映画のように平面デザイン

年間200本映画を観る地方グラフィックデザイナーが、色んなものを平面デザインでとらえてみます

ザ・ガンマン《静かなKOROSHIYA映画はもう限界か?》

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ポスターの点数…50点
映画の点数…45点

 

こんにちは、ピースマイルです。


今回取り上げる映画がショーン・ペン主演、【ザ・ガンマン】です。


この映画、観るまではけっこう楽しみにしていた映画でした(既に感想を言ってしまったに等しいですね)


キャッチコピーにも出ている通り「96時間の監督」と「ショーン・ペン主演」となれば期待するなというのも難しいところでしょう。


ショーン・ペンは最も好きな俳優の一人でして、彼が出演さえしていればある程度は良い映画になるんじゃないかなと思ったのですが。。。。。


現実はそううまくいかないものですな。

 

静かな殺し屋映画の乱立


監督であるピエールさんが「96時間」を撮ったのは2008年。


この映画より10年近く前になります。


「え、リーアム・ニーソンが殺し屋役のアクション映画??」という、一見ミスマッチな企画を見事に成功させた映画でした。


この映画の成功が一つのきっかけであったことは間違いないと思いますが、その後この手の「スーパースターによるアクション映画」が乱立していくことになります。


キアヌ・リーブスの「ジョン・ウィック」、デンゼル・ワシントンの「イコライザー」、ベン・アフレックの「コンサルタント」、あえて言うならトム・クルーズの「ジャック・リーチャー」もこのジャンルに入れてもいいでしょう。


これらの映画にはいくつかの共通点があります。

 

  • オスカー俳優クラスの俳優が主演している
  • 主人公は基本的には自分からは何もしたくない人であり、争いには巻き込まれて行くことで参加する
  • アクションシーンのリアリティを大切にしている
  • その一方で、格好良さを追求した新鮮なアクションシーンがある
  • 主人公が異常に神経質なところがある


等の共通点です。


大雑把なまとめ方をすると「惚れ惚れするほど美しい殺戮映画」みたいな感じです。


ザ・ガンマンに対しても、このような映画を望んでいました。

 

映画としての限界


楽しみにしていた映画とはいえ、同時に不安な気持ちもありました。


その一つは、96時間からの10年間でこのジャンルの映画の限界はとっくに超えているのではないかという不安です。


実際にその予感は当たっていて、もはやフレッシュなシーンがあまりないんですよね。


最後の闘牛場のシーンがかろうじて面白い気がするくらいで、他は今までよく映画で観てきたシーンの貼り合わせのよう。


そもそもこのジャンルは、007やミッション・インポッシブル等の大作アクション映画のインフレに対するカウンターでもあるわけですよね。


そのインフレ手法が使えないのなら、映像やシチュエーションの新鮮なアイデアが必須なわけです。


でもそんなアイデアが毎回クリティカルに思いつくわけでもないと思うんですよ。


もはや「映画に合わせて企画をつくる」より「いい企画を思いついたから映画つくろう」の方が自然なんじゃないかと思う次第。

 

設定の問題点


そもそも、この作品は設定がまずいなと思っています。


まず主人公が犯罪者である点。


過去に悪いことをやって今まで逃げてきた人物である以上、こちらもイマイチ応援出来ないんですよ。


インターポールとかが中盤に出てくると「いっそ捕まった方が良いのでは??」とすら思います。

だって別にショーン・ペンはそこまでいい奴というわけでもないんだもん笑

酒場で人とか殴るし。


さらに、映画の多くの時間を逃げることに使っている点も気になります。


こちらとしてはせめて最後くらいは敵のアジトに突入して敵をバッタバッタとやっつけていくシーンを観たいわけですよ。


ところがこの映画だと、最後の最後までも5人くらいで鬼ごっこをしているくらいの小規模さなんですよね。


リアリティーの追求という点では正しくても、映画としてはどうなんだと。


そもそも、人質の交換のはずなのになんであんなに両者とも無策なんだろう。。。


どこをピークに盛り上がればいいのかよく分からないままでした。

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ショーン・ペンの問題


前述の通り、ショーン・ペンは最も好きな俳優ですがさすがにこれはないかな。


脚本にも関わっているらしいので、どこまでが自分の意見なのかよく分からないのですが。


まず大変失礼ですが、ショーン・ペンの恋愛事情にもう興味はありません


離ればなれになってみたり三角関係になってみたり、申し訳ないがどうでもよい。。。


鍛えた肉体を披露するためにヌードシーンがあったのかと疑ってしまうほどでした。


確かに二の腕とかすごかったけどね。


そして、殺し屋としてのショーン・ペンの配役にも疑問があります。


リーアム・ニーソン、キアヌ・リーブス、デンゼル・ワシントン、ベン・アフレックなどは、殺し屋という設定にギャップがあるから面白かったわけですよ。


「なんでこんな奴がこんなに強いんだ、、、」という魅力ですよね。


一方でショーン・ペンは、初めからすでに不良っぽいんですよ。


さらに「異常に神経質」という設定などはなく、かわりに「頭痛持ち」という中途半端な設定だけあって。


これじゃ「昔ワルだった初老の男性」にしか正直見えないんですよね。。。


映画を通して一度も「うわ!!こいつは強いぞ!」とは思えなくて。


それがリアリティだと言うのであれば、好みの問題なのかも知れませんけど。。


だったら「96時間の監督作」とは言わないでほしいかな。。。。

 

ポスターの評価


映画ポスターの方なんですが、こちらも印象は良くないです。


あえて言うなら、海外版よりも日本語版ポスターの方が良いと思っています。


海外版の方はモロに「ショーン・ペン版96時間」みたいなポスターで、オリジナルの要素が何一つないように感じます。

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フランス産のオシャレな匂いは感じますが、だから何?というか。。。


後ろのヘリコプターとか何なのでしょう?


見せ場がないのを誤魔化すために無理矢理入れたような感じです。


映画の魅力にはあのヘリコプターは全く関係ないです。


日本語版の方が、まだ見栄えがいいかなと思います。

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思いっきり文字もショーン・ペンも斜めに倒して、アクション映画感を強調しています。


B級感がどうしても出てしまいますが、必要以上に気取らないというのはいいことではないでしょうか。


それはそうとしても、中央のBMWは何なのでしょうか。。。


この車、全くと言っていいくらい活躍してませんよね。


なんでこの車を乗せる必要があったのか。
(そういえばこの映画、無駄に古いプジョーやロメオなんかを出してたけど、特に理由なんて何も無かったよなあ。ただの記号としてだけの車だったな)

 

というわけで、特にオススメする理由も見つからないんですけど笑


別に「こんなクズ映画、燃やしてしまえ!」というほどの怒りはないです。


のんびりポテチを食べながら観るにはちょうどいい映画だとお思いますよ。


それでは。


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ミスティック・リバー Mystic River 《一見さんお断り?ポスター》

ポスターの点数…75点
映画の点数…93点

 

こんにちは、ピースマイルです。


今回はクリント・イーストウッド作(2013)の映画【ミスティック・リバー】とポスターを取り上げてみたいと思います。


アカデミー賞に6部門でノミネートされ、主演男優賞をショーン・ペン、助演男優賞をティム・ロビンスが獲得した作品でした。


この時点で70代になっていたイーストウッドですが、まだまだやれるぞと世間に知らしめた作品なのですが、まさかそれから15年以上たった今でも「まだまだやれるぞ」となっているとは思わなかったんじゃないですかね。


それではまずはポスターの方から振り返ってみたいと思います。

 

ワールドクラス「不在」のポスター

 

この映画の売りの一つは当然「ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケビン・ベーコンの共演」という点でしょう。


何しろ結果的にそのうちの二人がオスカーを受賞していますし、なんならケビン・ベーコンが受賞していても全くおかしくなかったと思います。


そのくらいレベルの高い演技を見せてくれた俳優3人ですが・・・・・


なんとポスターには誰一人登場していないわけなんですよね。

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これはなかなか大胆ですねぇ。


もちろんシルエットでは登場してるんですけど、誰が誰かは全く分からないですからね(と言いつつも、一番大きいのはティム・ロビンスでしょうな)


日本ではこのようなポスターは考えづらいなと思います。


予算が25億程度かかっている作品で、スター俳優が3人でていて(脇役も一流)、もっと大々的な広告がなされてもおかしくなかったでしょう。

 

実際、この映画を最初に観に行ったのはイーストウッドや俳優陣の元からのファンが主だったと思うんですよ。

 

つまり、一見さんにはかなり厳しいポスターということです。


ちなみに予算20億円と言えば「怪物くん」がそれくらいかかってるみたいです。完全に余計な情報ですけど。

 

制作陣の狙い


このようなポスターに対して「オッケー、これでいこう」と許可した方々は本当に素晴らしいなと思うんですよね。


まず間違いなく「映画を真剣に隅々まで観た」結果としてこのようなビジュアルになったはずです。


「この映画の内容であるならば、このポスターでなければならない」という、ごく当たり前の判断なのですが、これがスムーズにいかないからこそ広告というのは難しいものでして。


大体どこかのタイミングで「やい、うちの俳優をもっと前面に出せ」だの「これじゃ売り上げあがらねえだろ!もっと明るいポスターにしろ!」とか偉い人が出てくるものなんですけど(僕の話ですよ)


それでもこのポスターで行こうと決めたのは、何よりも映画の内容に絶対の自信があったからではないでしょうか。


映画を見終わったあとに改めてこのポスターを観ると、なんとも切ない気持ちになるはずです。


映画を観る前にインパクトのあるポスターではないのは百も承知のうえで、映画を観た人にとっての強烈な思い出としてこのポスターは機能しているわけですね。


短期的な視点ではなく、長期的な視点から映画ポスターをとらえるという発想は日本ではあまり見かけないので羨ましいなと思います。

 

 

効いている小技

 

目立たない箇所ですが、ポスター内にある文字情報にも気を配っています。

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グラデーションが「左から右」に消えていくようなデザインになってるんですね。


こういうグラデーションってあんまりしないんですよ。


文字の終わりが見えにくくなると、可読性が下がりますしイライラします。


だからこそこの映画にはふさわしいわけですね。


思い出も現実も、すべて川の中に消されていく儚さをうまく表現しています。

 

日本版ポスター


メインとなる川のポスターバージョンの他にもこんなポスターがありました。

 

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これ、以外といいキャッチコピーだなと感心しました。


もうひとつの「スタンド・バイ・ミー」、ですか。


なるほど、確かにこの映画をそのように観るとまた違った感想になってきて面白いですね。


どちらも極めて地域限定的な話であるということ、少年時代の話がキーになっていることという共通点があります。


ですがそれ以上に、このキャッチコピーがあることで「お前の人生が、こうだった可能性もあるんだからな」と急に耳元でささやかれるような気持ちになります。

 

映画の感想


何回かこの映画を観ているのですが、恐ろしいことに何回観ても面白いんですよね。


映画の基本構成はサスペンスなので、一度観れば「誰が犯人なのか」や「誰が死亡するのか」などは分かるわけですよ。


それでも何度観ても面白いのは、やはりイーストウッドの演出とそれにこたえた俳優陣の凄まじさだと思います。


映画の中ではほぼアクションシーンなどはなく、ずーーーーっと町をウロウロしたり会話をしたりしているだけなんですよ。


それなのに面白くてたまらない。


映画がすすむにつれて、人々の関係性や心情があふれ出てくる時の緊張感。


よくそんなものをフィルムに収めることが出来るなと感心します、というかむしろ呆れます。

ショーン・ペンのすごさ


個人的に大ファンなショーン・ペンなのですが、この映画のショーン・ペンは本当に好きですね。


役柄としては「昔ワルだったが今は落ち着いた家庭人」みたいな感じなんですけど、彼の揺れ動く感情が素晴らしいなと。


映画に出てくる大物ギャングのような、堂々としていて余裕のある感じとは違うんですよ。


かと言ってコメディ的なチンピラでもない。


行き当たりばったりな判断をしているようにも見えるし、人を睨むシーンでは本当に怖いみたいなバランス。


全身にあるタトゥーを見て確信したんですけど、やっぱりワルと言っても田舎限定的な中途半端さがあるんですよね。


なんとも微妙なタトゥーからそれがにじみ出ているというか。


その本当に繊細な役柄を演じきったあたりがショーン・ペンの素晴らしさなんだなと思いました。
(ま、ホントに彼はそれなりに悪い人なんですけどね)

 

それでは


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ウルフ・オブ・ウォールストリート《誰のための改正?改悪?なポスター》

ポスターの点数…20点(日本版)

映画の点数…95点

 

こんにちは、ピースマイルです。


ジョーダン・ベルフォートさんの半生をレオナルド・ディカプリオで実写化した本作。


監督はまだまだバリバリキレキレの現役巨匠、マーティン・スコセッシ。


個人的な好みで言えば、スコセッシ監督作の中でもトップ3に入るくらい大好きな作品です。


ですが、そんな大好きな作品でもポスターでは改正と言う名の改悪がされていたので取り上げてみました。

 

R15指定


まず日本版のポスターがこちらです。

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金融街の狼と呼ばれたジョーダンさんですが、日本での知名度は低かったでしょう。
僕も全く知らなかったです。


キャストもディカプリオとスコセッシ以外の知名度はいまひとつ。


今でこそ大活躍のマーゴット・ロビーやジョン・バーンサルも2013年時点ではあまり知られていなかったように思います。


マシュー・マコノヒーが最高の演技をしていますが、登場時間は5分くらいしかないイメージです。


となると当然、宣伝は「ディカプリオ推しでいこう」というのはクレバーな判断ですよね。


ちょっとうるさいくらいにつけられているキャッチコピーなども、金融街という馴染みない舞台の映画を宣伝するのですから、このくらいの情報は必要だったでしょう。


堅苦しいイメージを避け、コメディ的なタッチにしたのも悪くないと思います。


ただし、褒められるのはそこまで。


とても大事なことなのですが、この映画R15指定映画なんですよね。。。


だとしたらちょっと納得のいかない改悪がされているのです。

 

アメリカ版のポスター


アメリカ版のポスターはこちらです。

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どうでしょうか?


日本版と比べて全く印象が違うと思いませんか?


違うのは一点、背景を隠してあるかどうかです。

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このポスターの本来の意図というのは「ベビーフェイスなディカプリオが余裕のある涼しげな顔でこちらを向いて立っている。しかし、その裏では狂乱そのものの金融街の闇が垣間見える」というものです。


そのギャップをこそ伝えたいわけですよね。


このポスターに興味を持った人こそが「どれどれ、面白そうだ」と映画を見に行くわけです。


日本よ!!隠してどうする!!!!!!


確かにシルエットでは何があるのかうっすら分かりますが、本来のポスターが持っている毒々しさが半分以下に減っていますよね。


そこから逃げたら駄目でしょう〜。


おそらくですが、「小人症の人が写っている」ことやことを理由にボカしたんでしょうね。


その「どう考えてもおかしい」様子こそ、この映画が言いたいことなのに。


そして先ほど言ったように、この映画はR15指定なんですよ。


ちゃんとリテラシーのある年齢であれば、このメッセージはちゃんと理解できるはずです。


背景をボカしたことでお客さんは増えたんですかね?


僕はそんなことないと思いますけど。

 

ディカプリオにも失礼


「ディカプリオ推し」でいくのは賢明と言いました。


しかし、それは「ディカプリオ王子の格好良さ推し」とは全く違います。


そんなミーハーな人はもうほとんどいないでしょう。


というか残念ながらそういうミーハーな態度の人はこの映画を観に行きません(別に排他的に考えているわけではないです。当然そういう人にも観てほしいです)


ディカプリオは2000年代以降、王子キャラやベビーフェイスキャラを払拭するために本当に様々なキャラクターを積極的に演じてきました。


そんなディカプリオが「女たらしでヤク中で詐欺師」というベスト・オブ・クズを見事に演じたのが本作なんですよね。


今ディカプリオが好きという人は、ストイックな役者として好きなんですよ。


それなのにポスターで変な気をつかうようなことは、ディカプリオにも観客にも失礼です。


英語版ポスターがかなり出来がいいだけに、そして映画の出来がいいだけに非常に残念でした。

 

ちなみにこんなポスターも


こんなポスターもあるみたいですね。

 

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「俺にこのペンを売ってみろ」


映画を観た方なら一度は考えたことがあるんじゃないですかね。


「俺ならばペンを売れるだろうか。もし売れるのならば、億万長者になれるのだろうか」と。

 


ウルフ・オブ・ウォールストリート 上 / 原タイトル:THE WOLF OF WALL STREET (ハヤカワ文庫 NF 396)[本/雑誌] (文庫) / ジョーダン・ベルフォート/著 酒井泰介/訳

ウルフ・オブ・ウォールストリート 下 / 原タイトル:THE WOLF OF WALL STREET (ハヤカワ文庫 NF 397)[本/雑誌] (文庫) / ジョーダン・ベルフォート/著 酒井泰介/訳

映画の感想


前述の通りめちゃくちゃ大好きな映画です。


好きというだけでなく、映画の出来としても非常によく出来ているなと思います。


上映時間が3時間という大作にも関わらず、映画のテンションは異常に高いままに保たれているのが不思議です。


それこそ、映画内からコカインが微量に出ているんじゃないですかね。


ほとんど真っ直ぐ進行する映画でありながら退屈しないのは、ベルフォートの人生が加速していく様子と映画が加速していくスピードを見事に調整しているからだと思います。


そのへんは本当に巨匠はうまいですね。


映画内で会社が大きくなっていくことを、事務的な数字上での売り上げで表現するのではなくて「車が高級になっていく」「ストリッパーが大量に登場する」「絶世の美女と結婚する」などと絵的に表現しています。


逆に会社がヤバい状況になっていくと「ドラッグの量が異常になる」「船が沈没する」「妻とうまくいかなくなる」などで示すわけですね。


ベタな手法ではあるんですけど、とにかくテンポと見せ方がうまいのでずっと集中して観ていられるんです。


最後あたりになると、映画の締めくくりとして演出や音楽がグッと抑えられた緩やかなテンポに変わっていきます。


そして後味の良い映画体験とともにスムーズに幕は閉じていく。


完璧だ!


かなり長い映画とは言え、何度も見返してしまう魅力的な作品です。

 


マーゴット・ロビーの裸が観たいわけではないよ。


それでは。


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アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー《必然的にこうなったポスター》

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ポスターの点数…70点
映画の点数…77点

 

こんにちは、ピースマイルです。

 

ブログを書いている時点で、アベンジャーズ最新作にして最終作と言われる「エンドゲーム」の公開が明日に迫っております。

 

世界最速のレビューは公開日の早い国から順次出てきているようですので、こちらに出来ることと言えばうかつにネットやSNSで流れてくる情報をシャットアウトするくらいしかやることはないですね。

 

世界最速の方は人様に任せるとしまして、僕は呑気に前作インフィニティー・ウォーを「世界最遅」レビューしてみたいと思います。

 

せっかく最新作を楽しむのであれば、前作を一度振り返ってみようと思ったんですよね。

 

それでは指パッチン鳴らしてレッツどん。

ポスターの感想


なんて言えばいいのやら…結構困るタイプのポスターですね。


映画制作側の要望としてはたった一言だったと思います。


「全員だして」


デザイナーの気苦労がうかがえる仕事ぷりです。


僕も仕事をしていて「全部大事だから、全部のせて」と言われることはあります。


しかも、結構あります。


一応「全部のっけてしまうと、見る側は混乱してしまうので情報は整理した方がいいと思いますよ」とは伝えます。


が、それでも「うん、でもいいから全部のせてよ」というドクター・ストレンジばりの無限ループが始まります。


そうなると作業としてはやることが限られてきます。


ほとんどパズルのような考え方に近いですね。

 

パズルのようなポスター


デザイナーの頭の中を想像しながらポスターを見て行きます。

 

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まず、最重要キャラであるアイアンマンを中央に配置します。


すると必然的に、次に重要なキャプテンアメリカとソーが脇を添えます。


実質的なヒロインのナターシャもここに置きましょう。


あとは左右に一人ずつ、キャラの重要度に応じて並べていきます。


ここで大事なのは「この映画内で重要かどうか」というよりは「今まで発表してきた作品内でのバランス」を重要視しているて点でしょうか。


今作のみに限ったキャラクターの扱いで言うと、ガーディアンズのガモーラはもっと大きく配置されていないとおかしいですよね。


ウルトロンが小さいのもおかしいですし、逆にファルコンやバッキーなどは失礼ながらあまり活躍してないのでもっと小さく扱っても良かったかな。


ブラックパンサーの妹とかポスターに入れる必要もなかったような………いやでも全部入れろという指示だったのでしょう。


そして背後にはラスボス・サノスをドーーーーンと持って来て、最後の味付けにスパイダーマンだけコミカルに中央に添えたら出来上がりです。

 

ネタバレができないポスター


キャラの重要度とポスター内での扱いが等しくないと言いました。


つまり、ポスター内でのネタバレはほとんど皆無と言っていいでしょう。


ここで分かるネタバレがあるとしたら、キャプテンアメリカの容姿が変わっていること、バッキーに腕があることくらいですかね。


あ、あえて言うなら「ロキがいない」こともネタバレの一つと言えるでしょうか。


どちらにせよ、このポスターをどれだけ真剣に見たところで「おいふざけんなよ!ポスターでネタバレしてんじゃねえかよ!」と思った人は極端なアメコミファン以外いないのではないでしょうか。


インフィニティー・ウォーについては絶対にネタバレを避けるべき作品だったのは理解できます。


で、結果的にはこのような「全員平等」みたいなポスターになったのだとうなと推測できます。


次作のエンドゲームのポスターではインフィニティーウォーの結構具体的なネタバレを感じさせる仕様になっているのも興味深いですね。

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お祭りなのだから


以上のような理由を挙げてポスターを掘り下げてみましたけど、実はあまりそんなの関係ないとも思っているんです。


というのも、アベンジャーズは一言で言えば「映画界最大のお祭り」だと言い切っていいわけですから。


そもそも「生物の半分が滅びる」みたいな映画をみんなニコニコしながら観にくるという異常事態なわけですよ。


そのお祭りのポスターが、変に凝っているというのもおかしいではないですか。


ここはもうシンプルに「祭りだよ!全員集合!」というポスターが絶対に正しいのです。


2018年の4月、2019年の4月、世界中の人類が「ヤマザキ春のパン祭り」の次に楽しみにしていた祭りではないですか。


「祭りの開催のチラシ」における最大の効果は「わぁ!楽しそう」につきます。


その点において、やはり今回のチラシは最大限の効果をあげたと言えますかね。

 

不満点


それでもあえて不満点を挙げるならば、全体の色彩でしょうか。


サノスの放つ紫色の炎をイメージしたかのような全体のビジュアルは繊細でかっこいいとは思うのですが、やはりアベンジャーズに求めるのは「陽的な印象」だと思うんです。


せめて映画の内容をふまえてインフィニティウォーが紫の仕様なら、エンドゲームは明るい色にして欲しかったんですけど、残念ながらそちらも同じ紫ベースでした。


アベンジャーズのラストスパートに向けてムーディーな演出をしたかったのかもしれませんが、個人的にはもっと素直にカラッと明るいカラーでも良かったと思っています。

 


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映画の感想


これもまた続きがある映画なので評価しづらい点はあるのですが、さすがに映画内のバランスが臨界点を超えていたなと感じました。


簡単に言えばキャラが多すぎてとても2時間では扱えていないということ。


そしてキャラの性能が違いすぎて同じ映画として楽しみづらいことですかね。


それでも最初の感想は「よくこんなものまとめあげたな」という感心でしたが。


ガーディアンズチームはやっぱり他のチームと馴染みにくいのかなと思いましたね。


クイル達が話しはじめると、途端に映画のテンポが変わってしまいます。


ガーディアンズではおなじみの無駄な会話のやりとりのようなものが、他の映画にやってくると邪魔に感じたりしました。


この映画だけ観れば、クイルとドラッグスは本当に何の役にも立たなかったですね笑


キャプテンとソーのバランスも結構問題ありでした。


映画内でキャプテンアメリカはわりと「おいしい場面」を貰ってるんですよ。


でも逆に言えば、そうでもしないと映画内での価値が低くなりすぎるという心配があったのではないでしょうか。


すでにアベンジャーズのリーダーという職務ではなくなっているキャップは、今となっては「普通の人よりも強い人」くらいの評価なんですよね。


そうなると、ソーあたりが参戦してくると急に役立たず感が強くなるというか。


キャプテンではないキャップの価値とは何なのか。


自作で改めて存在感を出してくれることを期待しています。
(その一方、もう一人の世界最強のキャプテン、マーベルが参戦するんですけどね。マジでキャップどうするんだろ)


何はともあれ、とにかく楽しみにしているエンドゲーム。


改めて前作を復習してからアベンジ(復讐)したいと思います。


それでは。


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ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命 《観客を欺くイジワルなポスター》

ポスターの点数…80点
映画の点数…73点

 

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こんにちは。ピースマイルです。


今回は「ジャッキー」という映画を取り上げてみようと思います。


単純に映画に興味があって鑑賞したのですが、ポスターがなかなかイジワルな仕様で興味深いものがありました。


ちょっと掘り下げてみようと思います。

 

ジャッキーという人間について


僕の中のジャッキーの知識と言えば、竹細工のはしごを登ったりお酒を飲んで敵をなぎ倒したりする香港スターというイメージだったのですが。


この映画を観る限りジョン・F・ケネディのファーストレディだった事もあるようでして、人は見かけによらないなという感じです。


(ここから真面目に)この手の映画を観るときには「ちょっとお勉強したい」という気持ちも当然ありまして、JFKのことはそこそこ知ってるつもりだったんですけど奥様のことまでは全く知らないに等しかったですし。


ナタリー・ポートマンの評価が高いというのも聞いていたので観てみたのですが。。。


良い意味で予想を裏切られた作品になっておりました。

 


ジャッキー/ファーストレディ 最後の使命 [ ナタリー・ポートマン ]

映画ポスターについて


何度かこのブログ内でも書いたことではあるのですが、映画ポスターの役割は「映画の情報を伝えること」「思い出として機能すること」だと思っています。


ジャッキーの映画ポスターを観ての第一印象はどうでしょうか?


少なくとも僕はナタリー・ポートマンの佇まいと表情から「ファーストレディとして誇り高く働く姿を描いた《女性映画》」かと思いました。


ドリームやワンダーウーマンなどと同系列の「強く気高い女性」もの映画というジャンルだと感じたんですよね。


では実際の内容はというと、その手の映画とは大きく違いました。


「ポスターの内容と映画の内容が違うのであれば、それは悪いことではないのか?」と問われると、確かにその通りだと思います。


その観点から見るとこの映画ポスターは失敗です。


ですが僕は、これは意図して観客を混乱させているのではないかと思い直したのです。

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映画の構造


この映画はジャッキーの視点ではなくジャッキーの周りで起こっていることを記録的に捉えたような作りになっています。


つまりジャッキーの心情などはいまいち分かりづらく作ってあるのですが、観ていくうちにだんだんと「この女・・・・単にイヤな女なんじゃないか・・・?」と思うようになってきます。


最初のうちは「旦那さんが目の前で殺害されたのだから仕方ない」と思いながら観ていても「でも、これはいくらなんでもジャッキーの言い分はおかしいような・・・」と観客側もグラグラ混乱します。


観ていくうちに見えてくるのは、ジャッキーは「ファーストレディーとしてふるまう姿」と「ジャッキーとしての本来の自分」と、さらに「建前の自分として大きく振る舞う自分」など多層的な人物であるということが分かってきます。

 

何故シャネルのスーツでないのか


この映画内ではJFKが殺害された当日の様子をかなり長い時間を割いて観ることができます。


その間ジャッキーは、ピンクの映えるシャネルのスーツを着こなしています。


そのピンクのスーツがJFKの血で染まるまでも描いています。


なぜポスターではその印象的なピンクのスーツのジャッキーを採用しなかったのでしょうか。


実際のポスターに使われている真っ赤な衣装は、ジャッキーがテレビ撮影でホワイトハウス内部を案内する時に使用していたものです。


つまり、バリバリに「ファーストレディーとして振る舞っている」時のジャッキーということです。

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このことから分かるのは、映画ポスターで登場しているジャッキーは、完全に外面をしている状態というわけなんですね。

 

ギャップを発見していくという映画


ポスターで窺えるジャッキーと、映画の中のジャッキーは映画がすすむにつれどんどんギャップが出てきます。


夫の葬式というファーストレディー最後のイベントを勤め上げたジャッキーでしたが、それが「大統領の為なのか」「旦那の為なのか」「アメリカ国民の為なのか」それとも「自分の為なのか」


その答えは映画の最後に告白されますが、ジャッキーの本音らしい本音が出る場面というのは劇中ほとんどありません。


そもそも人間という生き物自体がほぼ全て多面性を持った生き物なわけですよね。


だとしたら、極端な例なのかも知れませんがジャッキーだってギャップのある多面的な一人の人間だったと思うのです。


「ジャッキーは本当はひどい女だった」と短絡的に映画を観ることも出来ますが、僕はこの映画を「ケネディ夫人ではなくジャッキーという一人の人間」として取り扱った優しい映画だとも思ったんですよ。

 

だからこそあのポスターだった


映画内でジャッキーはナタリー・ポートマンの迫真の演技もあり人間としての愚かさを振り乱していきます。


ですが、映画ポスターのような「外面」の部分だけは美しく理知的なケネディ夫人としての姿をパッケージしたのではないでしょうか。


映画を作った方達の、彼らなりの敬意がポスターに込められているかのようです。

 

日本語版ポスターについて

 

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日本語版ポスターは英語版に比べて文字情報も多くごちゃついた印象です。


後ろにJFKの姿を入れているのも特徴ですね。


ただ、これらの情報は必要だったと思います。


JFKならまだしも、その奥さんのことなんてほとんどの日本人は興味ないことでしょう。


ましてや日本は「安倍首相の奥さんが表に出て活動する」などということに馴染みのない国家ですから。


キャッチコピーも含め、必要最低限度の情報にまとめてあると思いました。

 

映画の感想について


前述の通りポスターの内容と映画の内容にギャップがあったので最初は戸惑いました。


観れば観るほどジャッキーのことを嫌いになりましたし(ナタリー・ポートマンは偉いですね。あそこまで徹底的にイヤらしい演技をしたら本人にとってもリスキーなのに)。


ですが映画を見終わる頃にはジャッキーという女性を好きか嫌いかは別として、一人の人間として魅力的な人だったのだろうなと思いました。


淡々と進行する映画なので途中で退屈だと感じる人も多いと思いますけど、制作側の意図を汲み取りながら鑑賞するとなかなかに見応えのある一本でした。


それでは。


【直筆サイン入り写真】 ジャッキー ファーストレディ 最後の使命 ナタリーポートマン /映画 ブロマイド オートグラフ

 

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サバイバル ファミリー 《矢口監督に失礼だと思う残念なポスター》

ポスターの点数…20点
映画の点数…85点

 

こんにちは。ピースマイルです。


今回取り上げるのは、あえてわざと言いますけど「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」の矢口史靖監督作である「サバイバルファミリー」

2017年の作品です。


わざとと言うのは、ウォーターボーイズ等とは作品の毛色が全く違うにも関わらず「あの!あの矢口監督!ていうかウォーターボーイズの人が撮った映画だよ!」みたいな宣伝が多かったのが非常に気になったからです。


そりゃ僕だって広告の仕事をするときには、そこは第一の売りだと考えるので気持ちは分かるのですが。。。


もうちょっとやり方があったのではないかなとポスターに対して思ってしまったのですよ。

 

ポスターの方向性


サバイバルファミリーのメインのポスターはこちらです。

 

f:id:peasemile:20190423142708j:plain


CM特報などもそうでしたが、かなり「コメディ色」を強めに打ち出しています。


フジテレビと電通が関わってるみたいですが、これが最善のビジュアルだと判断したのだとしたらちょっともったいないなと思ってしまいましたよ。


だって、少なくともポスターの出来なんかよりも映画の出来の方がはるかに良いのだから。


この映画、コメディの部分はたくさんあります。


でも、いずれのコメディシーンもその裏側には極限状態の人間の弱さがあるから笑えるシーンになっています。


矢口作品の中でも異例ないくらい「ハードボイルド」な一作だと思うんですよ。


なんでそこをもっと際立たせてくれなかったのだろうと思います。

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ポスターの中身


まず何より目立つのは、なんとも言えないおかしな顔をした小日向さんが豚と格闘している場面です。


映画を見る前にこのポスターを見た人はどう感じるでしょうか。


おそらく多くの人が「食べ物がなくなったから仕方なく豚を追いかけ回すというコメディなのだろう」と思うのではないでしょうか。


実際の映画の中身をみると・・・・・・確かに、食べ物がなくなったから仕方なく豚を追いかけまわすというシーンです。


でも、決して短絡的なコメディではありません。


映画の後半あたりに位置するこのシーンの時点ではすでに「いよいよ死を覚悟する必要がある」くらいのギリギリの状況なわけです。


そのギリギリ家族が必死になって豚を追いかけ回すからこそ、笑えるけど泣ける場面なんですよ。


それをこういうポスターの使い方にしたら台無しだと思うんですよね。
(キャスト陣も、本気で朝から晩まで豚を追いかけ回して撮影したらしいですよ。監督のこだわりがしっかりと画面に残っているとてもいいシーンです)

 

背景の黄色も納得いきません。


ポスターの「かっこよさ」としてはかなり良いと思います。


配色を黄色と黒と白だけでまとめたビジュアルはスマートでかっこいいです。


ですが、やはり映画とマッチしているとは思えない


この映画では電気が消滅した世界を描くわけですから、当然照明がありません。


なので監督やスタッフは必死で自然光(に見える)演出で映画を撮ってるわけじゃないですか。

 

それなのに、背景にバキっとした黄色を置くような作り込まれた世界観のポスターにする意味は何でしょうか?


これだとあまりにもフィクション性が前面に出てしまい、映画のリアリティを邪魔するだけだと思うのです。

 

ちなみに他にこのようなビジュアルも

 

こっちでいいじゃん!!

 

f:id:peasemile:20190423142723j:plain


高速道路を自転車で進む仏頂面の家族。


こちらの方がより映画に対して忠実ですよ。


ストーリー全体の目的は「関東から鹿児島まで移動する」ことなのですから、ロードムービーとしてのビジュアルとしてもこちらが的確です。


また、この家族はどこにでもある「仲が悪いとかではないが、信頼しきるには足らない年頃の子供のいる」家族なわけです。


その意味でもこちらのビジュアルの方が良いでしょう。

 

香港版のポスター


さらに、どうやら香港版のポスターにこのようなものがありました。

f:id:peasemile:20190423142741j:plain


やっぱりこっちでいいじゃん!


明らかに日本版よりこちらの方がいいと思います。


海外では当然俳優さん達の知名度はグッと下がるでしょうから、顔を大きく載せる必要がないという利点はあったのだと思います。


それは置いておいても、映画を見たスタッフは「この映画の大事なシーンはこれかな」と判断したからこのポスターになったと思うのです。


僕も同意します。


日本版ポスターのような「必死な顔」ではなく、香港版ポスターの「切実で不機嫌な表情」の方がこの映画を的確に表現しています。

 

矢口監督に失礼


全体的に今作の広告は、矢口監督に失礼だと思ったんですよ。


矢口監督の代表作は、確かに「ウォーターボーイズ」「ハッピーフライト」であるとは思うんです。


でも、矢口監督がコメディだけしか撮れないような偏った監督というわけではないでしょう。


スピルバーグがジュラシックパークとシンドラーのリストを同時に撮れる監督であるように、矢口監督もサバイバルファミリーのようなスリリングな映画が撮れるわけじゃないですか。


そのような多様な映画を撮れる監督に対して、過去の作品のイメージをわざわざ引っ張り出して宣伝するのは映画産業として非常にもったいないと思います。

 

映画の感想


映画の感想としては「意外と見たことのない映画」として非常に満足しています。


古今東西、世界が活動を止めるディストピア映画はたくさんあるんですけど。


ウォーキングデッッドや宇宙戦争など、それらの映画の多くは「急に世界が壊れる」のが特徴だと思うんです。


確かにそちらの方がインパクトあるし面白いですよね。


ですが、サバイバルファミリーの魅力は「ゆっっっっっくりと壊れていく世界」をちゃんと描いたことだと思います。


僕自身被災経験がありまして、家を失ったり避難所で生活した経験がちょっとあるんですけど。


この「え、自分はどこに行ったらいいの?え?しかもそれを自分で決めないといけないの?誰か教えてくれないの?」という状況は非常にリアリティがありました。


「そうそう、トイレって一瞬で壊滅するんだよねー」とか「すぐに戻れる前提で考えちゃうから、変にまわりを意識した洋服チョイスしちゃうんだよね」とか懐かしい気持ちで見ていました。


ちなみに僕は、何をトチ狂ったのか「革ジャンにブーツ」というありえない格好で外に飛び出しました。


完全に北斗の拳でした。反省してお詫び申し上げます。

 

映画にツッコミどころはたくさんあるんですけど、リアリティのあるサバイバルものではなくて単発的なシチュエーションものとして考えるととても面白い映画だったと思います。


ツッコミどころがあるなんてことは監督は当然理解していて、そこから逃げたり言い訳せずに「自分の撮りたいものをちゃんと撮る」ということに正面から取り組んでいるんですよね。


そのような姿勢を見せてくれると、こちらもツッコミどころに対して「よし、ここはスルーしよう」と思えます。


あまりこういうことは言いたくないのですが、邦画として久々に面白い一本でした。
満足!!

 

それでは。

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エンジェルウォーズ Sucker Punch 《映画もポスターも、ノレる人だけノレる作品》

ポスターの点数…70点
映画の点数…45点

監督・脚本 ザック・スナイダー
あえて言うならその他音楽衣装撮影キャスティング何から何までザック・スナイダー風味

 

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ザック・スナイダー監督について

こんにちは。ピースマイルです。


今回はザック・スナイダー監督のエンジェル・ウォーズについての文章です。


まず個人的なザック・スナイダー監督への思い入れですが、彼のフィルモグラフィー上で好きな作品というのは特にありません。


なんなら一本も好きな作品はありません。


ですが、気付けばなんだかんだ彼の作品はほとんど観ています。


観ると文句を言いたくはなるのですが、どうにも引きつけられる魅力のある監督なのだなと思います。


そのくらいクセの強い監督ですし、観れば必ず「まーたザックが馬鹿なことやってんな」という気持ちになる不思議な人です。


そんなザック・スナイダーの、初めて企画から脚本監督までこだわりぬいて作られた本作をレビューしてみます。

 

映画の感想

 

まず映画の感想からですが、前述通りですね。


「ザック、馬鹿やってんな〜」です。


少女の観る幻想(妄想)を具現化し幻想内のミッションをクリアすることで、現実でのミッションも解決していくというストーリーなのですが。


ミニスカ、セーラー服の金髪白人が刀と銃を手に大暴れするっていう設定。


もう、「これがやりたかったのねザック」の一言です。


発想は嫌いじゃないです。むしろ好きです。


時代設定とかそういうのを守る気はさらさらないし、傷ついても血もろくに出ないくらいリアリティはないのでこちらも「あ、そんな感じなのね」と安心して観ることが出来ます。


こういう開き直り方は好感がもてますね。


アクションシーンの映像の作り込みも「よっ!名人芸!」みたいな感じでテンション高く進みます。


むしろ最近のDCヒーローものの方がアクションシーンが大人な演出にしているくらいだなと感じます。


このくらい馬鹿っぽいのも久々に観てみたいですけどね。

 

不満点


とはいえ、やはり前述の通り僕はザック作品で好きな作品なんて特にないのです。


この作品も例外ではなく、不満点はやはりあります。


ワンダーウーマンもそうだったのですが、ザック監督は「強い女性」と「性的に魅力的な女性」を描き分けるのが苦手なように感じます。


苦手というよりは、描き方が不用意よいった感じでしょうか。


この作品の売りは「セーラー服の金髪日本刀ガール」なわけじゃないですか。


どうしてもそこからは「性の匂い」がつきまとうと思うんです。


ザック監督自身だって、その性的な魅力を理解したうえでこのような設定で映画を作ったと思うんですよね。


でも、この映画からはそのような性的な要素は限りなく排除しています。


平たく言えば、女の子がエロくない。


すごいエロい格好をしているのに、エロくないわけです。


それはさすがにテーマと一致しないのではないでしょうか。


この映画には「性的搾取をされている女性が自由を求めて抵抗する」というテーマがあります。


「セーラー服の金髪日本刀ガール」は分かりやすいメタファーだと思うんですよ。


だとしたら、やっぱり映画内で最低一箇所はむせびかえるような性的な演出が必要だったのかなと思います。


それが「男性を興奮させる」ことに成功していたら、そのカウンターとして「男性の愚かさ」も表現できたと思うんですよね。

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その裏返しの不満点


上記のように「性的要素を描く気がない」というのであれば、いっそのことそういう「抑圧された女性」みたいなテーマは入れない方が良かったと思います。


観ている間中こちらは「でもこのウラでは主人公達はひどい目にあってるんだろうなぁ」と思いながら鑑賞することになります。


そうすると、どんなアクションシーンを見せられてもノレないわけですよ。


爽快であればあるほど悲しくなる。


それが監督の意図したことだとは思うのですが、だとしてもちょっと重たすぎます。


それくらいなら、笑顔で楽しそうに日本刀を振り回す楽しそうな女の子を観た方が楽しいじゃないですか(そんな奴会いたくないけど)


やっぱりこの映画は「不快感を感じるくらいヘビーな映画」にするか「カラっとエロいエンターテイメント」にするかどちらかしか無かったように思います。

 

それはそうと


それはそうとしても、やっぱりザック監督の映画には一定の魅力があるなと感心します。


どう転んでも「一言二言言いたくなる作品」を必ず提供してくれるわけじゃないですか。


毒にも薬にもならない作品を100億円かけて作られてもこちらは面白くないですからね。


そういう意味では現代において最も「毒成分の強い」映画をきっちり提供してくれる希有な監督なのだなと思います。

 

ポスターの評価

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ポスターの評価も、映画の評価と同じになってしまいます。


そういう意味では「映画を的確に表現している」いいポスターですね。


細やかに作り込まれたスチームパンク風な背景に、人形のような美しさの少女達が威風堂々と立っているという構図。


なんというか、悪いところは全くないし、これで完璧だと思っているのですが、やっぱり物足りないなと思ってしまいます。


やはりポスターからも「にじみ出るエロ要素」は感じさせないといけなかったと思うんですよ。


確かにそれだと女性客が減るのかなとは思いますが、のこのこと鼻の下をのばしてやってきた男性にはまさに「サッカーパンチ(不意打ち)」出来るじゃないですか。

 

キャッチコピー


特筆すべき点と思いますが、キャッチコピーは素晴らしいと思います。


「お前の世界は自由か。」


いいですねー。たった9文字で映画の全体像を表現できている素晴らしいキャッチコピーです。


綺麗な少女達が「お前」と挑戦的な言葉を使うのもドキッとして良いですし、「世界」と「自由」はまさにこの映画の本質を表す言葉です。


この言葉を頭の片隅に入れたあとに映画を観ると、何か自分の中で考えるものがあるのではないでしょうか。とてもいいコピーでした。

 

まとめ

 

今日の文章だけ見ると、とにかく僕が「エロい女を見せろ」と主張しているばかりになっているのが気になりますが、まぁそれはそれで観たいという欲求はあるのですが、そういうのは別に他のポルノでもなんでもいいわけですよ。


そうじゃなくて、映画内に「エロを思わせる要素」を持ち込むならば、そこはかなり神経をつかわないと失敗するよっていうことです。

 

僕の大好きな女優さん、松岡茉優さんは、性的要素を出さない方が良い映画では胸元を絶対に主張しないような服装にするなど気を配っているそうですよ。
素晴らしいです。

 

というわけでザックよ。


次に何か映画を作る際には、松岡茉優さんをアドバイザーに加えるといいと思いますぞ。

 

それでは。

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ジャスティス・リーグ Justice League 《ポスターのレベルはMCUよりも…》

ポスターの点数…95点!
映画の点数…65点

 

 

全世界が待望したのかどうかは分かりませんが、スーパーヒーロー達のお祭りの時間です。


MCUシリーズが色々な監督とキャラクターのアンサンブルを楽しめる一方、こちらDCシリーズではザックスナイダー監督の作家性が強烈に強いシリーズになっています。


好き嫌いは分かれると思いますが、良く言えば「重厚で壮大なストーリー」、悪く言えば「小難しくて暗い」シリーズと言えるのではないでしょうか。


まぁ引っ張るようなことでも隠すことでもないので正直に言いますが、僕は映画のレベルとしてはMCUの方がはるかに上だと思っていますし、好みの問題でもMCUの方が好きでございます。


ところがですね、このブログの主題でもある映画ポスターはどうなのか?となると話は違ってくるのです。


ではポスターの評価いってみよう。

 

これが観たかったんだよ!なポスター

 

こちらは海外版のポスターになります。

 

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そうそう、こういうこと!


こういうポスターが観たかったんですよ!


MCU作品群のポスターは、やけに動きが多くてゴチャゴチャしている印象だったのです。


映画の中のワンシーンを切り取ったような作りになっていて、ポスターのビジュアルと映画の内容を少しですがリンクさせているようです。


それが結果的にというか、格好つけすぎててちょっとうるさい、みたいな感じがしていて。


ところがDCシリーズは違いましたね。


横一列の整列でどーーーーーーーーーんっという潔さですよ。


そうそう、これこれ!


さらにこっちのパターンもご覧ください。

 

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顔のアップどーーーーーーーん!ジャスティスリーグ!!!


いやぁカッコイイですねー。


この映画に興味を持っている人がどのようなものを求めているのか、それに対して真正面から答えた素晴らしいポスターだと思います。

別に映画の内容とリンクさせなくても良い


僕はこのブログの中でよく「映画の内容とポスターの内容が違うから良くない」という趣旨のことを偉そうに言うことがあります。


ですが、それはあくまで原則としてという話でして、今作においてはその原則は全く無視していいと思っています。


はっきり言ってですね、ポスターの内容と映画の内容はまったく一致しません。


6人が揃っているシーン自体ほとんどありませんし(これに関しては映画の内容におおいに不満はありますが)、最終決戦も室内なのでこのようなイメージショットはないわけですよ。


でもね、これでいいと僕は思うんです。


そもそもこの映画を観たい人って、映画の内容にこだわりなんてないんです(極めて差別的暴言)。


内容は二の次で「いかにヒーローがかっこいいか」が大事なわけですよ。


だったらこのポスターで全部オッケーでしょう。


「この映画を観れば、かっこいいヒーローに出会えるはず!」という信頼感を与えることが何よりも重要なのです。


そういう意味では映画の内容と完全にリンクしているとも言えますよね。

 

ロゴの強み


MCUに比べてDCシリーズが勝っている点は他にもありまして、それはロゴまわりです。


キャラクターごとのロゴのクオリティが非常に高く、何よりスーパーマンとバットマンは世界中誰でも知っているロゴマークでしょう。


そのあたりのセンスは映画にも引き継がれていて、それを顕著に表したのがこちらのポスターです。

 

f:id:peasemile:20190420150159j:plain


「あいうえお作文」みたいな内容ですが、キャラごとのロゴが強いからこそ出来る遊びです。


MCUシリーズでは不可能な贅沢な遊びです。


見過ごされがちな気がしますが、ジャスティスリーグというロゴ自体もカッコイイです。

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アベンジャーズというロゴに比べたら地味な印象ですが、シンプルでシャープな質感は好印象。


ザックスナイダー監督を中心に、とにかく「ぱっと見でカッコいいかどうか」に対するこだわりがとても強いのだろうなと感じます。


大変いいポスターでしたね。

 

日本版ポスター


はい、こっちはもうなんていうかです。

 

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今上記にあげたこととほとんど真逆になっていますね。


なんかすごいもう残念としか言いようがないです。


確かにね・・・・日本人にとって知名度が低いキャラクターも多いから手を加えたかったんですかね。。。。


だとしてももうちょっとどうにかならなかったのかな。。。。


キャッチコピーもなんか投げやりな感じがします。

 

映画の感想


ポスターでは絶賛しましたが、映画の内容はどうだったでしょうか。


うん、、、、、、、、、、、つまらなくはないけどね。


少なくとも、過去のDCシリーズの中では一番ストレートに面白かったです。


ギリシャ神話ベースの余計な話とかが無い分、スムーズに話を追うことが出来ます。


ところがそれが残念なことに、そういう余計な部分をカットすると途端に「普通の話」になっちゃうんですね。

 

敵キャラのまずさ


まず何より今作は敵キャラがひどかったです。


最初にステッペンウルフという敵が出てきたときには「なるほど、こいつよりももっと強い奴が後から出てくるのだろうな」と思っていたら、まさかのそいつがラスボスでした。


いや、そりゃ当然勝つんですけどね。


でもせめて「勝てるかな?負けるかな?」とドキドキしちゃうくらいの敵でないと。


雑魚キャラのハエ男たちも駄目でしたねー。


なぜキャラクターデザインがとてもうまいDCなのに、敵キャラはあそこまでテキトーなのでしょうか。


敵キャラが魅力的な方が、ヒーロー達のかっこよさも際立つのでとても大事なことだと思うんですけどね。

 

禁じ手・スーパーマン


観る前から分かっていたことではあるのですが・・・


やはりスーパーマンが登場すると映画内のバランスがグチャグチャになってしまいます。


彼一人があまりにも最強すぎるので、いかに映画内に彼を出さないようにするかに苦心しているように感じるんですよ。


実際出てきたら話が終わっちゃうし。


そもそも復活の理由とかがいまいち分かりづらかったです。。


今後、もうちょっと彼の扱いをどうにかした方が良いのではないでしょうかね。

 

良かった点


もちろん良かった点もあります。


話がコンパクトになっている分(ザックスナイダー編集版からは50分カットになっているらしいです)とても観やすかったです。


キャラクターの作り込みが浅いという批評もあるようですけど、これ以上長くならないことの方が重要な気もします。


あとはやはりワンダーウーマンがピカイチに良かったですね。


登場シーンからまずカッコイイですし、彼女が画面で動いているだけでうっとりします。

 

感想まとめ


今後も続いていてほしいシリーズではあるのですが、MCUとは違う独特の世界観を大事にしつつよりブラッシュアップしていく必要はあるんじゃないかなと言ったところです。

 

それでは

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アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン 《ビジュアルもコピーも理解しがたい改変》

ポスターの点数…15点(日本版の方)
映画の点数…50点

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アベンジャーズ新作(エンドゲーム)が公開されるまでに今までのマーベルシリーズを網羅していこうと考えていましたが、どうも無理そうだなと思っております。


今現在、まさに新作に向けて復習をしている最中なのですが、もともと好きだった作品(ウィンターソルジャーやガーディアンズ)を観るのは楽しいものの、そもそもそこまで好きじゃない作品を見なおすのはなかなかツライものがありますな。


世界中で同じようなことをしている人がたくさんいるんでしょうけどね。


今回はエイジ・オブ・ウルトロンを見なおしてみました。


初見よりも思ったよりも珍品だなと思い直したほどでございます。

 

というわけでまずは最初にポスターワークの方から振り返ってみたいと思います。

 

漂うB級映画感

 

今からお話することは、基本的に日本版ポスターのことです。


えーーーっと、何からつっこんだらいいでしょうか。


まず、作り手側の目線になって考えてみたいと思います。


アメリカ本国から、「この素材を使っていいポスターにしてね」という指示がくると思うんです。


どうやらマーベル(ディズニー)側は日本がポスターを大きく作り替えてもあまり文句をつけない会社なのでしょう。


そういった意味で懐の広い会社だなと思います。


ですが、さすがに今回は口を挟んだ方が良かったのではないでしょうか。


なんなのでしょう、このどこを切り取ってもB級映画の匂いのするポスターは。


このポスターを観た人は「何これ超かっこいい映画観よう」と思うでしょうかね?


ファンは問題ないとしても、完全に初見の方がこのポスターを観てどう感じるか考えて作ったのでしょうか?

 

なぜ白バックにした?


海外版を見てみましょう。

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このように背景がもともとあるんですよね。


立ち込める暗い雲のような背景の中にいるアベンジャーズの面々と、天からさしてくる光の先にいる正体不明の存在「ヴィジョン」。


このポスターだけで映画の内容を一部表現できています。


映画内でトニースタークは、(意図とは違うものの)神のような存在を創ります。


その存在を巡って七転八倒する物語ですので、このポスターになるのも納得ですね。


ところが日本版になると急にわけがわからなくります。


まず、何故かアイアンマンだけがデカい。


せっかく「5人揃って、ゴレンジャイ!」じゃなくって、「みんな揃ってアベンジャーズ」という映画なわけじゃないですか。


なんでアイアンマンだけデカくす必要があったのでしょう。


一番知名度があったから?


いやぁ、アイアンマンに興味がない人はアベンジャーズも観ないだろうし関係ないと思うんですけどねぇ。。。


それよりも「祭りだよ!全員集合!」感を出した方がいいと思うのですが。


それとなぜバックを白にしたのか。


ヒーローものっていうのは、見せ方を間違えたら途端に「コスプレをしているアレな人たち」になりかねない代物なわけじゃないですか。


それをマーベル側は長年かけてこんな世界もあるのだと「お客さんを騙す」懸命な努力をしてきたわけですよ。


こんな不用意な白バックにしたら、いよいよコスプレ集団感が全面に出ちゃうと思うんですけどね。。。

 

キャッチコピーもアレな感じ


さらに問題なのはキャッチコピーですよね。

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「愛を知るー全人類に捧ぐ。」
えーーー。


なにそれ・・・・?


そんな映画じゃないでしょう。


これ、二重の意味でダメだと思うんです。


まず、映画の内容とまったく合っていない。


この映画に愛の要素はほとんどないです。


むしろ「独善的な正義の暴走」のようなものが背景にあるようなタイプの映画です。


このキャッチコピーをつけた人は、生まれて初めて映画を見た人か、隣でやっていたシンデレラとキャッチコピーを間違えたのでしょう。


もう一つのダメな理由は、お客さんを呼び込めるキャッチコピーとは全く思えないことです。


前作アベンジャーズ1では、「日本よ、これが映画だ。」というかなり挑発的なキャッチコピーがつけられていました。

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カチンときた人もいるようですが、キャッチコピーとしては優れていたと思います。


実際、あらゆる場面でパロディ化されるほどに有名なキャッチコピーになりましたし、「おう!そこまで言うんならお客さん自身も日本の映画の予算では体感できないような芳醇な映画体験をしたいわけで、コピーと対象が一致しているわけですよね。


でも今作の「愛を知るー」って。。。


アベンジャーズを観たい人は、そんなことを映画に求めているわけではないと思うんですよ。


そういうのはヘップバーン主演の映画で間に合っています。


さらに「人類に捧ぐ」というのもいただけない。


せっかく「日本よ」というキャッチコピーが良かったのに、「人類」なんて極端な拡大をされちゃったら当事者感がすごく薄れるんですよね。


「所詮人ごとだしなー」といった気持ちです。

 

「世界を滅ぼすのはーアイアンマン。」


だったらこちらのキャッチコピーの方が良かったのではないでしょうか。


映画の内容にも合っていますし、センセーショナルなインパクトがあります。

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ポスターのまとめ 

 

この作品以降、珍作のようなポスターは日本で見かけなくなりました。

 

エンドゲームが公開されたらまた書きたいなと思いますが、ようやくファン側と伝えたい側のバランスがとれてきた状態なのではないでしょうか。

 

10年もやってるんだからそりゃそうなんですけど。

 

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映画の感想

 

ポスターもあれでしたが、映画本編もなかなかまずい点が目立つ作品だったなと思います。

 

序盤の戦闘シーンを除くと、基本的にずーーーっと暗いトーンが続くのが問題かなと思います。

 

なんか暗いうえに、敵もあまり魅力的ではないので『がんばれ!アベンジャーズ!』ってあんまり思えないというか。

 

ハラハラドキドキすることもなく『まぁ勝てそうだよな』くらいのテンションなんですよねー。

 

で、勝つんですけど。

 

良くも悪くもちょうど真ん中に位置する作品だったなぁと思います。

 

エンドゲームがこのレベルだったら残念です。

 

そんなことないよう期待したいですなぁ。

 

それでは。

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ウインド・リバー WIND RIVER《多角的に満足な映画と、一部だけ満足なポスター》

ポスターの点数…90(25)点!
映画の点数…91点

 

脚本、監督…テイラー・シェリダン
出演…ジェレミー〈ホークアイ〉レナー
エリザベス〈スカーレット〉オルセン

 

振れ幅の大きいポスター

 

この映画には代表的な公式ビジュアルが2種類あるようでして。


そのポスターの完成度の幅が異常にデカい気がしてるんですよ。

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まずこちらのポスターはとても良いポスターだと思います。90点!


真っ白な雪の中に残る血痕は、何かしら背景に事件性を感じさせます。


あえて引きの絵にすることで、中央の男性が小さく写っています。


この構図により、事件を解決するのは難しそうだという途方のなさを表現しています。


背景が雪(白)なので、赤や黒などの文字にすれば目立つのですが、あえてそうせず青を基調にした配色にすることで画面全体から儚さが感じられます。


さらに、わざわざタイトルに雪まで降らせて一部が消えゆくようです。


雪原の中の孤独感のようなものがフォントからも伝わってきます。

 

キャッチコピー


キャッチコピーの「なぜ、この土地では少女ばかりが殺されるのか」というのも、ちょっと過剰な書き方だとは思いますがなかなか良いと思います。


このキャッチコピーだけで「土地(舞台)が重要な映画なのだな」と「少なくとも複数の女性が殺害されているのだな」ということが分かり、映画の内容が俄然気になってきますね。


実際、この映画を通じて初めて知識を学ぶことも多いので知的好奇心も刺激される内容なんです(逆に言えば知れば知るほど不快感を覚えていく仕組みになっている)。

 

ちなみにこのポスターを観てすぐに連想したのはコーエン兄弟のファーゴという映画でした。

f:id:peasemile:20190418160238j:plain


構図も結構似ていますね。


ですがファーゴの方はデカデカと赤い文字でタイトルがついており、死に対する緊張感のようなものはあまり感じません。


映画の内容自体もファーゴは人の死はさほど重要なテーマではないです。


対してウインドリバーは死や生がかなり重要なテーマなので、やはり現在の儚げなタイトル文字の方が効果的に思います。

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他のポスターはというと


ところが、このポスターだけで展開できるほど映画ポスターというものは単純では無かったということでしょうか。


こちらのポスターは、個人的にかなりガッカリポスターになっています。

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まぁ分かるんですよ。


ジェレミーレナーが出演しているということをアップで見せておきたかったのでしょう。


銃器を目立たせることで、サスペンスにより危険な匂いを演出したかったのでしょう。


ですがこのポスターでは映画の内容といまいち一致しません。


アクション的な演出もかなり優れた映画ではありますが、それは計3箇所くらいの短い時間しかなく、話の主軸というわけでは全くありません。


銃器をデカデカと出すことで、むしろ安っぽさが出ている気がします。


それよりも先ほどのポスターの方がより死の匂いがするじゃありませんか。


映画ポスターに銃器があるだなんて、たぶんメガネをかけている人よりも多いですよ。
【マイナス30度・極限の中のクライムサスペンス  ホワイトアウト!】みたいな映画っぽくないですかね。


そう思っちゃった人はこの映画観ないと思うんだけどな。


ていうか今確認したら、まさにポスター下部に【極上のクライムサスペンス】って書いてありました。


僕が1分くらいで考えたコピーとかぶってるようじゃ駄目だと思うんですけど。。。


レイアウトも問題あり


画面の分割も何故か斜めにカットされていたりするんですよ。


分割するにしても普通に直線・直角にした方がスマートだったと思います。


このポスターが結構堂々とTSUTAYAとかに飾ってあったりするんですよね。。。


映画が良いだけにかなり残念な売り出し方でしょう。

 

ポスターのまとめ


かなり個人的には好きなポスターでした。


ですが、地味であることは事実だと思います。


僕のような人間は「お、面白そうだな」と感じますが、なんとなくポスターを見ただけの人は何の記憶にも残らない可能性はあるでしょう。


そのバランスをとるのは常に難しいのですが、いくらなんでも代わりのポスターがあれじゃあねぇと思いました。

 


映画の感想


監督を務めたテイラーさんは、一番有名なのはボーダーラインの脚本家としての部分なのではないでしょうか。

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やはり今作も脚本が素晴らしく、冒頭から一気に引き込まれました。


特に意地が悪いのは(褒め言葉です)、序盤をかなり淡々と撮っている点です。


ハンターの主人公が若い女性の死体が見つける→FBIが捜査にやってくる→被害者家族のところに事情を聞きに行く という一連の流れ。


観客側からすると、映画の中で人が死んだり捜査をしたりなんてのはホントによくあることで、大して緊張もせずに見ているんですよ。


もっと正確に言うと、緊張していないことにも気付いていない状態です。


その状態にある中で、急に被害者家族の様子やまわりの人間関係を浮かび上がらせることによって「あ!人が死ぬってこういうことだよな」と今更ながらにドキッとさせられる仕掛けになっています。


画面に映っている映画と画面の外にいる自分という距離感がある状態から、首根っこをつかまれて映画内に引きずりこまれるような感覚でした。

 

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監督としての手腕


脚本的な部分の素晴らしさすでに立証済みなのですが、監督としても十分に優秀なのではないかと感じました。


つまり、文字に頼らない画面演出としてのうまさの問題です。


映画の冒頭から何度か主人公が「白い服装」に着替える場面が出てきます。


これは動物をハントする際に動物側からバレないための工夫なのだなと観客側は思っています。
「ふんふん、そんな感じなのねー」くらいの気持ちです。


ですが最終盤、この衣装がかなり効いてくることになります。


銃撃シーンが始まると、画面のどこかに主人公が潜んでいるのは分かるのですが、白い服だからどこにいるのか分からないわけですよ。


「え??どこかな??」と探しているうちにドーーーーンッ!!と次の瞬間には殺害されてしまいます。


敵側の目線を通じて、主人公のハンターとしての恐ろしさを体感するという構図になっているんですね。


宇多丸さんがよく「見る側、見られる側が急に逆転する演出は良い」という趣旨のことを言われていますが、まさにこのシーンなんかはそうですね。


サスペンス映画でありながらも、アクションシーンでは緊張感ある演出が出来ていましたし、なんならホラー要素すら感じるほどでした。


もっともっと自ら監督として活躍してほしいです。


まあでも、まずはボーダーラインの続きを早く見たいかな!

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それでは。

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美女と野獣 Beauty and the Beast 《実写化する意味あった??疑問な映画とポスター》

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ポスターの感想…40点
映画の点数…30点

 

パイレーツオブカリビアンという大作を筆頭に、ディズニークラシックの実写化が次々と展開されているシリーズ。


2019年だけでもダンボ、ライオンキング、アラジンと看板クラスの作品が実写化予定です。


この立て続けのリリースの背景には、おそらく「美女と野獣」の大ヒットも関連しているのではないかと思います。


美女と野獣の完成度を観て、他の作品への実写化に自信をつけたのではないでしょうか。


世間の評判もかなり高かった今作を振り返ってみようと思います。

 

映画の感想


先に言っちゃいますけど、ほとんどオープニングの時点からずーーーーーっと面白くなかったです。。。


まず僕自身は、1991年版のアニメ版は何回かは観ています。


ファンと言えるほどではないと思います。


ただ、1989年リトルマーメイドあたりからのディズニールネッサンスの重要な一本だというくらいは理解していますし、羊たちの沈黙が無ければアカデミー作品賞をとっていたとしても全くおかしくないレベルだと思っています。
(1700年代の原作とかその他の映画の話はここではしません。あまり関係ないと思うので)


いずれにせよ、公開当時世界最高の完成度を誇った映画なのは間違いないのですから、その実写化となれば何かしらのアイデアが必要だったと思うのです。


が、しかし。


残念ながらそのような姿勢は制作側ほとんど見受けられなかったと思っています。


ものすごく純粋な気持ちで「アニメを実写化してみました(^^)」という心意気を感じます。


うん、だったらアニメでいいから。

 

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さっそくつまらないオープニング


まずは、まだ変身前のお城の様子から始まります。


魔女に魔法をかけられるシーンですね。


ジャブ的な感じでたくさんの美女がダンスするという映像的な美しさを堪能できます。
次の瞬間、ありえない光景が。


野獣に変身させられる王様が普通に顔を出して登場します。


なんで????


え、だってこの人、あとで王様に戻るんだよね。


その時に初めて顔がうつったほうがいいと僕は思ったんだけど。


それとも、最初に出すという意味があるのかな、となんとか好意的に解釈しました。


そして、その気持ちは2時間後に裏切られます。


やっぱり顔を出す必要、まったく無かった。


どうしても顔を出したいなら、ルミエールやその恋人とか、ポット夫人とチップを出した方が絶対に良かったでしょう。


そしたら「ああ、あの可愛いチップがもう二度と人間に戻れないなんて!」と感情移入できたんじゃないですか?


最初からイヤな予感を漂わせて映画ははじまります。

 

ミュージカルシーン


映画の構成を、アニメの通りミュージカルにしたのは良かったと思います。


実写ならではのパワーはあるし、何より名曲だらけの映画なので聴いているだけで楽しいですからね(当然ながら、これはアニメがすごいというだけなのだが)。


とはいえ、そのミュージカルシーンもやはり飲み込みづらい。。


最初のシーンでは「ベルは美しい女性だが、夢見がちなところがあり周りからは白い目で見られている。そのベルを乱暴でがさつなガストンが狙っている」という構成になっています。


ところがこのシーン、何の工夫もなくアニメから実写化しているだけなので非常にノイズが強くなっています。


まずベルが誰よりも美しいというのが良く分かりません。


エマワトソンは確かに美しい女性ですが絶世の美女タイプではないので、ベルを誰よりも美しいとするなら見せ方に何かしら工夫が必要なはずです。

アニメだと単純に、ベルの他の女性を不細工に描いていました。

それが実写で出来ないというのであれば、やはり何かしらアイデアが必要だったでしょう。

 


そしてベルが「変わり者」という設定も、「本を読むのが好き」とかそのレベルです。


なんだそりゃ。


とても2017年にわざわざ実写化された設定とは思えません。


「文字を読んだりする女性が珍しい時代」だという設定にするのであれば、それを2017年現在でも通じる何かのメタファーとして描くべきでしょう。


そんなことに気を配っているとは思えませんでした。

 

 


ガストンがベルに嫌われている理由も飲み込みづらいです。


ガストンは、見た目が綺麗というだけの理由でベルに求婚するイヤな奴です。


その一方で、従軍経験もあり自分のお店も持っているとても有能な人なのでしょう。


そのガストンに対しベルは「あんな無神経な人の嫁なんてイヤ」と拒絶します。


これじゃあ、ベルの方もやはり表面的な部分で人を見るイヤな奴にしか見えません。


そもそもさ、アニメ版だとガストンや狼は初めからアニメ特有の「いやな奴の顔」をして登場するんですよ。


だから観ている側も「はいはい、この人はイヤな人なんですね」と受け止めるんですね。


それが実写だとそれがかなり薄くなるんです。


普通にイケメンだし。


野菜を踏むくらいの中途半端な演出じゃなくって、もっと分かりやすい女性差別的な発言くらいさせても良かったんじゃないですかね。

 

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お城のキャラクター達


アニメ版に登場した、ルミエールやポット夫人を中心とした魅力的なキャラクター達。


今作もアニメ版と同じように重要な役割を持っているのですが、これもまた単に「実写化しただけ」の描き方をされています。


誰しもが「アニメの方が生き生きしていたし、可愛かったよね」と感じたと思うんですよ。


つくづく「じゃあなんで実写化したの?」としか思えません。


はっきり言ってどのキャラも不気味な造形なんですよね。


不気味なのが悪いというわけではなくて、そういうキャラクターであればそのキャラクターに合った使い方をするべきだと思うんですよ。


なんで全く同じように描いたのか理解できません。


顕著に「アニメの方が良かった」と思える箇所です。

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エマワトソンの居心地の悪さ


お城にいる間、つまり映画の半分くらいの時間はエマワトソンはほとんど一人での演技になります。


だって他はCGなんだから。


そしてそれが全くうまくいっていません。


不自然なタイミングで笑ってみせたり、会話のテンポがいまいち合っていなかったり、撮り方がうまくなかったり。


これはエマワトソンが悪いのではなく、監督の手腕が足りなかったためだと思います。

 

母親の設定


野獣とベルは、お互いに母親を亡くしたという設定が追加されています。


これはアニメには無かったオリジナルです。


意図としては、母親を亡くした者同士で心を交流させるということでしょう。


え・・・・・・・・この設定丸ごと不要じゃない・・・・・???


わざわざ30分映画を長くしてまで追加するようなことじゃないと思うんですけど。


べルの母親は、わざわざペストによって死亡したというような具体的な設定になっています。


これじゃあ「可哀想な者同士、仲良くやろうね」みたいな余計なバイアスがかかっているように見えるんですが。。。


そうじゃなくて、「見た目の恐ろしさや乱暴さに囚われず、相手をフラットに見つめることでお互いに心を寄せあう」という設定のままの方がよっぽど二人の愛情が本物だという証明になると思うんですけど。


ここまでやるんだったら、かつての王様の乱暴な政治によってベルのお母さんは亡くなったくらいの設定にした方が良かったですよ。


「親が早くに死んだ人→可哀想」みたいな無神経な発想が大嫌いでしたね。


せっかく加えたオリジナル設定がよりにもよって最悪なものでした。

 

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ダンスシーン


散々なことを言ってきましたが、ダンスシーンはやはり圧巻の出来だったと素直に思います。


実写ならではの演出もされており、2017年時点での最高のダンスシーンを作り上げようという気概を感じました。

 

映画の感想のまとめ


というわけで、映画の感想としては文句なしに最悪だったと思っています。


この映画をみて評価されている人は「アニメを実写化するとこうなるのか!」というところで感動されているようです。


残念ながら僕は、その無神経な実写化のやり方に腹がたちました。


最初に言った通り、これだったらアニメのままの方がよっぽど良かったと思います。

 

ポスターの感想

 

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ポスターの出来もまた。。。。。


これがまた残念な仕上がりです。


綺麗なポスターとは思いますよ?


オリジナルのフォントも綺麗だし、世界観もよく出来ていると思います。


でもさあ、ただそれだけだよね。


実写化にあたっての熱意とか別に何も感じません。


精度の高いコスプレにしか見えないんですよ。


仮にですが、全くアニメ版を知らない人がこのポスターを見たらどう思うでしょう。


「まぎれもない完璧なB級映画だろうな!」と感じるのではないでしょうか?


レイアウトに工夫もないし、ドレスを着た美女とよく分からない生き物が写っているだけ。
こりゃあB級でしょう。

 

キャッチコピーもひどい

キャッチコピーもひどいですね。

 

それは、100年語り継がれるエンターテイメント。

だそうです。


なんかもう、ふわっとしすぎ。


まず「それは」の意味が分からん。


なんとなく雰囲気だけでつけてるとしか思えません。


「100年語り継がれる」も駄目でしょう。


これから100年っていう意味?


それとも今から100年前からって意味?


この作品が誕生したのって、300年前ですよ?


これから100年語り継がれるとしたらなんか賞味期限が短いし、今から100年前とかだったら嘘のキャッチコピーだし。


だったら普通に「300年語り継がれてきた」でもいいと思うし、「26年の時を経て、あの感動がよみがえる」というアニメ目線でもいいんじゃないの?


あと「エンターテイメント」ってキャッチコピーに使わないでくれない?


ポスターにエンターテイメントって書いてあるということは「この映画は作り話ですよ」という宣言じゃないですか。


なんでそんなこと無神経に書いちゃうかな。


観客は作り話ということは百も承知で、映画を観ている間だけでも現実を忘れて世界観の中に入り込むわけじゃないですか。


ディズニーランドがまさにそういう施設ですよね。

 

あと「彼は探していた。かけがえのない自分を。」みたいなのも好きじゃない。


そういう映画じゃねえし。


他者の中に自分の存在価値を見いだすことで自分が変わっていくという話じゃないの?

 

なんかもう全部駄目。


というわけで、ポスターについても特にこれ以上語ることもありません。


大ヒット作にこんなこと言うのも失礼ですが、僕はかなりガッカリしました。


これから先アニメは見返すでしょうが、実写版は二度と観ないことでしょう。


それでは。

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ワンダーウーマン Wonder Woman 《ポスター上々、映画本編はBooo》

ポスターの点数…85点
映画の点数…40点


先に謝っておきますと、このあと結構なトーンで映画のダメ出しをする予定でございます。
この映画を大好きな方には申し訳ないと思うのですが、その代わり映画ポスターの方はとても良い出来だと思っておりますのでそちらの方を褒めさせていただこうかなと思います。

 

全体の構図


ポスターの意図はかなり明確です。


「ワンダーウーマンを魅力的にみせる」の一言です。

 

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ぶっちぎりに美しいガル・ガドットが立っているだけで絵として成立するという点も大きいですが、キャラクターの配置も気が利いていて、左側にアマゾン族、右側に英軍を置いています。


アマゾン族を率いるクイーンとして、そして軍隊の先頭に立つ勇敢な英雄としての立ち位置をポスターだけで表現でいています。


アマゾン族と人間を分断する構図にすることで、本来は相容れないはずの種族の間で揺れ動くワンダーウーマンの心情も読み取れるようです。


ワンダーウーマン自身はこちらに目線をおくるでなく下を向くでもなく、どこか遠くを見ています。


この目線によって、彼女は遠くの未来を見ているのだと分かります。


青が基調となった配色もいいですね。


彼女がアマゾン族の島というとても美しい島で生まれた純粋性を表現できています。

 

キャッチコピーの無邪気さ


《美しく、ぶっ飛ばす》というキャッチコピーも無邪気でなかなかいいなと思います。


この映画に興味がある人が求めていることと完全に一致しているからですね。


下世話な言い方ですが「美女が男どもを豪快にドッカンドッカンやっつける映画」を観たいわけですよね。


シンプルでありながら効果的な一言です。
(実際の映画はもっとシリアスな殴り合いなので爽快感は実はそんなに高くないのですが)

 

はい、褒めるのはここまでになりました。
ここから先、映画の評価に入ります。。。。。

 

映画の感想

 

迫力のある映像と、あまりにも魅力的なワンダーウーマンというキャラクターを堪能するだけでも十分観る価値はあると思います。


もしもこれがB級映画であれば手放しで大絶賛したかも知れません。


ですが、150億円以上の予算が投じられたビッグバジェットムービーとして考えると、ちょっと擁護しがたい仕上がりというのも事実です。


映画を通して観たときに、何度も「ん?どういうこと?」と気になる点が多かったです。


その気になる点が増える度に映画にノリきることが出来ず、そのままモヤモヤと物語も終わっていきました。


一言で言えば「設定の詰めの甘さ」がとても目立つ作品でした。

 

冒頭、ギリシャ神話をベースにしたアマゾン族の生い立ちが語られます。


このとき出てくるゼウスが、僕たちが実際に知っているギリシャ神話のゼウスと同じものなのかどうかがいまいち分かりません。


この映画特有のパラレルワールドとしての話なのかな、などと思っていると、そこにドイツ軍やイギリス軍がやってきます。


そうなるとまた今度は「え、この軍隊の人達はギリシャ神話を知ってるの??キリスト教はどうなってるの?」というのが気になりだします。


アマゾン族がそれぞれ何歳くらいなのかも分からないので、ギリシャ神話がいつ生まれてどの程度浸透している世界なのかよく分からないのです。


そのあたりを無視しようとして映画を観ていても、何度も「ゼウスが~」とか「神は~」などと言うので、「え?じゃあ神って誰なの?キリストは実在した世界なの?」とまた引っかかります。


こういう映画全体の設定の作り込みがどうしても気になる映画なのです。

 

また、アマゾン族の強さの設定が最初に説明されていないのが不親切でしょう。


銃を撃たれるとさすがに死亡するようですが、それ以外のダメージではほとんど無傷のままです。


どんなに高いところから落ちでも、固い物が当たってもほぼ無傷。


なぜか銃にだけは弱いようです。


繁殖能力は無さそうな様子ですが、そのわりには尋常じゃないトレーニングをしているようで「訓練中に死んだらどうすんの?」とかも気になってしまいます。

 

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他にも、ドイツという国やイギリスという国を何故登場させたか分かりません。


ワンダーウーマンは、ほとんど論理的でない理由でイギリス側の味方につきます。


アマゾン族を数人殺害されたことが理由なのでしょうが、そもそもスパイが逃げてきたから巻き込まれただけであって、この時点ではドイツが悪かどうかなど分からないはずです。


実際には当時イギリスもかなり非人道的な戦争をしていたわけで、一方的にドイツを悪く描くのは単に作り手側の論理でしかありません。


「ドイツ軍の将軍を倒せば世界は平和になる」と盲目的に信じているワンダーウーマンという設定なのですから、他のドイツ軍の一般兵士をボコボコに壊滅させる理由が分かりません。


これも「ワンダーウーマンが敵を壊滅させるシーンを撮ろうぜ」という作り手側の都合に思えるのです。


普通に考えるなら「イギリス軍もドイツ軍もボコボコにする」か、「こっそり将軍のみを殺害する」という発想になると思うんですよね。


この調子でいくと、第二次世界大戦では東京大空襲や原爆投下したアメリカ側にワンダーウーマンが味方するとかも普通にありえるだろうし、朝鮮半島や中国への侵略を行っていた日本を応援するなどもあるのでしょう。


あくまでもワンダーウーマンの「なんとなくこっちを味方しよう」という勝手な思い込みで歴史が変わっていく気がするんですよね。。。。


アベンジャーズシリーズでは、一応ハイドラ党やソコヴィアなどと実在しない設定を用意しておりノイズが少ないよう工夫しています。


結構分かりやすく「この人達は悪い人でーす」と最初に宣言してくれるわけですよ。


また、ハイドラ党やソコヴィアが現在実存する国家などのメタファーにもなっているので感情移入しやすくなっています。


一方のワンダーウーマンでは、敵側の設定をかつてのドイツ帝国と毒ガス兵器というなんとも中途半端なものにしてあるため「こいつらは絶対に滅ぼさないと駄目だ!」とは思えないんですよね。。。


だってワンダーウーマンが何もしなくたってドイツ軍が後に壊滅することは僕たちは知っているので。


大体、毒ガスを開発していた博士にしても何故か顔に傷がある設定で「この人も完全には悪い人ではないのだ」みたいな話にすり替えてるし。


あれだけの毒ガス虐殺をした人は許されて、その他の一般兵士は容赦なく倒す理由は何なのか。


結局ワンダーウーマン自身も女性や生涯がある人を差別しているのではないかと疑ってしまいます。

 


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女性差別という観点からもこの映画では矛盾点を感じます。


ワンダーウーマンが1940年代以降常にアメリカの女性解放運動のシンボルとされていたのは有名な話ですが、それは時代時代において少しずつ形を変えていったわけですよ。


それを2017年度版にきちんとアップデート出来ているとは思えないんですね。


例えば、ワンダーウーマン自身は女性や男性であることに囚われずに生きている人物なのですが、まわりの人達は「女性が口を出すな!」とか「女性は戦わない」などと差別しているという構図になっています。


そのわりには、やけにワンダーウーマンを「美しく美しく」演出撮影するんですよね。
はっきりと男性ウケを狙ったような衣装や目線をしています。


MCUがキャプテンマーベルが彼女を全く女性として扱わなかったのに対し、ワンダーウーマンはどこまでいっても「超エロかっこいい女性」です。


ワンダーウーマン本人も最終的には「愛がすべてよ!」というキャラクターになっていき、最初に掲げていた「困っている人を放っておけない」という精神はどこかにいってしまいます。


原作がそうだったから、というのは言い訳です。


原作をわざわざ映画にするのであれば、必ずそれに応じた再構成が必要なのですから。

 

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ここからは「設定のまずさ」とは違いますがやはりおかしな点があります。

 

秘書みたいな女性はどこいったのか


秘書のような女性が意味ありげに登場し「秘書と奴隷は似てる」みたいな屈辱的なコトを言われたあと、なんだかよく分からないうちにいなくなります。


あんな扱いなら初めから出さない方がマシです。

 

セキュリティーゼロ問題


どこかの基地や会議場などにするすると潜入するシーンが多すぎてノイズです。


映画内で多くても1回くらいにしてもらわないと「なんで誰も鍵とか見張りとかたててないの?」と気になります。


この辺は前作「スーパーマンvsバッドマン」でも同じようなシーンがありましたが。

 

ダイアナの登場シーン


映画冒頭、ルーブル博物館に顔に見えない女性が思わせぶりに入っていきます。


と、思いきやあっさりとダイアナが顔を見せてしまいます。


けっこうテキトーな感じで。


なんで??


だったら、後のアマゾン族のシーンで「こんなにカッコいい女性に成長した」という演出で初登場にした方が効果的じゃないですか。


そりゃ前作で登場しているのだから、どんな顔かくらいは知ってますよ。


でも一本の映画として考えるなら、もっと主人公の登場シーンに気を配らないと駄目でしょう。

 

というわけで、細かいことを言えば他にもまだ不満点は多いです。
申し訳ないけど。


比べたくはないけど、やっぱりどうフラットに観てもMCUの方が全体の映画のレベルが上ですね。


ポスターワークも含めて「キャラクターをたてる」のはうまいと思っているので、良くなるときは一気によくなると思っているのですが。


今後に期待・・・・・かな?


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スパイダーマン: スパイダーバース Spider-Verse《世界一の映画と、それに届かないポスター》

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ポスターの点数…65点
映画の点数…95点

 

監督 ボブ・ペルシケッティ
ピーター・ラムジー
ロドニー・ロスマン
脚本 フィル・ロード
ロドニー・ロスマン
原作 スタン・リー

 

グラフィックデザインの敗北

 

グラフィックデザイン(ポスターやチラシや名刺など、紙のデザインのこと)を仕事にしている自分にとって、映画というものは自分の理想でもありライバルでもあり打ち負かすものであったりします。


何しろ相手は「動くもの」であって、僕の仕事は「動かないもの」です。


それでも、映画のような感動を与えようと頑張ってみたり、逆に「映画なんかでは表現できないものを平面なら出来る」という気持ちで仕事に取り組むこともあるわけです。
かなり大げさな表現をしていますが、簡単に言えば「この映画カッコいいじゃん!なんかこんなカッコいいデザインしてみよう」みたいな無邪気な動機であることがほとんどです。


だからこそ映画ポスターを観ると「これはすごい!」とか「これはちょっと・・・」と気になるわけなのですが。


そして今回のスパイダーバースのポスターに関しては・・・・・


残念ながら、グラフィックデザインの敗北だなと感じました。

 

映画の感想


ポスターの話の前に、映画の感想からお話しようと思います。


この映画がどのようなものであるかをお話ししないと、ポスターのことも話しづらいからです。


1961年に誕生して以来、コミック、アニメ、実写映画などと様々な形で表現されてきたスパイダーマン。


直近でもアベンジャーズに参戦するなど時代を超えて活躍を続けています。


シニカルで明るいキャラクター性もあってか活躍のジャンルも広く、CGなどの新技術の誕生と共に常にスパイダーマンも進歩してきました。


しかし、個人的には本作ほど劇的な進歩は今まで無かったのではないかと思えるほどに映画のレベルが高かったように思います。


脚本や性格とかの話ではなく、圧倒的な技術革命がスパイダーバースの魅力と言い切っていいでしょう。

 

圧倒的なレベルの高さ


多くの方がすでに表現されているように「CG的であり、実写的であり、平面的であり、漫画のような止め絵でもある」という、にわかに信じがたいことを実現したことがこの映画の価値です。


実写とアニメーションや漫画の融合を目指した表現の歴史は長く、古くはメリーポピンズ、新しい映画でも300《スリーハンドレッド》などはその可能性を追い求めたものと言えるでしょう。


ですが、それらの歴史がかすむほどに今作のスパイダーバースは素晴らしかったと個人的には思います。


そしてそれはアニメーションの技術的な革命と共に、スパイダーマン、あるいは全てのアニメーションにとっての一つの最終回答のようなものではないかとすら思うほどです。


前述の通り、2次元なのに立体的・立体的なのに漫画的という冗談みたいなことが本当に実現したのですから。

 

ストーリーの豊かさ


技術レベルが凄まじいことは分かりましたが、物語もまた素晴らしい。


ちゃんと現代版のスパイダーマンとしてアップデートされており、なおかつ自らの歴史をからかう批評性すらある大人な仕上がりになっています。


泣けるシーンではきっちりと泣かせ、笑わせるシーンではちゃんと笑わせる。


そしてついにスパイダーマンがスパイダーマンとしてついに「誕生する瞬間」の感動たるや。


ヒーロー映画のキモは、ヒーローが誕生する瞬間そのものだと思っています。
(そういう意味では例えばキャプテンマーベルなどは良くなかったと思うのです。暗い夜の玄関先みたいなところで変身されても燃えないでしょう)


そして、このストーリーに映像的技術が見事に絡みあっているのです。


新しい技術がキャラクターを際立たせ、生き生きと体温をもたせ、感動を増幅させる。
ただの映像PVに終わっていないからこそこの映画は素晴らしいのですね。

 

ポスターの評価


さあ、改めてポスターの評価です。

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残念ながら・・・・・・映画の良さが伝わってこない!!!!


決して悪いポスターではありません。


観て貰えば分かる通り、非常にカッコイイポスターなんです。


スニーカーやパーカーなどで個性を演出できているし、平面でありながらも浮遊感も感じるし、キャラクターの決定的なネタバレはしないよう配慮しているし。


配色だってかなり計算されたものだと思われます。


それでもやはり、まだ足りないと思ってしまうのです。

 

世界一の映画に対して


このポスター、何しろ相手が悪かったとは思います。

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オスカーを受賞した歴史的にも全く新しい表現にあふれた映像映画を前にして、グラフィックデザインが対抗できることは無かったのでしょうか。


このポスターでは「今までとは比べものにならないレベルのアニメなんだよ」ということは伝わらないと思うんです。


このポスターを観て反応するのは、元からアメコミや原作が好きな人や映画ファンくらいなものではないでしょうか。


それではもったいないとどうしても思ってしまいます。


この映画にふさわしいポスターは、こちらも誰も観たことがないレベルのグラフィックデザインだったのではないでしょうか。


印刷のやり方、表現の方法、何かしらのあっと驚く表現が求められたのではないかと思うのです。

 

無責任ではあるのを承知で

 

これだけのことを言うのだから、自分にはどれだけのことが出来たのかと考えるのですが。。


無責任であるのは承知ですが、どうしたら良かったのかは僕には分からないです。


結局自分にできるのは、自分の仕事をやることくらいなものです。


ただ今回の映画で強く感じたことは、グラフィックデザインの分野を映画がこのようにして浸食してくるということの危機感です。


スパイダーバースこそが限りなく映像的であると共に、限りなくグラフィックデザイン的でもあったのですから。


僕たちグラフィックデザイナーもまた、他業種を浸食するような表現を求めて行かなければいけないのかななどと途方もないことを考えております。


それでは。

 

 

 

 

 


「スパイダーマン:スパイダーバース」オリジナル・スコア [ ダニエル・ペンバートン ]

 

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インクレディブル・ハルク The Incredible Hulk 《ポスターも映画も忘れ去られた一本》

ポスターの点数…40点
映画の点数…55点

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インクレディブル・ハルク 【MARVELCorner】【Blu-ray】 [ エドワード・ノートン ]

 

 

監督 ルイ・レテリエ
脚本 ザック・ペンエドワード
出演者 エドワード・ノートン

 

マーベルシリーズ(MCU)において、何故かアンタッチャブルな存在になっている作品があると思っていて。


それがこのインクレディブル・ハルクです。


アンタッチャブルというと聞こえはいいですが、早い話が

「すみません、無かったことにしてもらえませんか?」

という感じがするんですよね。


おかげさまで、今の今まで鑑賞を避けてきた今作を今更になって観てみました。


観ればなるほど、こりゃあ手におえないな!という感想でございました。


さっそくポスターの評価と映画の評価を合わせて振り返ってみたいと思います。

 

キャッチコピーがまず駄目

 

何故こういう事態が起こるのかいつも分からないのですが・・・・・


キャッチコピーがまず最悪だなと思います。


いや、別に、「その力、ためらうな」という言葉がおかしいとは言いませんよ。


でもそんな映画じゃ全然ないじゃん!!


嘘はついたら駄目だろうと思うわけですよ。


お客さんを一人でも呼ぶためにキャッチコピーはつけられます。
だからと言って、嘘をついていいわけではないでしょう。


「※個人の感想です」という言い訳も無しでしょう。


だったらその人はライターの仕事を辞めた方がいい。


おそらくですが、「正義のために、その秘められた力を解放するんだ!(キリッ」ってことが言いたいわけでしょう。


これがスーパーマン(マンオブスティールの方)だったら分かるんです。


でもこの映画でのハルクは、自分でのコントロールが全くきかないということが問題なわけですよ。


それがきっかけで恋人と別れたり軍に攻撃されたりと悲しいことばっかりなわけです。


なのに「その力、ためらうな」だと。


てめぇ、誰目線だこの野郎!!

 


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ポスターのビジュアルについて


ポスターもこれまた・・・・


意図はもちろん分かります。


主人公ブルースが、暗い表情でさまよっている様子。
軍や警察がそれを追ってきている様子。
その背後には、巨大な恐ろしい生物がいる。。。


ということですね。


あとは全体的に青みがかったライティングをしていたり、全体のトーンを落としています。


でも、いくらなんでも暗すぎない???


アイアンマンに続くMCU2作目なわけですけど、これじゃあまりにも爽快感がなさ過ぎると思うんですよ。


映画を見終わった人ならこのポスターの意図は分かりますが、せめてもう少しだけでもポジティブな要素があってもいいんじゃないでしょうか。


例えば、映画内でも言及されますがハルクの「神々しい力強さ」という面を際立たせるとか。


美しいリブ・タイラーを画面内に入れるとか(安易にポスターにヒロインを入れるのは好きではありませんが、今作は役どころも重要ですので入れても問題ないかと思います)。


当時2作目とは言え、MCUシリーズを鑑賞しようという方の多くは「ちょっとスカッとした映画観たいな〜」といった気持ちだと思うんですよね。


そういう人にとって、このポスターは響いてこないでしょう。。。


もしかしたらですが、ダークナイトシリーズなどの影響があったりするのかなぁ。。。
「悩むヒーローはかっこいい」みたいな風潮は当時まだ強かったですよね。


そこから解放されていくのがMCUシリーズの歴史そのものなわけですが、その転換期に置かれた作品がこのハルクだったのかも知れません。

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映画の評価


まずオープニング。


ブルースがどうしてハルクになったのかを、回想シーンで手際よく見せていきます。


言葉による説明はほとんどせず、場面だけでスマートに語っていく手法はとても良かったです。


グダグダとヒーローの誕生までを描く映画が大量生産されたなかで、この潔さは大変好感が持てました。


が。


その手際の良さはここまででした。

 

デジャブしていく映画


この映画、何故か2時間かけて同じシーンが何回も繰り返されるのです。


「さっき観た気がする」ような状況が何回も起こる様はまさにデジャブ。


僕は永遠にこの映画から逃げられないのだ。

 

 

例えば、潜伏しているブルースが米軍に見つかるがハルクに変身して逃げるという場面が2回あります。

 

そこらへんの車両を盾にして戦う場面が2回出てきます。

 

デカパンツを探すというシーンが2回出てきます。

 

何故2回あるのか特に理由がないんですよね。

単純に手際が悪いとしか思ってしまって。

 

リブ・タイラーとのイチャイチャシーンもなんか無駄に長いというか。

そこらへんもっと省略しても大丈夫だよ。

 

とにかく、くどいシーンが多いんですね。

 

リブ・タイラーの存在感

 

それにしてもリブ・タイラーさんはセクシーだなぁと思います。

 

なんというか、マーベルシリーズの中でも艶かしい色っぽさがあります。

 

彼女が出てくるだけで妙にドキドキします。

 

ですが、逆に彼女が出てくると場面が急にかったるくなります。

 

彼女の行動の動機もいまいちノレなくて、今付き合ってる彼氏がいるにもかかわらずブルースと再会したらもう二度と今カレのことを思い出さないんですね。

なんというか、、、、、ビッチにしか見えません。

 

バトルシーンのノレなさ

 

最後のバトルシーンもやっぱり面白くなりません。

 

なぜなら、ただの身内同士の喧嘩だから。

 

それで、周りの人に迷惑かけまくってそれを解決したところで爽快感がないんですよねぇ。

 

せめて最後くらいは『こいつを倒さないとアメリカが危ない!』という奴とハルクが戦ってこそヒーロー映画でしょう。

 

最後の最後までノレない映画だったなという感想でした。

 

それでは。

 

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ガーディアンズ・オブ・ザ・ギャラクシー Vol.2 《映画に対して無難にまとめたポスター》

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ポスターの点数…65点
映画の点数…85点

 

監督 ジェームズ・ガン
脚本 ジェームズ・ガン
出演者    クリス・プラット

 

2017年公開のGOTGシリーズ2作目。


過去の危険な発言をきっかけにマーベル/ディズニーを解雇されていた監督ジェームズ・ガンでしたが、先日シリーズへの復帰が報じられました。


シリーズのファンとしては嬉しい限りです。


世間的な評価としては1作目の方が評価が高い印象なのですが、個人的には2作目の方が好きだったりします。


ですが、グラフィックデザイン的な観点からだと、2作目のポスターはちょっと弱いのかなぁと思っています。


今回はそのあたりをまとめてみます。

 

先に言っておくこと

 

まず、もはや語り尽くされているでしょうが、最低最悪の改題「リミックス」問題についてはわざわざ言うこともありません。


ここではすべて「Vol.2」で通させていただきますのでご了承を。


そしてこの改題はデザインの上でも大きく足を引っ張っています。


もともと英語Ver.では、手書き風の勢いのあるタッチでVol.2と書かれているんですよ。

 

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日本版ポスターではリミックスという文字になっているわけですが、それがカクカクツルツルしたフォントになっています。


これもまた最悪な改訂だなあと思います。


手書き風であるのは、ピーターのお母さんが手作りしたカセットの文字を思わせるという意図があるわけですよ。


また、宇宙空間のストーリーでありながらもやたらと人間くさい(全員宇宙人だけど)登場人物達の血の通った感じを表現するのにも役立っています。


改題も最悪ならば、それを表現するのも最悪なのが日本バージョンなのでした。

 

ポスターの内容


ビジュアルの方ですが、こちらはある意味無難にまとめあげている印象です。


確かに派手な色彩で迫力のある構図とちょっと間抜けなポージングなどはGOTGの世界観をうまく表現しています。


しかし、何か物足りないような気がするのは贅沢なのでしょうか。


せっかくいい映画なのに、なんとなくポスターが地味に思えるのです。

 

ポスターの意図


ポスターからは意図的に今回のヴィランは排除されています(名前はのってるけど)。


これはネタバレを防ぐためなので仕方ないのですが。


だったらせめて、惑星EGOをポスターの舞台にするとかしても良かったんじゃないですかね。


GOTGらしいド派手な色彩を表現するのにもピッタリです。


そうしたら映画を観る前は「派手で楽しそうな映画だな」と思うでしょうし、一回観たころがある人は「ああ、ここは映画のあのシーンだな」と気付いて二度おいしいというわけです。


一応現在のバージョンも画面中心にEGOのコアらしきものが写っていますがわかりにくいですね。

 

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キャラクターのレイアウトなどにも意図がほとんど感じられないのももったいないなあと感じます。


せっかくガモーラとネビュラを同じ画面に置いているのなら、対立している様子を匂わせるとか。


ヨンドゥがメリーポピンズみたいになっているとか。


あとから観て面白がれる要素がもっとあってもいいなと思いました。

 

映画に対してのポスター


GOTGシリーズは、スターウォーズ以降のスペースオペラに対する一つのカウンターを正々堂々と打ち込んだ素晴らしい作品だと思っています。


だからこそポスター一つでも何かしら新しい提示をしてほしいなと思うわけです。


現在は手描きイラストにすることで「スターウォーズへの敬意」と「スペースオペラへの対比」にしていると思うのですが、もうあまりそこにとらわれすぎなくてもいい段階なんじゃないかなと。


GOTGシリーズに対する期待が他の作品よりも高すぎるからこその要望なのだと思います。


ほとんど僕のわがままですね。

 


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映画の感想


1作目での前半1時間の「仲間になる過程」が無くて済む分を、2作目ではキャラクター同士の人間関係をより掘り下げていくとしたのはとても良かったと思います。


単純に「アクションシーン増やそうぜ〜」としてしまった可能性もあるとは思うのですが、あくまでもキャラクターの魅力を引き出す方を優先したのは大正解ではないでしょうか。


ガモーラとネビュラの姉妹関係、ピーターとEGOの親子関係、ヨンドゥとロケットの似た者通しの関係さらにはグルートとドラックスの小さいライバル関係やスタローンとヨンドゥの師弟関係なんかも出てきたりと、よくも2時間でこれだけのことをまとめたなと思う次第。


確かに「会話のやりとりのシーンが多すぎる」という指摘があるのも分かりますし、僕も部分的にはそう思います。


上映時間ももう少し削って2時間ぴったりくらいにした方が良かったかなとも思うんですよ。


とはいえ、シリーズ2作目としてこれだけキャラクターはきっちりと作りきったのだから逆に3作目は期待せざるを得ないでしょうというのが僕の感想です。


無理なのは承知で言いますが、1シーズン10話くらいでドラマ版なんか作ってくれたらいいのになぁなどと考えてしまいます。


けっこうイケると思うんだよな、GOTGなら。


アベンジャーズ エンドゲームではあまり出番の無さそうなGOTGチーム、次作がいつか分かりませんがマーベルシリーズで一番待ち遠しい作品です。

 

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それでは。

 


ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:リミックス MovieNEX(期間限定仕様 アウターケース付き) [ クリス・プラット ]

 

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