと思い直したほどでございます。

 

というわけでまずは最初にポスターワークの方から振り返ってみたいと思います。

 

漂うB級映画感

 

今からお話することは、基本的に日本版ポスターのことです。


えーーーっと、何からつっこんだらいいでしょうか。


まず、作り手側の目線になって考えてみたいと思います。


アメリカ本国から、「この素材を使っていいポスターにしてね」という指示がくると思うんです。


どうやらマーベル(ディズニー)側は日本がポスターを大きく作り替えてもあまり文句をつけない会社なのでしょう。


そういった意味で懐の広い会社だなと思います。


ですが、さすがに今回は口を挟んだ方が良かったのではないでしょうか。


なんなのでしょう、このどこを切り取ってもB級映画の匂いのするポスターは。


このポスターを観た人は「何これ超かっこいい映画観よう」と思うでしょうかね?


ファンは問題ないとしても、完全に初見の方がこのポスターを観てどう感じるか考えて作ったのでしょうか?

 

なぜ白バックにした?


海外版を見てみましょう。

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このように背景がもともとあるんですよね。


立ち込める暗い雲のような背景の中にいるアベンジャーズの面々と、天からさしてくる光の先にいる正体不明の存在「ヴィジョン」。


このポスターだけで映画の内容を一部表現できています。


映画内でトニースタークは、(意図とは違うものの)神のような存在を創ります。


その存在を巡って七転八倒する物語ですので、このポスターになるのも納得ですね。


ところが日本版になると急にわけがわからなくります。


まず、何故かアイアンマンだけがデカい。


せっかく「5人揃って、ゴレンジャイ!」じゃなくって、「みんな揃ってアベンジャーズ」という映画なわけじゃないですか。


なんでアイアンマンだけデカくす必要があったのでしょう。


一番知名度があったから?


いやぁ、アイアンマンに興味がない人はアベンジャーズも観ないだろうし関係ないと思うんですけどねぇ。。。


それよりも「祭りだよ!全員集合!」感を出した方がいいと思うのですが。


それとなぜバックを白にしたのか。


ヒーローものっていうのは、見せ方を間違えたら途端に「コスプレをしているアレな人たち」になりかねない代物なわけじゃないですか。


それをマーベル側は長年かけてこんな世界もあるのだと「お客さんを騙す」懸命な努力をしてきたわけですよ。


こんな不用意な白バックにしたら、いよいよコスプレ集団感が全面に出ちゃうと思うんですけどね。。。

 

キャッチコピーもアレな感じ


さらに問題なのはキャッチコピーですよね。

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「愛を知るー全人類に捧ぐ。」
えーーー。


なにそれ・・・・?


そんな映画じゃないでしょう。


これ、二重の意味でダメだと思うんです。


まず、映画の内容とまったく合っていない。


この映画に愛の要素はほとんどないです。


むしろ「独善的な正義の暴走」のようなものが背景にあるようなタイプの映画です。


このキャッチコピーをつけた人は、生まれて初めて映画を見た人か、隣でやっていたシンデレラとキャッチコピーを間違えたのでしょう。


もう一つのダメな理由は、お客さんを呼び込めるキャッチコピーとは全く思えないことです。


前作アベンジャーズ1では、「日本よ、これが映画だ。」というかなり挑発的なキャッチコピーがつけられていました。

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カチンときた人もいるようですが、キャッチコピーとしては優れていたと思います。


実際、あらゆる場面でパロディ化されるほどに有名なキャッチコピーになりましたし、「おう!そこまで言うんならお客さん自身も日本の映画の予算では体感できないような芳醇な映画体験をしたいわけで、コピーと対象が一致しているわけですよね。


でも今作の「愛を知るー」って。。。


アベンジャーズを観たい人は、そんなことを映画に求めているわけではないと思うんですよ。


そういうのはヘップバーン主演の映画で間に合っています。


さらに「人類に捧ぐ」というのもいただけない。


せっかく「日本よ」というキャッチコピーが良かったのに、「人類」なんて極端な拡大をされちゃったら当事者感がすごく薄れるんですよね。


「所詮人ごとだしなー」といった気持ちです。

 

「世界を滅ぼすのはーアイアンマン。」


だったらこちらのキャッチコピーの方が良かったのではないでしょうか。


映画の内容にも合っていますし、センセーショナルなインパクトがあります。

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ポスターのまとめ 

 

この作品以降、珍作のようなポスターは日本で見かけなくなりました。

 

エンドゲームが公開されたらまた書きたいなと思いますが、ようやくファン側と伝えたい側のバランスがとれてきた状態なのではないでしょうか。

 

10年もやってるんだからそりゃそうなんですけど。

 

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映画の感想

 

ポスターもあれでしたが、映画本編もなかなかまずい点が目立つ作品だったなと思います。

 

序盤の戦闘シーンを除くと、基本的にずーーーっと暗いトーンが続くのが問題かなと思います。

 

なんか暗いうえに、敵もあまり魅力的ではないので『がんばれ!アベンジャーズ!』ってあんまり思えないというか。

 

ハラハラドキドキすることもなく『まぁ勝てそうだよな』くらいのテンションなんですよねー。

 

で、勝つんですけど。

 

良くも悪くもちょうど真ん中に位置する作品だったなぁと思います。

 

エンドゲームがこのレベルだったら残念です。

 

そんなことないよう期待したいですなぁ。

 

それでは。

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