映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

アーノルド・シュワルツェネッガーのポスターについて

アーノルド・シュワルツェネッガー。

通称シュワちゃん。

 

もはや説明不要なスーパースターですけど、ものすごーーーーーく簡単な経歴だけ。

 

  • 70年代後半〜80年代後半まではボディビルダーとして有名な時期。
  • 80年代〜90年代前半くらいまでで世界的ドル箱俳優。
  • 00年代〜政治家として活動後は映画俳優としての締めくくりを送っている最中。

 

本当に大雑把に言うとそんな感じです。

 

そういった背景のある映画俳優は、ポスターワークとしてはどのような歴史を辿ってきたのでしょうか。

 


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ターミネーター

 

シュワちゃん最大の当たり役といえばやはりターミネーター

 

ある意味では彼の映画人生はこの作品で既に決定的になったと言えます。

 

そんなターミネーターのポスターはこちら。

 

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ターミネーターのポスター。歴史はここから始まる。

もうこの時点で、『シュワちゃんと言えば』という要素がほとんど詰まっているのが分かるでしょうか?

 

サングラス、筋肉、革ジャン、そして銃器。

 

このポスター1枚でシュワちゃんのすべてが表現されていますね。

 

もちろん映画ポスターとしても非常に優秀でして、サングラスの奥と背景にある赤い光がサイボーグ感を演出しています。

 

それともうひとつ大事な要素がありまして、THE TERMINATORというタイトル

 

この作品は84年の作品なのですが、いかにも80年代〜90年代の雰囲気を感じるメタリックなフォントですね。

 

このゴージャス感こそがシュワちゃんの特徴とも言えます。

 

良くも悪くもなんですけどね。

 

コマンドー以降

 

シュワちゃんの快進撃は続きます。

 

コマンドー、プレデター、ターミネーター2と代表作を次々と送り出します。

 

それらのポスターはこちらです。

 

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プレデター

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コマンドー

 

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ターミネーター2

もう見ての通り!

 

これらポスターはすべて

  1. シュワちゃん一人の構図
  2. 筋肉を生かしたデザイン
  3. 銃器むきだし
  4. シュワルツェネッガーという名前を大きく出す

という共通点があります。

 

世界中がシュワちゃんに夢中な時期です。

 

 

ポスターとしてどうなの?

 

『映画ポスターとしてどうなのよ?』という疑問は確かにあります。

 

ですが『映画広告としては完璧なわけですね。

 

つまり、この映画を見たいと思う層と、映画側の意図が噛み合っているからOKなんです。

 

この映画を見るという時点で『シュワちゃんが筋肉と銃器で大暴れする』ことを目的としているのですから。

 

 

次のステージを目指して

 

とはいえシュワちゃんとしてはそのままでいるわけにはいきません。

 

俳優としての次のステージを考える必要がありました。

 

1994年にトゥルーライズという作品が発表されます。

 

そのポスターがこちらです。

 

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新機軸をめざすポスター

この時期シュワちゃんはコメディも含めて作品の幅をひろげていきますが、

得意ジャンルであるアクション映画もこのようにポスターイメージが変わっています。

 

銃器、シュワちゃんのアップといった共通点はあるのですが、印象が違っているのは一目で分かるでしょう。

 

清潔感のある白いシャツ、にこやかな顔をしているシュワちゃん。

 

構図なんかは007 殺しのライセンスに近いですね。

 

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007 殺しのライセンスのポスター

トゥルーライズという映画もスパイものですのでオマージュしたのは間違いないでしょう。

 

アクション映画を撮るにしても、ジャングルで泥だらけで暴れまわるイメージではなく知的で清潔なイメージを目指したのでしょう。

 

この時点でシュワちゃんが政治家を目指していたのかは不明ですが、イメージを少しずつ変えていったことは州知事として当選したことと無関係ではないと思います。

 

近年のシュワちゃん

 

ではポンっと飛ばして最近のポスターはどんな感じでしょうか。

 

まず今の時点で一番新しいターミネーターのポスター。

 

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配給側の苦労も感じるポスター

この時点でも一番大きく写っているのはシュワちゃんです。

当然銃器も持っています。

 

ですが、まずシュワルツェネッガーとう文字がポスター内にありません

 

そして一番の違いはシュワちゃん以外の俳優も多数ポスター内にいる点です。

 

配給側も、いつまでもシュワちゃんに頼りきるわけでなく新しいターミネーターを作っていくというメッセージをポスター内から強く感じます。

 

大好きな女優さん、エミリア・クラークも大きくうつっています。

 

タイトル『ターミネーター』という文字も現代的にアップデートされていますね。

 

晩年期のシュワちゃん

 

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アフターマス

アフターマス(2017)という作品のポスターです。

 

もうここまでくると『これがシュワちゃん!?』というビジュアルです。

 

白い髭をはやし、筋肉も当然封印、目線も下がっている。

 

このポスターを見るだけでもシュワちゃんが『ああ、映画人生にひとつの終止符を打とうとしているのだな』と分かると思います。

 

友達のシルヴェスター・スタローンエクスペンダブルズという作品とクリードという作品で同じように映画人生にケリをつけようとしているように感じます。

 

シュワちゃんとスタローンではそのケリのつけ方の方向性は違いますが、どちらにしろグッとくる魅力があります。

 

いつか語る機会があったらスタローン作品も語ってみたいです。

 

世界一のスーパースターであるシュワちゃんの映画人生の幕の引き方。

 

あと何本彼の作品、彼の筋肉を見ることが出来るかは分かりませんが、映画とともにポスターワークで彼の歴史を振り返ってみるのも楽しいと思いますよ。

おすすめです。

 


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